ドラゴンボールad astra   作:マジカル☆さくやちゃんスター

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第17話 第6宇宙の抵抗①

 そこは、ほんの少し前までは文明の栄えた美しい惑星であった。

 いくつもの高層建築物が並び、人々で賑わっていた。

 しかし今や空は淀み、建物は壊れて廃墟のような有様と化している。

 こうなっているのはこの場所だけではない。今や惑星中が似たような状況になっており、人類の何割が死んだか分かったものではない。

 時折あちこちで何かが爆発し、常人の肉眼では捉える事も出来ない超高速戦闘の打撃音が響き渡る。

 

 ここは第6宇宙の地球だ。

 かつて人類同士の戦争によって滅び、しかし超ドラゴンボールによって蘇ったそこはかつての過ちを繰り返さぬように平和な日々を過ごしていた。

 しかし第七宇宙の地球に限りなく近付くように復活させられたその惑星は、住んでいる人間までは似ていなかったのだろう。

 保有する戦力は悟空が地球にやってくる以前のレベルしかなく、加えてこの地球にはカタッツの子やリゼットというイレギュラーも存在しなかった。

 分かりやすく言えばピッコロ大魔王一人いれば世界征服出来てしまうレベルだ。

 地球は本来は銀河の辺境の惑星に過ぎず、そのレベルの低さはサイヤ人の赤ん坊一人送り込めば征服可能と判断される程度でしかない。

 故に外からの侵略には無力であり……ましてやその侵略者が惑星すら簡単に壊してしまえる強者であれば、もうどうしようもなかった。

 

 この地球の危機に真っ先に動いたのは宇宙の平和を守る第6宇宙の守護者、サイヤ人だ。

 地球は美味しい物で溢れた破壊神シャンパのお気に入りの惑星であり、滅ぼされてしまえばシャンパは大層悲しむだろう。

 しかしそのシャンパは現在全王に呼ばれて他の破壊神達と共に居なくなっており、ならば神の不在中は人間が星を守らなくてはならない。

 防衛隊の若きエースであるキャベは地球の危機を知るや否や、すぐにカリフラとケールを連れて地球へと急行……現場に到着すると同時に侵略者との戦闘を開始した。

 

「だああああああっ!」

 

 キャベが黄金のオーラを纏い、侵略者へと拳打を放つ。

 だが侵略者はそれを軽々と片手で受け、続くキャベの連撃にも余裕をもって対応した。

 キャベは第6宇宙のサイヤ人の中では最強クラスの実力者だ。

 若くしてエースと呼ばれ、いくつもの功績を打ち立てている。

 第七宇宙との試合では破壊神シャンパからも『宇宙最強の五人』のうちの一人として呼び出しを受け、試合後には向こうのサイヤ人の一人であるベジータから(ほぼ強制的に)指導を受け、超サイヤ人への変身能力も身に付けた。

 元々宇宙最強クラスだったものが数十倍のパワーアップを経た今、その強さは第6宇宙ならば圧倒的と言っていい。

 極一部の実力者……同じ力の大会参加者くらいしかキャベとは戦えないだろう。

 それが通じていない。

 キャベの拳も蹴りも、侵略者にはダメージにならずに全て受けるか避けるかされてしまっている。

 

「そんなものなの? 全然盛り上がらないよ」

 

 青い服を着た白い肌の不気味な侵略者は名をオレンといい、自らをツフル人の造り上げた最強の人造生命体であると告げた。

 しかし彼とその姉を生み出したツフル人の科学者はその力を恐れ、彼等を抹殺しようとしたらしい。

 人間を憎んでいるというこの人造生命体は最強を目指して造られたというだけあって、凄まじい戦闘力の持ち主だ。

 超サイヤ人と化したキャベでも遊ばれてしまっており、戦いになっていない。

 

「そらっ!」

「ぐあ!」

 

 オレンの蹴りがキャベの腹にめり込み、彼を近くのビルへ蹴り飛ばした。

 数時間前までは人が大勢いた高層ビルをキャベが貫通し、その後にゆっくりとビルが傾いて崩落する。

 キャベは更に地面を削りながら飛び、ようやく止まった時には超化が解けて倒れていた。

 

「キャベ! ……くそっ!」

 

 キャベの危機に彼以上の天才的な戦闘センスを持つカリフラが救援に飛んだ。

 だがその前にオレンとよく似た異星人……オレンの姉のカミンが立ち塞がり、救援を阻む。

 

「貴女の相手は私でしょ?」

「このっ、どきやがれ!」

 

 カリフラの実力はキャベに匹敵している。

 だがキャベと比べてそこまで差があるかというとそうでもなく、彼女の拳も軽々とカミンに止められてしまっていた。

 反撃の裏拳がカリフラの顔を打ち、鼻血が顔を汚す。

 

「もっと強い奴はいないのかしら? つまらないわ」

「このクソ野郎……!」

「失礼ね。野郎じゃないわよ」

 

 カリフラは持ち前の負けん気でカミンに挑むが、まるで相手になっていない。

 決して彼女が弱いわけではないのだ。

 むしろその戦闘センスは天才的であり、彼女はキャベには未だ到達出来ていない超サイヤ人を超えた先……超サイヤ人2への覚醒を自力で果たしていた。

 しかしそれでもまだ届かない。キャベよりはマシという程度でしかない。

 それほどにカミンは強すぎた。

 

「ほら、ほら!」

 

 カミンが嬲るようにして、カリフラが倒れてしまわない程度の力で小突く。

 カリフラも必死に反撃しているが、それは反撃させてもらえているだけだ。

 カミンがその気になれば本当は一発でこんな戦いなど終わってしまう。

 ただ、玩具を長く楽しみたいが為に加減しているに過ぎない。

 

「あ、姐さん……」

 

 カリフラがボロボロにされるのを、ケールはただ見ている事しか出来なかった。

 ケールはパワーならば三人の中で最強と言っていいが、彼女の超サイヤ人は特殊な上に制御が利かない。

 そもそもどうやれば変身出来るのかすらケールにはよく分かっておらず、意識しての変身すら出来ないのだ。

 カリフラは『首の後ろ辺りをゾワゾワさせればいい』などと言っているが、それは天才肌の彼女だから出来る事だ。

 キャベは『怒ればいい』と言うが、闘争に向かないケールの内気な性格では怒るという事がそもそもほとんどない。

 大体の場合は怒る前に落ち込んでしまう。

 

「やめろ……姐さんは絶対なんだ……負けない存在なんだ……」

 

 しかし今は違った。

 敬愛するカリフラが一方的に痛めつけられるのを見て、ケールの中に怒りの感情が蔓延している。

 ゾワゾワと髪が逆立ち、大人しそうな顔は凶悪なそれに変わりつつあった。

 

「姐さんの敵は私が消す!」

 

 やがて遂にケールがキレ(・・)た。

 彼女を中心として気が溢れ、世界の色が変わる。

 色を変えたのは、惑星全土に一瞬にして広がった彼女自身の気であった。

 それが彼女自身に回帰し、世界の色が元に戻る。

 それが終わった時、そこにいたのは先程までのケールではなかった。

 筋肉が膨張して明らかに骨格レベルで変化しており、その身長は2mを超えている。

 髪は緑がかった金髪で逆立ち、その眼からは理性が消えて白目となっていた。

 地面を踏み砕いてケールが歩み、彼女から感じられる気にオレンとカミンも僅かに興味を見せた。

 

「へえ……姉さん、あいつなかなかのパワーだよ」

「そうねオレン。少しは楽しめそうだわ」

「……殺す!」

 

 余裕を崩さない姉弟へとケールが正面から飛び掛かった。

 巨体に似合わない速度に若干意表を突かれるも、二人はすぐに散開してケールの突撃を回避する。

 そして同時に蹴りを入れるも、ケールは僅かに揺らいだだけであった。

 

「グウウウッ……オオオオオオオッ!!」

 

 獣のような声をあげてオレンとカミンの足を掴み、高度を上げてから地面へと急降下する。

 そして勢いとパワーのままに二人を地面へ叩き付けた。

 地球の大地が一撃で砕け、振動が世界中を襲う。

 だがそんな一撃を受けた二人は液体のように身体を変化させるとケールの手から脱出して、離れた地面の中から飛び出して軽々と着地してみせた。

 

「姉さん、あいつそこそこやるよ」

「ええ。いい玩具が見付かったわね」

 

 二人は笑いながら、今受けたダメージを一瞬で完治させた。

 再生能力持ちというのは宇宙では珍しくもないが、ここまでのものはそう見かけない。

 第七宇宙には案外いるような気がしないでもないが、それは気にしてはいけないだろう。

 ツフルの科学力が生んだ二人はアイコンタクトを取り、そして同時にケールへと挑んでいった。

 

 

 ケールはよく戦ったと言えるだろう。

 二対一で、加えて相手はダメージを受けてもすぐに完治してしまう。

 そんな中でケールは怯む事なく、防御も回避も捨てて二人を相手に暴れ狂った。

 何度攻撃を受けても崩れず、すぐに反撃に転じる姿は第6宇宙に言い伝えられている伝説のサイヤ人を彷彿とさせる。

 だが結論を言うならばケールに勝ち目はなかった。

 ほんの数分でケールは散々に痛めつけられ、地面に倒れていた。

 パワーもすっかり落ちてしまい超化も解けてしまっている。

 そんなケールを踏みつけ、オレンは退屈そうに話す。

 

「何だ、もう終わり? 思ったより楽しめなかったな」

「そうねオレン。もう終わらせてしまいましょうか」

 

 多少は期待したものの、オレンとカミンにとってケールはただ無駄に力が強くなっただけでしかなかった。

 動きは直線的で大振り。パワーに頼った変身は最初は脅威でも少し観察すればすぐに見切ってしまえる。

 二人はあらゆる戦闘データをインプットされており、ケールの戦いはただ退屈なだけでしかなかったのだ。

 だからもうこの玩具に用はない。

 そう判断して止めを刺すべく掌を向けた。

 

「っ!?」

 

 だが不意に叩き付けられた殺気に反応し、同時にケールの上から跳び退いた。

 それは最強の存在として造られた二人をして、思わず退いてしまうほどの濃密な殺意であった。

 だが今のはほんの挨拶代わりだ。

 ただ、『そこを退け』と警告したに過ぎない……少なくとも、彼にとっては。

 警戒する二人の前に殺意の主はゆっくりと足音を立て、姿を現す。

 それは紫色の体色をした赤い瞳の異星人であった。

 端正な顔は無表情で、感情を表に出さない。

 黒いコートのポケットに手を入れ、静かに男は二人へ告げる。

 

「界王神から仕事(殺し)の依頼が入った。ターゲットはお前達だ」

 

 低く、渋い声で侵略者二人へ殺害予告を出す。

 それは第6宇宙に生きる者にとっては事実上の死刑宣告に等しい。

 彼に命を狙われれば逃げる術はなく、必ず死体へ変わる。

 その事から付いた呼び名は――。

 

「ヒット……百発百中のヒットか!」

 

 彼こそは生ける伝説。

 真の第6宇宙最強が戦場へ馳せ参じた。

 勿論オレンとカミンは彼の存在を知っている。

 第6宇宙で『最強』を目指すならばヒットはどうしても無視出来ない存在であり、二人の製作者がヒットという生ける伝説を到達点の一つとして考えていたのは間違いない。

 事実、二人にはヒットの戦闘データが刻まれているのだ。

 

「いいね! 楽しくなってきた!」

 

 オレンが子供のようにはしゃぎ、ヒットへ飛び掛かる。

 それに対してヒットは時を飛ばしてオレンへ接近した。

 だが飛ばしているはずの時の中でオレンが動き、ヒットの背後へ回り込んで手刀を構えた。

 

「時飛ばしって奴? 効かないよ!

僕らには君のデータもインプットされてるんだ!」

「…………」

 

 首を狙って手刀を薙ぐ。

 だが寸前で手は首に届かず、それよりも早く振り返る事なく放たれたヒットの肘打ちがオレンの腹に突き刺さっていた。

 

「なるほど……それは厄介だな」

 

 言葉の割には大して気にしていないような口調でヒットが呟き、オレンを掴んで投げ飛ばした。

 そこに気弾を軽く打ち込み、まずはオレンの強度を確認する。

 爆煙の中から出て来たオレンはダメージを受けているものの浅く、しかもすぐに傷が治ってしまう。

 その様子を観察しながらヒットは氷の冷たさでオレンの『殺し方』を考えていた。

 

「オレン、そいつ強そうね! 私が貰うわ!」

「……楽しんでいるな、戦いを」

 

 はしゃぎながら飛んでくるカミンを見ながらヒットは呆れたように言う。

 バトルジャンキーには最近も出会ったばかりだが、孫悟空と違いこの姉弟には武道家としての高潔さは全くない。

 この二人は戦いを楽しんでいるのではなく、自分達が一方的に相手を痛めつけるのが好きなだけだ。

 そういう手合いは今までにも何度も見て来たし、何人も葬ってきた。

 今回も何も変わらない。それが少女だろうが人工生命体だろうが受けた仕事を果たすだけだ。

 ヒットは拳を握り、ゆっくりと腕を持ち上げた。

 

「そらそらそらそらァ!」

 

 カミンが放つ拳のラッシュを、ヒットは両腕のガードでしっかりと受け止める。

 そうして防御を固めながらもヒットは、腕の隙間を通してカミンの動きを冷静に観察していた。

 動きの癖、好みの攻撃、呼吸、足運び、視線の動き、技選びの傾向……それらを見逃す事なく把握し、そして一言呟いた。

 

「……見切った」

 

 カミンのラッシュを掻い潜り、ヒットの拳がカミンの顔にめり込んだ。

 一撃でカミンの鼻が折れ、顔が醜くひしゃげる。

 続けて左のジャブを連射。小刻みに顔の急所を狙い撃ち、瞬く間にカミンの顔が膨れ上がる。

 

「っこの!」

 

 カミンも反撃するが、ヒットはそれを避けて構わずに攻撃を続行した。

 時は飛ばしていない。

 だが殺し屋ヒットの真に恐るべき強さは時飛ばしなどの特殊能力にあるのではない。

 彼の真に恐るべき部分はその学習能力の高さにこそある。

 類稀な潜在能力と成長性を持つヒットは戦いの中でどんどんと成長し、強くなっていく。

 気を纏った拳が面白いようにカミンの顔へ当たり、彼女の顔を右へ左へと揺らす。

 

「調子に乗るなあ!」

 

 姉が劣勢と見てオレンが援護に割り込んだ。

 両腕を広げて気を高めながらヒットへ近づき、目の前で気を炸裂させる。

 

「スマッシュブレイク!」

「……っ!」

 

 気の爆発をしっかりと腕でガードしながら、ヒットが吹き飛ばされた。

 だが目は閉じていない。ガードの隙間を通して動きを観察している。

 地面に着地すると同時に拳を繰り出し、見えない拳打を飛ばした。

 これをオレンとカミンは左右に散って回避し、オレンは倒れているカリフラに……カミンはケールにそれぞれ触れた。

 直後、二人は液体となってカリフラとケールの傷口に潜り込んでしまった。

 するとカリフラとケールが起き上がり、冷笑を浮かべてヒットを見る。

 二人はどちらも髪が白く染まっており、眼球にはターゲットマーカーのような線が浮かび上がっている。

 顔にも奇妙な模様が浮かび上がり、明らかに普段と異なっていた。

 

「どうだい? ヒット……仲間を攻撃出来るかな?」

「……乗っ取ったのか」

「そういう事! けど、ただ乗っ取っただけじゃない! 私達が使う事で、こいつらが普段使っていないパワーを引き出す事が出来る!」

 

 カリフラ(オレン)ケール(カミン)は挟み撃ちをするようにヒットを左右から同時に襲い、抜群のコンビネーションがヒットに防戦を強いた。

 寄生により力が高まったカリフラ(オレン)ケール(カミン)が同時に放った蹴りがヒットのガードの上から炸裂し、彼を吹き飛ばす。

 

「ぐっ」

 

 ヒットが呻き、何とかダウンを免れて着地した。

 しかしまだカリフラ(オレン)ケール(カミン)の猛攻は終わらない。

 元々この二人は抜群のコンビネーションを誇る女サイヤ人二人で、そこに寄生したのはこれまた抜群のコンビネーションを持つツフルの姉弟だ。

 それ故に以心伝心の連携を発揮し、互いが互いの隙を埋めるようにしてヒットを攻める。

 一方ヒットは相手が味方の身体を使っているせいで迂闊に殺しの技を使うわけにもいかず、時飛ばしは既に対策済みとあって苦戦を強いられていた。

 

「ほらほら! もう終わり!? つまらないよ!」

「反撃くらいしたらどう!?」

 

 人質を取っているに等しい戦い方をしながら、ツフルの姉弟はヒットの無抵抗を嗤う。

 反撃の暇もなくガードの上から叩き込まれる攻撃に、最早ヒットは亀のようにガードを固めて耐える事しか出来ない。

 それでも二人の攻撃の重さに徐々に押し込まれ、やがてヒットはビルを背にして完全に追い詰められてしまった。

 

「止めだ!」

 

 これを好機と見なした二人はヒットを追いかけて攻撃を繰り出した。

 完璧な同時攻撃! カリフラ(オレン)の攻撃を防げばケール(カミン)の攻撃が、ケール(カミン)の攻撃を防げばカリフラ(オレン)の攻撃が当たる。

 堅牢なガードも一度こじ開けられてしまえば、後はサンドバッグだ。

 再びガードを上げる事も許されず、ただ一方的に殴られ続ける事になるだろう。

 勝った! ツフルの姉弟は勝利を確信して渾身の一撃をヒットに放ち――。

 

 その攻撃はヒットを突き抜けてしまった。

 

「し、しまった! 気の分身……」

「俺のデータをインプットしようと、お前達自身の対応力はそれほどでもないようだな」

「!」

 

 振り返った二人の腹に、同時にヒットの拳がめり込んだ。

 容赦のない命を刈り取る殺し屋の拳……しかし、その衝撃はカリフラとケールではなく、内側にいるオレンとカミンのみに届く。

 ヒットはただ一方的に打たれていたわけではない。

 積み重ねた殺し屋の眼で、二人の()()に寄生虫が潜んでいるのか見極めていたのだ。

 一撃でツフルの姉弟が追い出されて、先ほどまでヒットが背負っていたビルを突き破って反対側から飛び出す。

 しかし体勢を立て直す間はない。ヒットはカミンの後を追って追撃のボディブローを叩き込んだ。

 

「おっ……ぐ!」

 

 身体が曲がり、血の混じった唾液を零す。

 それを気にせずヒットが更にカミンの頬を殴り、倒れかけた所を今度は反対側から殴って無理矢理起こす。

 アッパーで跳ね上げ、宙を舞うカミンに見えない拳を炸裂させて追い打ちをかける。

 

「このおお!」

 

 オレンがヒットの背後から殴りかかる。

 だがヒットは振り返らずに裏拳をオレンの顔に叩き込んで迎撃し、更に肘打ちで腹を殴打して殴り飛ばした。

 そのままオレンなどいないかのようにカミンの落下先へと一瞬で滑り込み、落ちてきたカミンの顔を殴って地面へめり込ませた。

 

「舐めるなああ! スマッシュ……」

 

 オレンがヒットの背後に飛び込んで再び必殺技に入ろうとした直後、それを待っていたかのようにヒットが振り向いて見えない拳を飛ばした。

 いや、実際待っていたのだろう。

 技に入った直後で回避動作を行えないオレンの腹に見えない拳がめり込み、ヒットから離れた場所で爆発してしまう。

 

「ぐあああっ……!」

 

 オレンが地面に倒れ、何とか起き上がろうとするも彼は直後に動きを止めてしまった。

 彼の前には既にヒットが近づいて来ており、拳を構えている。

 冷たい氷の視線がオレンを射抜き、殺し屋から放たれる殺意を前にオレンは完全に硬直してしまっていた。

 

「終わりだ」

 

 死の宣告を突き付け、そして拳を放った。

 今まで多くのターゲットを葬ってきたヒットの拳は外部のみならず内部にまでダメージを通し、確実に相手を死に至らしめる殺しの技だ。

 オレンとカミンは高い再生能力を持つが不死身ではない。

 死に至るだけのダメージを受ければ死ぬとヒットは既に見抜いていた。

 故に、これで終わりだ。

 もうカミンの救援も間に合わず、そもそもカミンは意識を失っている。

 ……そう、だから終わりのはずだったのだ。

 

「ぬっ……!?」

 

 ヒットの身体を突然、重圧が襲った。

 今までにも仕事で重力の強い惑星に行った事はあるし、その時も問題なく仕事をこなしてきた。

 だがそのヒットをして動けぬほどにその重力は強く、ヒットは地面に縫い付けられてしまう。

 まだこんな技があったのか?

 そう思うもヒットはすぐに自分でその間違いを訂正した。

 違う、この攻撃はオレンでもカミンでもない。

 もっと別の……この二人とは比べ物にならない恐るべき誰かの技だ。

 

「いいねえ、第6宇宙の伝説の殺し屋ヒット……惚れ惚れする戦いぶりだ」

 

 ヒットは必死に身を起こしながら空を睨む。

 そこでは重力を放っている者……ハーツが水晶のような妙な物体と巨大なドラゴンボールを背に佇んでいた。




【戦闘力】
・ヒット:5兆5000億
成長し続ける殺し屋。
第6宇宙最強の戦士であり、力の大会ではたった4人しかいない『第7宇宙メンバーを落としたうちの一人』に名を連ねた。
悟空との戦いや力の大会を経て以前よりも遥かに実力を増している。
その実力は完成ブルーの悟空にも引けを取らない(漫画版参考)。

・カリフラ:9億6000万
超サイヤ人:480億
超サイヤ人2:960億
力の大会から変化なし。
センスは凄いのだが流石に今のレベルで超2では……。

・ケール:20億
伝説の超サイヤ人2(パワー重視):6400億
アニメでの力を制御するエピソードが入らなかった為、未だにパワーが制御出来ない。
第6宇宙の伝説のサイヤ人はある程度放置すると勝手に自滅するらしい。

・キャベ:9億5000万
超サイヤ人:475億
……うん。その、なんだ……破格の才能なのは間違いないんだけどね……。


・オレン:1兆2000億
・カミン:1兆2000億
初登場時こそ初登場補正で強く見えたが、実際は単体だとそこまで怖い相手ではない。
実力的には超2のベジータやトランクスでもある程度戦える程度。
(ただしベジータは見た目だけ超2でも実際には超3より上の『すげえ超サイヤ人(別名俺のブルマ)』があり、トランクスも漫画版で見た目だけ超2で実際は超3と同等という謎の変身を獲得している)
ケールとカリフラのタッグでもそこそこやりあえるので、後の合体なども考慮してこんなものだと思われる。
今となってはこの数値は弱いような空気があるが、決して雑魚ではない。
というか第6宇宙だとヒットを除けばサオネルとピリナくらいしかこの姉弟を倒せない。
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