ドラゴンボールad astra 作:マジカル☆さくやちゃんスター
メタルクウラに掴まれていたフューが乱雑に床に捨てられた。
首の骨を握り砕かれているものの、それでも生きているのは彼が人造的に造り出された突然変異体だからだろう。
しかし誰の目から見ても虫の息であり、口からは血の泡を吐き出して痙攣している。
そんな哀れな青年の胸をメタルクウラが踏みつけ、何かがへし折れる音が響いた。
「この愚か者は、自分だけは安全圏にいると勘違いした。
いざとなれば自分だけは別の時間に逃げる事が出来るという甘えが、他の囚人共と同じように俺を監獄惑星へ引き入れるという選択に繋がった。
フン……このクウラ様を他のサンプルと同じとでも思ったか」
メタルクウラの声には隠し切れない……いや、そもそも隠す気すらない侮蔑がありありと浮かんでいた。
フューの事をあまり快くは思っていないのだろう。
その証拠に、フューを踏みつける力はますます強まり、凄惨な音が響き続けている。
「だが自分だけは安全だと勘違いしたガキというのは扱いやすいな。
おかげで俺はメタルクウラをこの惑星に送り込み、様々な時代の強者のデータを取り込む事が出来た」
フューはどうやら、悟空達と同じようにメタルクウラまで監獄惑星に招待していたらしい。
そこにはメタルクウラが指摘するように『いざとなれば自分だけは大丈夫』という甘えがあったのだろう。
どれだけ危険な存在を招き入れて、場が混沌としてもフューは自分は大丈夫だと思っていた。
所詮は別の時間軸での出来事……いざとなれば時間の外にまで逃げてしまえば安全は保障される。
それに逃げずとも、生半可な危機など跳ね返せるだけの実力と才能がフューにはあった。
フューは本人の態度や言動からも分かるように、どこまでもゲーム感覚でしかなかったのだ。
本当の意味でピンチに陥った事など一度もない。
天才故の脆さ……その緩みをメタルクウラに利用された。
勿論フューもそれを承知の上で楽しんでいたのだろう。
少しくらいスリルがあった方が楽しめると……そう思っていた。
だがそれがゲーム感覚なのだ。
その結果、手に負えない本物の悪まで招き入れてしまった。
フューは死を前にして、初めてそんな当たり前の事に気付かされていた。
「……ビッグゲテスターはあの時確かに……」
「貴様が破壊した。確かにその通りだ、地球の人造人間。
俺の復讐をわけの分からん奴に邪魔され、ビッグゲテスター諸共吹き飛ばされた屈辱は覚えているぞ」
セルの疑問に、メタルクウラは当時の怒りを思い出しながら答えた。
ビッグゲテスターは確かにセルのかめはめ波によって消滅させられた。
リゼットは知らない事だが、セルはあの後もビッグゲテスターのあった宙域を探索してチップの一つすら残っていない事を念入りに確認して間違いなくビッグゲテスターが滅んだ事を確信していた。
故にたとえクウラが蘇生したとしても、メタルクウラが生まれるはずがないのだ。
……と、セルもリゼットも思ってしまっていた。いや、思い込んでいた。
「お前達もとっくに気付いているだろうが、俺は
そしてお前達は知るよしもないだろうが、俺達が蘇生させられた時にどんな姿だったか分かるか?
死んでから時間が経ちすぎていたのか……それとも願いを叶える龍にも好みがあるのかは分からんが、俺達は死ぬ直前の状態でこの世に戻されたのだ。
これが何を意味していると思う?」
『……まさか』
「そうだ……俺は、脳だけの状態で復活した。俺の生身の部分はそこしか残っていなかったからな。
その後俺は最新の技術によって生身の身体を完全に取り戻したが、嬉しい事にビッグゲテスターと同化していた時の知識が残っていた。
だがそうではなかった……脳と同化していたビッグゲテスターのメインコンピュータも俺の中に残ったままだったのだ。
そしてマシン惑星M2の残骸を取り込むことでビッグゲテスターは復活を果たした。
分かるか? つまり俺はクウラであると同時にビッグゲテスターでもあるのだ」
リゼットが知らない原作知識の中に、フリーザが復活する場面というものがある。
その中でフリーザは未来トランクスによってバラバラにされた状態のまま蘇生させられているのだが……この時、フリーザはメカフリーザのままであった。
それと同じ事がクウラの身に起こってしまっていたのだ。
リゼットの知る限りでは、肉体がバラバラになって死んだ者がバラバラのまま復活した例はない。
クリリンもサービスで服と肉体を元に戻して貰っている。
魔人ブウに殺された人達だってお菓子になったまま復活したりはしないし、地球を元に戻して貰った時もバラバラのまま戻したりはしなかった。
その知識が逆に落とし穴だった。
バラバラで死んだ者をバラバラのまま……脳だけで死んだ者を脳だけのまま蘇生させるなんて意地悪な事を神龍やポルンガが行うとは考えていなかった。
その原因は分からない。
神龍やポルンガにも自我があり、思考能力があるのだから願いを叶えるという仕事とは別に個人的な好みが本当にあるのかもしれない。
少なくとも原作でクリリンの服と肉体を復元したのはサービスだとポルンガ自身が断言しており、あれは彼の自由意思によって行われたものだとハッキリ分かる。
だがどちらにせよ、クウラは最悪の状態で復活していたという事になる。
「俺はメタルクウラを量産する事を考えたが、その為には良質なエネルギーが必要だった。
しかし表の世界は地球の神の監視網に引っかかる可能性があった。
そこで俺は裏の世界……暗黒魔界へ身を隠し、あちらの星を片っ端からビッグゲテスターのエネルギーへと変えていったのだ」
「な、なんだと……!?」
メタルクウラのまさかの発言に、暗黒魔界の出身であるミラが驚愕した。
暗黒魔界は魔界の王ダーブラを頂点とする裏の世界だが、ダーブラは例えるならばフリーザのようなもので、その上には更に『魔神』と呼ばれる者達が存在している。
その平均戦闘力は表の世界の比ではなく、そう簡単に滅ぼされるはずがない混沌の世界だった。
だがいかに混沌の世界でも、超サイヤ人ブルー以上の力を持つメタルクウラが無限に攻めて来てはどうしようもない。一部の実力者以外はただ搾取されるだけの餌となり、一部の実力者達ですら無限の軍勢の前ではいずれ疲弊して倒れるだろう。
「ある時、俺は宇宙に今までなかった惑星が突如出来ている事に気が付いた。
そこで俺はメタルクウラを送り込み、この愚かな小僧の技術と知識を全て奪い取ってやったのだ」
メタルクウラは勝ち誇るように言い、フューの顔に足を置いた。
メキメキと音が鳴り、フューの顔が恐怖に歪んでいく。
ズボンの股間部分には染みが広がり、フューの顔は最早以前までの実験を楽しむ飄々としたものではなくなり……ただの、怯える子供のものになっていた。
自信に満ち溢れたハンサム……手に入らぬものなどない。明日を信じるあの
全てが壊れ去った……虚飾、虚勢、傲慢。不遜、尊大、自我……。
『やめなさい、クウラ!』
「おい! もうそのくらいでいいだろう! そいつはもう動けねえ!」
「貴様……サイヤ人か。だがその顔、どこかで……」
メタルクウラの悪逆を前に憤りを見せる悟空に、メタルクウラは妙な懐かしさを覚えていた。
この世界線において、悟空とクウラはほとんど面識がない。
ナメック星の時はすぐにリゼットが奇襲をしかけ、クウラがメタルクウラとなった時は悟空は心臓病でダウンしていた。
故に、こうしてマトモに顔を合わせて言葉を交わしたのはこれが初の事であった。
「そうか……あの時見逃したガキか……!」
メタルクウラが思い出したのは、長い寿命を持つ彼からしてみればほんの少し前の出来事だった。
フリーザが惑星ベジータを滅ぼした時、そこから脱出する一隻のポッドをクウラは発見していた。
フリーザの甘さが招いた討ち漏らし……その場でそれを撃ち落としてしまう事は容易だったが、クウラはあえて放置した。
弟のミスなのだから、自分で片付けさせるべきだと考えたのだ。
フリーザもまだまだ甘い……あの時はそう思い、弟の愚かさを蔑んだ。
だがそれがどうだ。あの時見逃したガキは今や、忌まわしい地球の神の隣に立っている。
恐らくその戦闘力は宇宙最強クラスだろう。地球の神への復讐の邪魔になる事は間違いない。
「く……ククク……どうやら過去の甘さというものは後になって必ずツケが返って来るものらしいな」
「何……?」
「だが今の俺にかつての甘さはない」
過去の甘さが招いたもの。
それを目の前にし、メタルクウラはますますフューを踏み付ける足に力を込めた。
フューの口から血が溢れ、身体がビクンと跳ねる。
「い、嫌だ……嫌だ……死ぬの……嫌だ……。僕はまだ……何も解き明かしてない……。
助けて……父さん……母さん……助けてよ……」
「っ、フュー!」
目前まで迫った死を前にフューが初めてミラを父と呼び、助けを懇願した。
ミラも咄嗟に飛び出し、フューを助けようとする。
だが次の瞬間メタルクウラの姿はフューごと消えており、ミラ達を見下すように天井付近を浮遊していた。
その手には瀕死のフューがゴミのように掴まれ、痙攣している。
「貴様! フューを……離せ!」
「なんだ、このゴミを返して欲しいのか? ……よかろう、受け取れ」
メタルクウラはまるで興味がなさそうにフューを一瞥し、ミラに向けて放り投げた。
ミラは咄嗟に我が子を受け止めるべく手を伸ばす。
そして彼の手が触れる寸前――
ミラの目の前で、見せ付けるようにしてフューが爆発した。
グシャリという嫌な音が響き、血と肉片が飛び散る。
ミラの顔にフューの血が付着し、赤く染まった視界の中でメタルクウラが嘲るように笑ったのが確かに見えた。
この瞬間をもって、フューとミラの和解の可能性は永遠に奪われた。
腹を割って向き合ってみれば、もしかしたら分かり合えたかもしれない。
父と子として、笑い合う未来があったかもしれない。
だがそれは全て『IF』になってしまった。もうミラの手がフューに届く事は、二度とない。
フューの凄惨な最期を見たミラは怒りで顔を染めたが、すぐには飛び掛からなかった。
今や四方をメタルクウラに囲まれたこの状況で下手に動くのは自殺行為だったからだ。
「フハハハハハッ! 次は貴様等がこうなる番だ!
地球の神よ……その分身を通して見ているといい。
貴様の仲間達が、その小僧のように惨たらしく殺されていく姿をな!」
メタルクウラが叫び、それと同時に全員が一斉に動いた。
ここで最も早く行動を起こしたのは悟空だ。
彼は今にもメタルクウラに飛び掛かりそうなミラの肩を掴むと、全員に向けて叫ぶ。
「皆、捕まれ!」
この密集した場所での戦闘は不利だ。
そう判断した悟空は皆に呼びかけ、ベジータ達も迷わず悟空の指示に従った。
それと同時に瞬間移動で外に出るが、メタルクウラも一斉に瞬間移動を行う事で追跡してきた。
「おめえ等も瞬間移動が出来んのか!」
「驚いたぞ! サイヤ人の猿にそんな芸当が出来るとはな!」
悟空とベジータは完成した超サイヤ人ブルーへ変わり、ミラは戦闘形態へ、セルはゴールデンフリーザと同じ黄金の気を放出する。
バーダックも力を解放し、トランクスもブルーへと変身する。
今ここにいるのはいずれも劣らぬ強戦士達で、全員が宇宙最強クラスの力の持ち主である。
しかしそれと同格の力を持つメタルクウラが視界を埋め尽くすほどに居ては、流石に分が悪い。
「フリーザもひでえ奴だったけど……おめえはそれ以上だな! なにも殺す事はなかっただろ!」
「フン、俺は弟とは違うぞ!」
悟空がメタルクウラに連続で拳を叩き込む。
だが彼のメタルの身体は戦闘力以上に頑強で、生半可な攻撃ではビクともしない。
メタルクウラの一撃を瞬間移動で回避するも、すぐにメタルクウラも瞬間移動して追跡……瞬間移動の術者にしか認識出来ない亜空間の中で悟空とクウラが激しい攻防を続ける。
「ガラクタ如きが! 舐めるなよー!」
ベジータが果敢に挑むも、手痛いカウンターを受けて一撃で殴り飛ばされてしまった。
すぐに復帰してメタルクウラに挑むも、完成した超サイヤ人ブルーですら歯が立たない。
トランクス、セル、バーダックのタイムパトローラー三人も必死に戦っているが、それぞれが一体を相手するのがやっとだ。
怒りに燃えるミラは冷静さを失い、いいように数体のメタルクウラに翻弄され続けている。
「ちょっと、何事!?」
モロを食べようとしていた21号もこの異常事態に慌て、何が起こったのかも分からず動揺している。
そんな彼女の前にメタルクウラの一体が瞬間移動し、彼女の整った顔を痛烈に殴りつけた。
21号も魔人ブウの細胞のおかげでダメージはなく、すぐに殴り返すが……硬い!
メタリックなボディは21号の拳を正面から受けても僅かにへこんだだけで、メタルクウラは余裕の笑みを見せている。
「くっ……こいつら、数が多い癖に一人一人の強さも半端じゃねえぞ!」
「冗談じゃない! 全員が俺やカカロットと互角……いや、それ以上だとでもいうのか!? こんなのどうしろってんだ!?」
メタルクウラと激しい攻防戦を繰り広げながら悟空とベジータが叫んだ。
メタルクウラ一体一体の実力は、今の悟空やベジータのフルパワーに劣る程度だ。
だが悟空もベジータも、フルパワーでの戦いは消耗が大きい。とてもこんな数を相手に出来るほど長続きしないだろう。
しかも生身ではなくメタルの身体を持つメタルクウラは戦闘力以上に硬く、しかも多少のダメージはすぐに再生してしまう。
また、どんな生物であっても痛みを受ければ程度の差はあれど怯み、動きが鈍る。だがメタルクウラに痛覚など存在しない。
その上再生するたびにデータを取り込み、前よりも強化されるのだ。
一体だけでも第六宇宙くらいならば滅亡させてしまえるだろう超戦力が、数百体と殺到して来る光景は最早悪夢を通り越して地獄と言っていい。
「あーっ、もう! 何なのよ! 全然美味しそうじゃないし、最悪じゃない!」
21号がヒステリックに叫び、メタルクウラへ強烈な蹴りを叩き込んだ。
本気を出した21号の攻撃力は流石にメタルクウラの防御といえどひとたまりもなく、右半身が砕け散る。
だが砕けた場所からコードが伸び、瞬く間に復元を開始してしまう。
「無駄な事を。お前達が死にもの狂いで俺を倒したところで、俺は何度でも蘇るのだ……更に強くなってな」
あっという間に再生が終了し、メタルクウラのバージョンアップが完了した。
そしてそのアップデート情報は本体に共有され、次からはより強いメタルクウラが生産される。
復元を止めようと思っても他のメタルクウラが邪魔をするせいで一体倒す事すら困難と化していた。
現在、悟空達の置かれた状況は最悪と言っていい。
メタルクウラはいくらでも湧いて来る上に、その全てが強い。
悟空達も物量に圧倒され、このままでは全員殺されるのも時間の問題だろう。
故に外からこの光景を見ていたリゼットは分身ではなく自分自身で突入する事を決意し、転移の準備をする。
だがその直後、更なる異変が監獄惑星を襲った。
空から白い光線が雨のように降り注ぎ、メタルクウラ達を一斉に襲ったのだ。
それは『破壊』の光であった。
触れた者の強度など関係なく、触れれば問答無用で分解する破壊神の御業だ。
それが無数に、光線の一つ一つが自我を持っているように曲がりくねり、メタルクウラを消し去っていく。
「な、なんだ!?」
「この攻撃……まさか!」
『あ……これって……』
メタルクウラ達の間に動揺が走るが、悟空達と分身リゼットはすぐにこの攻撃の正体に気が付いた。
これは、リゼット本体が発射した攻撃だ。
正確に言えばこの攻撃を放ったのは昨日の事。リゼットがモロを奇襲した時に放った『破壊』が今降り注いでいる光の正体であった。
あの時リゼットはモロを抹消する為に破壊の光を放ち、そして役割を終えた破壊光は飛び去って行った。
だが破壊光は役目を果たして消えたわけではなかった。
むしろ逆……役目を果たせなかったから、仕留め損ねたモロを追いかけていたのだ。
一度必滅の意思をもって放たれた以上、何が何でも対象は破壊する。文字通り宇宙の果てまで逃げても追いかけて破壊する。
第7宇宙にいる限り、どこまで逃げても対象を破壊しない限り永遠に追跡を続ける。
これはそういう技であった。
そして一日かけて監獄惑星へ到達した破壊光は一斉に監獄惑星へ突撃し、そこにいた本命の敵をサーチして破壊を実行し始めた。
そして術者であるリゼットの仲間と、その仲間を危機に追いやっている敵を認識――自己の判断でメタルクウラを最優先破壊対象と定め、攻撃を開始した。
「ぐっ……!」
メタルクウラが瞬間移動をした。
だが瞬間移動中の亜空間に先回りしていた破壊光がメタルクウラに直撃して消滅させた。
「調子に乗るな!」
別のメタルクウラが超能力で破壊光を止めようと試みるもまるで止まらずに抹消され、また別のメタルクウラはバリア諸共消し去られた。
無限に自己再生・自己増殖・自己進化を繰り返すメタルクウラに対する最適解……それは、アップデートの暇も再生の時間も与えずに一気に壊滅させる事。破壊光はそう判断した。
破壊光は更にメタルクウラという強敵に対抗すべく無数の光線を束ねて僅か七本にまで凝縮・レベルアップを果たした。
高速移動で逃げようとしていたメタルクウラは数々の光線が囲う事で逃げ場を塞いで破壊し、地面に倒れていたモロは転がりながら必死に光線を回避する。
その途中、モロはメタルクウラと戦っているバーダックを見付け、彼がドラゴンボールを持っていると見抜いた。
優れた魔術の使い手故だろうか……モロはドラゴンレーダーも持っていないのに、不思議とドラゴンボールの位置が分かるようになっていた。
「今だ!」
「っ!」
モロがバーダックに襲い掛かり、魔術をかける。
すると次の瞬間、バーダックが持っていたはずのドラゴンボールが全てモロの手中に収まり、これで先ほど飲み込んだ分と合わせて全てのドラゴンボールがモロの物となった。
咄嗟にバーダックが反撃の蹴りを放ってモロを地面に叩き込むが、それでもドラゴンボールは手放さない。
「は、ははは……やったぞ! これで俺はようやく魔力を取り戻――」
しかし次の瞬間、勝利を確信したモロに無情にも破壊光が殺到した。
「……え」
直撃――そして抹消。
モロがいた場所に光線が何度も命中し、そして通り過ぎた時、もうそこにモロの姿はなかった。
この攻撃に当たってしまったが最後、気を吸収出来ようが関係なく破壊される。かつて宇宙を恐怖で支配し、大界王神すら警戒させた男の、余りにも呆気なさすぎる末路であった。
「馬鹿なやつだ。ドラゴンボールを手に入れても死んじまえば意味がねえだろう」
バーダックが吐き捨てるように言い、それから仲間達の方に視線を向ける。
その先では、どういうわけか光線に追われる21号の姿があった。
「ちょ、ちょちょ、ちょっと! 何で私にまで来るのよ!?」
破壊光は何かに反応したのか、21号まで襲っていた。
いや、襲っているというのは正確な表現ではない。自分で判断出来る光線とはいえ、それでもこれはリゼットの技でありリゼットが味方を攻撃する事はない。
なので光線は21号に当たる事はなく、21号の周囲を囲んで彼女が何かを捨てるのを待っているだけだ。
「21号、何か妙な物を吸収したのではないか? 光線はそいつに反応しているんだ、早く捨てろ」
「ああん! 折角食べたのにい!」
セルはすぐに、21号の中に紛れたモロの気を感知してそれが原因だと気付いた。
すぐにそれを捨てるように指示し、21号は半泣きになりながら腹の肉を千切って捨てる。
するとそのピンクの肉片に破壊光が誘導され、抹消してしまった。
その後もメタルクウラの抵抗は続いたが、悉くが無意味だった。
ロックオンバスターは通じず、スーパーノヴァで迎撃を試みるも撃つ暇がない。
迎撃も回避も防御も、逃げすらも許さない。
『破壊』は決して相殺出来ないわけではない。それ以上の力を以てすれば相殺する事は可能だ。
例えばここに第十一宇宙のジレンがいれば、この破壊光を拳で撃ち落とすという離れ業をやってのけただろう。
いかに『破壊』といえど、こうも拡散したのではジレンのような本物の怪物には通用しない。
しかし少なくともリゼットと量産型メタルクウラの間には、それを許さぬほどの隔絶した差がある。
やがて全てのメタルクウラを葬った光線はそこで力を失い、ようやく消滅した。
ついでに分身リゼットも役目終了で消え、そこに本物のリゼットが飛び込んで来た。
「皆、無事ですか!?」
「ああ、神様、助かったぞ! あれがなきゃオラ達皆おっ死んでたとこだ!」
「悟空君、よかった……! ともかく、脱出しますよ。
この星はもうもちません。間も無く爆発します」
監獄惑星はもう限界だ。
モロにエネルギーを吸われ、悟空達が戦い、挙句の果てに心臓部とも言えるフューの研究室までクウラが破壊し尽くしてしまった。
これでまだ自壊せずに耐えられる星など界王神界くらいだろう。
いや、あるいは最近の地球も案外耐えるかもしれないがともかく普通は砕ける。
リゼットはすぐにゲートを開き、悟空達が飛び込む。
そして最後にリゼット自身は、一度だけ監獄惑星を見た。
遂にクウラと雌雄を決する時が来た。
向こうもこれ以上の時間はかけず、次は地球に攻め込んでくるだろう。
監獄惑星のメタルクウラは全て倒したが、あれは『偵察隊』に過ぎないとリゼットは確信していた。
きっと本隊はその数倍……いや、数十倍もの規模に達しているはずだ。
実際、隠れる事を止めた無数のメタルクウラの気が、遠くの宙域に数えきれないほどの規模で感じられる。
破壊神とも戦いが成立するレベルのメタルクウラで構成された、数万体……下手をすれば数十万体の大軍勢……まさしく宇宙が始まって以来最大規模・そして最強最悪の軍隊だ。
そんな化け物と戦うのかと思うと気がくじけそうになるが、無限に軍勢を出せるのはクウラだけではない。
ならば次はきっと、量と量の戦いになるだろう。
悟空は既に自分を超えているが……それでも、あの物量に対抗出来るのは自分しかいないとリゼットは考える。
新たな戦いの覚悟を決め、そしてリゼットも監獄惑星を離れようとした。
「…………?」
しかし何か後ろ髪を引かれる。
振り返っても、もうそこには誰もいない。
精々が、モロの気持ち悪い気の残り香くらいか。
しかしここで「気のせいか」で済ませてしまうのは後の復活フラグである。
なのでモロが倒れていた場所に『破壊』の力を込めた気弾を打ち込み、リゼットが去った後にそれは爆発を起こして監獄惑星を一周し、地表を大きく抉りながら何もかもを薙ぎ払った。
レイダー1「おう姉ちゃん、お前モロ食ったろ?」
レイダー2「それワイらに寄越せや。な?」
レイダー3「そうそう。それワイらの獲物やけん」
レイダー4「それくれれば何もせんから。な?」
21号「ヒエエ……」
【神龍にも好みがある?】
ピッコロ「最長老と同じように潜在能力を解放してくれ」
神龍「オマケしておきました!!!!!!」
ブルマ「小皺取って」
神龍「はい、叶えた……」(クソ面倒そう)
【暗黒魔界終了のお知らせ】
暗黒魔界には色々いたが、残念ながら全員クウラの餌食になりました。
リゼットの知らない所で悪人同士が勝手に潰し合っていた模様。
その様は聖剣伝説3のメインストーリーになれなかったボスキャラを思い出させる。
暗黒魔界にはヒーローズ最強と名高いキャラもいたのだが、そいつは若返る前にやられた。
ついでにトワがいないので本来の流れでトワが洗脳して手駒に加えるはずの戦士の悉くが不在。
【監獄惑星終了】
地球「いやー、最近の惑星は脆いっすねーwww もっと俺を見習ってwww」
【次は地球に攻め込んでくるだろう】
地球「」
【戦闘力】
メタルクウラ:10兆5000億(アップデート)×数万
「「「「「俺が宇宙最強だ!」」」」」
リゼット「敵がチートすぎてヤダーーーー!!!」