🟥【前編】ワクチン統計のトリック──重症化予防効果は本当にあったのか?

 

「感染予防はなかったが、重症化予防はあった」──その言葉の行方

 

あるテレビ番組で、尾身茂氏がこう発言しました。

「感染予防効果はあまりなかったが、重症化予防効果はあった」と。

 

SNSでは、このうち“感染予防がなかった”という前半だけが切り取られ、物議を醸していました。

 

でも私が引っかかったのは、むしろその“後半”です。

 

「重症化予防効果はあった」──それは、本当にそうだったのか?

 

なぜなら、私自身がずっとそう信じてきたからです。

特に、世界各国の医療機関が繰り返し発信していたことに、疑念を持ったことはありませんでした。(👈当時は。今は違いますが!)

 

我が家にはテレビがありません

 

実を言うと、我が家にはテレビがありません。

ずいぶん前から“テレビのない生活”を送っています。

(そう話すと驚かれますが、むしろ私は古くからのネット民。必要な情報はネットや海外メディアから得てきました。)

 

もちろん、フランスなどに住んでいた頃は、語学学習を兼ねて

ニュースチャンネルやMTVを流しながら生活していました。

 

そんな生活スタイルだったため、

“ワクチンの効果”についても、自然と海外発信に頼ることが多かったのです。

 

たとえば、こんなメッセージをよく耳にしました:

「感染予防には限界があるが、重症化や死亡リスクは大きく下がる」

「入院率の低下に確実に寄与している」

つまり、「感染は防げないが、重症化は防げる」──

それが、少なくとも国際社会の“共通認識”のように思えたのです。

 

「日本では周知されていなかった」──という違和感、そして…

 

ですから、尾身発言の後半さえ“あまり知られていなかった”という日本の状況には、ちょっとした違和感を覚えました。

 

ですがその後、信頼する友人からある統計的指摘を受けて、

私は一気に腑に落ちたのです。

 

それは──

「効果がある」という言い方の裏にある、統計的な“計算式の違い”でした。

 

海外のデータは、確かに「効果がある」と言っていた

 

まずお断りしておきます。

今回、日本政府が発表しているデータは、私は基本的に参照しないことにしました。

 

理由は明確です。

20年以上前から海外では標準化されている“統一電子カルテ”すら未整備な日本では、信頼できる一貫性のある集計が難しいからです。

 

紙ベースの管理、非連携のデータ群──それらが語る数字には、検証不可能な部分が多すぎます。

 

そこで、ここでは海外の“比較的統一された医療統計”を中心に検証してみます。

 

🇺🇸 アメリカ・CDC(疾病対策センター)のデータ

リアルワールドの有効性(VE)を重視し、検査記録・入院履歴・電子カルテなどを統合。

たとえば2024–2025年データでは、65歳以上の入院予防で約45%の効果。

主要アウトカムは「重症化」「死亡」──感染ではなく、命を守る効果が中心に。

 

🇬🇧 英国・UKHSA(公衆衛生庁)

信頼度の高い「テスト陰性デザイン」を採用。

ブースター接種で、入院予防率は90%超→3か月後でも75%を維持。

NHS(国民保健サービス)への負荷軽減にも効果があったと報告。

 

🇫🇷 フランスの統計と予測

75歳以上での重症化リスクは92~96%減(デルタ期でも84%)。

ブースターにより効果は持続・回復。
2020/12~2022/03の解析では、50歳以上で約125 000人の死亡、48万件の入院、13万件のICU入室がワクチンによって回避されたと推計されている。

EPI-PHAREとHASが重篤副反応を含む薬剤監視を継続中。

 

🟨それでも「疑ってみる」必要があるのはなぜか?

 

ここまで見ると、確かに──

「重症化を防ぐ効果」は、データ上は存在しているように見えるのです。

 

でも、そこで立ち止まる必要があります。

 

なぜなら、それらの効果指標には、

「相対リスク」と「絶対リスク」──2つの“統計の顔”があるからです。

 

相対リスク(RRR)と、絶対リスク(ARR)──見え方がこんなに違う

 

RRR(Relative Risk Reduction):接種したグループが「どれだけ低く抑えられたか」を強調。

 → 効果が“劇的”に見えやすい。

ARR(Absolute Risk Reduction):全体の母数から見た「実際の差分」。

 → “実社会での現実的インパクト”を示すが、数値は小さく見える。

 

この2つはどちらも“嘘”ではありません。

でも、伝え方によって人々の印象は大きく変わってしまうのです。

 

【後編へ続く】「その数字、どうやって出したの?」

 

次回の【後編】では、

CDCの具体的データを用いて、RRRとARRを再計算し、

「その“重症化予防率”、本当に意味があるの?」という問いを深掘りしていきます。

 

統計の“正しさ”と、“印象操作”の違いに触れることで、

ワクチン議論を、感情論でも陰謀論でもなく、

冷静な数理の視点から考える一助となれば幸いです。

 

<🌏ファクトチェック>