キャリア

2025.04.12 15:30

ポーカープレイヤー岡本詩菜 「勝つための戦略」を磨き抜く勝負師

岡本詩菜|ポーカープレイヤー

岡本詩菜|ポーカープレイヤー

あらゆる職業を更新せよ!──既成の概念をぶち破り、従来の職業意識を変えることが、未来の社会を創造する。「道を究めるプロフェッショナル」たちは自らの仕事観を、いつ、なぜ、どのように変えようとするのか。『転職の思考法』などのベストセラーで「働く人への応援ソング」を執筆し続けている作家、北野唯我がナビゲートする(隔月掲載予定)。


北野唯我(以下、北野岡本さんとは前職の外銀にお勤めの時代にお会いしています。だからポーカー世界大会の女性部門で優勝した報道を見て、本当に驚きました。

岡本詩菜(以下、岡本日本でもここ1年ほどでポーカーの話題を大きなメディアで取り上げてくれる機会が増えました。ポーカーにはキャッシュゲームとトーナメント競技があり、私がプレイしているのはトーナメントです。

北野:優勝賞金もすごい額ですね。

岡本:参加料ごとに競技者のレベルは異なって、金額が上がるほどプロがしのぎを削る世界です。メインは参加料1万ドルのトーナメント。そのなかだと、私は男女総合で上位10~15%ほどの実力です。

北野:ポーカーは心理戦の要素も強いのでは?

岡本:世間で思われているほど心理戦の要素は多くなく、理論に基づいた戦略がとても大事なので、基本的にはシンプルに勉強ができる人は強いです。私が学ぶのは、お互いが搾取されないようにプレイしたときに収束する戦略で、ゲーム理論に基づいています。「こういう状況の場合は、この行動を取れば期待値が最も高くなる」といったパターンを暗記するんです。

北野:メンタルの強さはどれくらい勝敗に影響しますか。

岡本:とても大きいですが、過小評価されていると感じます。本人ですらメンタルがアクションを左右していると気づいてないケースが多いです。むしゃくしゃしてオッズが悪い勝負を受けてしまうとか。ポーカーという数字が出ているゲームですら期待値通りに行動できないのであれば、数字がわからない世の中のほとんどのことに対してはおそらく感情で動いてしまっている。自分が思っている以上に、メンタルが人の人生を左右していると気づけたのは、ポーカーを学んだ利点でした。

北野:直感で挑んで野性的に勝つ、そんなプレイヤーはポーカーの世界にあまりいない?

岡本:上位のレベルになるといませんね。1回の試合だけなら、おそらく運の要素が半分ほどなので初心者も勝てて楽しめますよ。しかし長期的に見れば、スキルの比重が8割くらいでしょう。

北野:1回勝負なら僕が岡本さんに勝てる可能性もゼロではない?

岡本:ゼロではないどころか結構あります。短期的にも長期的にも、ラフにも真剣にも取り組めるマインドスポーツがポーカーです。

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文=神吉弘邦 写真=桑嶋 燦

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佐宗邦威|戦略デザイナー

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北野唯我(以下、北野戦略デザイナーという仕事を、どう説明していますか?

佐宗邦威(以下、佐宗ざっくり言うと「理想の未来を描き、その道筋を創り出す伴走をしていく仕事」です。アメリカで学んだデザイン思考を、自分なりの解釈で、日本にもってきて実践していくうちに、次第に「ビジョンづくりとビジョンを具現化するデザイン」という独自のテーマが出てきて、ビジネス面でも回るようになり、職業として成り立つようになってきたと思います。

北野:具体的にはどのように進めるんでしょうか。

佐宗:例えば、海苔の販売で有名な山本山のリブランディングを手がけたときは、会社の歴史を紐解きました。祖業は江戸で初めて売り出した煎茶です。これからインバウンドの数字が伸びるというとき、売り上げの主力ではなかった商品のお茶を中心に据えた事業戦略のビジョンをつくり、若い顧客の声も聞きながら商品ラインを全部変えていきました。

歴史に基づくストーリーからブランドストーリーをつくり、付加価値を生む。そこに社員が誇りをもつと、組織に変容が起こっていくんです。自分が今やっている仕事と会社のビジョンの間に壁がなくなると、パチンとスイッチが入る。するともう目が変わって、行動も一気に変化します。パッと新しいことにチャレンジするスピードがどんどん上がって、良い循環が生まれるんです。

北野:その流れがひとつのストーリーのようです。

佐宗:自治体のビジョンをつくる仕事もあります。長野県の白馬村は近年インバウンドのスキーブームでにぎわうリゾートです。持続可能な村の姿を考えるため、住民と一緒にフィールドワークして、みんなで「未来の白馬村」の景色の絵を描きました。それぞれの絵を大きな壁に張り出して、最終的に一枚のストーリーに統合していくことをしたんですね。

今の時代、トップがこれをやろうよと決めてもそれだけでみんなが動く時代ではなくなっています。いろんな視点を備えた人が、ひとつの北極星を持ちながらも、それぞれのかたちで走っている状態ができる自律協働型組織の経営が必要になる。僕自身も、メンバーの一人ひとりからアイデアの種を引き出すことを重視します。それを社内で広げやすいナラティブ(物語の構造)にしたり、社会で伝わりやすいかたちに落としたりするんです。

北野:戦略コンサルとアプローチが違う。

佐宗:コンサルは科学的アプローチで、既存のものを分析し、結果を比較可能にして意思決定を選択できるようにする仕事です。でも、何か「新しいもの」が生まれるときは、誰かの「つくりたい」熱意があり、それをかたちにするプロセスが要る。分析から新しいものは生まれないと思います。
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文=神吉弘邦 写真=桑嶋 維

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