INTERVIEWS

理想の音に近づけるヒント 熊野功雄 ✕ Sekitova

 神奈川県川崎市にアーティストの楽曲に魔法をかけてくれるスタジオがある。そこには全国から多くのアーティストが訪れ、理想の曲へと仕上げてもらう者が後を絶たない。川崎市内のとある駅から車で15分。iPhoneを頼りにタクシーで向かうが道に迷ってしまった(これも魔法の影響だろうか…)。あたりが薄暗くなったころやっとの思いでスタジオに到着。部屋には見たこともない音響機器が所狭しと並べられている。このスタジオの持ち主は熊野功雄さん。日本を代表するマスタリングエンジニア(※1)であり、音響ブランドPHONONの代表、さらにはアーティストとしても活躍している人物だ。彼がどのように魔法をかけているのか取材を行ったが、助っ人として若手DJ/プロデューサーとして目覚ましい活躍をみせるSekitovaさんに同行してもらった。理想的な音を作りだすためにクリエイターは何を考え、またエンジニアは何を考えているのだろうか? 「理想の音に近づけるヒント」をテーマに話てもらったが、そこは根っからの音楽好きの2人。会話はいろいろなベクトルに向いていくが、ついつい話を聞くわたしも口元が緩んでしまう。

※1:CDやデータ、アナログレコードなど最終的なメディアに書き出すため、音質や音圧、音量などを調整すること

取材・文:yanma
写真:Satomi Namba

 

 

 
エンジニアにわたすときの効果的な伝え方と意味のない伝え方


熊野:Sekitovaさん、お若いのにすごいですね。僕が若いときなんて、ぼんやりしていただけでしたからね(笑)。

編集部:ファーストアルバムを出したのが2012年で17歳のときでしたからね。デモを聴いてカッコよくてびっくりしたのを覚えています。今日は、DTMをしている読者なら誰もが気になる熊野さんのマスタリングに対する仕事術を聞かせてもらおうと思いまして。それでSekitovaさんに読者代表をお願いして。Sekitovaさんは最近制作の環境を変えたそうですね。

Sekitova:最近までGarage Bandを使っていたんですけど、PCのバグで使えなくなっちゃって。いい機会だしAbleton Liveに変えました。もともとライブセットをやるときはAbleton Liveを使っていたし、今後やりたいことを実現できるのはAbleton Liveかなと思いまして。

編集部:Sekitovaさんは普段、マスタリングはどのように行っていますか?

Sekitova:自分でやるかエンジニアにお願いするか半々です。今日まず熊野さんに伺いたかったのが、楽曲をエンジニアにわたすときの効果的な伝え方はありますか? ということなんです。

熊野:そう思ったのはなぜですか?

Sekitova:プロの手が加わることに対する期待もあるんですけど、自分の好まないものがあがってきてしまうかもしれないという不安感も常にあって。だから僕自身、楽曲制作でもDJでも現場のエンジニアに自分の理想を細かく伝えるようにしているんです。

熊野:まず、恐れるよりも楽しんだ方がいいと思いますよ。100%、もしくはそれ以上の答えを出そうとしてしまうと、楽曲だったりエンジニアさんとの関係だったり、いろんなものを含めて、たぶん煮詰まってしまうと思うんです。マスタリングでできることも多いから、エンジニアに任せてほしいこともあるんですよ。

編集部:ミックスダウンではいかがですか?

Sekitova:自分でやるときはミックスダウンでほぼ整理をつけて、マスタリングでは、それこそ音圧と各パートを馴染ませる作業をするぐらいで。

熊野:自分でできるタイプなんですね。

Sekitova:できるかどうかはわからないですが、自分でやっています。

熊野:誰かにお願いする不安が大きいのであれば、自分でやった方がいい。それは自分でやれる人の考え方なんですよね。僕がそうだったので。マスタリングまでやって、その延長線でヘッドホンまで作っちゃうっていう。たぶんSekitovaさんは、そういう気質なんだろうなと思います。ミックスダウンする際に気をつけてほしいことは、音量を上げすぎないこと。そうすると波形がぺたんこになっちゃうんですね(音圧が高く波形の振幅が少ない状態)。うまいマスタリングは、ぺたんこにしても聴かせたい箇所を聴こえさせてくれる。それはマスタリングの技術なんですよね。ミックスダウンでこれをやってしまうと楽器の音色がだんだんわからなくなってきてしまう。そういうところまでミックスダウンで無理してやる必要はないですね。あと、曲の雰囲気だったり、何をしようとしているのかっていうことを重視してミックスダウンできたらいいのかなと思います。

編集部:話を少し戻して、マスタリングのときに効果的な伝え方や言われて困ることは?

熊野:効果的なのは、やっぱり会うのが一番ですね。会うとなんとなく雰囲気でわかるんですよ。すごく困るのは「4k以上を2dbほど上げてください」とか言われること。「そんな簡単なことで解決するわけないだろ!」って思いますよ。それによって全体のバランスがどれだけ崩れるかって分かっていない。たとえばF1のマシンが時速300kmで直線を走ってて、コーナーをそのまま曲がろうとしても、そうはいかないように、僕たちもしのぎを削るレベルになると数値ってあまりあてにならないんですよ。

Sekitova:むしろ抽象的なイメージを伝えた方がいいんですね。

熊野:そうそう。「このブレイクの後に、フロアが明るくなるじゃないですか?」みたいなこと言われた方がわかるんです(笑)。

 

 

 
再生装置と音楽のトレンド。
その密接な関係とは?


編集部:マスタリングにおける最近のトレンドについて感じることはありますか?

Sekitova:“とにかく音を出した方が正解”みたいなのは、落ち着いてきたかなと思います。いままでは“音を出すための音楽”を作っている節が僕の身の回りであったりしました。でも最近は純粋に楽曲があってのマスタリングだな、っていう順番に変わってきている印象があります。

熊野:音圧ではない価値観がそろそろ出てきてもいいんじゃないかと思ってます。僕はそれを“うっとり感”とかって言ってますけど(笑)。

Sekitova:その曲、作品があったうえで、それをどうやってクラブで鳴らすか、という方向に向き始めている印象です。でもその一方でVoidが流行ったり、サウンドシステム自体が注目されたりしている。どうやって低域を鳴らすかっていう、ちょっとスポーツ的なところもありますよね。

熊野:まさにその通りですね。再生装置と音楽のトレンドって密接に関係しているんですね。例えばここにあるJBLのスピーカーは、ジャズを鳴らすためのものなんです。古い製品ですけど、これにはホーン型のスコーカーが付いている。ホーンで鳴らすと管楽器がよく聴こえるんです。でも最近のスピーカーは、こういったホーン型のスコーカーが付いてないんですよ。昔のスピーカーは中高音にフォーカスされていたんです。ラジオの再生音をイメージしてもらえばいいかな。それから、低域が鳴るスピーカーが出てきてディスコサウンドが成り立った。スピーカーの歴史は低音再生の歴史とも言えます。

Sekitova:再生装置でいうとマスタリングや制作はSonyのMDR-CD900STが主流ですけど、個人的にはクラブミュージックを作るには、正直向いてないと思っていて。どういったものが向いているか教えていただけますか?

熊野:自分でメーカーをやってるんであれですけど…PHONONがいいですよ(笑)。The Rolling StonesやU2のエンジニアをやっているTom Lord-Algeさんだったり、Depeche Modeも使ってくれています。DJではDixonが愛用してくれているし、DJ Harvey、Jeff Mills、Dave Angel、Carl Craigも使ってくれています。PHONONの製品は制作とDJの両方で使えるよう整合性を取っているのでオススメです。

Sekitova:例えばSonyのMDR-CD900STとPHONONのヘッドホンの違いは何ですか?

熊野:これを聴いてみてください。PHONONのSMB-02というモデルです。低音がわかりやすいと思うんです。

Sekitova:高域はいわゆるモニターヘッドホンみたいな鳴りでしたけど、低域の見え方が現代的というか、より分かりやすいですね。

熊野:自分の仕事を進めていくうえで、やっぱり低域がわからないとやりにくいんですよね。だからヘッドホンでもちゃんと分かるようにしました。

編集部:2009年にPHONONをスタートしてから、気付いたことなどはありますか?

熊野:音楽にはスペックや理屈を越える力があることですね。音楽ってテクニカルに積み重ねたF1のような世界でもあるけれども、それで得られる満足感をはるかに越えるものが出てくるときがあるんです。Carl Craigの初期の作品とか今聴いてみてくださいよ。よくできてないから(笑)。Princeだってそう。シンセのピッチ合ってないんです。そういった残念な部分を覆い隠すくらいの個性に人は惹かれるんじゃないでしょうか?

 

 

 
人口知能によるマスタリングの現状


編集部:ベットルームでDTMをしている人は、制作環境改善のため、まずどこにお金をかけるべきなのでしょうか?

熊野: PCで音楽を作ることが前提であればPCですね。ちゃんとしたのでなければ止まっちゃいますし。この問いだとあんまり面白い答えにならないんですよね(笑)。でも、人が楽しいと思う音楽をどのように作るかなんて、いろんなやり方がありますし、スタンスもあります。やっぱりAbleton Liveから出た音はAbleton Liveの音がするなと感じますし、Garage Bandもまた然りです。DAWもひとつのジャンルに聴こえるんですよね。

編集部:DAWでも音の個性が分かれるんですね。

熊野:そうですね。90年代後半なんて全部Akaiの音がしていたように感じます。音のトレンドって制作環境によっても変わるんです。例えばEDMを作るならAbleton Liveがいいと思ってます。

Sekitova:クラブミュージックだったら、DJミキサーに追従したトレンドになっていると思っていて。例えばPioneer DJのDJM-900の3バンドに合わせたマスタリング、もうすこしアナログでテクノの方向だったらAllen & HeathのZoneの4バンドにマスタリングが影響されているのかなと思います。最近だと、E&Sのロータリーミキサーに合わせた曲も出てきたと思っています。クラブミュージックのなかで言うと、実際プレイするDJミキサーによって今のトレンドが作られているなって思います。

熊野:僕もそうだと思うなぁ。

Sekitova:制作環境のトレンドというと、人口知能によるマスタリングサービスもありますが、熊野さんは試されましたか?

熊野:並べて聴き比べたことはありますよ。「良い!」とはまだ言えないけど始まったばかりですしね。アルゴリズムもどんどん変わって改善されると思いますよ。AIによるマスタリングって要するに“アーティストが葛藤なく最適値を出せるようになっていくこと”だと思うんです。それについてアーティスト自身が納得するかどうかってことですよね。

Sekitova:マスタリングエンジニアって、アーティストがトラックを提供して、それに対して正解の音質を探すという性質上、エンジニアの一存だけでは音楽は決まらないですよね。だからエンジニアの方って自分というアイデンティティを犠牲している部分はある程度あるのでしょうか?

熊野:僕の話ですがマスタリングもコミュニケーションしながら作っていくものと思っています。「これ最高ですね!」ってお互いが言えるところまで付き合いたい。でもアーティストが疲れてシャットアウトしてしまうと僕の場合は困ってしまいます。そのときのアーティストの思考回路って“あの人に任せたから、最適な音になっているだろう”ってなっていて丸投げなんです。全部任せてほしいってタイプのエンジニアもいると思いますが、コミュニケーションをしっかり取りながら作りたい。そしてここはAIと本質的に違うところですね。

編集部:最近だとアナログレコードをリリースすることも、以前に比べハードルが下がってきましたが、その場合、マスタリングの作業は変わってきますか? 熊野さんも今年のはじめにModular Ballとしてアナログレコードをリリースされてますよね。

熊野:基本的にあまり変わりません。それにプレス会社の特性が音に反映もされます。例えば、東洋化成は綺麗に仕上げてくれるし、海外のほうが音圧を出してくれたりする。レコードにはプレス会社もだいたい書かれているから、いいと思ったレコードをチェックして情報収集するのがいいですよ。マスタリングも同様に。

 

 

 
音が人に与える作用。音楽と都市の関係


Sekitova:耳が命のエンジニアとしてその聴力の衰えを感じたことはありますか?

熊野:最近、聴覚のテストをやったんです。そしたら耳の特性が20代のままで、年齢によって落ちてませんでした。普通の生活をしてる人だと落ちてくるんでしょうけど、訓練してる人はあんまり落ちないのかなと思います。でも休めるときには休んでください。

Sekitova:まるで筋肉と一緒ですね。

熊野:でも悪い音が出る場所に長時間いるのは本当に良くないので気をつけてください。なのでクラブやライブハウスはいい音であってほしい。

編集部:聴覚の話になりましたが、たとえば音が体に与える影響や作用といった点で伺ってみたいのですが…。

熊野:僕らって低音、キックのある音がかっこいいって言ってますけど、低音って自然界でどういうときに鳴りますか?

Sekitova:地震とか…?

熊野:そう! つまり怖いときだったり、命の危険があるときだったり。だから低音が鳴ると僕らはびっくりする。つまり興奮する。お祭りのときの太鼓の音ってだいたい低音ですよね。意図的に興奮するために人間は低音を扱ってきたと思うんです。でもなんで最近の音楽に低音が必要なんだろう? バッハじゃだめなのか? とも思えますよね。そしてクラブミュージックはとくに都市部で活発ですよね。それはストレスがすごく多い地域なんじゃないかと思って。危険と解放が必要な場所には低音が必要とされるのでは?と。

Sekitova:それこそルーマニアとか。僕も今、自分の快、不快はどこから来ているのかっていうことを調べていて。例えば、僕らがある高音をうるさいと感じるのには、危険を知らされていると無意識に感じているんだと思います。金切り声を聞いて逃げるために、その音が気持ち悪いと感じることが必要だったんじゃないかなと。

熊野:人間が遠くに危険を知らせたりするときって金属を使うんですよね。お寺の鐘とか、ヨーロッパだとベルとか。

Sekitova:持論なんですけど景気が悪くなったり、世の中の情勢が悪くなったりするとシリアスな音楽が流行ると思っています。

 

 

 
熊野 功雄ならではのマスタリング術



Sekitova:オススメのプラグインはありますか?

熊野:リミッターでいいのがあったな。FLUXのPure Limiter v3は長く使ってますよ。すごく自然ですよ。あとPSP Audiowareはいろいろ使っていますがNeon HRというイコライザーが気に入っています。

編集部:特殊なものを使われているというわけではないんですね。ハード類はいかがですか?

熊野:単純にハイクオリティなものですね。どのレベルでやるかによりますけど、既製品を並べてもダメなんですよ。

Sekitova:これはなんですか?

熊野:これはPHONONで開発したPHDという装置です。スピーカーの信号と同期して超音波を出して音を良くします。これはHarlemとDommuneに入っています。すごくリアルになりますよ。うちのスタジオのラージモニターにもつなげています。手元にあるのは繋がっていないもので、何につかっているかというとマスタリングするときにハードのつまみに置いて重しにしてます(笑)。つまみも電気が通ってるんでパーツがぐらつくとその振動が音に乗ってしまうんですよ。

 

 

Sekitova:ガリのもっと細かいものってことですね。

熊野:それは手で押さえても変わりますよ。まぁノイローゼ領域ですけど(笑)。でも髪の毛一本の差が欲しいときもあるんですよ。

編集部:熊野さんならではの企業秘密を少し公開していただけたり…?

熊野:あんまりこういうやり方する人はいないでしょうけど、マスターをコピーして(2ミックスをそのまま縦に並べた状態)マスタリングしたりしています。

Sekitova:見たことないですね…。僕は広域と低域で分けたりしてミックスダウンのときに調整したりすることはあるんですけど。マスタリングの段階でこれだけ細かく足してやってるというのは見たことがないです。この曲はボーカルのアカペラがないから敢えてこれでやっているのか、あるいはこだわって2ミックスでこの処理をしているのか、どちらなんですか?

 

 

熊野:2ミックスでやりたいですね。それは位相の問題がどうしても出てくるので、同じファイルじゃないと大失敗するんですよ。

Sekitova:
楽器ごとの収録データがバラバラに送られてくるステムの状態でも、ステムミックスにはせずに、あえて2ミックスにしてから作業されているんですか?

熊野:ステムミックスはなるべくやりません。できたらください。そうしないと完成のイメージがなくなっちゃうんですよ。完成のイメージをさらに強調するのはいいと思うんですけどステムミックスだと自由すぎて逆に難しいんですよね。作業中なんですけどこのトラック、本当は真空管を通したいんですよ。大きい音で出すと真空管を通すとこんな感じにリッチな感じに変わるでしょ?

編集部:たしかに違いますね! ちなみに熊野さんって師匠はいるんですか?

熊野:いないですよ。いたら怒られまくってこういうことできないと思います。基本的にタブーに挑戦しているようなものなので。スタジオをひとりでやってるので誰も止める人がいないっていう(笑)。





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インタビューに出てきたDIXONも愛用のモデル。空間表現力、低域再生に優れヘッドホンでのミキシングに最適なスタジオモニター仕様。


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SMB-02がスタジオモニター仕様ならば4000はDJに最適。SMB-02の音質を気軽に持ち運べるよう小型化を図っている。もちろんモバイル装置の再生にも◎

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熊野功雄

既存の製品だけでなくカテゴリーすらないユニークな製品も開発する音響ブランドPHONON代表。マスタリングエンジニアとしても多くのアーティストから尊敬されている。Alex From TokyoとのユニットTokyo Black Starや、高木権一とのユニットModular Ballとしても活動。アーティストの一面も持つ。2017年1月にはModular BallとしてEP「Purple Girl」をリリースしている。


Sekitova
2012年に自主レーベルからアルバム『premature moon and the shooting star』をリリース。当時17歳ながら、玄人向けのグルーヴィーなディープハウスからテックハウス、ビートダウンまで作り出すアーティストとして話題になる。以降もさまざまなクラブイベントへの出演、Big Beach FestivalやUltra Japanなど大型フェスティバルにも出演している。

■Twitter
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Lion Babe

Vanessa Williamsを母にもつシンガー/ダンサーJillian Herveyと、若きプロデューサーLukas Goodmanで構成された、ニューヨーク発の男女デュオLion Babe。2016年にデビューアルバム『Begin』をリリース。DisclosureやPharrell Williams、Mark Ronson、DJ Premierといったトップアーティストとのコラボレーションが話題となった。その彼らが、4月7日に渋谷SOUND MUSEUM VISIONに登場し、スペシャルライブを披露する。彼らが尊敬してやまないPharrell Williamsとの共作に至った経緯や、制作で心がけていること、日本のシーンに対する思いなど、来日を控える彼らに語ってもらった。

Interview & Text:Sound Museum Vision

 

 

 
ーー2人が知り合ったきっかけを教えてください。(How you did you know each other? and first impresstion?)

Lukas Goodman:僕たちは大学時代に共通の友人を通じて出会ったのがきっかけで、それから遊び感覚で音楽を一緒に創るようになったんだ。

Lukas Goodman:We met during our college years through a mutural friend. We very casually started making music together it was really just a fun no stress time to create initially.

ーーこれまで、Pharrell Williamsと共作したシングル曲「Wonder Woman」やDisclosureの新アルバム『Caracal』の収録曲「Hourglass」への参加など、さまざまなビックアーティストとの共演を果たしていますね。Pharrell Williamsとはどのような経緯で共作に至ったのでしょうか?(Lion Babe has performed with a variety of big artists such as funk single "Wonder Woman" co-worked with Pharrell Williams, participation in single "Hourglass" from Disclosure new work "Caracal", the first What was the background of collaboration with Pharrell?)

Jillian Hervey:彼との共作は、私たちが本格的に活動し始めたばかりのことだったので本当に驚いたし、とても光栄だったわ!当時所属していたレーベルで「Pharrell Williamsとコラボすることが夢だ」と話したら、彼らはすぐに私たちのデビュー曲「Treat me like a fire」のビデオを彼に送ってくれたの。ビデオを送ったその日に彼から連絡があって、数ヶ月後にはマイアミで一緒に仕事をすることになって。「Wonder Woman」はその時に生まれたの。彼は私たちにとって初めてコラボレーションさせてもらった相手だし、歴史的な出来事となったわ。

Jillian Hervey:We had the pleasure of working with Pharrell Williams very early in our career together. At the time we were speaking with our former label head about our dream collaborators and once we mentioned Pharrell Williams she immidiately sent him our first video for "Treat me like a fire". He called us that same night
excited and a few months later we worked with him in Miami and ended up writing "Wonder Woman". He was one of our first sessions, it was a great histric day for us.


ーーLucas Goodmanは、Pharrell Williamsのことを“Sensei”と呼んでいるそうですね。また2人それぞれにとっての“Sensei”を教えてください。(I heard that Lucas Goodman calls Pharrell Williams "Sensei", but is it true? Also please tell me your 'SENSEI' for  Lucas Goodman and Jillian Hervey)

Lukas Goodman:芸術家、思想家、創作者として尊敬する人から、サポートしてもらえることは本当に嬉しかった。もちろんその他にも、僕たちに音響的かつ芸術的に影響を与えてくれる“Sensei”はたくさんいる。例えばErykah Badu。彼女は成長するにつれて、現代的かつ斬新な能力を培っているよね。
Jillian Hervey:当時、私たちはミュージシャンとしてキャリアをスタートさせたばかりだったんだけど、Pharrell Williamsは私たちが自分たちらしい音楽を創れるようにアドバイスしてくれたり励ましてくれたり、とにかくすごく助けてくれたわ。

Lukas Goodman:It was great to have support from someone who we respect as as artist, thinker and creator. In general, we have many "sensei"s, there have been many artists who influence us sonically and artistically. We also love Erykah Badu, for her ability to always be contemporary and refreshing, as she grows. 
Jillian Hervey:It is true,at the time we were just starting out as musicians and Pharrell Williams helped us to realize what direction we could to take our music in.
 

 

 

 

 
ーーLion Babeの作品を作るうえでコンセプトや心がけていることは何ですか?(What are the concepts and thoughts in mind when creating songs for Lion Babe?)

Lukas Goodman:それは、僕たちが世界のどこにいて何が起こっているのか、といったそのときの環境によって変わるよ。僕たちは良いバイブスを感じながら、過去から伝わってきた昔のソウルとミュージックに対する僕たちの愛を、現代の生活のなかに融合させることを常に心がけているんだ。

Lukas Goodman:It can very depending on where we are in the world and what we are experiencing at the moment. We like feel good vibes and blending our love for old soul and music from the past with in our lives now.

ーーアルバム『Begin』に収録されている、Joel Compassと共作したダンスナンバー「Impossible」のミュージックビデオでは、Jillian Herveyの躍動感のあるダンスシーンがかなり印象的でした。(Up tempo dance number "Impossible" MV co-worked with Joel Compass in the debut album "Begin" released last year The dance scene of Jillian Hervey has a feeling of dynamism and was funky and wonderful.)

Jillian Hervey:ありがとう。私はダンサーとしてキャリアをスタートさせたから、ショーではそういう要素を含めてパフォーマンスしているわ。私にとって、踊ることは自分らしくあることであり、世界へ私だと認識してもらえるアイデンティティでもあるの。

Jillian Hervey:Thank you, I started out as a dancer so I like to show case bits of it in our visuals because it is a core part of who I am and how I identify with the world. I do not dance in a company currently, but I definitely dance during all of our shows.


 

 

 

 
ーーあなたのお母さんは歌手/女優のVanessa Williamsですが、やはりアーティストとして影響を受けているのでしょうか? また、尊敬するアーティストがいれば教えてください。(The mother of Jillian Hervey is a singer / actress Vanessa Williams, was it influenced by being an artist? Do you have a singer who you respect?)

Jillian Hervey:私はアーティスト家庭で育ったの。お父さんとお母さんは音楽にいつも没頭していて、またエンタテイメントやクリエイティブな関連の仕事もしていたわ。そのDNAの一部が受け継がれているの。私はシンガーとして活躍することになるとは思っていなかったけど、常に心強いサポーターや目標となる人が近くにいることが素晴らしいことだと感じている。とくに母が好きなシンガーで私も尊敬している人は、Chaka Khan、Billie Holiday、Etta James、Lauryn Hillね。

Jillian Hervey:I grew up in a family of artists on both sides. My farther and mother were both into music and have always worked in entertainment or anything creative. Being in the art in just a part of my DNA. I never expected I would be singing primarily but it's great to have their suppor and example with me. I have many singers who I respect along with my mother, some of my favorites are Chaka Khan, Billie Holiday, Etta James and Lauryn Hill.

ーー2回目の来日となりますが、日本に対してとくに印象的なことがあれば教えてください。(This time it will be my 2nd visit to Japan, Please tell me if there are any impressive things, such as the difference between the Japanese and overseas music scenes.

Lukas Goodman:前回はArmaniのイベントに出演してとても良い経験をさせてもらったよ。日本文化から受ける影響は本当に大きいんだ。日本の自然とのつながり、ジャズとファッションへの愛は私たちのクリエイトに大きな影響を与えているよ。私たちは食べることが大好きで、なかでも日本食がお気に入りなんだ。ニューヨークでも好きなラーメンスポットがあるから、よく通っているよ。

Lukas Goodman:We had an amazing experience last time came with Armani and we are so thrilled to be coming back. Japanese culture is a great influence for us, your connection with nature, love for jazz and fashion plays a part of what we creat. We are also foodies and love for Japanese food. Our favorite place in New York is a ramen spot and we always go there escape to Japan.


 

 

 

 
ーー今後フィーチャリングしたいアーティストはいますか?(Do you have any artists you'd like to feature in the future?)

Jillian Hervey:挙げだしたらキリがないんだけど、Missy ElliotとAndre 3000とフィーチャリングすることが大きな夢ね。

Jillian Hervey:The list never ends but it would Missy Elliot and Andre 3000 are dreams.


ーー日本のファンへ向けてのメッセージをお願いします。(Please give me a message for Japanese fans.)

Lukas Goodman:こんにちは! 私たちはみなさんに日本で会えることを心待ちにしているよ。3年間、日本でショーを行うことを夢見てきたからね。私たちの大好きな日本のみなさん、素晴らしい夜にまたお会いしましょう!

Lukas Goodman:Hello Japan!! We are so excited to have some real time together! We have been dreaming of coming to play a show for you for almost 3 years!We love Japan and can't wait to have an amazing night.



- Event Information -

タイトル:VISION SAKURA PARTY!! 2017 feat. LION BABE JAPAN TOUR

開催日:4月7日(金)

会場:SOUND MUSEUM VISION(東京都渋谷区道玄坂2-10-7 新大宗ビルB1F)

時間:22時
料金:当日 3,500円 前売 2,800円
※24:00まで22歳以下の男女ともに入場無料(別途1ドリンク代)
※22歳以下の方で前売チケットを購入いただいた場合、24:00までにご入場いただいた方は料金を返却します

出演者:【GAIA】LION BABE, iri, DJ KANGO, DJ SARASA, TAAR, TETSUYA SUZUKI(honeyee.com / .fatale), 【DEEP SPACE】BOBBY, CO-HEY, ZAWA, TAKUYA, NACKii, AKIHISA, HAYATO, HO-HEY, たふと【WHITE】hype, 513(InfinitySense), chanchi, DJ NONAKA, DJ UU, SHIGAMIKI, yearth, Roy, hiroko, KENYA, KOMATSU, tatsuya watanabe【D-LOUNGE】MA-SA, KENICHI, BEAT INTEGRA, TAKAFUMI, DJ レタス, STEREO MAGIC, TOMOKA, AEMI and more.

■イベントページ
http://www.clubberia.com/ja/events/266041-VISION-SAKURA-PARTY-2017-feat-LION-BABE-JAPAN-TOUR-24-00-22/

 

 

Jamie 3:26

18歳の時にシカゴの伝説的なクラブA.K.A.’s初のレジデントDJとして抜擢されて以来、長きにわたりシカゴのアンダーグラウンドシーンのアイコン的な存在として君臨してきたベテランプロデューサーJamie 3:26。シカゴハウスのカリスマRon Hardyとも親交が深く、彼の遺族が主宰するParte Hardy RecordsからリリースしたEP「Basement Edits」は、Theo Parrishによるヘビープレイにより世界中のミュージックラバーの間で話題に。最近では、“3 CHAIRS第4の男”Marcellus Pittmanのアルバム作品への参加や、フランスのリエディットレーベルLumberjacks In Hellからリリースされたエディット集「Chicago Service」のスマッシュヒットなど、さらなる注目を集めている。その彼が、近年飛ぶ鳥を落とす勢いでヨーロッパのアンダーグラウンドシーンにその名を轟かせているKamma & Masaloとともに来日。4月7日に渋谷Contactで開催される人気ハウスパーティー「EUREKA!」に登場する。シカゴへの想いやシカゴのローカルシーンについて、さらにはKamma & Masaloとの出会いのきっかけなど、来日を控える彼に語ってもらった。

Interview & Text:Midori Aoyama

 

 

 
——3:26の番号がもつ意味は何ですか?

シカゴの鼓動と、Music Box(シカゴのクラブ)の住所さ。326 N. Lower Wacker Drive(ミシガン通り)のことを指している。この名前は、Music Boxでのパーティーやレジデントを務めたRon Hardyへの敬意を表していると同時に、自分の音楽へのアプローチの大きな一部と思っているよ。

——あなたはシカゴハウスを題材にした映画『The Unusual Suspects』でもこの番号の意味について説明していますね。この映画がリリースされてから10年経ちましたが、その期間は自分の音楽性やキャリアに何か変化を与えましたか?
音楽に対してのアプローチは同じままさ。パーティーこそがすべて。そこからミュージックを伝え、楽しむ。これは変わることはないだろうね。

——シカゴのローカルシーンについて教えてください。地元でレギュラーパーティーは開催していますか?
俺はシカゴを死ぬほど愛してるし、死ぬまでシカゴをレペゼンし続ける! この気持ちが自分を生んで形作っているものだからね。ここ数年でシーンは少し変化して、ラウンジやバーが主流になった。おかげでアンダーグラウンドなパーティーやベニューが珍しくなったのは事実だね。でもすべてが正しい方向に行った時は、シカゴのヴァイブを否定することはできないんだ。というのも、これまでシカゴの音楽が、ラウンジやバーミュージックを意味するということは絶対になかったし、それらが正しくないってなった時に、自分が正しい方向に向かってると感じるよ。なぜなら俺は常に正しい方向を向いて、利益や流行に乗っかることはなかったからね。空間、音、バイブス、そして人がパーティーにとってもっとも重要な要素だね。あと綺麗なトイレも。イケてる女の子をパーティーに迎えるためには大事なことだよな。
 

 

 

 
——ヨーロッパや日本のDJの多くが、クラシックなシカゴの楽曲を掘ったり、新譜のようにプレイする人が増えています。今回一緒に来日するKammaやMasaloのように若いDJたちをどのように感じますか?
若い世代や若いDJを歓迎してるよ。そして、才能のある彼らを導けるようにベストを尽くしてるさ。俺はくたびれた野良犬とは違うからね。彼らは常にどんな音楽が自分たちのなかで流行っているかを伝えてくれるんだ。KammaとMasaloは俺にとっては家族さ。俺らは数年前にアムステルダムで繋がって、少ない出会いのなかでもただギグに呼んでくれるだけの人よりも近い存在になった。彼らは本物のタレントで、彼らからも最高のものを得ることができてる。あいつらはドープだしね。Masaloとの繋がりは、彼らのスタジオでミックスを録るところから始まり、それから一緒に曲を作って…そのあとは分かるだろ? 俺たちは繋がりといい、バイブでただ登ってっただけさ。

——あなたにとってのベストなシカゴクラシック3曲を教えてください。
3曲か…難しいな。でも選ぶとしたらこれかな。

1. Nightwriters - Let The Music Use You
2. Quest - Mind Games
3. Lil Louis - How I Feel

 

 

——KammaとMasaloの関係についてもう少し伺います。アムステルダムでパーティーを何度か行っていますが、どのようなキッカケで始めたのですか? またLocal Talkからリリースされた「Testify EP」の経緯についても教えてください。
2年前に彼らのパーティーでプレイしてから本格的に繋がりをもち始めたんだ。俺がRush Hourのパーティーにいて、偶然そこで出会ってからいろんなことが一気に起こったのさ。去年ADEでリリースパーティーをした時は本当にすばらしくて、美しいイベントだった。Testifyのプロジェクトは、Local TalkのオーナーでもあるMad Matsからオリジナルの楽曲をもらったんだ。スプリットEPになっているSameedのバージョンを聴いて、リリックに打ちのめされたんだ。それからパーツを請求して自分のバージョンを作ろうと思ったときに、Masaloからもアイデアをもらってね。それで一緒に曲を創り上げたってわけさ。かなり時間がかかったけど、その価値はとてつもなくあったね。結果的にLocal Talkでもっとも人気を獲得したリリースのひとつになったし。このリリースに参加してシェアしてくれたSameedには感謝しなきゃね。


 

 

 

 


——次に控えているリリースはありますか? また、自身のレーベル3:26 Recordsからのリリースなどもあれば教えてください。
今年の夏頃に3:26 Recordsのリリースを控えてるよ。それからGAMMからも新しいリリースを予定してる。

——日本の音楽シーンについてどんなイメージをもっていますか?
日本のヘッズは彼ら自身の音楽をよく知ってるし、音やダンスミュージックの文化について本当に真剣に考えているよね。俺はここでの時間をいつも楽しんでるし、自分のやっていることを愛してとサポートをしてくれる仲間がたくさんいる。本当に感謝しているし、今回も奴らをロックする準備はできてるぜ!

——日本滞在時に、DJ以外で予定していることはありますか?
渋谷をくまなく歩き回りたいね。渋谷は俺のお気に入りのエリアなんだ。

——それでは最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。
バッチリ準備しておいてくれよ! We are gonna rock yall family style!!!
 

 

 

- Event Information -

タイトル:EUREKA!

開催日:4月7日(金)

会場:Contact(東京都渋谷区道玄坂2-10-12 新大宗ビル4号館 地下2階)

時間:22時
料金:当日 3,500円 W/F 3,000円 前売 2,500円

出演者:【Studio】Jamie 3:26 (Chicago), Kamma & Masalo (Amsterdam), Midori Aoyama, sio【Contact】DJ Mitsu the Beats (GAGLE | Jazzy Sport), Kenji Endo, hiroshi kinoshita, KDT (eclectic), Spody, Nari (CYK)
 
■イベントページ
http://www.clubberia.com/ja/events/265473-EUREKA/