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「やらなければ殺される」カンボジアが詐欺の一大拠点に…中華系マフィアが牛耳る“園区”の恐怖

英語が堪能な人材を豊富に抱える

 そんな中華系特殊詐欺グループの稼ぎ頭となっているスキームは、欧米をターゲットにしたサポート詐欺だという。 「パソコンにウイルス感染したかのような偽の警告画面を表示させ、『ヘルプデスク』を騙った電話番号へ誘導。そこにかけてきたカモからサポート料金をとったり、端末の遠隔操作に同意させ、銀行口座から不正送金させる手口です。これに使われるのは、インド人、パキスタン人、バングラディシュ人など英語ができる人材。彼らの出稼ぎ拠点であるドバイで『もっと稼げる仕事がある』と口車に乗せ、連れてきて監禁状態で仕事をさせるのです」  虚偽の求人で集めた労働者から搾取し、さらに特殊詐欺に従事させる中国マフィアの手口はあまりにひどい。彼らの毒牙にかからないためにも、特殊詐欺グループ根絶のためにも、防犯意識を高めて備えるしかない。

カンボジアにおける特殊詐欺組織の変遷

カンボジア[詐欺拠点]の全貌

日本人がオーナーの詐欺ホテルもあった

•コロナ前(2010年代) ’16年にシアヌークビルが経済特区に指定されると、中華資本が進出しカジノが勃興。’18年には習近平が犯罪組織の取り締まりを強化すると、中華マフィアがカンボジアに流入した  ▼ •コロナ禍(2020~2023年) コロナ禍でカジノが閉鎖されると失業者があふれるようになり、オンラインカジノに移行。転じて、さらに実入りのよい特殊詐欺を手掛けるように  ▼ •コロナ後(2023年5月~現在) 特殊詐欺を実行する施設として園区が続々と建設される。中華資本による多国籍特殊詐欺集団が組織されロマンス詐欺や投資詐欺、サポート詐欺が流行  ▼ •今後はどうなる? 中国国外に触手は伸び、特殊詐欺の多国籍化が一層進行。日本、韓国、アフリカなどからも詐欺要員は集められ、手口の巧妙化が進むと推測される 【ルポライター・安田峰俊氏】 立命館大学在学中に中国留学。’18年に天安門事件を取材した『八九六四』を上梓、城山三郎賞と大宅壮一ノンフィクション賞をW受賞 取材・文・/週刊SPA!編集部 写真/産経新聞社 時事通信社
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