北九州市教育委員会は18日、市立中に通っていた男子生徒に対するいじめについての重大事態に市教委の担当者が適切に対応せず、第三者委員会の設置が1年4カ月遅れる事案があったと明らかにした。同日、公表された第三者委の報告書は、対応を「不適切」と批判した。
報告書によると、男子生徒は2020~21年、同級生4人からあだ名で呼ばれたり首をひっかかれたりするいじめを受けたと訴え、21年5月から不登校となった。保護者は21年10月に校長にいじめの被害を申告した。
いじめ防止対策推進法では、不登校など生徒の心身に重大な被害が生じた場合は重大事態に認定し、第三者委などでの速やかな調査を自治体に求めている。
ところが、市教委は事前に独自の調査が必要と判断し、生徒側に調査目的などを書面で提出するよう求めた。最終的に市が重大事態と認めたのは22年11月で、第三者委の設置は23年3月になってからだった。
市教委によると、市の基本指針では、訴えがあれば「個々のケースを把握した上で、重大事案かを判断」するという法律の趣旨に反する文言があり、これに従ったとみられる。市教委は指針の該当部分を削除しており、再発防止を進める。
太田清治教育長は「生徒に、長い間、つらい思いをさせ、おわび申し上げる」とコメントした。【山下智恵】
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