「東京の2億円マンション、半分が外国人購入」日本人気続く 海外は高騰防止で規制も

今年1~6月期の首都圏の新築マンション価格は上半期として過去最高値になった。東京23区などでは既に一般家庭に手が届きにくい価格まで高騰している。建設コストの上昇が大きいが、外国人富裕層などによる不動産購入も押し上げ要因だ。海外では外国人の不動産取得に規制をかける例もあり、対策が急務になっている。

背景に購入しやすさ

外国人が高額物件を購入するケースが目立っている。ある大手住宅メーカーでは昨年、東京23区内の2億円以上の住宅の購入者の半数近くを外国人が占めた。3億円以上の物件を購入する外国人も多いという。

三菱UFJ信託銀行が不動産大手を対象に行った昨年度下半期の新築住宅の販売実績に関するアンケートでは、13社中9社が千代田区、渋谷区、港区の物件の買い主のうち外国人の割合が2割以上だったと回答した。5社は3割以上で、1社は5割以上だった。

2025年版の「土地白書」によると、海外投資家による昨年1年間の不動産購入額は9397億円で、前年の5758億円から約63%増加した。

背景には、日本の物件が海外の主要都市に比べて安いことに加え、日本の不動産購入のハードルが低いことがある。

日本不動産研究所(東京)によると、今年4月の東京・元麻布地域の高級物件の価格を「100」とした場合の指数は、香港が263・5▽ロンドンが205・2▽上海が162・0-で、海外の主要都市が軒並み東京を上回った。

中国の場合、不動産は公有で個人取得できないが、日本の不動産は外国人でも恒久的に所有できる。資産としての安定性が高く、「日本人気」につながっている。

当面は緩やかに上昇

一方、海外には住宅価格や家賃の高騰を防ぐため、外国人による不動産購入に規制をかける国もある。

日本貿易振興機構(JETRO)の調べでは、オーストラリアは居住者でない外国人による投資目的の中古物件の購入を原則禁止。新築物件を購入した際には、政府に申請する必要がある。

シンガポールでは、外国人の物件の購入に対し不動産価格の60%の税金をかけている。

今回の参院選(20日投開票)では外国人による不動産取得規制の議論が進んでいる。不動産経済研究所は「今後規制が設けられれば土地価格の上げ幅が小さくなる可能性はあるが、効果が出るのは当面先。今のところは、価格は緩やかに上昇していくのではないか」とみている。(織田淳嗣)

東京23区の新築マンション平均価格1・3億円

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