参院選に向けてのAFEEによるアンケートの質問項目が、表現の自由全般ではなく性的に楽しむものに偏っているというエントリを先日にあげた。
AFEEの参院選アンケートへの回答や反応を見ていると、そこで語られる「表現の自由」が極めて限定されたものとしか思えない - 法華狼の日記
性的合意の重要性を啓発する広告はイラスト表現をつかっていたが、よりによってAFEEの最高顧問をつとめた自民党議員の山田太郎氏が介入し、理由はともかく撤去された。
自民党の山田太郎氏がインボイス反対や啓発ポスターに冷淡だったことを思い出している - 法華狼の日記表現が行政によるものであれば、議員の介入が必ずしも表現の自由への侵害になるわけではないが*2、性行同意にまつわる山田氏の見解に疑問があるとなれば話は別になる。
上記エントリで参照した匿名ダイアリーを書いたid:hanyan0401氏から、匿名ダイアリーで応答したという話があった。
[B! 政治] AFEEの参院選アンケートへの回答や反応を見ていると、そこで語られる「表現の自由」が極めて限定されたものとしか思えない - 法華狼の日記
hanyan0401 応答しました。https://anond.hatelabo.jp/20250719045926/
本題に入る前に、匿名ダイアリーで応答する理由がよくわからない。はてなックマークで間接的に応答の存在を提示するよりも、コメント欄に書きこんだほうがわかりやすく読みやすいと思うのだが。
まず、最初のアンケート論評の時点で、筆者の名前をはてなブックマークで明かしているのに匿名ダイアリーをつかう意味がよくわからないが、個人ブログよりも読者がつく可能性はあるかもしれない。
しかし匿名ダイアリーはブログよりも字数制限がきびしいらしいし、複数エントリをつづけて上げて見やすくすることも難しい。それにユーザー名を隠しながらユーザー名を出している側を一方的に攻撃できるため、言及されたユーザーが消すこともできる。私は言及されたエントリを消したことはないし今後もおそらく消すことはないと思うが、応答に向いている媒体とは思えない。
さて細部の各論についてはコメント欄で簡単に応じて、同意できそうなところをさぐったわけだが、ひとつ政治家による表現への介入については論点をずらしていることが気になった。
コメント欄における私の応答から該当部分を下記に転載する。転載時、はてな記法をもちいて引用符を引用枠に、リンクをタイトルがわかるように変更した。
私は件の啓発広告を問題視しませんが、その「介入」を疑問に思うなら、Vチューバーを起用した交通啓発動画に対するフェミニスト議連の「介入」にも、同じスタンスであって欲しいとは思います。
貴方自身は啓発広告そのものの評価をおこなって「介入」についてどう評価するかは避けているのに、私に対しては「介入」についての評価を求めるのですか? 貴方の山田氏への評価はどうなのですか?
なお私自身は自己引用したとおり「表現が行政によるものであれば、議員の介入が必ずしも表現の自由への侵害になるわけではない」という立場ですし、下記エントリの注記などで明示的に同じ比較を何度かしています。
批判的な言及で暇な空白氏から名誉棄損裁判をしかけられていた弁護士の伊藤和子氏が、勝訴確定との報告 - 法華狼の日記
むしろ山田氏を表現規制に反対する政治家として期待している人こそ、私以上に「同じスタンス」が求められるのに、山田氏の「介入」を他と比較する動きをなかなか見ないことが不思議でなりません。貴方もそのひとりですね。
上記への再応答は見あたらないが、hanyan0401氏は参院選において山田氏を投票先のひとつに選んだのだという。hanyan0401氏の理屈ならば、表現に直接介入したことのない共産党候補者を選んで投票するべきだろうと思ったりするのだが*1。
[B! 増田] 選挙に投票したらコメントする日記
hanyan0401 開票後でも投票先を書いている方はいないんですね。私は比例が山田太郎氏、選挙区(東京)は、立憲の方の奥村氏に投票しました。最後の1議席を同じ立憲の塩村文夏氏と争いそうだったので、塩村氏の落選を願いつつ。
また、かつて赤松健氏が表現の自由について性的なものに偏って論じていた時、hanyan0401氏は私に対して行政広報への抗議と民間の漫画作品への抗議を比較させようとした。
[B! 漫画] 赤松健氏が「一切の表現の自由」を主張しているなら、アングレーム漫画祭や『国が燃える』への介入についての見解も当然に問われるのでは - 法華狼の日記
hanyan0401 私は『国が燃える』への抗議と打ち切りを表現の自由の侵害とみなす方々が、「戸定梨香」起用の啓発動画に対する、フェミニスト議連の抗議と削除にはどのようなスタンスだったかを問いたいですけどね。
ここではエンターテイメント表現の自由への介入と、行政後方への介入の重みをhanyan0401氏は同列にあつかっている。個々の抗議の妥当性について論評するという発想もない。
しかしこの時のhanyan0401氏からは、エンターテイメント表現の自由についての介入を問題視する人々も、山田氏の啓発ポスター介入へのスタンスを問われるべきという話になるだろう*2。少なくとも他人に求めたhanyan0401氏は率先するべきではないだろうか。