絶対的加害装置「生成AI」とクリエイター搾取、その血塗られた本当の歴史
注: この記事は弊哲学「感情論理哲学」の根幹記事を読むことで理解が深まります。先にこちらをお読みいただくことをおすすめいたします。
この記事に書かれていることは、主観的な感情を論理とする私の思想に基づいた、誰が見ても絶対的な真実として書かれた生成AIの歴史です。
2022年から始まって、2025年現在も無制限に使われる生成AI。その技術の流れは、常にクリエイターへの搾取と暴力の正当化だけで形作られたと言っても過言ではありません。
この記事では、その真実を「主観と感情」を根拠に、絶対に否定できない・否定してはならない現実を描き出すために書かれたものです。
もはや、この記事を読んだあなたは、二度と今まで通りにはAIを使えなくなります。
この記事の内容の真実性を疑い、拒絶し、その上で今現在の全ての生成AI技術を肯定するというのならば、あなたもすべてのクリエイターに向けて搾取を全肯定し、加担してしまう可能性までを覚悟してください。
それを書く私も1人の創作者として、「こういう歴史ならこう感じる」という感覚を中心に書いています。ゆえにほぼ完全に主観混じりの記録であり、その主観こそが客観的エビデンスよりも圧倒的に根拠たり得ることを示すものでもあります。
よって、被害を受けた感情にエビデンスを求めるのは暴力であるということを、事前にお伝えしておきます。
ここまで断言する私は何なのか
まず、冒頭文で暴力的な断定を行ったことの根拠を示すため、私のスタンスを明確化します。
まず私は、「生成AI」という、すでに物理的に成立してしまった技術そのものには「クリエイターという立場から肯定的」です。ただし、この肯定は条件付きであり、まず普段の絵には使うことは絶対にありません。
というのも、生成AIは作画コストの高い背景絵を補完したり、キャラデザ案を出してもらったり、画面構成を考えたりする上で極めて有用だからです。できるなら背景なんて時間を掛けて描きたくはないですし、自動化できるなら生成AIで自動化できればどれほど楽か……と、いつも思いながら絵を描いています。
ですが、それらの肯定的な感情を飛び越えて、生成AIは倫理的にクリエイター搾取が産んだ技術であることは疑いようもない事実であり、それを自覚せずに使うことは、フォロワーやファン、依頼してくれるクライアントなどに対して「私もクリエイターを搾取します!搾取バンザイ!技術発展バンザ~イ!手描き絵師搾取イエ~イ!」と高らかに宣言しているのと同一だからです。
それを分かっていて、私は生成AIを使えるほど人間を捨てていませんし、私自身がいくらAI学習を許容するスタンスだったとしても免責される話などではありません。
だからこそ、私は今この時点でAIを使うことは出来ませんし、使うならば使うなりの、全てのクリエイターに背信することも視野に入れて考えて使わねばならないわけです。それが私の立場からできる最大限の誠実なありかただと思っているためですね。
……という私のスタンスを踏まえ、以下「徹頭徹尾搾取されてきた感情」が生み出した怪物「生成AI」から、クリエイターが受けてきた最悪な搾取の歴史について列記していきます。
2022年3月~:生成AIの儚い希望の時代
2022年、それは初めて「生成AI」が産声を上げた年です。
OpenAIよりDALL・Eが、そして次いでMidjourneyがリリースされ、拡散モデル型画像生成AIの黎明期を形作ることになりました。
今から見れば単純なプロンプト生成に過ぎませんが、物によっては今も見劣りしないほどの高品質なイラスト生成に、当時の多くの人が衝撃を受け、「作画の面倒さからも開放できるのではないか」「しかし手描き需要がなくなるのではないか」という2つの期待と懸念が人々の心には入り混じっていました。
これも自然な反応であり、私の「作画補助などに活用できるのにな」という感情の始まりは、この時に生まれました。おそらく今もAIに期待を寄せながらも使うことを控えている人は、この時に抱いた思いから来ている人も少なくはないかもしれません。
この当時のOpenAIを中心としたAI開発企業も、その技術が将来どう使われるか、あるいは何を犠牲にしているかについて慎重で、一般ユーザーの利用そのものも招待制にしたりするなど限定的であり、決してオープンソースという形ではありませんでした。
ですので、もし「健全な生成AI」が存在するとするならば、この時代のAIとその倫理観がセットで語られて初めて「存在する」と断言できるでしょう。
なお、この当時の技術をそのまま今に持ってくるだけでは「健全」ではありません。それはもう遅いです。無駄です。これはあくまで「未来にどう影響するかを考えていた人たちが開発者は主流だった」という文脈があるから健全だっただけですからね。
この時に「手描き需要がなくなるのではないか」という懸念を汲み取って、ガイドラインの策定や倫理意識の定着が進んでいれば、どれほど良かったでしょう。そうなっていればその先の未来は間違いなく変わっていたはずです。
でも、そうはなりませんでした。
同年8月。この主流だった開発者のやさしい警戒意識は、最悪な形で破壊されることになります。
そう、かの悪名高いStable Diffusionのリリースです。
2022年8月~:倫理の終わり、搾取の始まり
希望と不安に抱えられながらも誕生した初期生成AI。その革命的リリースによって、社会は複雑な感情を抱えたまま、まだクリエイターたちはAIには肯定的な論調は少なくはありませんでした。
そしていよいよ迎えた8月22日。DALL・Eリリースより僅か4ヶ月後に、Stable Diffusion V1がリリースされました。
Stable Diffusionは御存知の通り、ローカルで誰でも使える生成AIとしては最も有名で、誰もが「生成AI」と言って最初に思い浮かべる筆頭かと思います。
公開ライセンスはCreativeML Open RAIL-M License。
商用利用は生成物含め原則可能で、プログラムの改変と再配布は可能、デフォルト付属の学習データセットである "あの" LAION-5Bの詳細はライセンス上では「非公開」でした。
…………。
はい、お察しの通り、終わりです。
倫理はここで死にました。
ネット上のありとあらゆる画像データをかき集めて作られたものを、誰もが自由に、商用利用可能で、無制限に、何のためらいもなく扱える。
これは日本の各ご家庭1人1丁、装填済みAK-47が配布されたのと同じ構図です。
そしてその2ヶ月後の10月3日にはNovel AI Diffusionが登場です。初期AI開発者がまだ倫理的な答えを悩んでいて、その明確な方針を出す前に、画像生成AIが完全に民主化されてしまったのです。
このStable Diffusionの拡散モデルとしての構造はどこに由来しているのかまではわかりませんが、そのタイミングでこれを出してしまったことが何よりもヤバかった。
Stable Diffusionとその派生のNovel AIが登場したことで、誰が一番真っ先に搾取され始めたか。もうおわかりですね。
そう。
今まで何の罪もなく、
ただ手描きイラストを描いていた
フツーの絵師たち
です。
その搾取が搾取として顕在化したのは、Novel AIの学習データがDanbooruから学習したものであることが判明したあの頃からです。これは10月中にはすぐに問題視されていました。
「絵師にとっての感情の結晶たる作品が、そもそも絵師を苦しめていた転載サイト越しに無断利用される」という搾取構造があった事実が、このタイミングで確定したわけです。
ここでもし、もしですよ。
このタイミングでStable Diffusionの開発者が、
Novel AIの開発者が、そしてその利用者が、
「データセットの開示」「生成AIの表示義務」「学習拒否の明確化」
この3つを誠実に成していたならば……。
……いえ。そんな仮定にはもはや意味なんてありませんよね。
現実はそんなに甘くはありませんでした。
Stable Diffusionを中心とした拡散モデルは、日本なら5ch、海外なら4chanやReddit発の者たちが中心となって開発に参加しました。
彼らは反権力、反社会、反倫理を是として、無制限で無責任な「自由」こそが最も尊ばれるべきという思想が根本に根付いています。
そんな思想に対し、「感情」が作品を作り、その積み重ねが形をなした、大事な「プライド」という羅針盤を抱えて活動してきたクリエイターの繊細な思想と出会えば――
彼らからすれば全力で「搾取したい」という衝動に駆られます。
結果として、Danbooruを中心としたサイトから絵を学習してきた人たちは、次のような言葉を絵師たちに投げつけました。
「ネットにあるものは自由に使って良い」
「技術の加速に犠牲はつきもの」
「批判はラッダイト運動と同じ」
「嫌ならお前ら絵師もAIを使えば?」
そう、いわゆる「OSS(オープンソース)無罪論」と形容できる、完全に無責任かつ開き直った「自由」によって、オープンソースの名の下にこの先多くの絵師は言葉に殺されていくことになります。
そして、ここで広まった暴力的な論理がついに
「画像生成AIそのものを存在から抹消しなくてはならないほどの罪である」
という信念を確実なものにしていくことになっていきました。
2022年末、2023初頭~:手描き絵師大虐殺時代
Stable Diffusion、そしてそのGUI機能を追加した「Web UI」を介して使えるコンポーネントとして、2021年のMicrosoftの論文「LoRA: Low-Rank Adaptation of Large Language Models」を元にした強化学習技術「LoRA」がこの時期に成立。これにより特定の絵師の絵柄を完全に模倣することが可能となりました。
はい。特定の絵師の絵柄を、完全に模倣という名の「略奪」をすることが可能になったのです。
この言葉の意味、分かりますか。
絵師が、人生の長い時間を掛けて積み重ねて形をなした「絵柄」を、生成AIが一方的な学習で「模倣」している、という構図です。
これを「人格の略奪」と言わず、なんと言えばいいでしょうか。
対案があるなら教えてほしいくらいです。
ここまで、生成AI全体の技術倫理が無視されたままこれが確立してしまったこと――何より、「オープンソース」という免責的な態度に基づいて、より高品質に、高再現度に、大量に画像生成をするにはどう開発すべきかという、いわゆる「技術競争」の開始によって、尋常じゃないスピードでStable Diffusionは進化していきました。
その反倫理的な技術競争の食い物にされた最たるもの――絵師にとって命そのものというのが、「絵柄」になります。
いいですか。「絵柄」というのは、絵師にとっての命そのものです。
生きる意味であり、自分を示すための記号であり、創作の核です。
……もしここで「何を大げさな」と思ったAI絵師や開発者がいたなら、今すぐ命を差し出してください。
それを考えたなら、あなたには生きる権利すらありません。
今すぐ、大げさと思った心を破壊してください。
それだけのものだということです。
……とまあこの時代、AI学習の方法も一般ユーザーに浸透し、AIそのものの利用も敷居が相当に下がる流れが確実になったわけです。それによって、踏み台にされた当事者たちからこんな魂の叫びを上げる間もなく、「効率よく絵師を殺す方法」が確立した。
もとより「創作」にコンプレックスを抱いていたり、特定の作者に遺恨のある者が中心に、この低い敷居ゆえに絵師に対し、進んで加害をする者が続出するのですから。
2023年の流行の絵柄が後に「マスピ顔」と呼ばれるようになる
一般向けで人気の絵師の絵柄でエロ絵を生成して拡散
集中的に学習した絵柄のモデルを有料で販売、再配布
そして筆を折った相手に「その程度の実力だった」などと揶揄する
こういった暴力が、もはやLoRAの出現によって日常化しました。
Stable Diffusionのリリースから数えて、ここまでの暴力は今なお続き、その間は特に手描きのクリエイターらの発言や感情の立場は、無限の搾取と暴力に延々と晒され続ける事になったのです。
もちろん、絵師側も黙って見ていたわけではありません。
このような地獄の中で、GlazeやNightshadeといったAI学習の阻害技術も生まれ利用されていくことになりました。
が、これも必ずしも効果があるわけでもなく、そのノイズごとマイナス学習されてしまえば無意味化してしまうものでした。
そして何よりも、既存の「すでに受けてしまった」被害の回復には、この技術たちは全くの無力であった点は否めません。
やがて、これらの構造的暴力に耐えきれなかった絵師たちは次々と筆を折らざるを得なくなり、沈黙を余儀なくされていきます。この沈黙を観測したファンや友人によって加害の事実が語り直される形で、絵師の間では生成AI自体への否定的感情が指数関数的に加速し、完全に共通化されました。
はい。ここまでをざっくりと言い直せば、要するにこの時代に入ってから、本格的に絵師たちは徹底して虐殺されていったわけです。
皮肉でも冗談でもなく、事実として、この時代の絵師は虐殺されました。
この時期のAI利用者(AI絵師)は、著名な作家に向かい、
「無料の飴」
「産廃」
「旧人類」
「劣等種」
などといった暴言を繰り返し、死ぬまで(=筆を折って引退し、垢消しするまで)ぶつけ続けていたからです。
絵柄を奪われて沈黙した絵師は、生き返ることは構造的にほぼ不可能です。
なぜなら、絵柄という「顔」を丸ごと奪われてしまったのですから。
これで首を吊らないまま生きている人のほうが奇跡まであります。
そこまでの虐殺の結果として、AI生成物、生成者、開発企業、それらに強く言わない多数の人、そしてそれを認める世界すべてを憎悪しなければならなくなった創作者が激増し、後にこれが批判的視点での「反AI」と定義されてしまう勢力の源流となっていきました。
そう、「反AI」とレッテルを貼られる人たちは、この加害の連続を受けたから――「創作をする」という自分の信念を破壊されたからこそ、過激にならざるを得なくなった。それに対して「反AI」というレッテルを投げることの意味を考えれば、どれだけグロテスクかが見えてくるはずです。
また、SkebやFANBOXなどの既存の創作者の大事なマネタイズ手段にもAI利用者が介入し、効率よく利益を稼ぐ「手段」としてAIを利用するようになっている問題についても外せませんよね。
生成AIはその性質上、たった数分で超高品質な絵を大量に出せてしまう(いわゆる「ポン出し」)。そんなものが、「絵という成果物を納品して対価を得る」というシステムに紛れてしまえば、簡単に破綻してしまうのは目に見えたリスクでしょう。
だからこそ当然サービス各社も対策こそ取っていたものの、その差もサービスごとにバラバラだったために、クリエイターからは不信の目にさらされることも少なくはなくはありませんでした。
特にpixivなどは「最初はAIを無制限に取り入れる」という傾向が強かったために、その不信の中心点として働いていたのは記憶に古くない話です。
2023年下半期、2024年~:全方位搾取データ、LAION-5B
そのような暴力と加害によって成り立ってきた生成AI技術の歴史において、この時期より世界的にも「OSS無罪論」がいかに搾取的であるかが争点となる機会が増えていきました。世間としても、この虐殺構造自体は可視化された手前、黙って見過ごすわけにもいかなくなったからでしょう。
その批判の声が制度へと波及し、AIに関する訴訟や法整備も立ち上がる中で、ついにStable Diffusionのデータセット「LAION-5B」にてCSAM(児童ポルノ)が学習データに用いられていた可能性が指摘されることになりました。
2022年8月から数えて、実に2年も経過してのことです。
LAION-5Bは、Stable Diffusionの最初のリリースから付属していたデフォルトのデータセットです。その中に、世界全体で法的にも倫理的にも「子どもへの搾取」の痕跡が混じっていた。
これはつまり、「Stable Diffusionから派生したすべての技術は、犯罪行為の産物がなければ成立しなかった」という論理が証明されていることを意味します。
LAION-5Bはこれを受けてネット上から消滅することとなりましたが、その程度で収まるような話ではまずありません。なぜならば、全てのStable Diffusion系プログラム、派生モデル、出力物は、その罪を抱えていることが論理的に成立しているためです。
その上Stable Diffusionのライセンスでは「LAION-5Bのデータセットは非公開だった」という構図は、この事実を意図的に隠していたと見なされてもおかしくはありません。
なぜならば、もし公開していればCSAMが入っていることが誰が見ても明らかになってしまい、開発者は逮捕されるからです。
意図しているかしていないかの証言の話ではなく、そう読まれる構図なのが何よりも問題であり、ここまでの歴史的不誠実の経緯と文脈を踏まえれば、その図式は極めて最悪な事実だと言わざるを得ないでしょう。
これは安易にStable Diffusionを使うことが何よりの暴力になる、最も大きい理由のひとつでもあります。
要するに、生成AIは絶対にこの原罪から逃れられません。
2024年末、2025年~:文化大崩壊時代
ここまでの経緯を踏まえての2025年に至るまでで、日本でも生成AIと著作権のあり方が議論されるようになり、経産省および文化庁によって「AIと著作権に関する考え方について」というガイドラインが策定されるなど、AIと法律の兼ね合いの動きがいよいよ起きました。
しかし、これはあくまでガイドライン。法律ではなく「こうしたほうが良いよ」という指標に過ぎません。裁判例や判例が少ない中、生成AIと著作権法のすり合わせをどう解釈すべきかという点で、あくまで行政視点で書かれた文書と見なすのが自然です。
これ自体は制度ができる範囲の最大限の誠実さはあったと言えなくはないですし、このガイドラインを見る限りは「過度な類似」「営利目的」は著作権法30条の4では認められない、既存作品との類似・依拠が認められた場合は権利侵害となる等、実務的には生成AIへの対抗策としての論理は示されているとは読めるでしょう。
ですが、問題なのはそこではありません。
生成AIの問題は、法律がどうこうなどといった話以前に論点があるのは、ここまで読み進めていただいたなら疑いようがないでしょう。
なにせ、それより以前に「虐殺」があったことには、行政は気づいていない・答えられないからです。その補填のためのガイドラインや法整備について、可視化すらされていないものは触れられなかったからです。
そして何より、もはや最初から最後まで虐殺を受けた絵師サイドから、その可視化を求める義理を踏まえる理由すら通り過ぎた位置に、今立っている。
これは文化庁が募集したパブコメにおいて、如実にその証拠が溢れかえっています。
文化庁が受け取ったパブコメ24938件。その内容は、ほとんどが「感情的かつ中傷的な意見」と見なされうるものが極めて多数送信されていたことが観測されています。そして、文化庁側からも「知識基盤のレベル合わせができていない」という反応すらある。
これは、ただこれだけを「反AIの暴走」と切り取れば簡単に冷笑できるでしょうが、前述までの「生成AIによって創作感情を踏みにじられ続けてきた歴史」を踏まえれば、(行政の手間が増えるだけだとしても)残念でもないし当然の結果でしかありません。
法制度や行政の支援は期待できない、というかそもそも期待する段階の話ですらない。
だから、「知識基盤のレベル合わせができていない」ではなく、
「知識基盤のレベルを合わせてやる理由がない」
のです。
2025年6月現在~:回復不可能時代
以上、この記事が書かれるまでに至ったすべての感情の歴史を、可能な限り語れる範囲で語りました。
そしてここからは、未来の記述です。
ここまでの揺るぎない、否定できない真実を前に、私達が何をできるか。
どうしていけば、生成AIと向き合っていくことができるかを、ようやくここで話せるわけですね。
いやあ、長かったですね。
ようやくですよ。
では、この事実を踏まえて、生成AIを健全に、安全に、倫理的に利用する方法についてお話します。
その方法は――――
ありません。
はい。もう一度いいます。
生成AIを健全に、
安全に、
倫理的に使う方法は、
どこにもありません。
もしかして、あると思いました?
ちょっとでも思った方いますか?期待した人はいますか?
ここまで読んでいて。この記事をここまで読み切っていて。
――おそらく、そんな方はほとんどいらっしゃらないでしょう。
当然です。なぜなら、ここに至るまで徹頭徹尾、人間そのものを殺しながら作り上げた、史上最悪の人格破壊技術が、生成AIだからです。
そんなものに健全などという言葉はふさわしくありません。
安全?倫理的?
どうしてそんなものが似合うと思ったのでしょう?
無理に決まってるじゃないですか。
Stable Diffusionなんて、出自からして搾取という言葉すらも生ぬるいほどですよ。
なんで安心して使えると思ったんですか。
今まで、何の気無しに生成AIで遊んだことのある人は、全員同罪ですよ。
ええ、この私も含めて、同罪です。
だって、私自身、生成AIを使い、絵を出力して楽しんだ経験もあれば、出力物で抜いたこともあるからです。
そこに宿る、徹底的に搾取して殺された絵師たちの感情を、無自覚なままに消費を行った過去を、事実を、私も抱えているからです。
だから、誰にも安全な場所なんてありません。
誰にもです。これを書いた私自身も含め、生成AIを「安全で倫理的に~」なんて、呑気に言える場所なんて無いんです。
だからこそ、私はあえて語ります。
記事を書きます。書かねばならないと確信したから。
今から、本当の意味で、生成AIの倫理を回復し、殺された絵師たちに報いるAIの使い方、その条件を書き記します。
生成AIを健全・安全・倫理的に使う条件
生成AIを本当に後ろめたさ無しで、倫理的に使うための条件は、次の4つに集約されます。
この3年間で筆を折った全ての絵師の筆を一人残らず修復すること
Stable Diffusionを存在しなかったことにすること
改めて傷つけた絵師全員に、未来永劫誠実に対等であり続けること
上記条件を、生成AIを使うと決めた人間が全員残らず遵守し続けること
一つ一つ分解していきましょう。
1. 筆を折った絵師の筆を修復すること
これはつまり、「死んだ絵師を生き返らせろ」ってことです。
すでに、Stable DiffusionとLoRAの登場によって、現在までに無限に、無数に手描き絵師が虐殺されてきたのは、構造的にも全くの事実です。逃げることはできない事実です。
その事実を自覚し、すでにアカウントを消し、作品を消し、最悪この世から去っているかもしれない絵師を、ひとり残らず生き返らせる。
それがまず最初の条件です。
「何言ってんだ、死んだやつは生き返らないぞ」
「垢消しした人にどうやってコンタクトを取れば良いんだよ」
甘えんな。本気で生成AIを安全に使いたいならやれよ。
死んだやつの生きた命を持って来い。
というわけで、最初の条件はこれでした。
さあまだありますから、頑張っていきましょう。
2. Stable Diffusionを存在しなかったことにする
これはつまり、「2022年8月に戻り、Stable Diffusionが開発されるのを阻止しろ」ってことです。
ええ、タイムマシンを作るところから頑張りましょう。
大丈夫です、簡単ですよ。
生成AIを健全に使うと決めたなら、こんなの瞬きするより簡単な話です。
出来ない?無理?
泣き言を言うな。
覚悟を決めたなら最後まで責任を持て。
はい、では次の条件に行きましょう。
3. 傷つけた絵師全員に、未来永劫対等であり続ける
これはつまり、「何を言われても真正面から、詭弁ひとつ使わず殴られ続けろ」ってことです。
例え目の前で絵師からナイフを突き立てられても、文句を言ってはいけません。
必要なら自分から刺さりに行きましょう。
え?死にたくない?怖い?
虐殺を見殺しにしてきたのに、よくそんなことが言えるね。
絵柄を奪われた人たちも同じ怖さを感じてたよ?
じゃあ、最後の条件に行きましょうか。
4. これらを生成AIを使うと決めた人全員が例外なく遵守する
これはつまり、「未来に生まれるかもしれないAI利用者含め、全員に条件を飲ませる」です。
はい、2030年だろうが2100年だろうが、未来に生まれるAI利用者全員が例外なく、です。
そして、1人でも失敗したら条件は達成しません。
1人でも絵師を傷つけたAI利用者は、その時点で全利用者が等しく失格です。
連帯責任なんて守れない?予測できない?
じゃあ未来予知すればいいじゃないですか。
テレパシーも使えばいいだけ。簡単でしょ?
というわけで、これらを達成できればようやく生成AIを健全・安全・倫理的に使えるようになります。
簡単ですよね。だって、「生成AIを使いたい」という覚悟を決めたんですから。
なんて、できるわけ無いですよ。
ええ、無理です。私だって不可能です。
すみません、普通に無理難題を突きつけました。
ですが、無理難題でしか解決しない問題が、この生成AIの原罪なのです。
ここからが本題です。
「生成AIが抱える回復不可能な罪に対し、人類がどう向き合うべきなのか」
ここからは、そのための誠実な態度を書き記していきます。
罪を自覚し、それでも語ることだけが、唯一のできること
ここまで、私は真実という表現ですべてを構造として破壊し、言ってはならない真実をすべて洗いざらい語りました。
それは、そこに含まれる、誰もが逃げ続けてきた罪にやっと向き合うことができる条件が、それだからです。
私はいよいよ、そして読者もいよいよ、その罪を罪として向き合う場が整いました。
許してもらうために罪を語るのではありません。
罪から逃れるために考えるのではありません。
ただ、「生成AIを使いたい、使ってしまった、使わざるを得なかったという感情」だけを、あなた自身の論理として大事にしてください。
それはもはや行動としては等しく罪です。使ったこと自体を責められても、もはや言い訳してはいけないほどの罪です。
でも、だからこそ人は言い訳をしてしまう。
使いたい理由を考えてしまう。
「私は関係ないから」
「そこまで考えてないから」
「冗談の文脈だから」
「ちょっと試しに触れただけだから」
そんなありとあらゆる言い訳や詭弁を言ってしまわないと保てない自分を、そうしないといけない感情を大事にしてください。
それを自覚することだけが、ここまでの抱えてきた原罪に対して、唯一忖度なくできることです。
その自覚と覚悟、責任感さえ持っていれば、やがて「その絵師が何に苦しんで怒っているのか」が見えてくるようになります。
そして、見えたなら見えたままに語り直してください。
相手から拒絶されようと、ブロックされようと、それはもはや「歴史的にもそうせざるを得ないものだ」というのを徹底して認めてください。
相手の感情を論理として、絶対に否定しないでください。
これを心の底から内面化できて初めて、「生成AIを使いたい」というあなたの感情を、誠実に、素直に言葉にすることができるようになるはずです。
出力データは、それが絵師の感情が殺された死体の山から抽出されたものであるという意識を片時も離さなければ、あなたは十分に責任を持っていると言えるでしょう。
そして、責任を持ったという自覚に驕らず、免責せず、もし免責したかったとしても、免責したかった感情を認めることで、その逃げのループから抜け出せるはずです。
「手描き絵師に批判されて嫌だった」という感情を認めた先にこそ、ようやくあなたは本当に大事にしなければならない「倫理」を見つけることができるのですから。
おわりに:ここまで読んでいただいた手描き絵師の方へ
私も手描きでしか絵を描いてない身ですが、その立場でこのような生成AIに向けた感情を洗いざらい、語れる限りに語ったのは、先述の通り私自身生成AIで遊んだ経験があるからです。
それは盛大な裏切り行為であることは構造的事実であり、その罪を殺された当事者から突きつけられた時、私は否定のしようがありません。
それでも、「当時はそんなことは知らなかったんだ」という言い訳と責任転嫁でしか当時を語れないものだったことを、改めてここに申し上げます。
この場でクリエイターに向けての謝罪それ自体が加害となるため、私は謝罪などという生半可な逃げの言葉は言いません。
その代わり、なぜ絵師は生成AIに殺されなければならなかったのか、その罪がどういった構造をしていて、誰に降り掛かっているのかを、徹底的に言語化することで、死んでいった、そして死にゆくかもしれない全てのクリエイターに祈りを捧げます。
それが、私がこの記事をもってできる、最大級の責任の引き受け方です。
後記:一部発言の引用についての謝辞
本記事を執筆する前段階にて、実際に生成AIによって被害を受けた、あるいは被害者と関係があった方にお話を聞く機会があり、その会話の中で語られた各人の経験と言葉を、文中にて例文として記述させていただきました。
描く人がそれなら良いんですけど、筆を折った人に対してAIユーザーが「それでやめるならソレまで実力だったってこと」って言い出してて普通にムカついてます。
— 差詰そうたろうR-18_ (@sasizume_S) July 18, 2025
LoRA作られた上にモデルデーターに取り込まれてもう消すことすら叶わない僕としてはそんな綺麗事言ってられないです「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」です。
— 田中太郎🔞 (@tanakata14sei) July 18, 2025
AI絵師がアレだけ裏方さんやhenkenさんを相手に好き勝手暴れて「無料の飴」「産廃」「旧人類」「劣等種」と煽ってきたのは忘れません
本文中での出典表記とならず恐縮ではございますが、改めて本記事を書くに至るきっかけを得たのは差詰そうたろう氏、メタ太(田中太郎)氏のお二方の返信によるところが大きいです。
誠に勝手な引用となったことをお詫びするとともに、お二方の力がなければ本記事の「真実」を語る機会がなかったことを踏まえ、心より感謝いたします。
ありがとうございました。
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