ドラゴンボールad astra   作:マジカル☆さくやちゃんスター

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第13話 人造人間21号

 人造人間21号は元々は17号や18号と同じ人間ベースの有機体人造人間であった。

 そのベースとなった人間はレッドリボン軍の科学チームに所属していた女性科学者だ。

 見た目は若々しいがこう見えて既婚者であり、子を持つ母でもあった。

 しかし研究中の事故によって彼女の息子の一人は原形を留めずに吹き飛び、そして彼女自身もまた生きている事が奇跡的としか言えない程の重傷を負った。

 いや、重傷というよりはもうほとんど死んでいたと断言してもいいかもしれない。それほど凄惨な事故で、そして目を覆うような重体だったのだ。

 しかし幸か不幸か、彼女の夫はレッドリボン軍内でも強い発言力を持つ科学者であった。

 義理人情などとは無縁なマッドサイエンティストであったが、しかしそんな男でも妻と我が子に対してだけは愛情のようなものがあったらしい。

 男は原形すら残していなかった我が子をモデルとした完全な機械タイプの人造人間を作り、そしてかろうじて元の形を残していた妻をベースに有機タイプの人造人間を作り上げた。

 しかし人造人間化するにしても当時の技術では妻を蘇らせる事は出来なかった。

 主要臓器をあまりに多く失いすぎていたのだ。

 そこで男は妻を冷凍保存し、いつの日にか彼女を蘇らせるべくコンピュータを造り上げた。

 コンピュータへの命令は一つ……『スパイロボを使い、妻を蘇らせ得る細胞を集めて人造人間として完成させろ』。

 しかしこの研究は結局、男が存命のうちは日の目を見る事は無かった。

 代わりに、この技術を用いて多くの戦士の細胞を持つ究極の人造人間(セル)の構想が出来たり、そのプロトタイプとして13号、14号、15号の作成にも着手したがどれも本命ではなかった。

 

 しかし男の死後、スパイロボットは彼の求めていた細胞を遂に発見した。

 無限とも思えるような再生力を持つ魔人……即ち、ブウの細胞である。

 スパイロボットは魔人ブウの細胞を採取し、そして21号へと投与した。

 これにより、遂に長年沈黙を続けていた最後の人造人間開発プロジェクトが始動し、コンピュータが21号を作り始めたのだ。

 魔導士すら制御出来なかった魔人ブウの細胞を地球人ベースの人造人間に与えれば、魔人の細胞が強すぎて人格すら侵食してしまうかもしれない。コンピュータはそう計算したが、しかし構わずに21号の開発を進めた。

 彼が21号の夫から与えられた命令は21号を完成させる事だけだったからだ。

 したがって完成した後にどうなるかなど、機械であるソレが考慮するはずもなかった。

 このまま放っておけば21号は魔人ブウの能力を持つ人造人間として完成し、そして自分が作られた理由も分からぬまま魔人ブウの細胞に振り回され、食欲に支配されて悟空達と敵対していただろう。

 

 しかしそうはならなかった。

 未来から来たセルが研究所で眠っていた彼女を発見し、持ち去ってしまったからだ。

 その後21号はカプセルコーポレーションに移され、この時代のセルと融合させられた。

 融合したセルの人格は暴走しがちな食欲の人格と統合し、多少の落ち着きを得て眠りに就いた。

 こうして21号は暴走の危険性を従来よりも大幅に下げ、最強の人造人間として完成したのだ。

 だが暴走の可能性はあくまで減った(・・・)だけだ。

 21号の中には今も、他者を捕食しようとしているもう一人の21号が眠っていた。

 

 

 攻防が長引くほどに21号の攻撃はより鋭く、より速くなっていた。

 21号はセルと同じく数多の超戦士の細胞を受け継いだハイブリッド体であり、完成した時点で戦闘技術だけは持っていた。

 だが元になった人間が戦士ではなく科学者であった為に、それを活かせる経験が彼女の中には無かった。

 それがモロとの戦いの中で急速に成長し、覚醒を始めていた。

 モロという強敵と出会った事で足りなかった経験を埋め、戦士として開花し始めたのだ。

 

「やあああっ!」

 

 地を蹴って走り、勢いを付けた飛び蹴りをモロへ放つ。

 モロはこれを当然のように横に跳ぶことで避けて気弾を用意した。

 攻撃を回避された21号が通過するのを待ち、それから背中に撃ち込んでやろうという心算だ。

 だが21号はモロのすぐ横で急停止し、蹴りの軌道を変えてモロの顔面に足裏を直撃させた。

 

「ぐおっ……」

 

 モロがよろめき、そこに21号が追い打ちをかける。

 拳打をモロの胸板へ叩き込んでダウンさせ、すかさず跳躍して回転。両膝を折り曲げ、倒れているモロの胸へ痛烈にめり込ませた。

 地面に蜘蛛の巣状の亀裂が走り、モロが空気と唾液を吐き出す。

 そのままマウントポジションを取り、モロの顔面を右へ左へと殴打した。

 モロもバリアを張って凌いでいるが、それでも全く防げていない。

 

「ぐっ……がはっ! コ、コルドォ!」

 

 身動きの取れなくなったモロが、唯一の仲間の名を叫んだ。

 すると今まで黙っていたコルド大王が21号へ飛び蹴りを放つ。

 かつては宇宙を支配下に置いていたコルド大王だが、今となっては大した相手ではない。

 しかしその油断が不味かったのだろうか。コルドの蹴りが予想外の威力で21号の側頭部へ命中し、彼女を蹴り飛ばした。

 

「う、嘘!? コルド大王にこんなパワーがあるはずが……!」

 

 21号は飛ばされつつも即座に地面に手を突き、側転をして体勢を立て直した。

 ダメージは無いが、しかし動揺はあった。

 21号の持つデータでは、コルド大王のパワー値はたかだか2億程度だ。とても超サイヤ人3の自分を蹴り飛ばせるレベルではない。

 今の21号の戦闘力は数値にしておよそ8兆、実に4万コルドに相当している。

 蹴り飛ばすどころか、蚊に刺されたほども感じないはず……それだけの絶対的な差があるのだ。

 しかし事実としてそれが実現してしまっている。

 ならばその原因はやはり、モロにあると考えていいだろう。

 

「まさかパワーの譲渡……?

エネルギーを奪うだけではなく、それを誰かに与えて強くする事も出来るっていうの……!?」

「ご名答。これで形勢逆転だな」

 

 モロがゆっくりと起き上がり、そしてコルドと並んで嫌らしい笑みを浮かべた。

 彼がわざわざ自分よりも遥かに力の劣るコルド大王を連れてきた理由がこれであった。

 モロはエネルギーを吸い上げ、それを味方に与える事で最強の兵を作り出す事が出来る。

 ならばコルド自身は勿論として、コルドの部下もモロの駒に出来るという事だ。

 だからこそ、大勢の配下を持つコルドを連れていたのだ。

 『永遠の美』によってその数を大きく減らし、今や地下勢力同然にまで落ちぶれたコルド軍であるが、それでもコルド大王が一声かければ宇宙中から集結するだろう。

 それはモロにとっては貴重な戦力となる。

 

「ふははははは!」

 

 コルド大王が高笑いしながら21号へ挑み、その豪腕を叩き付けた。

 21号もこれを腕でガードするが、その直後に足元から星のエネルギーが迸った。

 エネルギーの奔流に吹き飛ばされ、空中で不安定な姿勢になる。

 その隙を突き、コルド大王がダブルスレッジハンマーで21号を強打した。

 一瞬で地面へ叩き落され、しかし落ちた瞬間にまた星のエネルギーで吹き飛ばされる。

 

「……くっ!」

 

 何とか空中で姿勢を直し、モロを仕留めるべく飛翔した。

 だが行く手を阻むようにまたしても星のエネルギーが噴出し、壁となって21号を止める。

 いや、止めてくれるだけならまだマシだっただろう。

 実際はその逆で、動きを止めてしまった21号の後ろに素早く回り込んだコルド大王に背中を蹴られ、無理矢理エネルギーの壁へぶつけられた。

 

「きゃあああああっ!」

 

 エネルギーの奔流に晒され、21号の着ている白衣が焼けた。

 地面に倒れ込み、その頭をモロが踏みつける。

 

「勝負あったな。貴様はエネルギーを奪って養分にする事も出来ん……ここでさっさと死んでもらおうか」

 

 モロが勝ち誇ったように笑い、気弾を生成した。

 21号は悔しそうに歯を食いしばり、地面に指を突き立てる。

 自分の弱さが情けなかった。悔しかった。

 地球の皆を守る為にと作られ、セルに後を託されたのに役目も果たせずに負けようとしている自分が許せなかった。

 だからこそ……まだ、終わるわけにはいかない!

 

「っあああああああああああ!!」

 

 21号が叫び、彼女から気が放たれた。

 まるで暴風のように気が荒れ狂い、モロを吹き飛ばす。

 変化はそれだけに留まらない。

 肌の色が濃い桜色へと変色していき、髪は白髪へと変わっていった。

 服も破れ、即座に再構築されて別の衣装へと早変わりしていく。

 

「ま、また変わるのか……何なのだ、こいつは!」

 

 際限なく上昇を続ける21号のパワーにモロがうんざりしたように言い、後ずさった。

 彼の見ている前で21号の変化は尚も続き、最後に一際眩しい光が視界を覆った。

 やがて光が収まり、そこに立っていたのは先程までの21号ではなかった。

 髪は白く、肌は桜色で尻尾まで生えている。

 耳も尖り、その姿はもう地球人には見えない。

 服装も先程までの肌を隠したものとはまるで異なり、下半身は白いズボン、上半身は胸を隠す黒い布だけという大胆な恰好へ変わってしまっていた。

 首、腰、腕、足は金色の装飾が飾り立て、その全体像は言うならば『女性版魔人ブウ』とでも言うべきものだ。

 変化を終えた21号は静かにモロとコルド大王を見据え、そして自分に言い聞かせるように言う。

 

「私は……負けるわけにはいかないんです!」

「ふん、ほざけ! 姿を多少変えようが、今の私の敵ではないわ!」

「待て、コルド!」

 

 21号の変化をハッタリと思ったのか、コルド大王が構わず突撃した。

 彼に気を感知する能力はない。故に21号の変化を虚仮脅しと思ってしまったのだろう。

 あるいはモロに与えられた力によって増長していたのかもしれない。

 モロの制止を聞かずに飛び出したコルド大王は勝利を確信した笑みのまま21号へ挑みかかる。

 それに対し21号はおかしな行動に出た。

 距離が空いているにもかかわらず、何故か地面に腕を突き刺したのだ。

 しかしその奇行の答えは疑問に思うよりも早く出る事となった。

 何と21号の腕が地面から飛び出し、コルドの顎を打ち抜いたのだ。

 魔人ブウの細胞を持つ彼女は、その気になれば腕や足などいくらでも伸ばす事が出来る。

 その機能を活かし、地面の中で腕を伸ばして奇襲をかけたのだ。

 

「それっ!」

 

 体勢を崩したコルドへ、腰を捻って尻尾の一撃を放った。

 尻尾は見た目に反してまるで鞭のようにしなり、コルド大王の身体を浮かす。

 それを追って21号も跳躍し、更に腰を振って尻尾を打ち込んだ。

 

「やっ、はあ!」

 

 続けて今度は後方に回転し、遠心力を乗せた尻尾の一撃でコルド大王を更に上へ飛ばす。

 間髪を容れず赤いオーラを纏い、コルドへ体当たりをぶちかました。

 

「そこね!」

 

 休む事なく左フックを打ち込み、横回転して尻尾を叩きつける。

 そこから流れるように後方回転して尻尾で顎を跳ね上げ、またしても左フック。

 そしてまた尻尾で頬を張り、廻りながら気弾を掌に出してコルド大王の腹へ叩き込み、爆発させた。

 

「終わりよ!」

 

 赤いオーラを纏っての体当たりを再び行い、今度はコルド大王を地面へと運んだ。

 頭突きと地面でコルドを挟み込み、彼が浮いた瞬間に指先に気を集中させて身体の内側へ向けて大きく振りかぶった。

 そして切り裂くように指を外側へ薙ぐ――すると地面が爆発し、コルド大王を爆炎が包み込んだ。

 その流れるような猛攻は先程までとはまるで別人で、次々と決まる攻撃は流麗ですらあった。

 Wonderful(ワンダホー)

 

「ぐああああああっ!」

 

 コルドが絶叫し、地面に墜落した。

 その身体は一応原形を残しているものの、全身が焼け焦げていてもう戦える状態ではなかった。

 白目を剥き、生きているのかすら怪しい。

 頼りにならない味方の醜態にモロが舌打ちし、21号を睨む。

 

「はあ……はあ……」

「……フン。どうやら大分消耗の激しい姿のようだな。たったあれだけの動きでもう息が切れているか」

 

 このまま21号との戦いが続くようならば撤退も考えるべきかもしれない。

 そう考えていたのだが、21号の姿を見てモロは考えを変えた。

 21号は確かにコルドを下したが、何故かもう息切れを起こしている。

 恐らくは相当消耗の激しい変身なのだろう。莫大なパワーは得られるが長続きしないようだ。

 そう判断し、このまま攻撃するべきだとモロは決断を下した。

 

「はあ……はあ……美味しそう……違う、駄目……我慢、しなきゃ……」

 

 

 モロは気付いていない。

 21号の息切れは消耗によるものではなく……自らの内から生じている、ある衝動を必死に我慢しているが故のものである事を。

 




【ワンダホー!】
正しくはWonderful(ワンダフル)
『ドラゴンボールファイターズ』で30~39ヒットのコンボを決めるとどこからともなく聞こえてくる合いの手。
他にもエクセレントやアメジングといったものがある。
デストローイとフェイタルケイオウはない。
折角の格闘ゲーム出身なので少しだけ元ゲー再現をさせてみた。
コンボはアーク格闘ゲームの基本。
\ドベウリャ! シネッシネッシネッシネッシネッシネッシネッ!/ \テンショーテンショーテンショーヒャクレツケン! ホクトウジョーダンジンケン!/ \ヒカヌ!コビヌ!カエリミヌ!フハハ!フハハ!フハハ!フハハ!フハハ!フハハ!フハハ!フハハ!/ \ジョイヤー!ペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシ/
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