ドラゴンボールad astra   作:マジカル☆さくやちゃんスター

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なにジョジョ?
リゼットが序盤で離脱して主人公らしくない?
逆に考えるんだ。
『主役が序盤で離脱するのはむしろドラゴンボール的』と考えるんだ。

ほら、悟空さだってフリーザ編と人造人間編は実は出番がほとんどないし……。


第5話 監獄惑星

 宇宙の外れに、一つの……と呼んでいいかは分からないが、奇妙な惑星があった。

 その名を監獄惑星といい、その外見は複数の惑星を巨大な鎖で縛って無理矢理一つに固めたような歪なものだ。

 その惑星の前に今、悟空、ベジータ、ミラ、21号……そしてフューの五人が来ていた。

 宇宙空間ではあるが21号がバリアを張る事で悟空とベジータもこの真空の中での活動を可能としている。

 五人しか来ていない理由は、勿論フューを完全には信頼していないからだ。

 それに、神殿にいるザーボンを監視する必要もある。

 その為、何かあった時の為にピッコロ、四星龍、魔人ブウ、ターレス、ヒルデガーンは神殿に残している。

 リゼットは前回から引き続きダウンしているので、今回はいない。

 

「さあ、ここが監獄惑星だよ。トランクスはここにいる。早く助けに行こう!」

 

 フューが急かすように言うが、ベジータは露骨に疑いの視線をフューへ向けた。

 どうにもこの男が胡散臭く見えて仕方ない。

 むしろフュー自身、疑われている事を知っていてそれを楽しんでいるような……何か悪だくみをしているが、バレるならバレるで別に構わないというような、そんな不敵さと不気味さが感じられる。

 

「あの……ミラさん。本当にこちらの方はミラさんのお子さんなんですか?」

「……遺伝子的な意味で、というならば間違いない。フューは俺とトワの細胞から生み出された突然変異体だ。

もっとも、俺達の時代のフューはまだ赤ん坊だった。そこにいるフューは俺とトワが来た未来から、更に先の時代から来たフューだろう」

「それは……大丈夫なんですか? だって、ミラさんって元々は……その……」

 

 21号が言い難そうに口ごもるが、言いたい事はミラに伝わっていた。

 ミラは今でこそ地球の仲間だが、元々は色々な時代を飛び回り、悪戯にかき回してキリを吸収していた存在だ。

 暗黒魔界の王ダーブラの妹であるトワが、ダーブラの後継者として造りあげた最高傑作こそがミラであり……そのミラの息子ならば、つまりミラの次の暗黒魔界の王という事になる。

 ならばかつてのミラと同様に、暗黒魔界復活の為にフューが暗躍していると考えても何らおかしくはない。

 むしろタイムパトロールをやっている、などという台詞よりよほど自然だ。

 

「本当だって、信じてよ。僕は確かに父さんと母さんの細胞から造り出されたけど、僕が大きくなった時は二人ともいなかったんだ。

そんな僕がどうして見た事もない暗黒魔界を復活させようとしなきゃいけないのさ。

そんなつまらない事をするよりさ、色々な時代を見て、色々な強い人の戦いを見る方が楽しいじゃない」

 

 フューは無邪気に笑い、暗黒魔界の復活などどうでもいいと語った。

 確かに、彼の立場に立って考えてみれば今更暗黒魔界を復活させる事に興味が出るとは思えない。

 それでも、ベジータ達はこのフューを完全に信じる気にはなれなかった。

 とはいえ露骨に疑いを顔に出しているのはベジータくらいで、悟空は表向きにはいつもの呑気な顔に戻っている。

 疑わないわけではないが、信じないわけでもない。

 良くも悪くも悟空は先入観がなく、自然体であった。

 

「おいベジータ、そろそろ行くぞ。

ここでいつまでもフューを疑ってたってしょうがねえだろ。

それに、トランクスがここにいるっていうのはどうやら間違いなさそうだ。気も感じるしよ」

「……トランクスだけじゃないぞ。強い戦闘力を持つ奴があちこちにいやがる。

それにこれは……いくつかは、俺達も知っている気じゃないのか?」

 

 悟空は既にこの惑星からトランクスの気を感じ取っていたが、問題はそれだけではなかった。

 ベジータが言うように、覚えのある気もいくつか感じられる。

 

「ああ。ボージャックにコルド……それに、こいつはハッチヒャックっていうやつだ。

どれもオラが戦えなかった奴等だ。

今となっちゃあ大した相手でもねえが……」

 

 悟空が僅かに緊張したような声で懐かしい名前を呼んだ。

 今挙げた敵は、どれも悟空が戦う事なく終わってしまった者達だ。

 だからこそ悟空は戦えなかった事を惜しんでいて、名前をよく覚えていた。

 だが惜しんでいたのも過去の話。どれも今となっては普通の超サイヤ人になるだけで十分倒せるレベルの敵ばかりだ。

 しかし確かに倒されたはずの敵が生きてここにいるというのが気になる。

 果たしてかつて倒した奴が生き返ったのか、それとも別次元の同一人物なのか。

 だが次の瞬間、そんな事がどうでもよくなるほどの嫌な気を二人は感じ取っていた。

 

「な、何だ……? まるで何人もの人間が悲鳴をあげているような……今まで感じた事もねえような、嫌な気だ……」

「誰かは知らんがロクな奴じゃなさそうだな……」

 

 酷く気持ち悪い……いや、そんな言葉で済ませていいレベルではない、とにかく嫌な気の持ち主がこの星にいる事を悟空達は感じ取った。

 悟空達だから『気持ち悪い』だけで済んでいるが、気の感知能力に優れ()()()リゼットならば、この気に中てられるだけで気分を害して寝込むだろう。

 しかし嫌悪感に悟空達が顔をしかめる中……21号だけは、うっとりとしたような顔をしていた事に誰も気付かなかった。

 

「……沢山の星の命が混ざり合って……ああ、何て……美味しそうなの」

 

 まるで極上のスイーツを前にしたかのように蕩け、舌なめずりをする。

 だが悟空が振り返った時は、普段通りの弱気そうな表情に戻っていた。

 

「ん? 何か言ったか?」

「あ、いえ! 何でもありません!」

 

 悟空に声をかけられ、21号は気を取り直すように自らの頬を叩いた。

 その奇行を不思議そうに見るも、気を取り直して悟空は皆に言う。

 

「どうやら思っていたよりずっとやばそうだ。

こりゃあオラ達も気ィ引き締めてかからねえと危ねえぞ。皆、準備はいいな?」

「フン、誰が相手だろうと関係ない。全員ぶっ殺せば済む話だ」

「ベジータと同意見だ。俺を滾らせてくれるほどの強い戦士がいる事を望む」

「あ、あの……私も頑張ります!」

 

 悟空の言葉にベジータとミラが好戦的に答え、21号は若干頼りない返事を返す。

 それを聞いてから悟空は先陣を切って飛翔し、その後に続いて全員が監獄惑星の中へと飛び込んだ。

 外観の出鱈目さとは裏腹に、星に入ってみれば案外景色はマトモだ。

 悟空達の降り立った場所は見渡す限りの荒野だが空は青く、空気も澄んでいる。

 ただ、上空に巨大な鎖があるせいで景観は少し残念な事になっていた。

 悟空は少し周囲を観察してから額に指を当て、少しそうしてから無言で指を離した。

 

「おい、何をしてるカカロット……まずはトランクスを探すぞ」

 

 ベジータが腕組みをしながら強い語気で言った。

 提案というよりは命令に近い言い方で、他の行動は認めないと言う圧力が感じられる。

 余程未来の息子の事が心配なのだろう。

 悟空はそんなベジータの子煩悩さに僅かに笑い、頷いた。

 元々ここにはトランクスを助けに来たのだから、それで問題はない。

 

「待て……何かがこっちに近づいて来ているぞ!」

 

 だがミラがいち早く巨大な気の接近に気付き、注意を促した。

 一瞬遅れて悟空達も気を感知して一斉に構えるものの、21号だけは反応が遅れ、構えもせずに狼狽えていた。

 やがて彼等の前に一人の男が降り立ち、その見覚えのある姿に悟空達が驚く。

 

「おめえは……」

 

 悟空達の前に現れた男……それは、悟空そっくりの戦士であった。

 友の形見である赤いバンダナを額に巻き、緑を基調とした戦闘服に身を包んでいる。

 戦闘服の下にはフリーザ軍時代にはなかった深緑のアンダースーツを着用し、手首には赤いサポーターが巻かれていた。

 以前とは少し衣装が異なっているが、悟空と瓜二つの顔に左頬の十字傷を見違えるはずがない。

 かつてフリーザとの戦いに敗れてワームホールに飲み込まれ、そして未来のトランクスの願いによって時の巣に召喚された戦士にして、タイムパトロール。

 その男こそは、孫悟空の父であるバーダックであった。

 

「見付けたぞ……フュー!」

 

 折角の親子の再会だというのに、バーダックは悟空を気にもかけずにフューへ怒りの視線を向けた。

 地を蹴り、彼の身体から気が溢れる。

 外見を変えないままに超サイヤ人3を上回る力を得る、潜在能力解放形態(アルティメット化)だ。

 更にバーダックの瞳が超サイヤ人4のように金色に染まり――驚くべきことに、人の姿のまま大猿の力を引き出す。

 人の姿のまま……それでいて、超サイヤ人4にもならずに大猿の力を引き出す事は決して不可能ではない。

 異なる並行世界では、惑星バンパで長年暮らしたブロリーが人のまま大猿の力を引き出している世界線だって存在しているのだ。

 有無を言わさずフューを仕留めにかかったバーダックの前に、悟空が咄嗟に超サイヤ人ブルーへ変身して割り込んだ。

 バーダックの拳を受け止めるも、以前とは比較にならないパワーに驚かされる。

 今のバーダックのパワーは、超サイヤ人4のターレスと比較しても見劣りしていない。

 

「待てよ父ちゃん。どういう事なのか説明してくれねえか?」

「……俺を父と知っているのか。どこの時代のカカロットかと思っていたが、あの世界のカカロットだったか」

 

 バーダックが何か納得したように笑い、ようやく悟空へと意識を向けた。

 悟空には分からない事だが、バーダックはタイムパトローラーとして様々な並行世界で戦っている。

 例えばそれはデンデが地球の神を務めている世界線だったりもするし、あのブロリーが幼少期にバンパという小惑星に追放され、心穏やかなまま優しいサイヤ人として成長した世界線もある。

 世界が違えば、同一人物であっても別人のようなものだ。

 同じ孫悟空であっても年齢相応に老成した孫悟空もいれば、そこから子供に戻ってしまったりした悟空もいるし、大人になっても純粋なままでキスすら知らない悟空もいる。

 正義感が強くて悪人を許さない悟空もいるし、逆に正義感が薄くて強い奴と戦えればそれで満足だという悟空もいる。

 ベジータにしても破壊神の機嫌を損ねないように土下座しているベジータがいる一方で、別の世界では常にぶっきらぼうなくせに娘に『パパ、ヒゲださい』と言われただけでショックを受けているベジータもいる。

 ターレスに至っては存在しないか、あるいは地球で悟空に殺されて終わるのがほとんどである。

 バーダックはそれを知っており、たとえ『カカロット』であったとしても自分の知るカカロット以外は彼にとっては息子ではなく他人なのだ。

 

「それなら……!」

 

 今ここにいる悟空が自分の息子だと認めたバーダックだったが、彼は戦いを止めなかった。

 それどころか更に気を上げ、悟空へと殴りかかる。

 悟空は驚きつつも冷静にバーダックの拳を逸らし、そして父の眼を見た。

 交差する父と子の視線……やがて悟空はバーダックの真意を悟り、薄く笑った。

 

「カカロット! テメェとは一度戦ってみたかったぜ!」

「……いいぜ。オラも実は一度やってみたかったんだ!」

 

 二人は同種の笑みを浮かべ、拳を真っ向から衝突させた。

 衝撃で二人の髪がなびき、風が吹き荒れる。

 だがまるで怯む事なく悟空が蹴りを放ち、バーダックがブロックした。

 回避しようと思えば出来ただろう。だがバーダックは我が子の実力を計るように受け止め、今度は反撃のダブルスレッジハンマーを繰り出す。

 大振りな一撃だ。避けようと思えば悟空ならば簡単に避ける事が出来る。

 だが悟空はあえて腕を交差させてその一撃を受け止め、痺れる腕の感触に酔いしれた。

 

「~~~っ……効くなあ!」

「テメェも腕を上げたようだな、カカロット!」

 

 二人は好戦的な笑みを消さずに互いを認め合い、尚も戦闘を続行した。

 普段の速度から考えれば緩慢とも思えるスピードで、一撃一撃を確かめ合うように交換する。

 バーダックが攻撃すれば次は悟空。悟空の攻撃が終わるのを待ってからバーダック。

 それは戦いというよりは、どこかじゃれ合いのようにも見えた。

 

「あっ、あの、止めなくていいんですか! あの二人、親子なんですよね!?」

「いや、その必要はないだろう」

 

 21号はオロオロしながら突如始まった悟空とバーダックの親子の戦いに狼狽えているが、ミラとベジータは冷静なものだ。

 悟空もバーダックも本気だが本気じゃない。

 矛盾しているようだが、実際その表現が最もしっくりくるのだ。

 決して加減しているわけではなく一撃一撃は全て本気で繰り出している。

 しかし相手を本気で倒そうという意思が感じられず、何かを狙っているように見えた。

 

「いくぜ、カカロット!」

「ああ!」

 

 バーダックが片手に気を溜め、悟空も迎え撃つようにかめはめ波の構えを取る。

 そして二人が同時に技を繰り出し、衝突と同時に大爆発を引き起こした。

 監獄惑星を覆う鎖が激しく揺れ、余波だけで空気が震える。

 数秒の爆発の後……しかし鎖は僅かな焦げ目がついただけであった。

 

「ちっ……駄目か」

 

 バーダックが忌々しそうに言う。

 彼の狙いは自分と悟空の技をぶつけ、その相乗エネルギーでこの監獄惑星の鎖を破壊してしまう事だった。

 悟空もその狙いを何となく察し、バーダックに合わせたのだ。

 タイムパトローラーであるバーダックがフューに攻撃を仕掛けた以上、フューは自分達に嘘を吐いていたと考えて間違いはない。

 となれば、彼はパトローラーなどではなくかつてのトワやドミグラと同種の敵なのだろう。

 自分達がまんまと誘い出されてしまったこの惑星も、あまりいいものではあるまい、と悟空は察していた。

 ベジータ達には話さなかったが、実は悟空はこの惑星に来ると同時に瞬間移動を試そうとしていた。

 それは万一の時にすぐにでも脱出出来るようにと、念のため瞬間移動が出来るのかを試す程度のものだったのだが、瞬間移動は出来なかった。

 その時から悟空は、自分達が閉じ込められた事に気が付いていたのだ。

 あえて言わなかったのはフューが敵だという確証が持てなかったからだ。

 しかしバーダックが出てきた事で、その疑念も解消された。

 

「あっはっはっはっは! 無駄だよォ!

そんな事したって、その鎖は壊れやしないよ!」

「……フュー。やっぱおめえ、悪い奴か。オラ達をここに連れて来て閉じ込めるのが狙いだったんだな」

「狙いは合ってるけど、悪い奴ってのは間違いだよ。

悪い奴なんかじゃない……とーっても、凄い奴なんだよ、僕は!」

 

 恐らくは自己顕示欲が強い性格なのだろう。

 声高らかに言い、フューは両手を広げた。

 本性がバレたからどうした、と言わんばかりの自信とふてぶてしさが彼からは感じられる。

 

「この監獄惑星は僕が作ったんだよ。凄いでしょう?

ここには色々な時代の強い連中を閉じ込めて、戦わせているんだ!

君達もここでいーっぱい戦って、僕を楽しませてよ!」

「フュー、お前……」

 

 ミラの咎めるような声も、フューには届かない。

 フューは決して悪ではないが善でもない。

 ただ自分の興味と好奇心が赴くままに行動する、自制の効かない子供なのだ。

 それも、能力だけは格別に高い子供だ。

 故に善悪の区別はなく、その時の状況と気分次第でどちらにも傾き得る。

 ある意味ではそれは、この世のどんな悪よりも性質が悪い存在だ。

 

「さあ、実験の始まりだ!」

 

 故に能力だけ育ってしまった子供は、一切の悪意なく無邪気にゲームの開始を宣言した。




【孫悟空:ゼノについて】
結論から言うとこのSSに孫悟空:ゼノとベジータ:ゼノはいません。
このSSだと既にそのポジションにバーダックが入ってしまっているので、孫悟空:ゼノを出すと被ります。
しかもトランクスもタイムパトローラーですので余計に入れる枠がないです。
(ヒーローズのアニメだとトランクス:ゼノと超の未来トランクスは別個体だが、ややこしいのでこっちでは統一している)
後、単純に文章メインで同じキャラが二人いるとどっちが喋ってるのか分かりにくいという。地の文で悟空:ゼノって書くのも何か間抜けだし……。
それにこれ以上悟空顔を増やしてもね……。
なので悟空:ゼノとベジータ:ゼノは出ません。
悟空:ゼノは犠牲になったのだ……。
ちなみにベジータ:ゼノの代役も一応います。ブルァと鳴く緑の人なんですけど。

【戦闘力】
・バーダック:11億
アルティメット化:2兆2000億
フルパワー:????
修行によりアルティメット化で大猿の力も引き出せるようになった。
つまり見た目はノーマルのままだが実質、超サイヤ人4。
超サイヤ人4ということは当然、その先の超フルパワーも可能という事である。
そんな事可能なのかって?
新ブロリーもやってたようなものだし、いけるいける。
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