ドラゴンボールad astra   作:マジカル☆さくやちゃんスター

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第4話 トリックスター

 リゼットによるモロ襲撃から一夜が明けた。

 有無を言わさぬ奇襲でモロを消し去ったリゼットは、神殿に戻るなり後の対応をMr.ポポに任せて自らはカリンを抱えて寝室に籠った。

 よほどモロの気が生理的に受け付けなかったのか、朝になった今もまだ寝込んでいる。

 どうやらかなり精神的にダメージ受けたようなので、しばらくリゼットは復活しないだろう。

 本人曰く、『モロの気を感じる事に比べれば不意打ちで世界中の虫が頭の上に降って来る方がまだ気分的にはマシ』らしい。

 そんなわけでザーボン達の目的はあっさり達成されてしまったのだが、彼等はまだ地球に留まっていた。

 寝込んだリゼットを放置して『もう用はない』と帰ってしまっては、流石に今後の評判に響きかねない。ザーボンが来る前の銀河パトロールの先走りとやらかしもあって猶更だ。

 それに、ザーボンにはこの機会に本格的に地球と『永遠の美』との間にパイプを作っておきたいという考えもあった。

 地球は北の銀河の辺境の惑星に過ぎないが、抱えている戦力は第七宇宙……いや、全十二宇宙を見渡しても最強と言っても過言ではない。

 単体戦力ならば第十一宇宙のジレンが勝るが、総合的な戦力では地球が勝る。

 ザーボンが片腕として頼りにしている用心棒のレジックは宇宙全体を見渡しても渡り合える者がほとんどいない強者だが、そのレジックですらこの地球では神殿に配備されているゴッドガードン一機にすら及ばないのだ。

 というか何だあの強すぎるロボット。私も一機欲しいとザーボンは心から思った。

 そしてそのゴッドガードンもここではちょっと頑丈な玩具みたいなものだ。

 力の大会メンバー最弱のヒルデガーンの足元にも及ばず、それどころか大会に出場すらしていないカリンにも遥かに劣る。

 この超戦力との間に同盟のパイプを繋げる事が出来れば、それは宇宙最強の戦力を後ろ盾に出来るに等しい。

 勿論、逆に『永遠の美』が地球の後ろ盾になる事も出来るので向こうにとっても損のない取引のはずだとザーボンは踏んでいた。

 故にザーボンは神殿付近に宇宙船を停めて、リゼットが起きるまで待っているのだ。

 

 そこに、瞬間移動で悟空を始めとする地球の戦士達が現れた。

 悟空にベジータ、ピッコロにターレスの安定の地球四強揃い踏みである。地球人が一人もいないのはご愛敬だ。

 ザーボン達の気は地球の戦力基準から見れば二軍どころか三軍レベルであっても、宇宙全体から見れば間違いなく超一級の戦力だ。

 そんなのが神殿付近にいれば、当然地球の戦士達が気付かないはずがない。

 神殿にもミラや四星龍、21号などがいるので並大抵の敵は返り討ちに出来る。なので全く心配などしていないのだが、それでも一夜が明けてまだ滞在しているようでは流石に気になるだろう。

 特にベジータとターレスは、ザーボンの気に覚えがあるから尚更だ。

 

「お前達は……」

「これはこれは。随分とお懐かしい顔で……この星に何をしに来やがった? ザーボンさんよ」

 

 突然の遭遇に驚くザーボンへ、ベジータが挑発するように話しかけた。

 ベジータにとってザーボンは、フリーザ同様に自分を散々扱き使ってくれた忌まわしい相手だ。

 それが何故生きてここにいるのかは知らないし、銀河パトロールの連中がザーボンを守るように前に出ている理由も分からない。

 しかし少なくとも、ベジータの中ではザーボンは敵であった。

 そしてザーボンも、地球の戦力との間にパイプは繋ぎたいがベジータは別だと考えている。

 ベジータはフリーザ配下の時からやたら反抗的だったし、プライドばかり高くて扱いにくい男だった。

 いつ背後から撃ってくるか分からない味方など、ザーボンとしても必要はない。

 

「ふっ……今の私の地位や仕事などをお前如きに話したところで到底理解出来るものではあるまい。

だが、私に手を出せばこの地球そのものの不利益に繋がるとだけ教えておいてやる」

「ほう? そんな下らん脅しで俺が恐れるとでも?」

 

 余裕そうなザーボンの表情が気に入らなかったらしく、ベジータは薄ら笑いを浮かべながら一歩前へ出た。

 だがその彼の腕を悟空が掴み、諫める。

 

「待てよベジータ。まずは話を聞いてみようぜ。

おめえ達の間に昔何があったかは知らねえが、見た所あのザーボンって奴は戦う気はなさそうだ」

「ちっ……貴様は知らないからそう言えるんだ、カカロット! いいか、あの野郎はな、フリーザの命令でいくつもの星の破壊に加担して来たんだぞ!」

「いや、それを言ったらベジータだって元々は地球を壊しに来たんじゃねえか……」

「か、過去の事には触れるな!」

 

 家庭を持ち丸くなったベジータにとって、嬉々として惑星を破壊してそこの住人を殺していた過去は今となっては触れられたくない恥部だ。

 特にトランクスには昔の自分の悪事をあまり知られたくない。

 生まれたばかりのブラに教えたくないし、娘が育ってから『パパ極悪人なの? サイテー』とか言われるのを想像すると死にたくなる。

 

「落ち着け、ベジータ。ザーボンの着ている服をよく見やがれ。

ありゃあ銀河パトロールの制服を改造したもんだ。

それを着ていて、しかも制服の改造を許されてるって事は相当いい地位に就いてるって事になる。

周りの雑魚共もザーボンを守るように動いてるしな。

そんなのを問答無用で殺せば……地球は宇宙中を敵に回しかねねえぞ」

 

 ターレスの言葉にベジータは動きを止めた。

 宇宙を敵に回したから何だと言うのだ……とは思えなかった。

 確かに戦闘力で言えば今のベジータ達を脅かす者などそうそういない。

 だが何も戦闘力で勝てずとも、方法などいくらでもあるのだ。

 例えば遠距離から星間弾道ミサイルなどを打ち込んで惑星そのものを破壊する手もあるし、気が一般人並に低い隊員を送り込んで、地球上で絶滅カプセルを割るという方法もある。

 ベジータ達ならばそれでも瞬間移動などを駆使して生き残り、相手を全滅させる事も出来るかもしれないが……ブルマやスノといった一般人は死ぬ可能性が高い。

 その危険を冒してまでザーボンを殺す意味は、あまりない。

 

「流石は元クラッシャー軍団首領。ベジータよりは話も分かりそうだ。

一つだけ間違いを正すならば、私は銀河パトロールに所属しているわけではない。

その上部組織である『永遠の美』の総帥をやっているというだけだ」

「……そりゃあまた、随分と出世したもんだな。どんな手品を使ったんだ?」

「大した事ではない。お前達が戦闘力を伸ばしている間に私は権力という力を伸ばしていた。

ただそれだけの事だ」

 

 ザーボンはターレスの冷静さを評価し、自らの地位を語った。

 これには流石にターレスも驚き、ベジータとピッコロも顔をしかめる。

 ザーボンは今の彼等から見れば弱いが、代わりに迂闊に手を出せない地位を手に入れた。

 なまじ半端に強い輩よりも、ある意味遥かに厄介で性質が悪い。

 悟空だけは深刻に受け止めていないのか、いつも通りの呑気な顔のままだ。

 話の大きさはとりあえず理解出来るが、だからどうしたといった感じである。

 

「よく分かんねえけどよ、おめえ達は地球に何か悪い事をしに来たわけじゃねえし、これからも悪い事はしないって事でいいんだよな? 銀河パトロールってのは確か宇宙の平和を守ってんだろ?」

「そういう事だ。今の私はお前達の敵ではない」

「そんなら、それでいいさ」

 

 ザーボンの言葉に悟空は意外なほど疑いを見せず、薄く笑った。

 しかしこれに、当然のようにベジータが反発を見せる。

 

「カカロット! 貴様またそうやって……!

いいか! こいつがいい奴だなんて思っているなら、大間違いだぞ!

このザーボンってヤローはな! いつだって自分の事しか考えてねえクソヤローだ! 絶対に改心などせん!」

「フン、野蛮な猿野郎が自分を棚上げしてよく喚きやがる。直接殺した数を言うならば私より貴様の方が遥かに上だろうベジータ」

「なんだとお……!」

「ま、まあまあ、落ち着けって! な!」

 

 互いに暴言を交わし、一触即発となったベジータとザーボンの間に悟空が割り込んだ。

 前に出ようとするベジータの肩を押し、何とか留まらせる。

 

「ここでこのザーボンって奴をやっつけても何もならねえだろ。

こいつがもし何か悪い事をするってんなら、その時はオラ達がやっつけちまえばいい」

「ぐ……!」

 

 ベジータを宥める悟空の言葉に、ザーボンは顔を強張らせた。

 今のはベジータを落ち着かせるだけの言葉ではない。

 あえてザーボンの目の前で言う事で、『何かしたら倒す』と警告したも同然なのだ。

 狙って言ったのか、それとも何も考えていないのか……どちらかは分からないが、ザーボンは悟空の方がベジータより厄介かもしれない、と考えた。

 まるで大人の冷静さと子供の単純さを兼ね備えているようで、底が見えない。

 

「話は終わったようだな。それでは、まずは何があったのか説明してくれ」

 

 いざこざが一段落した所で、これまで無言だったピッコロが口を開いた。

 彼が話を振った相手は21号だ。

 この中では最も説明が上手いと考えての事である。

 少なくともミラ、四星龍、ポポよりはマトモな説明が期待出来そうだ。

 それを受けて21号が、昨晩起こった出来事を語り始めた。

 

 

「あちゃー、また出遅れちまったんか。オラもそのモロって奴と戦ってみたかったぞ」

 

 説明を受け、悟空は残念そうな声を出した。

 彼の知らないうちに強敵がリゼットによって葬られているというのは割とよくあるパターンだが、今回もそうなってしまったらしい。

 

「星喰いか……気を感じただけで寝込むとは相当だったんだろうな。ポポ、リゼットの奴は大丈夫なのか?」

「体調に問題ない。ただ気分悪いからカリン連れて行って休んでる」

「そうか……まあカリンが一緒なら大丈夫だろう」

 

 ピッコロがリゼットを心配するというのは今までならば無かったことだが、先代と融合してからは若干リゼットに対して優しくなったようにも見える。

 人格はあくまでピッコロのままだが、細かい部分では融合相手の影響も受けているのだろう。

 ともかく、新たな危機は自分達が知らない間に終わっていた。

 リゼットも少ししたら復活するだろうし、要するに地球は今日も平和だという事だ。

 これを残念に思っているのは悟空だけである。

 

「孫悟空、お前はどの時代でも地球を守って戦う男だったと記憶していたが……もしかして、俺が思う程お前は正義感とかがある方ではないのか?」

「ん? いや、オラは別に正義の味方になった覚えはねえしな。

そりゃあフリーザみてえな悪い奴は大嫌いだけどよ……けど、やっぱ強い奴とは戦ってみてえじゃねえか」

「そ……そうだったのか……」

 

 見ているだけの時と、実際に話してみれば全く印象が変わる相手というものがいる。

 孫悟空もそのタイプで、結果的には地球のヒーローのようになっているがその本質はただのバトルジャンキーである。

 勿論最低限の正義感は持っているし、悪い奴は許せないが……それはそれ、これはこれだ。

 強い奴がいるなら戦いたくなるのはサイヤ人の本能であり、戦士の性である。

 そんなギャップにミラは僅かな驚きを感じていた。

 彼の中での孫悟空は地球を守って戦うヒーロー的なイメージが強かったのだ。

 

「へえ、強い奴と戦いたいんだ? じゃあ、僕がいい場所に案内してあげるよ」

 

 そんな不満を持て余す悟空へ、聞きなれない誰かの声がかけられた。

 まず真っ先にベジータとターレスが反応して構えを取り、ピッコロが腕組みを解く。

 21号の目が弱気そうなものから一転して鋭くなり、四星龍が静かに闘志を滾らせた。

 最後に悟空が表情を引き締め、ゆっくりと振り向く。

 悟空達がここまで警戒している理由……それは、『声をかけられるまで誰も気付けなかった』からだ。

 いくら気を抜いていたとはいえ、ここに集まっているのは宇宙屈指の強戦士達だ。

 それがここまで接近され、声をかけられるまで気付けないなど普通ではない。

 それだけでこの声の主が只者ではないと分かる。

 

「おめえ、なにもんだ?」

「そう警戒しないでよ。僕はフュー……君達も知っている未来の方のトランクスの“オトモダチ”さ」

 

 そこにいたのは、青い肌の耳が尖った青年であった。

 男ではあるが白い髪をポニーテールにしており、レンズが黄色い丸眼鏡を付けている。

 逞しいボディラインがハッキリと出る黒いアンダーシャツに、下は黄色いズボン。

 腰の後ろには鞘に納められた刀が見え、飄々とした雰囲気の中に不気味さが感じられる。

 眼鏡の奥の赤い瞳を動かして値踏みするように悟空達を見回し、小さく「いいねえ」と呟いた。

 

「トランクス……だと?」

「ああ、僕もタイムパトロールなんだ。トランクスとは、一緒に色々な時代を飛ぶ仲間だよ」

 

 怒気の混じったベジータの言葉に、まるで恐れを見せずにフューが答えた。

 タイムパトロール、という言葉が出るという事は本当に未来トランクスを知っていると見て間違いないだろう。

 しかしだからといって、初対面の相手が口にした『トランクスの“オトモダチ”』という言葉をそのまま信じるほど悟空達は頭がハッピーセットではない。チャクラ宙返りするサスケェ!人形も付いてきてお得だ。

 事実か虚言か……そう悩む悟空達の前で、フューと名乗った青年は更なる爆弾発言を投下した。

 

「トランクスは大変な事に巻き込まれている。

彼は今、監獄惑星という宇宙中の物凄く強い囚人達が閉じ込められた場所に閉じ込められているんだ。

君達の助けが必要だ。僕と一緒に、トランクスを助けに行ってくれないかい?

ねえ……()()()()?」

 

 そう言い、フューはミラへと視線を向けた。




【戦闘力】
フュー:推定1兆以上
『超フュー』という変身もあるが、ノーマルのままでもかなり強い。
ゴッド覚醒前とはいえ悟空とベジータを同時に相手にしてあしらい、超フューになった後は超4の悟空とベジータの二人を相手にしても優位に戦うなど、最大で数十兆クラスにも届くかもしれない逸材。
暗黒王になると手が付けられない。
更に歴史改変のエネルギーを吸収する特殊能力もあるので、その可能性は未知数。
ノーマルでの戦闘力も当たり前のように兆超え。
ちなみにゼノバースとヒーローズでかなり強さが違う。というかヒーローズはその時のノリでキャラの強さが変動するので参考にならない。

【フュー】
ドラゴンボールゼノバース2、ドラゴンボールヒーローズに登場するキャラクター。
ゼノバースとヒーローズで性格が違う。
善悪の区別がなく、いい意味でも悪い意味でも子供っぽいというキャラ性自体は共通しているがゼノバースではやや善寄りで「ハッピーな方がいい」と言い、どちらかといえば改変によって、より良い結果を引き寄せようとしているようにも見える。
一方ヒーローズでは自分の欲望に忠実で、実験と称して好き放題やっている。
マザー3のポーキーみたいな奴。
オンラインではトワとミラの息子で、ゼノバース2とヒーローズではトワとミラの細胞から生み出された突然変異体。
このSSでもゼノバース2とヒーローズの方の設定だが、遺伝的にはまあ親子と考えていいのではないだろうか。

【チャクラ宙返りするサスケェ!人形】
時は2010年、奴は颯爽とその姿を現した。
マクドナルドのハッピーセットに出現したそれはまさに新たな光。
背中にあるレバーを押し込む事でチャクラ宙返りを披露してくれるが、割と失敗する。
その邪神の如きインパクトであっという間に話題になり、ファンを虜にした。
海外のスレでは頭の上にコイン、チェスの駒、ボトル、初音ミク、ストライクフリーダムガンダム、金魚鉢、挙句の果てに実物のスクーターまで乗せられてバランスを維持していた。
コラ画像(幻術)か? イヤ……コラ画像(幻術)じゃない……!
……イヤ……コラ画像(幻術)か? またコラ画像(幻術)なのか!? イヤ……。
何だアレは!?
煽り『またコラ画像(幻術)なのか!?』

【リゼット一時離脱】
精神的ダメージを受けて戦線離脱。
頼りにならない主人公だ……。
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