ドラゴンボールad astra 作:マジカル☆さくやちゃんスター
リゼットが黒煙の龍を消し飛ばすと同時に、龍は七つに弾けて世界各地へと飛び散ろうとした。
だが神殿には既にリゼットが張ったバリアがある。
それも邪悪龍が苦手とする神の気――プラスのエネルギーの極地とも呼ぶべき力で張られたバリアだ。
龍はそれを突破する事が出来ず、神殿や以前ヒルデガーンとの戦いの際に造った巨大リングの上などに墜落し、それぞれの姿を晒した。
地上へなどは行かせないし、地球に異常気象なども起こさせない。
ここで、出現した事すら人々には知られないままに消えて貰う。
その為にリゼットはゴッドガードン達へと出撃命令を下し、自らも敵の大将を相手にするべく飛翔する。
だがそんな彼女の前に、時空を超えてバーダックが突如として出現した。
『リゼットさん、加勢します!』
この場にはいないがトランクスの声も聞こえる。
どうやら今回は時の巣で待機しているらしい。
とはいえ、バーダック一人だけでも十分にありがたい。
「ドミグラの野郎の置き土産とくりゃあ、俺達の仕事でもあるからな。
勝手に手伝わせてもらうぜ」
それだけ言い、彼は適当な相手を見付けて飛び去った。
頼もしい援軍にリゼットが微笑み、しかしすぐに表情を引き締める。
彼女が見定めた相手は言うまでもなく敵の総大将……一星龍だ。
向こうもリゼットを最大の強敵と見なしたのか、他の戦士には目もくれずにリゼットを凝視している。
そんな一星龍の前にリゼットが着地し、二人は正面から相対した。
邪悪龍、二星龍は毒を操る龍である。
高い戦闘力こそ持たないが、周辺を毒のフィールドで満たす事で敵の戦闘力を下げて最終的には動けなくし、勝利を得る事が出来る。
しかし彼と相対するのは鋼の守護者ゴッドガードン。生物ではないそれを相手に毒など当然通用しない。
ツフル人の天才科学者ドクターライチーが造り、それを元に地球の天才科学者ブリーフ博士が改良、量産したゴッドガードンは戦闘力にして50億を記録する。
これは人造人間17号や18号を遥かに凌駕する数値であり、1対1ならばボージャック以外のヘラー一族にすら勝てる強さだ。
精神と時の部屋から出た直後の超ベジータに若干劣る程度……この世界線には登場すらしていないが、セルの第二形態以上と思えばその凄まじさも理解出来るだろう。
要するに……二星龍に勝ち目などなかった。
「ま、待ってくれ、頼」
『リゼット様ノモトヘハ、オレサマヲ タオサナケレバ イケヌゾ!』
意外と俗っぽい話し方をするゴッドガードンが容赦なく最大武装のガードンクラッシャーを発射し、二星龍へ直撃させた。
無論耐えきれるわけがない。
二星龍は木っ端微塵に砕け散り、消滅した。
邪悪龍、五星龍は電気を吸い取り操る龍である。
その体躯は1mにも満たないが、彼は自分こそ邪悪龍最強であると信じている。
実際その能力は凄まじいものだ。己の手足である電気スライムを使役し、周囲から電気を吸い取らせて己へと同化させる事で巨大化する事が出来、巨大化した後はその弾力に富んだ身体で殆どの攻撃を弾き返す。
攻撃能力も決して悪くない。必殺のドラゴンサンダーは当たれば悟空にすら通用する威力を秘めている。
しかしその戦闘力は電気を吸収すればこそ。
そもそも吸収すべき電気がないこの神殿では真価を発揮できない。
唯一の電気を帯びた相手はゴッドガードンだが……しかし彼の前に立つのは電気とは無縁なピンクの魔人だ。
無害そうな顔でニコニコと笑いながら魔人ブウは五星龍をどうやって食べるかばかり考えていた。
要するに五星龍に勝ち目などなかった。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。頼む、電気を少し分け」
「お前食べちゃお」
意外と人の話を聞かない魔人ブウが容赦なくおやつ光線を発射し、五星龍へ直撃させた。
無論耐え切れるわけがない。
哀れ五星龍はチョコになってしまい、そこに追い打ちのガードンクラッシャーが飛んで来て木っ端微塵にしてしまった。
食べようと思っていたブウは不満そうだが、マイナスエネルギーの塊である邪悪龍など食べてはお腹を壊してしまうかもしれない。
なので代わりにゴッドガードンは普通のチョコを魔人ブウに与えた。
邪悪龍、七星龍は他者に寄生してその力を自由自在に操る龍である。
ただ操るだけではない。本来の戦闘力の何倍、否、何千、何万倍もの力を発揮させる事が出来るのだ。
その倍率の凄まじさたるや、超化も出来ないサイヤ人に寄生して超サイヤ人4にダメージを与えられる程と言えば出鱈目具合が伝わるだろうか。
しかし彼と相対するのは鋼の守護者ゴッドガードン。生物ではない相手にどう寄生しろというのだ。
七星龍はドラゴンボールが本体とも言うべき変わった性質を持ち、不用意に触れた相手へ寄生する事も出来る。
だが繰り返すが相手はゴッドガードンだ。致命的なまでに相性が悪い。
更にそこに五星龍と二星龍を葬ったゴッドガードンと魔人ブウが合流し、駄目押しとばかりに他のゴッドガードンまで押し寄せた。
その差、実に16対1。鋼の守護者と魔人に囲まれてしまった七星龍はもう泣くしかない。
「た、頼む、何かに寄生するまで待ってく」
『リゼット様ノモトヘハ、オレサマ達ガ ユク!』
実は意外と感情豊かなゴッドガードンズが容赦なく七星龍を取り囲んで集団リンチし、原型を無くすまで文字通り叩き潰した。
ついでに魔人ブウも参加し、追い打ちをかける。
無論耐えきれるわけがない。
七星龍は悲鳴をあげながら、消滅した。
邪悪龍、六星龍はギャルのパンティの願いから生まれた可哀想な龍である。
悟空達とドラゴンボールの長い付き合いの中でも記念すべき最初の願いにして伝説の願いより生まれたとても哀れな彼女は、そんな願いから生まれた自分を結構恥じていた。
しかし願いは馬鹿馬鹿しくとも、その実力は侮れない。
自らが高速回転する事で竜巻を起こし、敵の攻撃を弾く攻防一体の能力は先の三体のように状況を選ぶものではなく、相手が舐めプしなければ実は一瞬でやられる雑魚だったなどというオチもない。
極めて正統派の実力者であると言える。
加えてその容姿は、並の男であれば攻撃自体を躊躇してしまうものだろう。
しかし彼女と戦うのはバーダック。かつて数多の惑星を侵略し、幾度死にかけても懲りなかった根っからのサイヤ人だ。
相手が女だからといっていちいち躊躇うような甘さなどあるはずもなく、何ら容赦のない怒涛の攻めで六星龍を追い詰める。
戦場に立ったならば、それは戦士だ。戦士に男も女もない。
全力で戦う事。それが彼なりの相手への敬意の表し方であり、そして流儀であった。
「そりゃあああ!」
高速回転しながら風の障壁を纏う六星龍に正面から拳を叩き込む。
拳が弾かれるというならば単純な話、弾かれないだけの速度と威力で打ち込めばいい。
あえて六星龍の回転に真っ向から歯向かうように拳を当て、己の手が血に染まるのも厭わずに繰り返す。
すると六星龍の回転が少しずつ弱まっていき、その表情には焦りが見え始めた。
「な、なんて出鱈目な奴!」
「それが俺達サイヤ人だ」
バーダックが拳打を放ち、その衝撃波で六星龍が弾き飛ばされる。
目には目、風には風。
次々と放たれる拳の風圧が六星龍を打ちのめし、地面に倒れさせた。
その拍子に六星龍の変身が解け、本来の姿――醜い龍としての素顔を出してしまう。
だがそれを見てもバーダックの表情は変わらず、何か言う事もなかった。
「お、おのれ……妾の素顔を、見たな……。
醜い顔だと、思っているのだろう……」
「……いや、別に」
六星龍は憎しみを込めて言うが、それにバーダックは至極どうでもよさそうに返した。
別に嘘ではない。そもそも彼は今までに多くの異星人を見て来たのだ。
今さら少し人間離れした顔を見せられた所で別に何とも思わない。
そもそもベジータの弟に至っては、明らかに美的感覚すら異なるはずのオプーナのような異星人を妻にしているのだ。
ましてやここは戦場。相手の外見で判断などしない。
「戦ってる最中に相手の面なんざ気にすっかよ。
だがそうだな……アンタ、結構強かったぜ。
それに気も強い。そういうのはサイヤ人の好みのタイプだ。
アンタ、イイ女だと思うぜ。トーマの奴が生きてたら紹介してた所だ」
「……は……ははっ。なんだ、それは。
だが……悪くない。其方もいい男ではないか。違う出会い方をしたかったのう。惚れていたやもしれん」
「悪いが俺はこれでも妻子持ちだ。
「そうか。残念だ」
六星龍は最後の力を振り絞って女性の姿へと戻り、静かに目を閉じた。
せめて死ぬときは美しい姿で死にたい。それは彼女の女としてのプライドであった。
ましてやこの男の前で醜く死ぬのは、嫌だったのだ。
たとえそれが、見た目などを気にしない男であったとしても……それでも彼の前では不思議と綺麗なままでありたいと思った。
もしかしたらそれは恋と呼ばれる感情だったのかもしれない。
生まれてすぐに出会った男に恋をして、そして失恋をした。
そう書くと何とも間抜けなものだが、それでも悪くないと思えた。
……自分を殺す相手が、この気高い戦士でよかった。そう、思えた。
「あばよ。嫌いじゃなかったぜ」
最後の餞別の言葉。
それを耳にすると同時に気功波の熱が彼女を飲み込み……六星龍はこの世から消え去った。
その戦いは、これまでの戦いとは格が違っていた。
黄金色に輝き、体温を太陽表面と同じ6000度にまで上昇させる事が出来る四星龍と、トワとの融合により超パワーを得たミラとの衝突は一撃ごとに神殿を覆うバリアを軋ませ、重厚な打撃音を響き渡らせる。
かつて対ヒルデガーン用に建設した特設リングは二人が一歩踏み込むごとに抉れ、溶けていた。
四星龍の超高温を、ミラは全身を気で覆う事で遮断し、互角の攻防戦を繰り広げる。
互いに戦いを何よりの楽しみとする武人同士であり、そこに小細工や策はない。
どこまでも愚直な力比べ、速さ比べは『どっちが強い』という子供染みた強さ比べを究極にまで昇華したものだ。
余計な邪念が一切入り込まないが故に純粋。純粋であるが故の高揚。
ミラと四星龍は命を削るような打撃戦の中でありながら、互いの技量を認め合い、この瞬間を心より楽しんでいた。
「嬉しいぞ……今の俺とここまで戦える強者がこんな所にいたとは。
そしてお前からも感じるぞ。どんな相手にも立ち向かう燃えるような闘志を」
「私も同感だ。お前ほどの男と戦える事を幸運に思う。
この四星龍が全力で戦うに相応しい戦士よ」
ミラの拳が四星龍の腹にめり込み、四星龍の拳がミラの頬を打つ。
四星龍の蹴りが顎を跳ね上げ、ミラの蹴りが延髄に決まる。
痛みすらもが心地よく思えるこの興奮、昂りはきっとリゼットには理解出来ない世界だ。
彼女もまた戦士である事に違いはないが、武術家ではあっても武道家ではない。
彼女にとって戦いとは手段であり、技とは武器だ。
無論自らが強くなることに達成感は感じているだろうし、修行そのものに少しは楽しみを感じてもいるだろう。
だが戦いそのものを目的として楽しむ心はきっと彼女には分からない。
女には決して分からぬ男の世界。男同士だからこそ理解し合える狂気の境地。
保身など一切考えぬ。後の事も知らぬ。
戦いを楽しむ為だけに今この時、一瞬の攻防のみに全てを費やすこの感覚。
その、何と心地良い事か。
「はあ!」
四星龍の肘がミラの頬骨を砕いた。
痛みを感じているのに感じていない、とでも言うべきこの感じを言い表す言葉を彼は知らない。
痛覚が消えたわけではない。身体のどこがどれだけの力で攻撃されたかはしっかりと把握出来ている。
だがその痛みが苦にならない。怯みもしない。
「ぜあ!」
ミラの打ち下ろした拳が四星龍の頬に亀裂を入れた。
一撃ごとに拳が僅かずつ焼ける。その熱さを感じていないわけではない。
だがそんなものは気にならず、脳内麻薬が壊れたように出続ける。
勝負の果てに自分がどうなるかなど考えもしない。ただ今は、目の前のこいつに勝ちたい。
ただそれだけを想う。それだけを楽しめる。
「「おおおおおおおおおッ!」」
掌を握り合い、正面から力比べの姿勢へと入った。
ミラの掌が焼け、四星龍の手がミラの握力で罅割れる。
だが向ける表情は互いに笑みに彩られ、最早痛みや熱さなど高揚を高めるスパイスにしかならない。
暑苦しい男が二人、幸運にも降って沸いた素晴らしい好敵手との戦いで互いを高め合いながら咆哮した。
タピオン「お、俺の出る幕がない……」
※神殿側の戦力が充実しすぎて出番のないタピオンさんの図。
とりあえず端っこの方でオカリナでも吹いてて下さい。
Q、何で未来トランクスこないんだよ
A、ゼノバースでもこいつ、こんなんやぞ