ドラゴンボールad astra   作:マジカル☆さくやちゃんスター

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第百十六話 邪悪なる龍

 コントン都。

 そこは以前のドミグラの襲撃によって破壊されてしまったトキトキ都を建て直した、タイムパトローラーやその卵が集う拠点とも呼べる都だ。

 時間と時間の境目に存在し、あらゆる時間軸へ行き来出来るその場所は時の界王神が管理運営し、時間のイレギュラーに対応する。

 そこに集まる者達に種族の隔たりはない。

 地球人やサイヤ人、ナメック星人はおろかフリーザ一族や果ては魔人ブウの分身体までもが暮らし、時間を守るために日夜トレーニングを積んでいる。

 通常の界王神達は時の指輪という形で並行世界の存在を認識する。

 だがそれは、自分の世界から分岐した歴史、あるいは自分達の世界そのものが分岐した世界の場合の元の歴史を認識出来るに過ぎず、無限に広がる並行世界の全てを認識出来るわけではない。

 彼等が知ることが出来るのはあくまで、自分達の世界と極近しい位置にある並行世界だけだ。

 そしてそれが通常の界王神の限界だ。彼等は宇宙を管理する神であっても時間を管理するのは本業ではない。

 だが時の界王神から見れば時間とはそのように単純なものではなく、もっと複雑に分岐しているものだ。

 リゼットがいる世界がある。リゼットがいない世界もある。

 孫悟空がフリーザとの戦いで超サイヤ人にならずにクウラとの戦いで覚醒する世界があれば、そもそもクウラなど存在しない世界もある。

 魔人ブウとの戦いで悟空とベジータが生き返る世界があれば、生き返らずにあの世でジャネンバと戦う世界だってある。

 破壊神ビルスが訪れる世界がある一方で、ビルスが訪れずに時間が過ぎて究極のドラゴンボール探しの旅が始まる世界もあるだろう。

 並行世界とは無限だ。些細な事で分岐してしまう。

 そして世界を分岐させるのは歴史を超えた者達だけではなく、その時を生きている者達の少しの気まぐれや判断の違い、運などによって変わってしまうのだ。

 ビルスの例などが最たる例だ。ビルスが地球に訪れない歴史において、彼が来なかった事に理由などない。

 ただ単に予言を忘れて寝過ごしただけであり、別に誰かが時間を超えて手を加えたわけではないのだ。

 だが、たったそれだけの事で歴史は完全に分岐してしまい、孫悟空はゴッドにならずに究極のドラゴンボールによって子供にされ、そしていくつもの戦いを経て異なる進化である超サイヤ人4へと目覚めた。

 この世界線では悟空やその仲間達は一生破壊神やその上の全王の存在すら認識せず、生涯を終えるだろう。

 そしてその全てを観測している者こそが時の界王神であり、彼女の手足として各時間軸を移動して歴史を見守るのがタイムパトローラーなのだ。

 そのタイムパトローラーの中でも最高責任者に任命され、日々忙しく働いている男がいる。

 銀色の髪に黒いコート。かつてリゼット達と共に戦った事もある未来のトランクスだ。

 彼は時の界王神が住まう時の巣へと向かい、そこで己の上司である二人の界王神と対面した。

 一人は先述の時の界王神。桃色の肌に、同じく桃色の髪をした小柄な少女の姿をした神だ。

 こんな外見であるが、その実年齢は7500万歳を超えているらしい。

 元々は界王であったが、功績が認められて界王神に昇格したという珍しい経緯を辿っており、生まれついての界王神だった東の界王神よりも現場への理解度は高い。

 もう一人はモヒカン頭の、老いた界王神。Zソードに封印されていた事で知られる神だが、この老界王神が一体どの時間軸から来たのかは不明だ。

 

「お待たせしました」

「おせえぞ、トランクス」

 

 時の巣へ入ったトランクスにぶっきらぼうな声がかけられる。

 声の主は悟空に瓜二つの容姿のサイヤ人で、名をバーダックという。

 本来は既に死んでいるはずの男なのだが、タイムホールに巻き込まれてトキトキ都へ訪れてしまい、その後はタイムパトローラーとしてトランクスと共に戦い続けている。

 身に着けているのは戦闘服だが、以前とはデザインが違う。

 以前の戦闘服と似た意匠ではあるが、内側には黒のアンダースーツを着込んでおり、防御力が前よりも上がっているのだ。

 

「それで時の界王神様。一体何が起こったのでしょう?」

「ちょっと不味い事になったわ。とにかく、これを見て」

 

 時の界王神がそう言い、部屋の中央にある水晶玉に手を翳す。

 するとそこには改変されてしまった歴史が映し出され、その中でリゼットやセル、ミラと邪悪龍が対峙していた。

 邪悪龍とはドラゴンボールが限界までマイナスエネルギーを溜め込んだ時に発生してしまう邪悪な者達の事であり、リゼットがボールを完全に管理しているこの世界線では誕生しないと思われていた存在であった。

 

「じゃ、邪悪龍……! 何故この世界に邪悪龍が!」

「ドミグラの仕業よ」

「ドミグラですって?! しかし奴は……」

「そう、リゼットちゃんと悟空君が倒したわ。けどあいつは時間差で発動する魔術を仕掛けていたのよ。

そしてワームホールを通って奴のマイナスエネルギーがドラゴンボールへ当たり、邪悪龍を生み出してしまった」

 

 時の界王神が複雑そうに話し、今はもういないドミグラの所業に心を痛める。

 バーダックは腕を組みながらフン、と鼻を鳴らす。

 

「トランクスといいセルといい、トワやミラ、ザマスときて今度は一周してまたドミグラか。

つくづく、他の時間軸から干渉される世界線だな」

「ともかく、放ってはおけんのう。行ってくれるか?」

 

 バーダックが軽口を叩き、老界王神がバーダックを見た。

 それにバーダックも「あいよ」と返し、時の巻物を受け取る。

 ドミグラの置き土産だというならば、それはタイムパトロールが関わるべき案件だ。

 リゼットならば放置してもどうにかしてしまうかもしれないが、行かないわけにはいかない。

 

「頼むわよ、バーダック」

 

 時の界王神に言われ、バーダックは時間を超えた。

 

 

 ミラとの戦いから一月が経過した。

 彼は今は神殿に滞在しており、暇な時間はずっと修行に励んでいる。つまりはずっと修行しているという事だ。

 かつて敵であったミラが地球に滞在し、神殿に住む事になったのには悟空達も驚いていたが、しかし驚くだけで反対する者は一人もいなかった。

 何せ彼等にとって、敵だったはずの者が味方になるなど今に始まった事ではないからだ。

 『ああ、今度はこいつが仲間になったんだな』程度の感覚でしかない。

 故にミラはさしたる抵抗もなく受け入れられ、これには当の本人が『これでいいのか?』と不安すら感じた程だ。

 しかし一月もすれば大分慣れるもので、今ではミラは神殿でセルを相手に修行を積んでおり、セルもまたいい練習試合の相手が出来た事を喜んでいる。

 そんな二人の戦いを背にリゼットはドラゴンボールを集めて浄化を行っていた。

 ドラゴンボールは願いを叶えるたびにマイナスエネルギーを溜め込み、それを浄化するには100年を待たなければならない。

 しかしリゼットは原作の知識によってそれが実は人によって浄化出来る物である事を知っており、悟空が四星球を飲み込んで浄化し、四星龍を味方に加えたエピソードは印象に強く残っている。

 リゼットは別にドラゴンボールを飲み込むような事はしないが、負のエネルギーの浄化ならばお手の物だ。

 なのでこうして、今ではリゼットが定期的にドラゴンボールを浄化する事でマイナスエネルギーを常に0に抑える事に成功していた。

 もう昔のように精神と時の部屋に放り込む必要すらない。

 念のためにナメック星のドラゴンボールも少し前に浄化しており、つまり余程のイレギュラーが起こらない限り、邪悪龍発生の心配はないという事だ。

 

「……よし、浄化完了しました。ポポ、神殿の奥へドラゴンボールを安置しておいて下さい」 

「はい、神様」

 

 リゼットのドラゴンボールの管理は先代とは大きく異なる。

 先代はあえて地上に撒いて人々の最後の希望として球を与えていたのに対し、リゼットが取る方針は自分達の手による完全な管理、独占だ。

 地球にどんな危機が迫るか分からない現状、ドラゴンボールはいつでもすぐに使える状態にしておいた方がいい。

 実際未来の世界では仏心を出して地上に残していたが為に肝心な場面でピラフ一味がどうでもいい事に使用してしまい、取り返しが付かなくなったという。

 いずれは地上の人間達の希望として返すかもしれないが、それは地球が完全に平和になったと確信した時だ。

 少なくとも、いつ何が起こってもおかしくない今ではない。

 

「徹底した管理だな。そして浄化まで完璧に行うか。

どうやらこの時間軸ではお前がいる限り邪悪龍の発生はなさそうだ」

「そういえば貴方は知っているのでしたね」

「ああ」

 

 修行に一段落を付けたミラがリゼットへと話しかけ、そこでリゼットはミラもまた邪悪龍の事を知り得る男である事を思い出していた。

 彼はあらゆる時間を飛び、エネルギーを集めていた。

 つまり、邪悪龍が発生してしまったGTの時間軸を実際に見ていても何ら不思議はないという事である。

 

「過去にも地球以外の星で邪悪龍が発生したとポポから聞きました。貴方はその星の事も知っているのですか?」

「いや、その時代までは遡っていない。俺が見たのはこの先の未来……破壊神ビルスが訪れなかった時間軸の並行世界だ。

そこでは孫悟空達がそれまでに叶えた願いから邪悪龍が発生し、そして戦っていた」

 

 これは間違いなくGTの世界線の事だろう。

 やはり今自分が生きているこの世界は何らかの理由で分岐してしまったらしい。

 恐らくこのまま時間が流れてもGTと同じ流れにはなるまい。

 とはいえ、ベビーやドクターミューなどは存在しているだろうからそのうち手を打つ必要はあるだろう。

 ともかく邪悪龍に関しては今の所、少なくとも地球で発生する兆候はないし発生させない。

 そう思考を締め括り、リゼットは顔をあげた。

 それと同時に空間の歪みを感じ、事態を把握するよりも早く負のエネルギーが神殿へと直撃した。

 

「え……?」

 

 呆然と振り返る。

 見れば、空中には時空の穴が開いており黒い気を垂れ流している。

 その向かう先は神殿のドラゴンボールだ。

 浄化したばかりのドラゴンボールから負のエネルギーが溢れ出し、神殿の空を黒雲で覆う。

 しかも今、時空の穴から出て来た気には覚えがあるし、絶対にありえないはずのものであった。

 何故なら、この気の持ち主は……他ならぬリゼット自身が滅したはずなのだから。

 

「馬鹿な……この気は、ドミグラ……?」

 

 そう、その気はかつて倒したはずの魔神ドミグラのものであった。

 倒し損ねたはずがない。間違いなく奴は塵に変えた。

 ただ倒しただけではない。

 『破壊』まで使って念入りに消滅させたのだから、生き返るとか以前の問題なのだ。

 生きているはずがない。ミラのように地獄から還ってこられるはずもない。

 しかし混乱するリゼットを他所に、かつてドミグラと同じく各時間軸を転移していたミラが答えに辿り着いた。

 

「……そうか、時間差だ」

「え?」

「ドミグラは恐らく、時間差で魔術が発動するようにあらかじめ仕組んでいたに違いない。

いわば今のは奴の死に土産だ」

 

 時間軸を超えて時間差で発動する魔術……まさしく時を司る魔神ならではの嫌がらせだ。

 これに対抗するには同じく時を翔ける力を有するしかなく、いかにリゼットでも対処出来るものではない。

 出来る事は、既に起こってしまった事態に対応する事のみ。

 リゼットは即座に決断を下して神殿を覆うようにバリアを展開。

 これから起こるだろう戦いを、自分達だけで対処する事を決めた。

 地球に飛び散らせてしまっては人々に被害を齎す。

 だから、ここで始末するしかないのだ。

 

(今ここにある戦力は私とセル、ミラ、タピオン、ブウ、それからゴッドガードンが15体。

弱い邪悪龍ならばゴッドガードンとタピオンのみで十分。

厄介な一星龍、四星龍、三星龍を私達で抑え込めば勝てない戦いではない)

 

 邪悪龍のうち高い戦闘力を誇るのは炎と氷の兄弟と、彼等の統括である一星龍だけだ。

 他の龍も悟空達を苦戦させてはいたが、あんなのは悟空側の舐めプが原因である。

 というか悟空は舐めプ癖を本当にどうにかすべきだろう。邪悪龍との戦いもリゼットの記憶が正しければ舐めプが原因で殆ど負けそうになっている。

 ギルやパンに助けられたり、運よく雨が降ったりしていなければ死んでいてもおかしくなかった。

 無論、リゼットはその轍を踏む気などない。

 手の中に浄化の気を集約させ、ドラゴンボールから出て来た黒煙の龍へ問答無用で発射。

 彼に一言も話す間を与えずに消し去った。

 前座になど用はない。これから始まる邪悪龍との戦いに向け、リゼットは出し惜しみなく神の気を解放した。




【戦闘力】
・一星龍
戦闘力:5兆
超サイヤ人4の悟空を圧倒する戦闘力の持ち主。無理矢理登場させられたせいでGTより弱い。マイナスエネルギーが足りない。
それでも超一星龍になれば50兆を超える。

・三星龍
戦闘力:1兆5000億

・四星龍:3兆

・六星龍:500億

・七&五&二星龍
この三体は条件を満たさなければ雑魚なので戦闘力設定の必要性を感じなかった。
まあ1億以下なんじゃないかな。

【GT悟空の強さ】
・確定ではないですが、このSSに出すならノーマルで20億くらいになると思います。
あんまり基本値を高くし過ぎる気はありません。
インフレよくない。
リルドと互角だったのは界王拳のように気を倍加させていたとかで。
最大倍率を超の悟空を上回る30倍とし、後は経験と技術で埋めたとでも考えます。
ちなみにGT超一星龍は100兆くらいと考えています。
何でインフレ抑えてるのにこんな数値になるかな。
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