ドラゴンボールad astra 作:マジカル☆さくやちゃんスター
試合会場である『名前のない星』に着いた悟空達を待っていたのは第6宇宙代表の面々であった。
熊のような大柄な戦士に、見るからにロボットとしか思えない宇宙人。
腕を組んだ寡黙な戦士はどこかセルに似た雰囲気を持ち、ベジータよりも小柄な少年は自らをサイヤ人であると名乗った。
だが何よりも悟空達を驚かせたのはフリーザに瓜二つの戦士の存在だろう。
どうやら向こうの宇宙にもフリーザと同じ宇宙人は存在していたらしい。
だがフリーザと違い、何処か爽やかさを感じさせる笑顔を浮かべている。
ここまで来れば気のコントロールなど基礎技能。恐らく気を探ったところで強さの全貌は見えないだろうが仮にも向こうの宇宙の代表だ。弱いはずはあるまい。
対しこちらはモナカという戦力外を抱えたハンデマッチ。出来れば先鋒戦には勝利して何とか条件を対等へと戻したい。
知力テストには当然のように全員が受かり、悟空達はどういう順番で出るかを相談する事となった。
「最強のモナカは当然最後だ。後はお前らで決めろ」
主将はビルスの一存によりモナカとなり、悟空達はジャンケンで順番を決定。
その結果、先鋒ターレス、次鋒悟空、中堅ベジータ、副将リゼット、主将モナカという順番となり、これにビルスも満足そうに頷いた。
彼としてもこの順番は中々悪くないと思ったらしい。
仮に何かあっても、この布陣ならば副将のリゼットで必ず終わるという確信があるのだろう。
かくして互いの準備は整い、ターレスと敵側の先鋒――ボタモという熊の宇宙人がリングインする。
「あいつ、ビルスの所にいたサイヤ人じゃないのか?」
「顔は似ていますが別人ですね」
「ま、どちらにせよサイヤ人には違いないか。5人中3人がサイヤ人とは、第7宇宙は随分層が浅いんだな。人手不足かあ?」
シャンパが嘲るように言うと、ビルスが不敵に笑って返す。
笑いたければ精々今のうちに笑っておくといい。
試合が始まればサイヤ人の出鱈目さにそんな事は言っていられなくなるのだから。
そんな自信に満ちた態度にシャンパが不機嫌になり、ボタモへと声援を飛ばす。
「やっちまえボタモ! 我が第6宇宙の強さをビルスに思い知らせろ!」
「叩き潰せターレス! シャンパに吠え面をかかせろ!」
互いの観客席からシャンパとビルスの声が飛び、選手二人は口の端を歪めた。
言われずともそのつもりだ。
「それでは第6宇宙第7宇宙、破壊神選抜試合の第一試合!
第6宇宙のボタモ選手VS第7宇宙のターレス選手! 開始ィィィ!」
試合開始が審判より宣言され、ビルスとシャンパが同時に指から気を放つ。
二条の輝きは中央のゴングへと当たり、宇宙へと音色を響かせた。
それと同時にターレスとボタモがリングを蹴って正面で衝突した。
ボタモの愚鈍そうな図体からは想像出来ない身軽さには意表を突かれたが、正面からの力比べはターレスが上だ。
ボタモの身体をゴムボールのように弾き飛ばし、更にボタモが落ちるよりも早く追いついて追撃。
腹に蹴りを見舞い、固く握った拳で脳天を強打してリングへと沈める。
「温いぜ! その程度で俺に勝てると思うか!」
今の衝突で力の差を見切ったらしいターレスが確かな手応えに早くも勝利を確信する。
だがその確信は覆され、煙の中からは全く無傷のボタモが姿を現した。
その事に一瞬驚くも、すぐにターレスは余裕の笑みを取り戻す。
「へっ、そうこなきゃあな」
ターレスが流星の如き速度でボタモとの距離を詰め、一方的に打ちのめす。
正拳、裏拳、肘打ち、膝蹴り、水面蹴り、前蹴りに踵落とし。
反撃を許さずに次々と攻撃を命中させるも、まるでボタモに応えた様子を感じない。
単純に固いのか、それとも魔人ブウのようにダメージを受けないのか。
まあ、どちらでもいい。とにかく分かったのは、単純に正面から攻めていてはラチが明かないという事実だけだ。
普通ならば分かってもどうしようもない事なのだろう。
『攻撃が効かないから気を付けろ』なんて言われてもどうすればいいのか分からない。
だがこれは試合。死合いではない。
ラフファイト上等の自分がルールに救われるとは笑い話だが、これはルール有りのゲームなのだ、とターレスは内心ほくそ笑む。
ならばここは、そのお上品なルールに則ってやろう。
そう決めたターレスはボタモの顔を掴むと跳躍し、空中で解放して思い切り殴り付けた。
ボタモはダメージこそ受けていないがリング外に叩き落されてしまい、あっさりと第一試合の勝敗が着いてしまう。
「勝者、第7宇宙のターレス選手!」
「くくくっ、いくらダメージを受けないと言っても、こうも鈍間じゃなあ。宝の持ち腐れだぜ」
まずは幸先よく一勝を飾り、ビルスがガッツポーズを決める。
それとは対照的にシャンパは反則だのやり直しだの喚いているが、誰もそんなのは聞き入れない。
第6宇宙二人目の選手がリングへと上がり、ターレスと相対する。
二人目として出てきたのは早くもフリーザ似の宇宙人だ。
気の大きさを言えば通常状態のターレスと似たようなものだが、ここから変身するとなれば油断は出来ない。
彼はターレスへ歩み寄ると、にこやかに手を差し出す。
「素晴らしい試合でした。貴方のような戦士と戦える事を誇りに思います」
「……」
「こうして敵と味方に分かれてしまいましたが、これは試合。
戦いが終われば互いに笑いあって手を取り合えると信じています」
「生憎だが、これは勝負だ。勝った方が笑って負けた方が泣くんだよ」
ターレスは差し出された手を強く跳ね除け、上から見下ろすように言う。
「アンタだってその口だろう? 下らない演技はやめて互いに本性曝け出してやり合おうや。なあ?」
「……それは心外です。私は心底から……」
「そうかい。その演技がどこまで続くか楽しみだ」
フリーザ似の宇宙人――フロストが残念そうに後ろへと下がり、ターレスは油断なく構える。
そのあんまりな態度に両宇宙の観客席からブーイングが飛び、あっという間にターレスはこの試合の悪役となってしまった。
とはいえ、悪党なのはいつもの事だ。
ターレスは特に気にした様子もなく、悟空と似た顔を悪辣な笑みに歪めた。
「第二試合! ターレス選手VSフロスト選手! 始めえ!」
開始の宣言と共にターレスが飛び出し、フロストが迎え撃つ。
まず初撃はダッシュしての肘!
それを同じく肘で相殺し、続く膝蹴りを膝蹴りで受け止める。
フロストの拳がターレスの頬にヒットし、だがそれと同時にヘッド・スリップ。
ダメージを受け流しながら回転し、遠心力を乗せたラリアットを放った。
だがフロストはすぐにしゃがみ込んで水面蹴り! ターレスの足を払って体勢を崩す。
そのまま地面にダウンすると思われたターレスだが、すぐに片手を地面に置いて力を込める。
すると片腕の腕力だけで逆立ちをし、更に力を込めて腕の力で跳躍。空中で回転して気弾を地面へと放つ。
フロストは腕を薙ぐ事で気弾を弾き、ターレスを追って跳躍した。
「はあっ!」
「ちいいっ!」
両者の腕と足が高速で動き、空中で互角の攻防を繰り広げる。
数秒ほど接戦を繰り広げた二人だが、攻撃の合間を縫ってターレスの拳がフロストへと命中した。
吹き飛んでいくフロストを追ってターレスが飛翔し、追いついて右ストレートを放つ。
だがフロストの姿が消えてターレスの背後へと回り、肘打ち!
しかし今度はターレスの姿が消えてフロストの背後に出現し、カウンターにカウンターを合わせての蹴りを放った。
しかし蹴りはフロストの尻尾に防がれ、更に尾がターレスの足へと絡みつく事で動きを封じる。
「もらいましたよ!」
フロストがそのまま急降下し、リングへと思い切りターレスを叩き付けた。
リングが砕け、ターレスが陥没する。
そうして離れようとしたフロストだが、しかしここで尻尾を離せない事に気付く。
見ればターレスが尻尾を掴んでおり、不敵に笑っていた。
「そらああ!」
尻尾を両手で掴んで回転!
ジャイアント・スウィングのように振り回してフロストを投げ、追って跳躍する。
渾身の右拳。しかしフロストが消えて背後へと現れ、ターレスもその動きを読んで攻撃を後ろへの肘打ちへ変更する。
フロストの拳がターレスへ炸裂し、ターレスの肘がフロストへめり込む。
互いに攻撃の威力に吹き飛ばされ、反対側のリングの端へと墜落する。
だが即座に立ち上がり、猛然とダッシュ。
正面から両者の拳が互いの顔にクリーンヒットし、威力に押されて二人の身体がリングを削りながら後ろへと下がった。
しかし共に踏み止まり、すぐに顔を上げる。
フロストは早くも息が上がっているのに対し、ターレスは余裕の表情のままだ。
「通常状態はターレスが優勢、ですか」
「勝負ありだな。ターレスは最大で3まで変身出来る。
通常で負けていないならば最大パワーでもターレスが上だ」
「いいえ、まだ分かりませんよ。フリーザやクウラのように一段階上の変身があるかもしれません」
闘いを観戦しながらリゼットとベジータが勝敗を予想し合う。
フロストが第四形態までしか移行出来ないならばターレスが上だ。
だがクウラのような第五形態や復活したフリーザのような新たな進化を獲得している可能性はゼロではない。
そうして見ていると、まずターレスが先にギアを上げた。
全身が黄金のオーラに覆われ、前髪が逆立ち、スパークが発生する。
「いきなり2か!」
「正しい判断です。敵が勿体ぶってくれているのですから、そのまま出し惜しみしているうちに倒してしまえばいい」
ターレスの出し惜しみなしの変身に悟空が驚くが、リゼットに言わせてもらえばこれが最良だ。
3や4への変身は少しばかり時間がかかる事を思えば、瞬時に変身可能な形態の中では間違いなく2が最強だ。
フロストの変身がフリーザ同様に時間がかかると読んでのターレスの奇襲は最善の判断であった。
変身とはただ強ければいいわけではない。
戦隊もののヒーロー番組のように敵が変身中にずっと待っていてくれるわけではないのだ。
仮にリゼットの目の前でフリーザが100%への変身を行おうものなら、その変身中の無防備を狙ってリゼットは攻撃を仕掛けてフリーザを殺してしまうだろう。
時にはパワーよりもスピードを優先した方がいい事もある。
「な、なんだ! サイヤ人って変身するのか!?」
「い、いえ、そんな話は聞いた事が……」
向こうの席ではシャンパとキャベが焦っており、どうやら彼らはサイヤ人の変身を知らなかったらしい。
つまりキャベは少なくとも現時点では変身を習得していない事になる。
これは、こちらにとって嬉しい情報だ。
驚きのあまりシャンパは足の指をテーブルにぶつけてしまったようで、痛がっていた。
そんな彼等を他所にターレスは猛然とダッシュし、フロストの防御すら待たずに拳をめり込ませる。
さらに肘! 膝! よろめいた所で頭を強打し、ダウンさせた。
だがフロストがすぐに起き上がり拳をターレスの足へと当てると一瞬ターレスの動きが鈍った。
いや、そればかりか姿勢を崩してその場に膝を突いてしまう。
その間に何とかフロストが脱出し、それをみすみす見送ってしまったターレスは心底面白そうに笑う。
「……なぁるほど。くくく、いいねえ。やはり同じ穴の貉ってわけだ。
おかげでやり易くなったぜ」
何が起こったのかを悟空達はまだ理解出来ていない。
だがリゼットは目を細め、フロストの手を凝視している。
どうやら今の攻撃、右拳に仕込んだ毒針でターレスの意識を混濁させたらしい。
だがあれでターレスに勝てなかったのは相手にとって痛手だった、とリゼットは考える。
少なくともこの先、ターレスに一切の容赦はない。
フロストは自ら、ターレスが最も得意とするラフファイトに踏み込んでしまったのだ。
「おい審判、そいつの腕を調べろ! 面白いモンが出てくるぜ」
「え? し、しかし……」
「出なきゃ俺の負けでいい。さっさとやれ。
それとも、この名前のない星のど真ん中にお前の墓を建ててやろうか?」
「やっ、やります! やりますよ!」
ターレスの進言に従い審判がフロストの腕を調べる。
その光景を見ながらリゼットは、これも最善の判断だと内心でターレスを褒めた。
これで勝ちは決まったようなものだ。
しばらく審判が調べていると、明らかに後から付けたような針が発見されてフロストの反則が露見した。
これには同じチームのキャベもショックを受けているようで、信じられないという顔をしている。
だがシャンパの付き人であるヴァドスがぬけぬけと語る内容によると、どうやらフロストとは元々こういう人物らしい。
善人の仮面は本性を隠すためのものでしかなく、実際はフリーザと何ら変わらぬ下劣外道。
自らが率いる宇宙海賊に星を襲わせてそれを自分で撃退し、荒れた星を安価で叩き買いして、復興支援で名声を得てから売り飛ばす。そんな、ある意味ではフリーザよりも性質の悪い男であった。
当然これに審判は反則負けを下すが、そこに待ったをかける声が割り込んだ。
「待ちな! 反則負けはなしでいい!」
「え? し、しかし……」
異議を唱えたのは意外にも、フロストの反則を指摘したターレス自身だ。
彼は愉快そうに笑うと、シャンパへと顔を向けてとんでもない事を言い放つ。
「おいデブ、提案がある。そっちにとっても悪くない話だ」
「で、デブだとお!?」
「この試合に限り、反則は一切なしってのはどうだ?
武器有り、殺し有りの何でも有りだ。その方がフロストも本気で戦えるだろう?」
ターレスのその提案に、リゼットは前言を撤回した。
最善じゃない。こんなの全然最善じゃない。
何でこう、せっかく勝てるところで余計な事をしてしまうのだ、サイヤ人という連中は。
【戦闘力】
―第7宇宙―
先鋒・ターレス:9億
超サイヤ人:450億
超サイヤ人2:900億
超サイヤ人3:3600億
黄金大猿:9000億
超サイヤ人4:1兆8000億
次鋒・孫悟空:10億
超サイヤ人:500億
超サイヤ人2:1000億
超サイヤ人3:4000億
超サイヤ人ゴッド:1兆
超サイヤ人ブルー:2兆
※原作では3日精神と時の部屋に入ったのに対し、このSSでは入ってないので以前まであった『原作悟空より強い』設定はここで消滅。同時期の原作悟空とほぼ同じ強さとする。
中堅・ベジータ:9億5000万
超サイヤ人:475億
超サイヤ人2:950億
俺のブルマ:5700億
超サイヤ人ゴッド:9500億
超サイヤ人ブルー:1兆9000億
副将・リゼット:30億
アルティメット化:1兆5000億
ゼノバース:6兆
大将・モナカ:10未満
(正直よく分からない。初期悟空より弱いと思うが、悟空のパンチを受けても泣くだけで済んでいるので実は案外、地球人と比べたら強い可能性もある。
悟空が加減してくれていたのは間違いないだろうが……)
――第6宇宙――
ボタモ:3億
(ノーマル悟空を相手に手も足も出ないので特異体質を除けばこんなもの。
格闘戦では↓のフロスト第一形態にも劣るようなので戦闘力は低い。
それでも宇宙の帝王だったフリーザの数値を考えれば、第6宇宙代表として恥じない数値)
・フロスト:4億
第三形態:16億
最終形態:452億
MAX:904億
(ボタモよりはノーマル悟空に善戦出来るが、やはり劣る。
ただしその時の悟空は本人曰く『気合が入ってない』なので、つまり舐めプ状態。
第三形態でようやくノーマル悟空を上回る程度で、超化されれば最終形態でも歯が立たない。
力の大会でフリーザ同様にムキムキMAXがある事が判明したので、普段の最終形態は50%と思われる。
これが私の全力(50%)デェェェェス!
・キャベ:9億5000万
(ノーマルのベジータと互角)
・マゲッタ:800億
(超サイヤ人ベジータすら圧倒する凄い奴。防御力はゴッドやブルークラスかもしれない。
最終的には毎回悪口によって負けており、実は実力で負けた事はない。
メンタルさえ鍛えれば……)
ヒット:???
(漫画版とアニメ版で大きく強さが異なる男。
漫画版だとゴッド未満なので兆クラスにも行かないが……)
シャンパ「……あっちの宇宙どうなってんだよ……おかしいだろ、これ……」