町が第三セクター解消の意向を示した白浜はまゆう病院(和歌山県白浜町で)
和歌山県白浜町は18日、赤字が問題になっている白浜はまゆう病院を運営する公益財団法人白浜医療福祉財団(理事長・大江康弘白浜町長)から脱退し、第三セクターを解消する意向を示した。今月末ごろに財団役員らに説明する。9月以降、病院は民間病院になる見込み。
18日に開かれた町議会全員協議会で、大江町長らが議員に説明した。
町は、財団脱退後、病院に対し、医療以外の行政サービスに支障が出ない範囲で、これまで通り支援を続けるとしている。日置川地域の診療所については、病院に指定管理を依頼する予定。
町によると、看護師不足による稼働病床数の制限などで、病院は2023年度、24年度の2年間で計約11億円の赤字となった。預金は、この2年間で約10億円取り崩しており、現在の残高は約10億円となっている。町は、年間約1億円の補助金を病院に交付している。
町は赤字問題を受け、この1年2カ月の間に約150回の協議を重ねたが、人事や経営について、病院側と考え方の溝が埋まらなかったとし、総合的に勘案した結果、脱退することになったと説明した。
また、病院側と協議する中で、病院の人事や給与に関して一部適正でない取り扱いがあったことや、一部の病院関係者が、SNSなどで事実とは異なる情報を流すなどの行動があったとした。
町の報告を受け、議員からは「はまゆう病院は町民にとって必要。絶対に残してもらいたい」「ぜひともしっかりと支援していってもらいたい」などの声が上がった。
全員協議会の後、本紙取材に大江町長は「町として町民の医療を守るための支援は今後も続けていく。はまゆう病院には、民間病院として、しっかりと経営改善に取り組んでもらいたい」と話した。
■経営評価は「C」
コンサル報告
この日、町がコンサルタント会社に依頼していた病院の経営状況の調査結果についての報告があった。A~Dの4段階評価で、下から2番目の「C」だった。
報告書では、最近は地域医療を営むほとんどの病院が、人材確保の困難や物価高騰などの影響で収支が悪化していると説明。はまゆう病院は、全体として他の同規模・同機能の病院と同様な水準(C評価)と判断するが、利害関係者への説明責任など分野によっては、より積極的な取り組みが求められると指摘した。
今後の経営強化のためには、改革の方向性の共有化や人事制度の整理と補強などが必要とした。