法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『キミとアイドルプリキュア♪』第24話 タナカーンの夏やすみ!

 タナカーンは自身の身の回りの家事もして、人間姿の田中に変身してからはプリキュアの芸能活動をマネージメントし、咲良家の喫茶店グリッターで働き、街ではボランティアで清掃などの見回りもしている。
 あまりに仕事量の多いタナカーンを休ませようと、咲良たちは休養をとるよう提案。タナカーンが休んでいる間、ひとりひとり田中の仕事を分担する。一方、敵幹部ザックリーは働きづめで、体調を壊して街で倒れていた……


 井上亜樹子脚本。ここ数話かけて上司から労働を押しつけられてきたザックリーの破綻と、仕事を自ら選んで問題なくこなしているタナカーンを対比する。一見するとタナカーンが働きづめで平気な理由は描かれていないが、自分のペースにあわせて興味関心のある仕事を選択する権利があれば、意外とこなせるものだ*1
 タナカーン自体はまったく本筋にかかわらないが、町の見回りボランティアをうけもった蒼風ななが過労で倒れたザックりーを見つけて助けることで敵味方のドラマが交錯する。これはタナカーンが休まずにザックリーを助けても楽しかったかもしれない。
 しかし子供だけで仕事をかわることで失敗つづきなのはいいが、グリッターの仕事をおこなう咲良だけは問題なくこなすべきだったと思う。タナカーンを気にして注意力が散漫になるミスだけならいいが、そもそも咲良はグリッターの仕事をずっと手伝っていたのだから相応に慣れているはず。それでも仕事がうまくいかない描写にするなら、前回*2から連続して響カイトのファンが押しかけているため手が回らない、といった説明を入れればどうだったろうか。


 ちょっと全体的に絵柄に癖があったが、青山充が一原画として参加しているためだろうか。アクションシーンでキュアキッスが技をつかう前までの敵味方の芝居が細かくて良かった。

*1:逆にいえば、経営者と労働者が同じくらいの過重労働でも前者が耐えられてしまうのは、そのような体力がある人間が経営者になりがちということもあるだろうが、耐えられる仕事の境界線を選べるという決定的な違いがある。それを自覚できない経営者が、自身と同じくらいの労働を末端に強要して、耐えられないことをもって労働者を低評価するような愚も犯すわけだ。

*2:『キミとアイドルプリキュア♪』第23話 これが私のサイン! - 法華狼の日記