都内の名門進学校「非正規講師」コマ数14→4に“一方的”激減、収入は3分の1に…「生活維持が著しく困難となった」減額分の賃金支払い求め提訴
労働契約法に反する“慣習”の見直しを
訴状では、先に挙げた2点の減額のうち、第1減額(コマ数が14から4に減らされた)について、「コマ数が一気に約3分の1になってしまい、収入も約3分の1になったので、生活維持が著しく困難となった」とした上で、「労働契約法4条(※①)に違反する極めて不当な対応である」と主張。 第2減額(無期転換後にコマ数が減らされた)については、「被告(学校側)が一方的に担当コマ数を14から12に減じたことは労働契約法8条(※②)違反であり、無効である」と訴えている。 ※① 使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。 ※② 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。 提訴後に会見に臨んだ原告代理人の明石順平弁護士は「非常勤講師は非常に弱い立場にある。本件の意義は、その是正を訴える点にある」と説明。 同・佐々木亮弁護士は、「多くの私立学校で非常勤講師の利用率はかなり高いと思うが、(コマ単価・数で計算する)コマ給という特殊な給料計算が取られている中、働く人たちは年度末のぎりぎりになってコマ数を下げられても断れないのではないか。(次年度予定を)半年前に伝えるなど、何らかの制限も必要だと思う。慣習自体も問題とされている」と制度のありかたそのものにも言及した。
「教員に正規も非正規もないはずだ」
A氏によると、巣鴨中学校・巣鴨高等学校の職員数はおよそ100人。そのうち非正規職員は36%だという。 これまでにもコマ数減や雇い止めにあった非常勤講師がいるといい、学校を去り、学習塾や予備校の講師に職を移した人もいるそうだ。 「非常勤講師は、雇い止めや授業時間(コマ数)減という不安を抱えながら日々の業務に従事している。仕事を続けるためには、年度末に通知された授業数が極端に少なくとも、その授業数でやる、という選択肢しかない。 (担当する)多くの生徒たちがまじめに私の授業を聞いてくれる。先日は期末テストを終えた。子どもたちに対して授業し、成績を付ける立場の教員に本来は正規も非正規もないはずだ」 A氏の提訴について巣鴨学園は、弁護士JPニュース編集部の取材に対し「現在、訴状が届いておらず、学校からお答えすることはありません」と回答した。 ■榎園哲哉 1965年鹿児島県鹿児島市生まれ。私立大学を中退後、中央大学法学部通信教育課程を6年かけ卒業。東京タイムズ社、鹿児島新報社東京支社などでの勤務を経てフリーランスの編集記者・ライターとして独立。防衛ホーム新聞社(自衛隊専門紙発行)などで執筆、武道経験を生かし士道をテーマにした著書刊行も進めている。
榎園哲哉