ドラゴンボールad astra   作:マジカル☆さくやちゃんスター

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第八十七話 神と神③

 神域同士の戦いが始まった。

 リゼットの攻撃でビルスが吹き飛び、その後をリゼットが追う。

 無論すぐにビルスも体勢を立て直して迎撃に移るが、その瞬間にリゼットの背の光輪が輝いてバーニアの如く光を発し、リゼットを加速させた。

 速度が光に届くと同時に時が停まり、結果成立する――回避不能のカウンター!

 必ず命中するクロスカウンターがビルスの頬を打ち、一撃で彼の身体を成層圏まで吹き飛ばした。

 だがまだ終わらない。亜空間を通過したリゼットが先回りをし、飛んで来たビルスを背後から強打する。

 一瞬にして成層圏まで運ばれたビルスだが、今度は一瞬にして地に落とされる。

 そのあまりの威力と衝撃に巨大なクレーターが形成され、瓦礫が宙に舞う。

 だが、それほどの力で地面に落とされたビルスには目立ったダメージもない。

 彼は岩をどけて立ち上がると、自らの身体に付いた埃を払い落とす。

 

「やるじゃないか。素直に驚いたよ。

超サイヤ人ゴッドには会えなかったけど、来た甲斐はあった。

君となら少しは楽しめるかもしれない」

 

 ビルスが跳躍し、リゼットの前で回転。

 遠心力を乗せた尾の一撃でリゼットを強打する。

 一撃でバリアが歪み、今度はリゼットが弾き飛ばされた。

 以前使っていた『身体が勝手に避ける』技は発動していない。発動の仕方も分からない。

 神の力を制御可能になったとはいえ、それでもあの時のレベルには届いていないのだ。

 

「くっ!」

 

 吹き飛びながら何とかリゼットは体勢を直し、ビルスへと身体を向ける。

 そして光輪が再び輝く事で推進力とし、無理矢理その場で停止して再飛翔した。

 ビルスが薄ら笑いを浮かべて拳を放つが、今度は当たらない。

 瞬間移動で姿を消し、ビルスの背後を取ったのだ。

 だがそれをも見切ったビルスが裏拳を放つが、その前に空間の穴が開いてビルスの拳を飲み込む。

 そのまま空振りした拳はあろう事かビルス自身の前に開いた穴から出現し、ビルスは自分で自分を殴るというある意味新鮮な体験をする羽目となってしまった。

 それに合わせるようにリゼットがビルスの尾を右手で掴み、左手に気を纏う。

 クウラ機甲戦隊のサウザーが得意とするような気の刃だ。

 それを以て、手刀でビルスの尾を切断するべく振り下ろす!

 だが――斬れない! 全力の一撃でも僅かに、ほんの1cmにも満たない肉を切っただけだ。

 これではちょっと切れ味のいいカッターか何かで指を軽く切ってしまった程度の傷でしかない。

 

「今のはちょっと痛かったよ」

 

 ビルスの尾が蛇のようにうねり、リゼットの手を振り払う。

 更に一発、二発! 尾が鞭のようにしなってリゼットを殴り、振り向きつつビルスの右拳がリゼットのこめかみを殴った。

 だがそれと同時に脱力にて衝撃を逃したリゼットが回転し、回し蹴りを延髄へ叩き込む。

 しかし怯むのは一瞬。ビルスは不敵に笑うとリゼットへ返しの蹴りを放ち、リゼットも正面から迎え撃って掌打を放つ。

 放つ攻撃は全て光速以上。下手をすればその衝突だけで宇宙すらも砕きかねない神域の攻防。

 もはや宇宙のいかなる高性能なカメラを以てスロー再生したとしても肉眼では到底捉え切れないだろう、そんな馬鹿げた速度の攻防が繰り広げられる。

 互角……ではない。

 リゼットが全力以上の力を発揮しているのに対し、ビルスはまだ遊ぶ余裕がある。

 均衡は除々に崩れ、リゼットの肌に傷と痣が刻まれていく。

 

「大したもんだよ! 君は技術を使う事で持てる力以上の力を発揮している。

けど僕はね、その逆なんだ。まだ全然力を使ってないんだよ」

「……っ」

「惜しかったね。せめてその力を完全に物に出来ていたなら、少しは勝ち目があったのかもしれない」

 

 早くも勝利宣言だ。だがそれを吐くだけの実力を彼は有している。

 リゼットがダメージを気にせずに猛攻を仕掛け、ビルスが面白そうに受けて立つ。

 純白と紫の閃光が空を翔け巡り、幾度も衝突を繰り返しながら大気圏を抜けて宇宙へと飛び出す。

 衝突の余波だけでいくつもの岩石や小惑星を砕き散らし、あるいはそのまま貫通し、遂には太陽系どころか銀河すらも飛び出して二人は衝突と飛翔を続けて幾光年も離れた何もない宙域へと到着した。

 

「はああ!」

 

 リゼットが一際強く気を解放し、完全な純白の極光と化す。

 それにあえて合わせるようにビルスもまた紫の極光へと変わり、二人が加速に加速を乗せて光さえ置き去りにした速度で正面衝突をした。

 その衝撃と余波だけで周囲数光年に渡り全ての岩石が消滅し、巨大な爆発が宇宙で巻き起こった。

 一応リゼットも計算してこの場所まで誘導して全力攻撃を仕掛けたのだが、この圏内に生命がなくてよかったと心から思う。

 そして肝心のダメージだが、ようやく少しは与える事が出来た。

 ビルスの額から一筋の血が流れている。

 だが問題はこちらの方だ。リゼットの身体は既に血塗れであり、白かったドレスも鮮血に染まってしまっている。

 

「こ、の!」

 

 歯を食い縛り、修行で会得した治療魔術で自分自身を治癒して全回復する。

 だが傷は癒えても気は戻らない。

 本来は気も含めて完全に回復させる技なのだが、回復させた量に応じて自らの気を消耗してしまう。

 したがって自分で自分の気を全開に戻しての永久機関は不可能だ。

 しかし傷さえ戻れば問題はない。今のリゼットは常時元気玉を吸収し続けているに等しく、彼女への信仰の念が途絶えない限り気は絶えず供給され続ける。

 無限、とまではいかない。だが限りなく無限に等しい気を以てリゼットは次なる攻撃へと移行した。

 彼女の周囲に光球が発生し、その数を倍に倍にと増やす。

 二つが四つに。四つが八つに。

 50が100となり、1000が2000へと変わる。

 瞬く間に宇宙の暗闇を隠す程の光球が生成され、それが一斉に発光を始めた。

 そして放たれるのは極光の豪雨。

 

「Ultimate blast!」

 

 一発一発が恒星など容易く打ち砕く光の砲撃。

 それが数えるのも馬鹿馬鹿しくなるほどの数の弾幕として発射された。

 宇宙を純白に染め上げて光の豪雨がビルスへと襲いかかり、彼の身体を呑み込んだ。

 逃げ場なしのこの豪雨に晒されてはさしもの破壊神といえど回避は出来ない。

 だが回避する必要もまた、なし。

 ビルスは光の中を突っ切り、まるでダメージなどないとばかりにリゼットの前へと飛び出す。

 そして肘打ちを彼女の柔な腹へめり込ませ、頭が下がった所へ追い討ちの拳を叩き込んだ。

 しかしリゼットはその威力を受け流して回転し、ビルスの脳天へ胴回し回転蹴りを決める。

 よろめいたビルスへすかさず手を翳し、しかしビルスが驚くべき速度で復帰して同じく手を翳す。

 ――衝突。

 二人の気弾が零距離で爆ぜ、超新星の如き爆発が周囲を焼き尽くした。

 しかし二人は尚も耐え凌ぎ、爆光が消えるよりも早く次の手を打つ。

 

「Sparking・Meteor!」

「これはどうだい?」

 

 リゼットが手を掲げて白い彗星の如き気弾を生み出す。

 否、もはや比喩ではなくそのサイズはまさしく彗星そのもの。地球にも匹敵する極大の気弾だ。

 そしてこれを爆破した時の破壊力は、恒星が消える瞬間の超新星にも匹敵するだろう。

 対し、ビルスは両手を合わせて紅蓮の気弾を生成。

 まさしく太陽の如く燃え盛る巨大な破壊気弾と為し、リゼットの気弾へと衝突させた。

 結果は互角。白と紅蓮の気弾が爆ぜ、その余波で銀河一つ分の宙域から全てが消し飛んだ。

 この戦いを観戦していた老界王神は「いくら星のない宙域だからってやりすぎじゃ!」と叫んでいるがリゼットには届かない。

 否、わかっていた所で加減出来る相手ではない。そんな事をすれば死ぬはこちらなのだ。

 至近距離での宇宙規模の爆発を何とか凌いだリゼットだが、既にその身は満身創痍だ。

 ドレスは至る所が破れ、全身が血で濡れている。

 対し、ビルスは未だ余裕。腕を後ろに組んでリゼットが復帰するまで待つという実力と貫禄の差を見せ付けていた。

 リゼットがすぐに身体の傷を最低限癒し、構えを取る。

 それを確認し、ビルスもまた戦闘態勢へと戻った。

 二人は更に白熱し、次なる攻撃へと移ろうとする。

 だがそこにウイスが突如出現する事で、急遽として停止させられる事となってしまった。

 

「ビルス様」

「何だウイス、僕は今楽しんでるんだ。邪魔しないでくれ」

「しかしですね。あの北の界王の所にいたソン・ゴクウというサイヤ人が地球に来ておりまして。

ビルス様に面会を求めているのです」

「ああ、あいつか……別にいいよ、そんなの。だってあいつ超サイヤ人ゴッドじゃないし。

結局超サイヤ人ゴッドなんていないんだ」

「え? それ多分作れますよ」

 

 ビルスとウイスがマイペースに会話を進めるが、そこにリゼットもマイペースに割り込んだ。

 どうやらビルスはもう超サイヤ人ゴッドを幻か何かだと切り捨ててリゼットとの戦いに集中しているようだが、リゼットの口から出た言葉に間抜け面をする。

 どうやら今聞いた言葉が信じられないようだ。

 

「……どういうこと?」

「どういう事も何も、調べてくると言ったではありませんか。

超サイヤ人ゴッドは確かに存在していたサイヤ人の神のようです」

 

 そう、リゼットは時の部屋を用いて過去に精神を飛ばす事で今までそれを調べていたのだ。

 そして、その彼女が戻ってきたという事は調べ物が終わったという事である。

 呆然とするビルスを前にリゼットは自分が知り得た情報を開示した。

 

「超サイヤ人ゴッドというのは元々、悪のサイヤ人に対抗する為に善良なサイヤ人達が生み出したサイヤ人の神のようですね。結局その戦いは悪のサイヤ人が勝ってしまったわけですが。

私達のよく知る惑星ベジータで繁殖したサイヤ人が悪党だらけなのも、その悪のサイヤ人の子孫だからです。

もしかしたら、善良なサイヤ人の子孫が繁栄したIFの世界もどこかにあるのかもしれません」

「ふうん。で、その作り方っていうのは?」

「5人のサイヤ人で手を繋ぎ、一人のサイヤ人へ善の気を送り込めばいいんです。

そうすれば一時的にではありますが、神の域へと到達したサイヤ人の神を生み出す事が可能です」

 

 お手手を繋いで仲良くすれば神になるとは、何ともいい加減で安直だとリゼット自身も思っている。

 だが実際に過去で見た光景でそうやっていたのだから仕方ない。

 それにこれと似た出来事をリゼットは一度見た事がある。

 あのブロリーとの戦いの際……悟空は皆のパワーを受け取る事で本来絶対に勝てないはずのブロリーを一時的とはいえ上回ってみせた。

 今にして思えば、あれは超サイヤ人ゴッドの条件に極めて近い状態だったのだ。

 手を繋いでいない事と、あの時に気を送り込んだ面子の中にナメック星人が混ざっていた事で神化はしなかったが、もしあの時の面子がベジータ、悟飯、トランクス、ターレス、ナッパだったら成立していたのかもしれない。

 他には『GT』の話になるが、悟空が超フルパワー超サイヤ人4になる時も同じような事をしていた気がする。

 

「ふうん……なら、一度地球へ戻ろうか。

おい君、星間の瞬間移動が使えるようだね。

僕とウイスを連れて地球へ戻ってくれないかい?」

「……地球を壊さないのでしたら」

「ああ。超サイヤ人ゴッドと戦うまでは壊さないよ」

 

 リゼットは一瞬、このままビルスを置いていくか、あるいは騙して恒星にでも放り込んでしまう事を考えた。

 しかし置いていってもすぐに地球へ来るだろうし、太陽などの熱エネルギーでも彼を殺せるかどうかは分からない。というか多分効かない。

 それより怖いのは、それで倒しきれずビルスを逆上させてしまった時だ。

 その場合、地球どころか北の銀河ごと消されてしまう可能性が極めて大きくあまりにもリスクが大きすぎる。

 それよりは悟空を超サイヤ人ゴッドにして二人で戦った方が勝算が高いだろう。リゼットはそう判断したのだ。

 そうと決まれば善は急げ。リゼットは血濡れのドレスを素早く綺麗なものと替えると、二人を一度地球へ戻す事を決めた。

 

 

 

 地球へ戻ると、そこには悟空がいて「よう、神様」などと気楽に声をかけてきた。

 他の皆も無事、意識を取り戻しているらしく死者は一人もいないようだ。

 リゼットはピッコロから仙豆を受け取って口に放り込み、咀嚼して飲み込んでから悟空達にこれからやるべき事を伝えた。

 超サイヤ人ゴッドに必要なのは5人の正しい心を持ったサイヤ人だ。

 まず悟空をゴッドにするとして、彼を神域へと押し上げる5人を選抜しなくてはならない。

 

「まず悟飯君、悟天君、トランクス君は確定でいいでしょう。

地球人とのハーフである為、元々悪の気はほとんどありません。

残る二人は……」

 

 リゼットはここで言葉を止め、チラリと残りのサイヤ人を見る。

 残りはベジータ、ナッパ、ターレスの元地球侵略組だ。

 この中から選ぶなら……まずはベジータだろう。先ほどのビンゴダンスを見るに、彼はもう昔のプライドだけのベジータではない。

 守るべきものの為ならばプライドすらも捨てる事が出来る正しい心の持ち主だ。

 後は……。

 

「ベジータと……ナッパで」

 

 ターレスはまず無理だというのがリゼットの考えであった。

 彼は確かに地球の味方なのだが、サイヤ人特有の凶暴性や残忍性をそのままに残してしまっている。これでは超サイヤ人ゴッドは誕生しない。

 一方ナッパは完全に地球に溶け込んでおり、今や気のいい農家の親父だ。

 今の彼ならば充分、条件は満たしているはずだ。

 まあ駄目だったなら、その時はベジータの弟を連れてくればいい。

 

 

 結果から言えば悟空のゴッド化は普通に成功してしまった。

 どうやら本当にナッパでよかったらしい。

 悟空は界王拳にも似た赤いオーラに包まれ、不思議そうに自分の手を見詰めている。

 彼の全身を包み、揺らめくオーラは色こそ違えどリゼットと同種のものだ。

 筋肉は凝縮されて細身になり、若干若返ってしまっている。

 恐らくは身体が最も充実していた時期……即ち肉体的最盛期であった青年期にまで戻っているのだろう。

 超サイヤ人という割には髪は逆立っておらず、極めて自然体に近い。

 色々な意味で超サイヤ人4とは対極を行く変身と言っていいだろう。

 

「よし、行きますよ悟空君。二人ならばあるいはビルス様にも勝てるかもしれません」

「いや、神様……まずはオラ一人でやらせてくれねえかな?

ビルス様だって、超サイヤ人ゴッドと戦いに来たんだろ?」

 

 悟空はまずは一人で挑む事を希望のようだ。

 本当ならばここで反対するべきなのだろうが、しかしビルスの実力の底が見えないのもまた事実。

 ここは一度悟空に戦ってもらって自分は観戦に徹し、ビルスの動きを研究するのはそう悪い戦略ではない。

 それに交替しながら戦えば悟空がやられてもすぐに仲間の元へ戻して回復させ、その間に自分が戦うという戦術も取れる。

 そう考え、リゼットは悟空の言葉に今回は賛同してみる事にした。




【戦闘力】
・孫悟空:9億→18億(ゴッドの力で一時的に基礎能力アップ)
超サイヤ人ゴッド(初覚醒):54兆

・破壊神ビルス(ちょっと本気モード):60兆
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