ドラゴンボールad astra   作:マジカル☆さくやちゃんスター

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第八十話 復活のフュージョン!!悟空とベジータ⑤

 それはリゼットがジャネンバを倒す前の事。

 地球では一人の戦士が新たな転機を迎えようとしていた。

 地獄から蘇ってきた悪党達をあらかた片付け、残る敵はブロリーだけとなった事に気付いたピッコロは、しかしすぐに悟空の所へは向かわなかった。

 悔しいが、今の自分が行ってもブロリーの前では大して役に立てるとは思わなかったからだ。

 ならば悟空に任せておけばいいのかと言えば、それも違う。

 あの怪物は悟空と戦っている今も気が増大し続けており、このままでは近いうちに新たな領域へ……悟空と同じ超サイヤ人3の世界へ辿り着いてしまうだろう。

 そうなれば地球は終わりだ。誰もあの悪魔を止められない。

 だからパワーが必要だとピッコロは考えた。

 超サイヤ人3の悟空のような……いや、それすらも上回る究極のパワーが。

 故に彼は、精神と時の部屋を訪れていた。

 彼にとって幸運だったのは、リゼットとは入れ違いになっていた事か。

 今からピッコロがやろうとしている事を、もしもリゼットが知ったらあまりいい顔はしなかっただろう。

 精神と時の部屋へ踏み込んだピッコロはそのまま、無造作に置かれていた一つの小瓶を手に取って蓋を開けた。

 これはかつてリゼットが封印した、とある戦士が封じ込められた小瓶だ。

 そして中に入っていたのは――ピッコロの父である、先代のピッコロ大魔王であった。

 

「貴様がピッコロ大魔王か」

「お前は……そうか。お前が我が子か」

 

 対峙する二人のピッコロ大魔王。

 実力差は語るまでもないほどに圧倒的で、しかし威厳では決して見劣りしていない。

 曲がりなりにも、かつて地球を恐怖で染め上げた大魔王という事か。

 大魔王は険しい顔で我が子を見詰め、やがて言葉を発した。

 

「我が子よ。あれから世界はどうなった?

魔族が支配する世界を迎え、私を解放しに来た……ようには見えんが」

「フン。当然の話ではあるが、貴様の時間はあの時に止まったままのようだな。

未だに世界征服などという小さな事に囚われているか」

「……何?」

 

 悲願であった世界征服を小さいと言い切られ、大魔王が困惑の表情を浮かべる。

 そんな彼の前でピッコロは気を軽く解放し、スケールの違いを見せつけた。

 その差は最早蟻と恐竜……どころの話ではない。

 蟻と星ほどにまで力の差が広がってしまっている。

 大魔王は全力で爆力魔波を撃ったとして、精々都市を一つ消すのが精々だろう。

 だが今のピッコロはその気になれば太陽系そのものすら消してしまえるのだ。

 

「戦いは変わった。今や地球は貴様が大魔王を名乗っていた時と違い、宇宙で一番強い奴等が集まる場所となっている。

そして俺も、世界征服などというちっぽけな目的を果たすよりも、この星で一番強い奴になりたい……と思うようになった」

「それが私を解放した理由か。私と融合をして更なるパワーを得ると……そういうわけか」

「融合ではない。貴様は俺がスーパー・パワーを得るための切っ掛けに過ぎん」

「何とふてぶてしい。だがそれでこそ……とも言える」

 

 大魔王は笑い、ピッコロを見た。

 そして思う。自分が今まで生きてきた世界の何と小さかった事かと。

 しかし息子はそんな世界でこれだけの強さを得て、更に上に行こうとしている。

 それが少しだけ嬉しくもあった。

 

「よかろう……どのみち私の夢はお前に託したのだ。

今の私は力を失った抜け殻に過ぎん。抵抗など最初から出来ぬ」

「物分かりがいいな」

「だが気を付けろよ? 温い精神ならば私が内部から乗っ取ってしまうぞ」

「ほざけ。やれるならやってみろ」

 

 二人の大魔王は互いを試すように笑う。

 それは利害の一致であった。

 ピッコロは強大なパワーを得る切っ掛けとして大魔王を必要とし、大魔王は自分では出来ない夢を果たすための存在としてピッコロとの同化に頷く。

 融合した後の息子が自分の影響を受けて世界を支配すればそれでよし。

 違う道に進んでも、ピッコロ大魔王の偉大なる名と強さを知らしめることが出来る。

 何より息子は、もう一人の自分と呼んでもいい存在……あの世を介さずに生み出した自分自身の生まれ変わりなのだ。

 ならば彼の選択は自分の選択も同然である。

 今ここにいる自分など、大魔王の残滓でしかない。

 故に大魔王は笑って同化を受け入れた。

 

「私と同化し、真のピッコロ大魔王となったお前がどのように生きるか……お前の中から見させて貰うぞ」

 

 

 閃光が精神と時の部屋を照らす。

 そしてそれが終わった時、そこにはピッコロ一人だけが立っていた。

 

 

 地球での悟空とブロリーの戦いは新たな展開を迎えていた。

 先程まではかろうじて互角だった戦いの天秤がブロリーに傾き始めたのだ。

 戦えば戦うほどに力を増す。それがブロリーだ。

 その彼の無限の可能性が、超サイヤ人3の悟空ですら手に負えなくなり始めた。

 

「オオオオッ!」

 

 ブロリーが悟空を蹴り飛ばし、山に衝突した彼に追いついて拳を叩き込む。

 かろうじてこれを防御するも山の反対側を突き破って悟空が吹き飛び、その後を追ってブロリーが飛び出した。

 悟空もすぐに体勢を立て直して両手に気を集め、ブロリーへ狙いを定める。

 

「波ァー!」

 

 かめはめ波の青白い輝きが一直線にブロリーへ突き進み、彼の身体を飲み込んだ。

 惑星すら容易く破壊してのける一撃。

 しかしそれを浴びたブロリーは煙の中で吠え、更に強い閃光で己の身を包む。

 あの時は間一髪で届かなかった領域がある。

 だが届かなかっただけで、近付いた経験は彼の中で生きていた。

 故に彼はあの時届かなかった世界へと手をかけ、更なる伝説へと至る。

 

「オオオオオオオオオッ!」

 

 ブロリーの目や口から光が噴き出し、まるで内側から爆発するように気が弾けた。

 世界の色が一瞬変わったと思えば、色の変わった世界がまるで彼に収束するように気が集まり、それを何度か繰り返す。

 その果てに煙の中から現れたのは――先程までのブロリーではなかった。

 隆起した眼窩上。腰まで伸びた、緑がかった金髪。

 更に膨張し強固さを増した筋肉に、正気を感じさせない白眼。そして己の強さへの絶対の自信を漲らせる凶相。

 ――超サイヤ人3。

 とうとうブロリーが、悟空と同じ領域にまで足を踏み入れてしまった。

 

「フフフ……なんなんだあ? 今のはあ?」

 

 悟空のかめはめ波すら、もうダメージにはならない。

 スパークを迸らせながらブロリーが飛び、悟空へ襲い掛かる。

 悟空も何とかこれを迎え撃とうとするが、力の差が開きすぎてしまった。

 ガードの上から剛腕が叩き込まれ、いくつもの岩山を貫きながら悟空が吹き飛ぶ。

 ブロリーはすぐにその真上に追いつき、足から急降下して悟空を踏みつけた。

 

「ぐあああっ!」

 

 悟空の叫びが木霊し、更に畳みかけるようにブロリーが浮上……再度悟空を踏みつけた。

 三度……四度……踏む毎に地面が陥没して悟空の叫びが響き、勝利を確信したブロリーが手の中に気弾を生み出す。

 それを見ながら悟空は右拳にありったけの力を込めて立ち上がった。

 ――龍拳。かつて一度はブロリーに勝利した悟空の切り札だ。

 彼を倒すには、もうこの技を当てる以外に方法がない。

 インパクトの瞬間に大猿のパワーを解放して叩き込むこの技ならば、今のブロリー相手でも通じるはずだ。

 

「この一撃に懸けるしかねえ……!」

「スローイングブラスター!」

 

 悟空が右拳を掲げ、黄金の龍が立ち昇った。

 それを迎撃するようにブロリーが気弾を発射し、黄金の龍にぶつかると同時に気弾が巨大化していく。

 均衡の最中、ブロリーが畳みかけるように気弾を連射して前の気弾にぶつけると、悟空とぶつかっている気弾がますます巨大化して悟空を襲った。

 だがそれでも悟空は最後の気力を振り絞って気を爆発させ、気弾を貫く。

 

「龍拳……爆発!」

「ぬおおっ!?」

 

 咄嗟にガードしたブロリーの腕の上から龍拳が叩き込まれた。

 荒れ狂う龍がブロリーを圧倒し、その巨体を後ろへ後ろへと運んでいく。

 地面を削りながらブロリーが押し込まれ、元々立っていた場所から100mも運ばれる。

 ブロリーの足が地面に二本の線を刻み――そして、その先で龍は止まっていた。

 

「……ふ、フフフフ……フハハハハハ!

カカロットォ……それで全力かあ?」

「く……くそったれめ……」

 

 多少のダメージは与えた。傷は刻んだ。

 だがそれだけだ。

 悟空渾身の龍拳はブロリーのガードを貫けず、その威力を完全に殺されてしまっていた。

 スローイングブラスターを突破するのに力を使い過ぎたのだ。

 だから、龍拳にはもうブロリーを倒すだけの力が残されていなかった。

 ブロリーは悟空の頭を掴むと、彼の顎にアッパーを叩き込む。

 既に龍拳で気を使い果たしていた悟空はその一撃で壊れた人形のように宙を舞い、地面へと落下した。

 

「よく頑張ったがとうとう終わりの時が来たようだな。

カカロット……今度こそ死ぬがいい!」

 

 ブロリーの手から気弾が放たれた。

 だがそれが悟空に着弾する寸前に横から飛んできた気弾が悟空の近くで爆発して彼を吹き飛ばす。

 結果としてそれが悟空を救う形になり、ブロリーの気弾は空振りに終わってしまった。

 あと一歩で止めを刺せたものを……そう思いながらブロリーが邪魔者へ視線を向ける。

 するとそこにいたのは、腕を組んで立つベジータであった。

 

「ベ、ベジータ……すまねえ。助かったぞ」

「勘違いするなカカロット。俺は貴様を助けたわけじゃない。

貴様を殺すのはサイヤ人の王子であるこのベジータだ」

 

 悟空からの礼を不愛想に切り捨て、ベジータが超サイヤ人2へと変身した。

 そしてブロリーへと飛び掛かり、アッパーを放つ。

 それをブロリーは軽々と避けるが、ベジータはすぐさま空中で回転して勢いを付けた蹴りをブロリーの肩へ叩き込んだ。

 

「はあ!」

 

 更に地面に着地すると同時に踏み砕き、速度を乗せた拳を顎へめり込ませた。

 ……が、ノーダメージ。

 ブロリーの巨体を揺らす事すら出来ず、ブロリーの笑みすら崩れていない。

 それを見てベジータの心に僅かな弱気が宿り、距離を取っての戦いへと無意識に移行してしまう。

 まるで逃げるように後ろへ跳びながら気弾を牽制として放つもまるで効かずにブロリーは前進し、やがてベジータの抵抗にも飽きたのか彼の首にラリアットを叩き込んで、その先にあった岩盤へとめり込ませた。

 

「ぐっ……お、俺を……あの時と同じと思うな!」

 

 だがベジータにも意地がある。

 ブロリーの腕と岩盤の僅かな隙間から強引に首を外し、息も絶え絶えに着地する。

 それから果敢に挑み、ブロリーの厚い胸板へと拳の連打を放った。

 

「だあああ! だだだだだだッ!」

 

 しかしこれもまるで効いていない。

 ブロリーはベジータの身体を軽々と掴むと持ち上げ、ベジータの背中を己の膝へと強烈に打ち付けた。

 それからベジータを投げ飛ばし、悟空の隣へと叩きつける。

 何とか立ち上がろうとするベジータだが、身体が言う事を聞かない。

 

「……く……くっそぉぉ……お、俺はまだ奴に……勝てないというのか……」

「ベジータ……こ、こうなったらフュージョンしかねえ……」

 

 ベジータは屈辱に戦慄き、悔しさの余りその目には涙すら滲んでいた。

 そんな彼へと悟空が声をかける。

 ベジータがここに来てくれたのは、悟空にとって幸いだった。

 ベジータとならば、あの方法が使えるかもしれない。

 いや、あれ以外にもう勝機はないだろう。

 そう考えたのだ。

 

「フ、フュージョン? なんだ、それは……」

「へへ、前に組手をした時に、もしもの時の切り札として神様が教えてくれた合体さ。二人が一人に合体して、すげえ戦士になれるんだ。

一度ポポと人参化でやってみてくれたんだけどよ、合体したらとんでもねえ強さになったんだぜ」

「ふ、ふざけるな……貴様と合体など、死んでもごめんだ」

 

 ベジータにはプライドがある。

 いつかは悟空を超えたいという目標もある。

 その目標である悟空と融合するなど、彼のプライドが許す事ではない。

 だが今は意地を張っている場合ではないのだ。

 ブロリーは二人を追いつめるように歩き、もうすぐそこまで来ている。

 

「フフフ……二人仲良く死ぬがいい」

 

 そしていよいよ止めを刺そうと拳を振り上げた。

 だがそこに近づく気配を感じ、ブロリーが顔をあげる。

 今のブロリーは並大抵の相手は敵にならない。

 その彼が僅かながら脅威と認識し、悟空への止めすら後回しにして反応したのだ。

 悟空とベジータも突然現れた巨大な気に驚き、顔をあげる。

 果たしてそこにいたのは、以前とは比べものにならないほどの気を纏ったピッコロであった。

 

「ピ、ピッコロ……なのか?」

「な、なんだ? 何をした? 何故突然それほどの力を……」

 

 マントをなびかせ、ブロリーを見下ろすピッコロからは超サイヤ人3となった悟空にも匹敵する力強さが溢れている。

 確かにピッコロは今でも地球トップクラスの戦士であるが、それでも昨日まではここまで凄まじくなかったはずだ。

 あまりの気の違いに別人とすら思わされてしまう。それだけの膨大な気を今のピッコロは備えていた。

 彼はマントとターバンを外すとブロリーの前に着地し、そして倒れている二人を見る。

 

「孫、ここは俺が引き受ける。

お前はさっさとフュージョンとやらを完成させてしまえ」

 

 そう言い、二人に仙豆を投げ渡すとブロリーへ向き直り、一気に気を解放した。

 その圧力に一瞬ブロリーが警戒を見せるが、すぐに余裕の笑みへと戻る。

 

「フン……何匹来ようが同じ事だ。纏めて血祭りにあげてやる」

「ほう? だったら俺達が参加しても構わねえよな?」

 

 ブロリーの言葉に答えたのはピッコロではなかった。

 今の台詞を口にしたのは、空で腕を組んでいるターレスだ。

 その背後にはクラッシャー軍団を従え、ふてぶてしく笑っている。

 更にブロリーの背後にセルが着地し、右には魔人ブウ、左にはナッパが降り立った。

 宇宙にも轟く地球の戦士達の集結……だが、それを前にしてもブロリーに動揺はない。

 虫けらが1匹から数匹に増えた。ただそれだけの事でしかないのだから。

 

「雑魚共が……死にに来たか」

「化け物め。そう上手くいくと思うなよ」

 

 そしてピッコロとブロリーが正面から激突し、衝撃波が拡散した。

 それと同時にターレス達も攻撃に加わり、悟空はベジータを連れて瞬間移動をした。

 離れた場所でフュージョンをするのだろう。

 ならばここでの戦いは、彼等が合体を終えるまでの時間稼ぎだ。

 

「てやあああッ!」

 

 ピッコロがブロリーへ怒涛の攻めを放ち、彼の身体を僅かずつではあるが後退させる。

 一発一発、その全てが全力だ。体力の配分など一切考えていない無謀な攻撃は、しかしそれだけピッコロとブロリーの差が大きい事を意味していた。

 ピッコロは大魔王との融合によって確かに強くなった。

 だが大魔王は元々ピッコロに自分の全てを託しており、残っていたのは搾りカスのようなものである。

 例えばカタッツの子が分離した際には凄まじいパワーダウンをしたが、同じく二人になったはずのピッコロ(マジュニア)は弱体化どころか、むしろ以前より強くなっていたほどだ。

 それが一つになったところで、望んだほどのパワーは得られない。

 事実、今回の融合でピッコロに齎されたパワーアップは比率にすれば以前にスラッグと融合した時以下だろう。

 それでも破格のパワーアップには違いないし、文句を言うのは贅沢というものだ。

 だがその贅沢も言いたくなるというものである。

 この怪物の前では、これでもまだ足りないのだから……。

 

(早くしろよ、孫……ベジータ! 今の俺でも長くは持たせられん!)

 

 それでもピッコロは、一縷の勝利に懸けて決死の攻撃を続けた。




【戦闘力】
ピッコロ:11億→70億(同化パワーアップ)
界王拳30倍:2100億
界王拳60倍:4200億
(かなり無理してこの倍率。長続きはしない)

復活ブロリー:15億→16億(悟空戦で上昇)
伝説の超サイヤ人2:3000億→3200億
伝説の超サイヤ人3:1兆2000億→1兆2800億

【大魔王との融合】
元々大魔王はピッコロさんに自分の全てを与えていたので、残っていた大魔王はただの絞りカスでしかない。
例えるならばミイラになったジョセフから無理矢理血を一滴だけ吸い上げたようなもの。
馴染む……実に馴染むが……『足りん』ッ!
それでも大幅なパワーアップにはなかったが、ネイルやスラッグと融合した時ほどの超強化は得られなかった。
(あくまでこのSSでの設定です)

【Mr.人参化】
Mr.ポポと兎人参化が合体事故を起こして生まれた戦士。
外見は兎耳が生えてサングラスをかけた白いMr.ポポ。怖い。
カリン様は手が短すぎてフュージョン出来ない。
(ポーズの際にどう考えても手が頭より上に行かない)
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