ドラゴンボールad astra   作:マジカル☆さくやちゃんスター

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シャモ星「俺は帰ったら結婚するんだ、こんな所にいられるか、俺は帰るぞ!
ステーキだって一口しか食べてないし、パインサラダを食べる約束もしている。
だから別に……アレを倒してしまっても構わんのだろう?
もう何も怖くない!
ところで北斗七星の側にある小さな星が綺麗だなあ」


第五十八話 燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦④

「やめろ! 勝てるわけがない! あいつは伝説のスーパーサイヤ人なんだぞ!」

 

 叫ぶベジータの視界には今、絶望的な戦いに挑む戦士達の姿が映っていた。

 悟空や悟飯が必死に戦ってはいるものの、ブロリーとの差は余りに歴然だ。

 リゼットの技術も今回ばかりは相手が悪く、先ほどから上手くブロリーの攻撃をいなしつつカウンターを決めているがまるで効果がない。

 それも当然だ。何せ相手は伝説の超サイヤ人。勝つ勝たない以前に、そもそも勝負が成立する次元にないのだ。

 絶望するベジータへとパラガスが近付き、低く笑う。

 

「よく見ろ。地獄に行ってもこんな面白い殺戮ショーは見られんぞ。

ゥアハハハハハハ!」

 

 彼はブロリーの勝利を微塵も疑っていない。

 それはそうだ。

 負ける要素がどこにもないのだから、疑う方が無理な話なのだ。

 

 

 

 ――生身の……否、生物の手応えじゃない!

 ブロリーへ幾度となく攻撃を打ち込みながら、リゼットは心の底からブロリーという男の人間離れならぬ生物離れを実感していた。

 確かに生き物の肌を叩いているはずなのに、この硬質な感触は何だ。

 まるで鉄。今より260年以上も昔、ただの村娘だった頃の力で鋼鉄を叩いているような、攻撃する事自体を諦めたくなるような絶望的な堅さ。

 効いていない、という事が分かってしまう。

 リゼットの脳裏では今、どれだけ厚いかも分からない鉄の壁を必死にペチペチと叩いている、そんな無駄な努力をしている自分の姿が描かれていた。

 そんなイメージを描いてしまうほどに、このブロリーという男が堅すぎるのだ。

 

「ハハハハハハハハ!!」

「……っ」

 

 振り回されるブロリーの豪腕を余裕を持って避ける。

 攻撃そのものは大振り。速度こそ並外れているが、どれもモーションが無駄に大きいテレフォンパンチだ。

 いかに速度があろうと視線や前動作、筋肉の動きで容易く見切る事が出来る。

 充分な余力を持ってカウンターに転じる事も容易い。

 拳を掻い潜り顎に掌底を当て、ストレートパンチを避けて人中を打つ。

 人体急所は狙えるだけ狙った。鞭打も使った。金的すらも狙った。

 だが――効かない! ダメージなどまるで通らず、ブロリーは即座に攻撃に転じてくる。

 いかに強大な気で攻撃を弾こうとも、それでも皮膚という人体最大の器官を狙った鞭打が効かない道理はない。

 効くはずだ。皮膚があり、痛覚がある生物ならばどれだけ強かろうと鞭打は絶対に通じる。

 なのに効いていないのだ。まるで痛覚そのものが存在しないかのように、ブロリーは微動だにしない。

 眼球を潰そうと指で突けば指の方がダメージを受け、耳に指を入れて気弾で直接脳の破壊を試みても鼓膜すら突破出来ない。

 

「フン!」

 

 ブロリーの放った気弾を避ける。

 目標を外した気弾はそのままシャモ星人達の作業場に吸い込まれるように落ちていき、大勢のシャモ星人達の断末魔が響き渡った。

 これ以上やらせるものかとリゼットが掌打を叩き込むが、まるでブロリーには通らない。

 コルド大王やクウラにもやった、気を浸透させて内部からダメージを与える掌打のはずなのだが、厚すぎる筋肉と気の壁に阻まれて気が送り込めないのだ。

 

「その程度のパワーで俺を倒せると思っていたのか?」

 

 力任せの蹴りを空中で更に跳躍して避け、ブロリーの頭に手を乗せて前方倒立回転。

 彼の背後へと陣取り、振り向きざまに裏拳を放ち彼の背を叩く。

 ブロリーも同じく裏拳を放ちながら振り返るが、リゼットは身を屈めてそれを避け、ブロリーの攻撃モーションが終わるよりも早く飛び上がるように掌打を見舞った。

 避ける、当てる。避ける、当てる。

 零距離で幾度となく繰り返される攻防は一見すると互角に見えるだろう。

 だが互角ではない。リゼットは一撃も当たっていないが、逆を言えば一撃でも貰えばそこで勝負が終わる。

 一方ブロリーは既に千は打たれているが、まるで効いていない。ダメージが通っていない。

 攻撃の当たらぬリゼットと攻撃の効かぬブロリー。傍から見れば互角でも実際の勝敗は火を見るよりも明らかだった。

 一方悟空達はこの攻防を少し離れた位置で見守り、攻撃の隙を窺っている。

 気弾などで援護をすればそれはリゼットの邪魔になってしまうし、かといって近付いてもリゼットのようにブロリーの攻撃をいなす事は彼等には出来ない。

 しかしそんな悟空達に業を煮やしたのだろう。ブロリーはリゼットを無視して悟空へと狙いを変えた。

 

「お前たちが戦う意思を見せなければ、俺はこの星を破壊し尽くすだけだぁ!」

 

 リゼットの気円斬が喉に当たる――が、知らぬ。

 効かぬ攻撃など無いに等しい。

 肌の一枚すらも斬れていないブロリーは悟空目掛けて加速し、一瞬で間合いを潰す。

 そして零距離の気弾で悟空を吹き飛ばし、墜落していく彼を追って降下した。

 リゼットとターレス、ピッコロは気弾を発射するもブロリーはこれを無視。

 背中に気弾の直撃を浴びながらも気にした様子すらなく悟空を追跡した。

 

「冗談じゃねえぜあの野郎……俺達の攻撃が効いてねえのか!?」

「今までに感じた事のないような凄まじい気だ。すげえ化物を相手にする羽目になっちまったな」

「とにかく追いましょう」

 

 ターレス、ピッコロ、リゼットは敵の強大さに戦慄しながらも後を追う。

 その後にトランクス、悟飯、ナッパも続いた。

 ふと、リゼットはナッパのヒゲが金色に染まっている事に気が付いた。

 頭髪がないので分かりにくかったが、どうやら彼も無事に超サイヤ人になる事に成功したらしい。

 普段ならば嬉しい新戦力のはずだが……今だけは、それでもまるで勝てる気がしない。

 ナッパが弱いのではない。超サイヤ人が一人増えても誤差に過ぎないほどに、ブロリーが強すぎるのだ。

 追いついた先では、この惑星の宮殿を造る為だけに惑星シャモから連れてこられたシャモ星人達が恐怖の視線でブロリーを見上げており、ブロリーもまた彼等に覚えがあったらしく口角を吊り上げていた。

 

「惑星シャモから連れてこられた奴隷共か。

いつかは自分達の惑星に帰りたいと、星を眺めていたな……」

 

 洗脳されている間の記憶も残っているらしい。

 ブロリーは彼等へと背を向け、右手に気弾を創り出す。

 

「いつかは帰れるといいなあ」

 

 そう言い、振り向きながら気弾を放った。

 シャモ星人を皆殺しにするつもりだろうか?

 否、放たれた気弾はシャモ星人達に当たる直前で軌道を変更し、空へと飛んで行った。

 無論ただ空へ逸らしたのではない。その飛ぶ先には一つの惑星が浮かんでいる。

 

「あ、シャモ星……」

 

 シャモ星人の子供が呟いたように、その先にあったのはシャモ星であった。

 ブロリーの気弾が直撃してしまったシャモ星は一瞬輝き……そして爆音を響かせて消滅した。

 

「あ、あ……あああぁぁぁあああ!?」

 

 シャモ星人達が絶望の声をあげ、消えてしまった己の母星……があった空を眺める。

 今までずっとあの星を見てきた。

 きっといつかは帰れるのだと思う事だけが希望だった。

 例えこんな星に連れてこられても、自分達の星が変わらぬ姿で空にある事だけが救いだった。

 それが今、悪魔の気紛れによって影も残さず消されてしまったのだ。

 泣き崩れるシャモ星人達を見て、ブロリーは心底可笑しそうに高笑いをあげる。

 

「あ、悪魔だ……」

 

 その余りの非道ぶりに悟飯が震え、彼に最も相応しい呼び名を無意識に呟く。

 

「あんな奴を生かしておいたら宇宙は破壊し尽くされてしまう!」

 

 破壊し尽くされてしまった未来を思い出しながら、トランクスが怒りの声をあげる。

 未来ではかろうじてリゼットが刺し違える事で宇宙は救われた。

 だがこの世界ではそうなるという保証はないし、そんな事をさせるつもりもない。

 必ず、皆で生きてこの絶望を乗り越えると誓ったのだ。

 

「絶対に勝たなきゃなんねえ!」

 

 最後に悟空が叫び、3人が共に黄金のオーラを纏って飛び上がった。

 悟空が正面から蹴りを放ち、トランクスと悟飯が両側面から殴りかかる。

 だがブロリーはどれも気にせず突進し、体当たりで3人の身体を撥ね飛ばした。

 尚も追撃しようとするが、そこにリゼットが割り込みをかけてブロリーの腕を獲り、重力と重量を無視したように放り投げる。

 だがブロリーは空中で1回転し、悟空へと残虐な笑みを向けた。

 

「カカロット、息子がカワイイかぁ?」

 

 その台詞だけで悟空は悪魔の次の狙いが息子であると悟った。

 悟飯は精神と時の部屋の修行で確かに強くなった。

 だがやはり彼は子供だ。パワーはあっても技術がまるでない。

 悟飯がブロリーの猛攻に曝されたら最後、リゼットのように凌ぎ続けるなんて芸当を出来るわけもなく縊り殺されてしまうだろう。

 故に悟空は悟飯を突き飛ばして逃げるように叫び、時間を稼ぐべくブロリーへと挑みかかった。

 

「だありゃあああ!」

「フッ、ハハハハハハ!」

 

 悟空の決死の突撃を嘲笑い、豪腕の一振りで悟空を吹き飛ばす。

 入れ替わるようにターレスとトランクスが飛びかかるが、これもまるで意に介さない。

 二人の頭を鷲づかみにし、地面へと叩き付けた。

 それだけで大地が陥没し、二人の身体が地面へと埋もれてしまう。

 続けてナッパが殴りかかるが、殴られている事にすら気付かずにブロリーが腕を薙ぐ。

 たったそれだけの事でナッパの巨体が空を舞い、岩へと顔から突っ込んでしまった。

 

「ジュウエェン!!」

 

 ピッコロが裂帛の叫びをあげながら上空から強襲し、拳を肩へ打ち込む。

 だが通じない。

 ブロリーの頭突きに呆気なく弾かれ、回し蹴りで地面を無様に転がる。

 それを追ってブロリーが突進し、慌てて止めに入ったトランクスとターレスは何の障害にもならずラリアットで吹き飛んだ。

 そしてブロリーは倒れているピッコロの腹を蹴り上げ、宙へ浮かばせた。

 

「ぐほああっ!!」

 

 唾液を撒き散らしながら悲鳴をあげるピッコロへ、更に追い討ち。

 気弾を放ち、またもピッコロの腹へ当てて彼を遙か彼方へと吹き飛ばした。

 

「ぐはっ!」

 

 ピッコロは丁度ベジータがいる付近へと墜落し、爆発が響く。

 ブロリーはそれを見届ける事もなく悟飯を追い、逃げている最中の彼へと追いつく。

 そして驚いている悟飯の頭を鷲づかみにし、壁へめり込ませた。

 

「うあああああ!」

「フハハハハハ!!」

 

 悟飯の頭で廃墟のビルを削り、腕力に物を言わせて悟飯を投げ飛ばす。

 たったそれだけの攻撃で意識を断ち切られてしまった悟飯は金髪から黒髪へと戻り、壁へと衝突する。

 さらに威力に耐え切れずに壁が崩れ、地面へと落下した悟飯はたまたま壁から突き出ていた鉄骨に引っかかる事で吊り下げられるような形になってしまった。

 その余りに無防備な少年へとブロリーが手を翳すが、やっと追いついてきたリゼットがその手を掴み、またも投げ飛ばす。

 すると丁度地面へとブロリーの手が当たり、誤爆。ブロリーは自らの気弾を自分で浴びる事となり、ここでようやく戦闘が始まってから初のダメージが入った。

 

「ヌウッ……無駄な事を!」

 

 ブロリーがすぐに立ち上がり、リゼットの胴ほどもある豪腕を連続で繰り出す。

 だがどれも力任せの攻撃だ。リゼットならば冷静に対処すれば避けられぬ攻撃ではない。

 とはいえ避けられるだけであり、リゼットの攻撃は相変わらずブロリーに通らない。

 つまりは先ほどの焼き直しであり、状況は全く改善していなかった。

 それどころか戦闘が長引くほどにリゼットの疲労だけが溜まっていき、不利に追い込まれていく。

 

(相変わらず何て堅さ……! けど、こうして時間を稼げば悟空君達が回復する時間も稼げるはず!)

 

 直撃は避ける。

 防御もせず、専念するのは回避のみ。

 ブロリーという激流を静水となって受け流す事のみに全身全霊を注ぎこむ。

 終わりなくいつまでも続く攻防。

 ブロリーにとってこれは不可解な現象であり、そして酷く苛つく戦いであった。

 強さそのものは他の屑共と何も変わらない。非力な相手だ。

 だが当たらない。まるで空でも相手にしているかのように悉く攻撃が空振り相手の攻撃ばかりが一方的に当たる。

 痛みなど全くないが、それでも腹は立った。

 負ける要素などなく、必ず勝てる相手にいつまでも手間取るという不可思議。それがブロリーの怒りを煽った。

 そして怒れば怒るほどに益々攻撃は大振りになり、尚も当たらなくなる。

 

「んんんん…ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙っ……!!!」

 

 怒りの唸り声を発し、癇癪を起こしたように暴れる。

 だがやはり当たらない。拳も蹴りも気弾もその全てを避けられる。流される。

 いよいよブロリーのストレスが最高潮に達しようとしたとき、ふと彼は視界の端に悟飯の姿を見付けた。

 それは止めを刺し損ねたカカロットの息子であり、そして彼女の仲間だ。

 その姿を認めた瞬間、ブロリーの足りない頭に悪魔の策略が思い浮かんだ。

 彼はそれを実行するべく、早速リゼットに背を向ける。

 そして驚く彼女を無視して、悟飯へと気弾を発射した。

 

「っ!?」

 

 リゼットは驚愕に目を見開き、咄嗟に悟飯の前まで飛んだ。

 今の気絶している悟飯がこれの直撃を浴びるのは不味い!

 バリアを前面に最大出力で展開し、ブロリーの気弾を防ぐ。

 凄まじい威力だ。だがそこまで力を込めていなかったのか防ぎ切れない程ではない。

 ……そう、この気弾は防がれてもいい。元よりこれで倒す気などないのだから。

 リゼットが気弾を必死に防いでいる隙を突き、ブロリーは彼女の横へと飛翔した。

 

「!! しま――」

「ファハハハハハハハ!!」

 

 ブロリーの豪腕が風を切り、リゼットの腹へめり込んだ。

 凄まじい衝撃と激痛が腹を中心として全身に掛け巡り、内臓が全て潰れてしまったかのような錯覚を覚える。

 リゼットは端正な顔を歪ませて吐血し、壁に叩きつけられた。

 かろうじて脱力は間に合った。威力のほとんどは流している。

 だが……動けない。膝が震え、全身から力が抜けていく。

 

「ぁ……ぅ、ぁ……」

 

 まるで糸が切れたように膝を突き、一歩一歩近付いてくる悪魔を見る。

 目が霞み、意識が遠のく。

 人間のものとはとても思えない、人造人間のような足音を響かせながらブロリーが近付いてくるが立つ事も逃げる事も、戦う事も出来ない。

 そのリゼットの危機に悟空が駆け付けるが、それが果して何の意味を為すのだろう。

 否、何も出来ない。

 リゼットよりはかなり――それこそ戦闘力を思えばおかしいくらいに打たれ強い彼だがブロリーが連続で発射する気弾を前にガードしながら近付くだけで精一杯だ。

 

「こらあ! 少しは手加減しろお!」

「手加減って何だあ……?」

 

 余りの力の差に悟空らしからぬ弱音が零れるが、残念ながらブロリーは手加減という言葉など知らない。

 そもそも誰からも教わっていないし、覚える気もない。

 だから気弾を撃ち続け、それでも近づいて来る悟空へ一際強力な一撃を用意した。

 

「とっておきだあ……!」

「へへっ……おめえちょっとしつけえぞぉ……」

 

 ここまで力の差があると笑うしかないのだろう。悟空は薄ら笑いを浮かべながらブロリーの気弾を浴び、空高く吹き飛んで行った。

 あれで死なないとは彼も大概化物染みている。少しはその打たれ強さを分けて欲しい、とリゼットは心から思った。

 自分など既に、こうして意識を繋ぎ止める事すら限界を迎えそうだというのに。

 

「させるかあああ!」

 

 今度はナッパがリゼットを救うべく突撃するが、力の差は悲しいほどに絶望的だ。

 背後からブロリーに飛びついて裸締に持ち込むが、ブロリーは速度すら落とさずに前進を続けた。

 しかし、『背中に何か不愉快なものがくっ付いている』くらいには感じたのだろう。

 彼はおもむろにナッパの顔を掴むと、乱雑に彼を地面に沈めた。

 それでもナッパは立ち上がり、あらん限りの力を込めてブロリーへ挑む。

 

「がああああああーーーッ!!」

 

 刹那。ナッパの背後に大猿の幻影が現れてブロリーの胸板を叩いた。

 その一撃はブロリーに痛手を与えるほどではなかったが、しかし悟空達の攻撃と異なり、一瞬のみとはいえ彼の身体を揺らした。

 僅かではある。万分の一にも等しい弱いものである事は間違いない。

 だが確かに……そう、確かにナッパの拳はブロリーにダメージを刻んでいた。

 超サイヤ人のパワーと大猿のパワー。ナッパはそれを一瞬とはいえ同時に発動したのだ。

 そして、悟空は吹き飛びながらもその光景を見ていた。

 ナッパが見せた姿に一つの可能性を感じ――しかし、答えを得る前に気弾の爆発に呑まれ、意識を失った。

 

「クズがあ……!」

 

 僅かとはいえ、ダメージを与えられて気に障ったのだろう。

 ブロリーは今まで以上の威力でナッパを殴り、更に頭を掴んで放り投げ、気弾を叩き込んで吹き飛ばした。

 そうして邪魔者を排除してからリゼットへ掌を翳す。

 

(…………あ……もうこれ、だめです……いしきが……)

 

 今度こそ殺される。

 リゼットはそう覚悟し、静かに目を閉じた。

 どうやら、この根性なしの身体もここが限界らしい。

 意識が急速に遠のき、とうとうリゼットは地面へと倒れてしまった。

 だから彼女は知らない。

 自分が止めを刺される、まさにその間際に一人の男が間に割り込んでいた事を。

 

 

「また一匹、虫ケラが死にに来たか……」

「ふふ。では君が、私のウォーミングアップを手伝ってくれるのかな?」

 

 

 ――本来の歴史では決してあり得なかった激戦が、ここに始まろうとしていた。




リゼットのHPが50%を切ったので緑色のセミがエントリー!

【戦闘力】
ナッパ:9400万
大猿パワー:9億4000万
黄金の髭:47億
黄金ヒゲ猿:470億
(一瞬のみ)
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