ドラゴンボールad astra   作:マジカル☆さくやちゃんスター

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第五十二話 銀河ギリギリ!!ぶっちぎりの凄い奴③

 モヒカンの巨漢、ビドーが空を滑り敵へと一直線に向かう。

 そして繰り出される剛拳はその見た目通りにボージャック一味でも随一の破壊力を有している。

 だが超サイヤ人と化したターレスは難なく拳を受け止め、ニヤリと口の端を歪めた。

 

「クククッ……そう焦るなよ。もう少し楽しもうや。なあ?」

「ぐっ、あ!」

 

 掴んだ拳を強く握り、凄まじい握力を以て圧迫する。

 骨が軋む音が響き、ビドーの顔が歪んだ。

 単純にして分かり易い力の差の誇示だ。相手の渾身の一撃を容易く受け止め、握力を見せ付ける。

 ビドーは咄嗟に膝蹴りを放つも、ターレスは冷静にこれも膝でブロック。逆に攻撃を加えたビドーの膝にダメージを与えた。

 

「そら!」

 

 空いている方の拳でビドーの腹を強打する。

 巨漢の身体がくの字に曲がり、口から赤混じりの唾液が溢れた。

 崩れそうになるビドーのモヒカンヘアーを掴み、ターレスは相手の目線を無理矢理に自分へと合わせる。

 

「運がなかったなあ。お前も大層腕に自信があったんだろうが、よりにもよってこの惑星に目を付けちまうとはよ……」

 

 言いながら今度は腹に膝蹴り。

 ビドーが再度激痛に目を見開き、身体を震わせる。

 だがそれでも反撃の拳を放ち、僅かにターレスの頬を掠った。

 

「だがお前等の生き方、俺は嫌いじゃねえ。

宇宙を気ままにさすらって、好きな星をぶっこわし、旨いモノを食い旨い酒に酔う! こんな楽しい生活はないよなあ……同じ穴のムジナだ、俺達は」

 

 頬を傷付けられた事も気にせずにターレスは哂い、肘をビドーの頭に叩き込んだ。

 ビドーの身体は地面に向けて急降下し、地面を揺らして墜落する。

 それでも何とか立ち上がろうとするが、その背中を同じく急降下してきたターレスが踏み躙った。

 

「ぐあっ……!」

「そこで美味い話があるんだがよ。

お前等、こっち側に付けや。この惑星は俺も気に入ってるからよ、譲るわけにゃいかねえんだ。

跪いて命乞いをすれば許してやるぞ?」

 

 ビドーは何とか立ち上がろうと気を高める。

 だがそれを見切ったようにターレスの纏う気が更に力強さを増した。

 筋肉が膨れ上がり、身体が一回り大きくなる。

 超サイヤ人特有のオーラが炎のように激しく吹き上がり、立とうとしたビドーを再び這いつくばらせた。

 この姿は超サイヤ人の壁を一つ超えた姿であり、気の消費量こそ大きいものの絶大なパワーを身に付ける事が可能となる。

 ベジータならば『超ベジータ』とでも自称しただろうその形態となれば、気だけに限って言えばリゼットにも匹敵している。

 そんな相手と戦う事になってしまったビドーは残念ながら相手が悪すぎたと言うしかない。

 

「悪い話じゃねえだろ。

ちょいと、この地球を狙ってる馬鹿共を裏で始末してくれりゃあ、見逃してやるってんだ。

あの神さんは地球の守護神としちゃあ及第点だが、まだまだ甘い。冷徹に振舞ってるつもりで全然なっちゃいねえ。

だからよ……俺やお前みたいなのが必要なのさ。

この地球を狙う屑共を、裏で葬るような奴がな」

 

 ターレスは、歪んだ形ではあるがこの地球という惑星を気に入っていた。

 そこに生きるバーダックの忘れ形見である悟空やその家族、仲間達が生きるこの惑星を悪くないと思っていたし、妻のスノや同居人の人造人間8号の事も気に入っている。

 だがかつては悪党だったからこそ視えるものがある。リゼットには視えていない裏も彼だからこそ視える。

 リゼットは悟空と比べれば充分に甘さを捨てて事に対処しているとターレスは評価していたが、一方でまだ甘いとも考えていた。

 結局のところ本質が善人なのだ、あの女は。

 悪を潰すのは悪なのだ。地球という惑星を狙う外道を本当に倒したいのならば、こちらは更なる外道とならねばならない。それを理解出来ていない。

 ならば誰かがやらねばなるまい。

 他でもない、かつて宇宙を荒らしまわったこの自分こそが。

 それがターレスなりの、この地球の守り方であった。

 彼はピッコロと違う。

 ターレスはどこまで行っても悪党(ターレス)のままであり、善人になったりしない。

 彼はあくまで、地球の味方になった悪(・・・・・・・・・・)なのだ。

 

「俺に従え。女神さんは何とか誤魔化してやる。それとも……」

 

 語気を僅かに強め、ビドーを踏む足に力を込める。

 

「このまま死ぬかぁ?」

「ぐっ、あああ、ああ!」

 

 メキメキと不吉な音が鳴り、靴の裏で背中をグリグリと踏み躙る。

 敵の悲鳴を心地よいものと捉え、必要以上の……それでいて死なないラインギリギリの攻撃を加え続ける。

 ターレスの本質は変わらない。『お気に入り』に地球が加わっただけであり、彼はどこまでいってもサイヤ人なのだ。

 

「む、無理だ……そんな事をすれば、俺はボージャック様に、殺される……」

「安心しろ。その野郎は俺達がぶっ殺してやる」

「お、お前は知らないんだ……あの方の強さと、恐ろしさを……」

 

 決して忠誠を貫いているわけではない。単に恐れている。

 ボージャックに心から屈し、恐怖で縛られている。

 その事を察し、ターレスは舌打ちをした。

 

(なるほど……本当に俺とご同類ってわけかい。

完全に恐怖で縛られてやがる。これじゃあ引きぬけやしねえ。

仕方ねえ。ちょいと惜しいが……)

 

「――ならば死ねえッ!!」

 

 引き抜き不可能。そう判断すると同時にターレスが下した結論は即殺であった。

 踏み躙ったままターレスの手から気弾が連射され、哀れなビドーの背中を滅多撃ちにする。

 

「ぐっ、が、ぎゃあああああああ!」

 

 ビドーの悲鳴が響き渡るがターレスは止めない。

 慈悲なく躊躇なく、処刑を実行する。

 

「あ、あああ、あああああああ!!!」

 

 撃つ、撃つ、撃つ、撃つ――!

 

「ぎゃああああああああーーーッ!!」

 

 連射、連射、連射、連射、連射!

 

「……あ、……あぁ…………ぁ」

 

 やがてビドーの悲鳴が終わり、身体から力が失われた。

 それを確認し、ターレスは死体を力の限り蹴り飛ばす。

 反応はない。本当に死んでいるようだ。

 物言わぬ死体と化したビドーを見下し、ターレスは吐き捨てるように呟く。

 

「ふん。所詮はチンピラ……無様なもんだ」

 

 最後に気弾を一発。

 爆炎があがり、ビドーの身体は粉々に砕け散った。

 上手くこちらに引き込めればいい道具になってくれそうだったのだが、ああまで恐怖で縛られていては処分以外に打つ手がない。

 その事を少しばかり残念に思いながらもターレスはベジータの気を辿り、飛翔した。

 彼にしては珍しく道具ではなく同胞と認める者達を勝利へと導くために。

 

 

 ザンギャは森の中を駆け抜けていた。

 その表情には焦燥が浮かび、先ほどまでの余裕がない。

 後ろへと視線を向ければ、自らを追う二本の腕が見える。

 まるで蛇のようにうねり、どこまでも伸びて追跡してくる腕から距離を離す事が出来ない。

 だが不意に腕がザンギャから離れた。

 諦めたのか? 否。

 腕の持ち主――ピッコロがザンギャへと追いつき、腕を元の長さに戻したのだ。

 

「しつこい奴め!」

 

 ザンギャが振り向きざまに気弾を放つ。

 だがピッコロはまるで障害にならぬとばかりに気弾を腕で弾き、木々の間を跳んでザンギャとの距離を潰した。

 互いに手の届く距離! ザンギャはすぐさま応戦し、ピッコロとの格闘戦に入る。

 拳と拳、蹴りと蹴りの応酬が目まぐるしく行われ、互いの攻撃が衝突する度に空気が爆ぜる。

 一瞬の隙――ザンギャは攻防の僅かな隙間を縫い、ピッコロの背後へと高速で移動した。

 そして手刀を薙ぐも、確かに捉えたはずのピッコロの身体を虚しく突き抜ける。

 そこで彼女は己の失敗を悟る。違う、これは奴じゃない。残像だ。

 誘われた!

 

「かああ!」

 

 ピッコロの雄叫びが響き、ザンギャが蹴り飛ばされる。

 女の顔を平然と足蹴にするとは何て奴だ、と思うもそれは当然の事だ。

 何故ならばピッコロはナメック星人。メンタルや物の考え方こそ地球人で言う所の男性のそれであるが、彼等ナメック星人に性別の概念などない。

 したがって相手が女だろうが男だろうが彼には一切無関係であり、敵か味方かのみで判断を下す。

 いや……そもそも今回の戦いに加わった面子に相手が女だからと加減する者などいない。

 ベジータとターレスは元は残虐非道のサイヤ人であり、今まで多くの惑星を侵略してきた過去を持つ。

 その滅ぼしてきた惑星に女がいなかったなどという事があるわけもなく、戦場である以上――否、戦場でなくとも女子供にすら容赦がない。

 ピッコロは語るまでもなく、リゼットは自身が女性である為に敵の性別など気にしない。

 唯一そうした部分を気にしそうなのがトランクスだが、彼は彼で地獄と化した未来を知っているので戦場で相手の性別など気にせず、必要とあらば消し飛ばす程度の覚悟は完了している。

 これが悟空や悟飯ならば話もまた違ったのだろうが、こういう意味でも相手が悪かったとしか言いようがなかった。

 

「くそおおッ!」

 

 ザンギャが怒りに顔を歪ませ、気を高める。

 

「シュートブラスター!」

 

 そしてバレーボールのアタックのように打ち出されたのは特大の気弾だ。

 ピッコロはそれを避ける事はせずに両手で押さえ込む。

 角度的に見て、回避すれば最悪地球に衝突すると判断したからだ。

 気弾の威力にジリジリとピッコロが押され、ザンギャが勝ち誇ったように笑みを深める。

 だが次の瞬間にピッコロは気弾を上へと飛ばし、ザンギャの顔から笑みが消えた。

 

「どうした、今のがとっておきか?」

「あ、ああ……!」

「なら今度はこっちから行くぜ!」

 

 言うや否やピッコロは両手を素早く動かし、連続で気弾を発射し始める。

 気弾による弾幕は相手に間合いを詰めさせず、かつ連続で攻撃を加える事が出来る単純かつ強力な戦法だ。

 反面、一発一発の威力は単発よりも格段に下がり、通じない敵にいくら発射しても無駄に体力を消耗するだけという欠点もまた持ち合わせていた。

 相手と自らの実力差を把握し、その上で効果的に使う。それがこの戦法の正しい運用であり徒に気弾を連射すればいいというわけではない。

 ピッコロはその事をよく理解していた。だからこの気弾の連射もただ無意味にバラ撒いているのではなく、明確な目的を持って発射している。

 必死に避けていたザンギャもその事にようやく気付くが、もう遅い。

 既に周囲360度を気弾に囲まれ、逃げ場を封鎖された後だ。

 

「し、しまっ……!」

「終わりだ……くたばれ!」

 

 ピッコロが掌を握る。

 それに応えて全ての気弾が動き、中央へと集約した。

 それはつまり中央に閉じ込められたザンギャに気弾が殺到するという事であり、回避を封じられた彼女は防御する以外に手立てがない。

 

「ボ、ボージャック様ァァァァ!」

 

 ザンギャの悲痛な叫びが木霊し、直後に大爆発が森を揺らした。

 最期に彼女が縋ったのは主であるボージャックだったが、もしもこの叫びがボージャックに届いたとて彼女の運命は変わらなかっただろう。

 煙の中から原型を失った黒い何か――ザンギャだったものが地面に落ち、崩れる。

 魔空包囲弾。気弾の弾幕の中に敵を閉じ込めて一斉に直撃させる事で威力を跳ね上げるピッコロの新技だ。

 その威力は語るまでもなく、炭と化したザンギャの遺体が教えてくれる。

 

「ふん、呆気ない相手だったな」

 

 ピッコロは吐き捨てるように言い、すぐに敵の死体から興味を外した。

 倒した相手などもうどうでもいい。

 それよりも気にするべきは今行われている戦いの方だ。

 他の3人はともかく、ベジータはかなり手こずっているらしい。

 ならば向かうべきはそこだろうと考え、一瞥もくれる事なく空へと飛んで行った。




・現在の地球の主力
リゼット:やたら即死技を使う
ターレス:悪党
ピッコロ:大魔王寄り
トランクス:殺れる時はさっさと殺る
ベジータ:ベジータ

なんやこのPT……。
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