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クレジットカード会社の規制強化がオタク業界の脅威に。Steamにまで“金融検閲”が広がる #エキスパートトピ

多根清史アニメライター/ゲームライター
写真:ロイター/アフロ

クレジットカード会社による表現規制の問題が、ここ最近とくに注目を集めています。

決済代行会社が、成人向けコンテンツや同人誌を取り扱うオンラインサイトに対して、禁止語句を含むコンテンツの取り扱いをやめるよう警告し、契約を解除するケースが相次ぎました。さらに、成人向けサイトとはまったく関係のない婚活サイトに対しても、理由の説明がないまま停止を通告されたという事例もあります。

こうした動きは、今や米国や日本など国境を越え、オタク業界全体を脅かす問題となりつつあります。今回は、その経緯と現状を振り返ってみましょう。

ココがポイント

オタク業界で相次ぐ「Visa」クレジットカードの使用規制……はたしてSteamは大丈夫?
出典:GameBusiness.jp 2024/12/17(火)

ニコ動で海外カードNG コンテンツ規制が問う決済主権
出典:日本経済新聞社 2025/2/23(日)

クレカの表現規制、真犯人は誰か 見えてきた“構造的原因”を解説する
出典:ITmedia NEWS 2025/3/7(金)

Steamが決済代行業者などの基準に則った「特定の成人向けコンテンツ」を制限する可能性
出典:Game Spark 2025/7/16(水)

エキスパートの補足・見解

この問題は複数の要素から成り立っています。まず一つ目は、表現規制の責任の所在が不明瞭である点です。Visaなどの国際ブランドは「表現規制はしていない」と表明しており、決済代行会社がリスク回避のために過剰な対応をしている実態が見えてきました。が、「誰がどの範囲で判断し、圧力をかけているか」は依然として不透明です。

二つ目は、クレカ決済がネット経済のインフラになっている点です。主要ブランドの決済が停止されると、事業停止リスクに直結するため、単なる民間企業のクレカ会社が事実上「検閲」できてしまえるのです。

そして、決済サービスの提供や停止は「企業の契約の自由」とされているため、行政や法制度で是正することが難しい。明確な違法行為がない限り、すべて「経営判断の一つ」と見なされます。

これらの背景には、海外でのポルノ規制強化や訴訟リスクの高まりがあります。国際ブランドも加盟店基準を厳しく運用し、決済代行会社も先回りして国内の幅広い作品やジャンルまで排除しているようです。

結局、問題の根本は「国内の金融インフラが国際ブランドに依存していること」です。当面は、電子マネーや国内ウォレットなどの選択肢を増やす他ないのかもしれません。

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ありがとうございます。
アニメライター/ゲームライター

京都大学法学部大学院修士課程卒。著書に『宇宙政治の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。現在はGadget GateやGet Navi Web、TechnoEdgeで記事を執筆中。

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