ロシアがトランプの手のひら返しに大慌て…再び「核の脅威」をちらつかせるも時すでに遅し?
一時はロシア寄りの姿勢を見せていたトランプは、ウクライナやNATOへの支援を発表した。裏切られた核戦略ドクトリンに言及して牽制しようとしたが
ロシアのドミトリー・ペスコフ報道官は7月16日、記者会見でタス通信に、ロシアの核戦略ドクトリンが「依然として有効である」と改めて強調した。 【画像】ゼレンスキーやNATO事務総長の反応 ドナルド・トランプ米大統領がアメリカと北大西洋条約機構(NATO)同盟国がウクライナに先進兵器を供与すると発表してから2日足らずの出来事だった。 本誌は、米国務省およびロシア外務省にコメントを求めている。 2022年2月にロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻を開始して以来、ロシアとNATO加盟国との緊張は激化している。その中で、世界最大の核弾頭保有国であるロシアによる核兵器の使用という脅威も繰り返し取り沙汰されている(アメリカは保有数世界2位)。 トランプはバイデン前大統領とは異なる対ロシア、対ウクライナ政策を採用。ロシアとの直接的なやり取りを重視する一方、ウクライナやその支援国に敵対的な発言や支援停止の脅しをかけ、ウクライナを取り巻く情勢を不安定にしてきた。 しかし、7月14日、トランプはヨーロッパの同盟国が、ウクライナ防衛のために数十億ドル規模のアメリカ製軍備を購入できるようにすると発表した。
ロシアの核戦略ドクトリンの内容は?
ロシアの核戦略ドクトリンには、ロシアまたはその同盟国に対する「核保有国の支援を受けた非核保有国による侵略」は「共同攻撃」と見なされるという規定も含まれている。 プーチンは2024年12月に核戦略ドクトリンを改訂、核抑止力の行使に関する基準を実質的に引き下げた。改訂後のドクトリンには、ロシアは「自国または同盟国に対して使用された核兵器またはその他の大量破壊兵器」に対し、核兵器で対応する権利を有することが明記されている。 また、タス通信によると、ペスコフはアメリカに対してウクライナに和平交渉の再開を促すよう呼びかけた。 「この件における主要な仲介努力はアメリカ、特にトランプとそのチームによるものだ。(アメリカが出したウクライナ侵攻に関する)多くの声明に対して、(ロシア国内では)失望の声が相次いでいるが、ウクライナにも(アメリカが)圧力を加えることを期待する」 7月14日、トランプはホワイトハウス執務室で「アメリカは最新鋭の武器を製造し、それをNATOに送る」と発言。 NATOのマルク・ルッテ事務総長は、今回アメリカから送られた武器にはミサイル、弾薬、防空兵器が含まれると述べた。トランプも、ロシアによる民間施設への無人機・ミサイル攻撃への防衛手段として重要なパトリオットミサイルが「すでに出荷されている」と発表している。 ウクライナに供与される軍備は現状、すべて既存の備蓄から提供される予定だ。