隠された287点の証拠、供述誘導 ずさん捜査が生んだ冤罪 中3殺害

再審無罪の判決を受け、渡された花束を掲げる前川彰司さん=金沢市の名古屋高裁金沢支部前で2025年7月18日午後5時21分、三村政司撮影
再審無罪の判決を受け、渡された花束を掲げる前川彰司さん=金沢市の名古屋高裁金沢支部前で2025年7月18日午後5時21分、三村政司撮影

 福井女子中学生殺害事件で、前川彰司さん(60)を再審無罪とした18日の名古屋高裁金沢支部は、警察、検察による「供述誘導」「証拠隠し」を指摘し、捜査当局の一連の活動を厳しく批判した。再審制度見直しの議論を後押しすることになりそうだ。

 前川さんは1審で無罪、2審で逆転有罪とされ、再審開始決定も一度は取り消されている。司法判断は大きく揺れ動いてきたが、今回の再審無罪判決は二つの突破口から、「事件は冤罪(えんざい)」との結論を導いた。

 一つは警察による「供述誘導」があったと認めた点だ。前川さんの「犯人説」の発端は、別事件で勾留中の元暴力団組員の告白だった。この頃、事件は発生から半年以上が経過し、捜査は難航していた。

 警察は元組員の告白にしがみつき、捜査を進めた。ただ、元組員は刑事訴追される立場で、刑の減軽や保釈、処遇の改善を実現したいという動機があった。警察は関係者に、元組員を引き合わせたり、元組員の供述調書を示したりして聴取を重ねていた。

 判決は、元組員の思惑や捜査の進め方をつぶさに分析。先行する元組員の供述を基に、他の関係者の供述を誘導することが可能だったと認定した。

 さらに、警察は一連の捜査で、虚偽の情報を告げて供述を引き出す違法な「切り違え…

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