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名無しのナナシ
愛と嫉妬に溺れる桜巫女 - 名無しのナナシの小説 - pixiv
愛と嫉妬に溺れる桜巫女 - 名無しのナナシの小説 - pixiv
10,675文字
愛と嫉妬に溺れる桜巫女
パトパトチャンネルのストーリー本編の二次創作
家族や周りに対して強いコンプレックスを抱いていた桜花が、彼氏である要に強く依存し、彼に近寄る周りの女子達に物凄く嫉妬してかなり拗らせちゃったお話
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2024年5月10日 10:09

■注意喚起(以下の点にご注意ください)
・パトパトチャンネルの二次創作
・オリジナル設定
・微ヤンデレ要素
・作品内容の改変
・キャラ崩壊
・語彙力の無さ


 ───コンプレックス、それは人間誰しもが抱える悩みの一つ。
 私【四季桜花】も無論例外なくコンプレックスは抱いている。
 私は昔から頭が悪く、運動神経も悪く、姉妹達の仲では突出した才能は無かった、唯一あるのは父方の血筋から受け継いだ【無限霊力】という才能だけ。
 だけとは言ったが、本来はそれだけでもとんでもなく凄い代物らしく、寧ろ如何に他が駄目でもお釣りが出る程の価値はあり、それを受け継いだものこそがこの四季家の当主になる定めになる程の代物だった。
 ただ、無限に霊力というエネルギーを扱えるという聞こえは最強みたいな力だけど、実際の所この力は術者本人の"体力"に依存していて、昔から体力の少ない私には無限霊力は噛み合わず、結局そんなに多くの力は扱えないという結果で終わってる。
 私は自身の身体ポテンシャルと体力の無さから無限というメリットをまるで活かしきれていないのだ、まさに宝の持ち腐れであった。
 本来はこの無限霊力に加え、長女の四神との完璧なシンクロ率、そして文武両道のスペックがあってやっと四季家で最高の当主が生まれる、無限霊力以外に突出した才能のない私には到底無理な話だ。
 それに比べても私の他の三人の姉妹はそれぞれとんでもない才能、そして地位や立場に恵まれている…それどころかその内の2名は最高の将来が約束された神様となってしまった。
 正直そんな皆の才能に比べれば昔から何も無かった私が唯一誇れたこの無限霊力さえも、そんなに凄い物のようには感じられなくなってしまっていた。
 加えて私は現在片田舎で農業かネットをするくらいのしがない生活を送っている、いずれは第二の四季神社か魔法教会のどちらかを建てようとは思っているけど、それはきっとまだ先の話だろう。
 そうしている間にも私の姉妹達はもっと活躍して、もっと成果を上げて、もっと強くなっていっている、そんな皆と自分を比較しだしたら……惨めで仕方なかった。
 家族は皆優秀で、私には無いものを持っている、だからこそ私はそれに嫉妬し、コンプレックスを抱いていた。
 だからかここは最近の私は実家には滅多に帰らないようにして、家族に会う頻度を極力減らしていた。
 たまに会っては私の心配をしてくれても、所詮それは持ってる者が持ってない者にかける同情以外の何物でもない、家族からの心配は、ただただ虚しいだけだ。
 大好きだった双子の姉でさえも今は長女と共に神の世界で大活躍している、田舎で切り盛りしながら暮らしているような私とは雲泥の差だ…最初は私と一緒の落ちこぼれだったのに…どうしてなの…。
 もうこの家には私の事を理解してくれる人はいない…だから私は家族の皆との間には壁を作る事にした、後悔はしたけど。
 ────でもいいよ…だって私には【要君】がいるから、彼がいれば私はそれでいいの、それだけで幸せだから。
 彼は違う、彼は私を見てくれる、私の本当の姿を見てくれる、どんなに醜い姿を見せても優しく微笑んで撫でてくれる、コンプレックスに悩む私を抱き締めてくれる、愛してくれる。
 こんなにも私を優しく包み込んでくれるのは後にも先にも要君だけ、それだけでも私の心は満たされていく、これは決して七曜の皆にすらも務まらない。
 だから全部あげる、私の全部は要君だけの物だから…そして要君の全部は私だけの物。
 私の要君、私だけの要君。
 愛してる、ずっとずっと愛してる。
 きっと傍から見ればそれは異常な愛に見えるのかもしれない、だけどこれまでこうして生きてきた私にとっては彼への気持ちはそれほどのものなのだ、それを誰かに理解してほしいとは思はないし、されたくない。
 私のこの気持ちはきっとこの先、何千何万年の時が経とうとも変わることはないだろうと確信している。
 ───でも、彼は人間だ、永遠の時を生きる私とは違って100年もしないですぐに死ぬ運命にある…だからこそ私は、彼も永遠の時を生きられる方法を探すつもりだ。
 けどもしその方法がなかったとすれば私のやる事は決まっている、彼と一緒に、死ぬだけだよ。

「要君、大好き…ずっとずっと、一緒にいようね、約束だよ?」
 私は隣で眠る世界で最も愛しい彼氏、要君に静かにそう問い掛けながらキスをする。
 可愛いなぁ…彼は静かに寝息を立てながら気持ちよさそうに眠っている、それを眺めている時間が一番幸せだ。
 これは私と彼だけの特別な時間、誰も体験できない時間、それだけでも満足だ。

 ────だが…。

「女の、匂い…」
 要君からは、微かに女物の香水の香りがする、私と彼の貴重で大切な時間に水を差した嫌らしい雌の匂い。
 七曜の皆はこのような香水は付けない、つまり外部から持って帰ってきた匂い、それにこんなに染み付いているということはきっと抱き抱えられた、または相手から要君に抱き着いてきたかのどちらかだ。
 たとえ前者でも要君は私に対して一途で他の女性に対して下心は持たずに接してくれる、多分救助活動の一環でそうしたものだろうと私は察した。
 けど、なにはどうあろうと相手の女は要君に触れられたのは事実。
 その事実を前にすると先程まで無かった怒りのようなものがふつふつと湧き上がる、幸せだと感じていた心が上塗りされるかのように嫉妬心と独占欲、色んな負の感情が私の中で渦巻き始めていた。

「ッ……」
 拳を強く握り締め、歯軋りをする。

 私の要君なのに、私の要君、私の…私の…ッ!!それなのに、この雌猫は匂いを彼に染み込ませてマーキングした、そんなの許せない、許せるわけがない。
 他の女なんかには渡さない、私の要君なんだ、私の全てなんだ、絶対に渡してたまるものか…。
「………」
 そうは思ったけど、別に私に相手を特定出来る程の力は無いし復讐なんてするつもりもない、要君が悲しむ事は絶対にやらないつもりだ……けど、こういう事は一度だけじゃない、もう既に何度も起こっている。
 それもこれも彼が【傭兵活動】を始めてからだ、それまではこんな事は一切なかったのに。

 要君は最近、農業だけでは私達7人を養えないと考え、外の世界で【傭兵】という体で人助けをする活動を始めた。
 地球防衛軍に入る手もあったけど、要君曰く組織に入ると色々と面倒くさいからって理由で個人で活動したいらしく、基本的には傭兵という立場で依頼人からお金を払ってもらって、戦争に出たり敵退治したり誰かを護衛したりと比較的に幅広く、色んな事をする形で活動している。
 実力もここ数年でそれなりに身に着けているので、その強さからかなりの人から名指しで求められ、それなりに成果を上げてお金も稼いできている、お陰で七人共何不自由なく暮らせている。
 何ならあの地球防衛軍にさえもその実力を買われて、一時期に大金を積まれて雇われた事もあった、それくらいに今の要君は強く成長していっている、世界からも徐々に認められ、名を広めていっている。
 本当は彼女として彼が皆から認められていっている事実を喜ぶべきなんだろうけど、不思議と心がモヤモヤする。
 私は前々から兄であるパトから月々800万も貰っているんだからそこまでしなくてもいいのに、と思っていたけど要くんは「いつまでもパトに頼る訳にはいかない」の一点張りで傭兵の仕事を続けている。
 ……私が気にしてるのはそれじゃない。
 私が嫌なのは傭兵活動をして、要君に恋をしちゃう女の子が増えるのが嫌だからあまりしてほしくないんだよ。
 要君の傭兵活動は意外にも人気で、世界各地から色んな依頼が舞い込んでくる、勿論その中には女の子もいたりする。
 それに加え、格上と戦える機会は中々無いと言うことで私達は第五回以降もWCBTには継続的に出場しており、ここ最近ではかなり良い成績を残せた為かそれが彼の宣伝効果となって人気は増長し、より周囲の人に認知されるようになり、更に彼へ依頼をしてくる人も増えた。
 それどころか周りの防衛軍の人達からも実力を認められる程になり、色んな人から一目置かれる存在となった、まるで数年前のパトみたいに…。
 今やそんな風に世界に幅広く顔を知られるようになった彼には依頼はひっきりなしでやってくる、そして彼自身はフリーだからか色んな人から求められて引く手あまただ。
 その為か、以前よりも遥かに女の子からの依頼が増えている。
 彼は純粋に依頼量が増えた事に喜んでいたけど、私は素直に喜べはしなかった。
 なにせ世界的にかなり有名となった要君の事を試しにネットでエゴサしてみれば、要君に助けられた人達は数名彼に想いを寄せてるような事を散々発言していたのを見たからだ。
 それらを見る度に私は嫉妬で心が煮えくりかえりそうになる、私の要君なのに…私だけの要君なのに…。
 彼は人が良すぎる、誰でも助けようとする、誰にでも優しい笑顔を向ける、誰にでも甘い言葉を言う…だから多くの女の子が勘違いしちゃう。
 ただ彼に慈悲をかけられただけの癖に…本当に愛されてるのは私だけなのに…。
 本来…私は彼の彼女として堂々と余裕な態度でいるべきなんだろうけど、やっぱり自分以外の女の子にも優しくするのは、モヤモヤする。
 帰ってきた要君から現地での話を聞かされる時、彼の活躍話は嬉しいけど、女の名前が出てきた時は正直面白くないんだ。
 彼が楽しそうにしているから、敢えてその態度を見せないだけであって…。

 最近になって彼は傭兵活動の他にも地球防衛軍の第五部隊が運営している【ギルド】でも活動しており、最近ではそのギルドのシステムを通して色んな人とも出会ったりしているんだとか。
 傭兵とギルドでの活動を両立している以上、必然的に家にいる時間は少なくなり、私との時間は減ってきている、正直彼が農業をやっていた時の方が一緒にいられる時間が多くて幸せだった。
「───けど…こんな事言ったら、迷惑だよね…」
 だって彼は今凄くイキイキとしている、きっとこの活動のおかげかもしれない、凄く満足しているようだった、そしてその理由を私は知っている。
 彼は元々は裏社会に入る前は正義の味方というものに憧れていた、だからこそ要君は『誰かのヒーロー』になれるこの活動を始めてやっと自分の夢を叶える事が出来た、最初は私も彼が望むならその夢を尊重すると、そう決めた筈だった。
 彼は自分は罪を犯した人間だから正義の味方にはなれない、希望の象徴である防衛軍の人達のようにはなれない、その資格はないんだとずっと自分の想いを抑え、夢を諦めて生きていた。
 だから私は"罪を償う"という形で人を助ければいいと提案した、それがきっかけ彼はこの活動を始めた。
 元跡言えばこれは私が撒いた種だった。
 だけどこの活動を始めてから数ヶ月というもの、彼は色んな女の子から気に入られるようになってしまった。
 確かに彼はイケメンだし、腕っ節も強くて、性格も優しい、根っこが本当に素敵な人だ、だからこそそんな人間性には色んな人を魅了してしまう程の魅力があった。
 あの女達が要君に向けていた感情は明らかに恋だ、愛だ、同じ女の私になら分かる、あの子達は確実に要君に惚れていた。
 最初は純粋に彼の夢を応援したくて背中を押した、だって当時はこんな想いを抱くなんて私自身も分からなかったから…。
 だから正直に言って私は彼にその活動をやめてほしいと思ってしまっている、自分勝手なのは十分分かってるけど…。
 それに…そうしてしまえば私は彼の夢を、目標を否定してしまう事になる。
 私は彼の夢を否定する事は出来ない、だって彼にとって正義の味方というものがどんなものでどんなに大きいものなのかを全く知らないから。
 正直私は彼の過去を知らない、聞いても深い所までは教えてくれない、もっと言うなら裏社会に入った理由さえも彼女である私は知らなかった、聞いてもはぐらかされるだけで終わり。
 分かってるのは彼が『スイスの大火災』の生存者であることだけ、その事件は私のお父さんが後悔していた事件でもあったから覚えていた。
 正直その程度しか私は彼の事を知らない、知ってるのは今の彼だけ。
 そんな私が本気で彼の理解者になれるとは思ってはいないけど、それでも私は彼の彼女だ、彼の全てを理解したい、辛い事があったならいっぱい甘やかしてあげたい、それ程の覚悟はある。
 だから私は、この思いを押し殺すしかない、私を幸せにしてくれる彼が幸せじゃないなら、嫌だから…。

「もういいや…寝よう…」
 私はそれ以上深い事を考えるのをやめ、横で眠っている要君に再度キスをした後に眠りについた。

 この日から約一週間が経った、要君はいつものように傭兵の仕事を終え家に帰ってきた、どうやら今日はいつもよりも早めの帰宅だ。
 何せこの日は3月1日、私の誕生日だからだ、その為要君は早く仕事を終わらせ、帰りに大きなケーキや私の好きな物を買って家に帰ってきていた。
 その事は事前に皆の間で計画されていたのか、私が外出している間には要君は既に帰宅していたみたいだった。
 私が外出から帰ってきてリビングに入った途端クラッカーの音が鳴り響く。
「へっ!?」
 私は素っ頓狂な声を上げ、驚いた。
 目の前には七曜の皆が笑顔で待ち構えており、リビングは豪華に飾り付けられている、そして。
「「桜花(お姉)ちゃん誕生日おめでとう!!」」
 皆がそう言って、私を出迎えてくれたのだ。
「み、皆ぁ…!」
 突然の出来事への驚きと感動が入り混じって私は涙目になり震えた声をしていた、私はどうやら見事にサプライズとやらを食らってしまったようだ。
「おっ、桜花帰ってきたか」
 ヒョコッとキッチンから顔を出すエプロン姿の要君、可愛いなぁ…ってそうじゃなくて!
「か、要君!?今日は早いね!?」
「皆と事前に打ち合わせしててな、今日は早めに帰る予定だったんだよ」
「今ケーキを切ってるから待ってろ」
「うぅぅ~!!要ぐぬぅう!!」
 私は今にも泣き出してしまいそうだった、そんな私を皆は笑いながら見ている。
 その後私は七曜の皆や要君とテーブルを囲みながらお祝いをし、ケーキを食べる、今日は凄く賑やかで、騒がしい日になった。

「桜花、誕生日おめでとう」
 少し時間が経ち、静かになって来た時、彼はそう言いながら、綺麗に包装された物を取り出して私に向ける。
「え…これって」
「誕生日プレゼントだ」
 彼はプレゼントを手渡してくれ、私はそれを受け取る。
「あ、開けてもいいかな!?」
「ああ」
「えへへ、何が入ってるかなぁ~♪」
 私は包装紙を破かないように丁寧に開けていく。
「えっ!?これって!!」
 私は驚いた顔をしながら再度要君の方へ顔を向けた。
「その…中々良い物がなかったから、お前が前欲しがってたゲームを買ってきたんだが…どうだ?」
 要君がくれたプレゼントは私が前から欲しがってたゲームだった、ネットで買おうとしても常に在庫切れで買えなかった程の新作の人気ゲーム。
 買うまでネタバレを踏まないようにネットを制限してたけどこれが中々手に入らなくて、断念してネットサーフィンしようかなと思っていた位には欲しかったものだった。
 だったら店舗に直接行けばいい?めんどくさいから無理!
「うん……うん!!嬉しい…嬉しい…よ…っ」
 自然の目から涙が溢れていた、嬉しすぎて感極まってしまった、このプレゼントは私の人生の中で貰った物の中でも最高のプレゼントになった。
「そっか…!それなら、良かった!」
 ニコッと要君は照れながら嬉しそうに笑みを浮かべる、その笑顔はとても愛しいものだった。
 ああ、私は彼のこういう所を好きになったんだ…。
 嬉しい、死ぬ程嬉しい、心が凄くポカポカして、彼への愛情がまた大きく膨らんでいく気がする。
 要君、愛してる、大好きだよ?絶対に離さないんだから…何があろうとも…。

 その後は七曜の皆からも各々プレゼントを貰った、ぬいぐるみだったり、花冠だったり、お洋服だったり、後は勉強の参考書…これは別にいいとして、今日はとても幸せな日だ。
 こんなにも幸せだと感じた日は中々無い、数年前実家にいた時は常に息苦しさを感じてて、誕生日の日もプレゼントだけ貰って常に部屋の中に篭ってた。
 だけどこうして、こうして好きな人や、仲間に囲まれて、誕生日を過ごせるのは、とても幸せだった。

 ────ああ…こんな日がずっと続けばいいな。

 そして今日も今日とて私は要君にギュッと抱きついて眠りにつく、こうしないとやっぱりぐっすり眠れない気がする。
 彼の匂いを嗅ぎ、体温を一身に感じ取りながら目を閉じ、しばらくすると私は深い眠りについた。

 次の日の朝が訪れる。
 行ってらっしゃいのキスを済ませて要君は出掛けていった、今日は力王さんと一緒にトレーニングをするらしい、要君はいつも強さを求めるのに妥協しない。
 そんなにも強くなろうと努力するのには、やはりそれなりの目的があるんだろうけど私はそれを知らない。
 けど、強くなろうと自分を追い込んでいる時の要君の顔はいつも必死だった、そしてそれにはどことなく殺意が混ざっているような気もして…彼は自ら進んで地獄を歩んでいる、それを強く感じさせる。
 きっと今日も要君は自分を追い込んで帰ってくる、そんな彼の帰りを私は待つだけだ、私が彼を癒やしてあげるんだ。

 ────寂しいなぁ…。

 力王さんとの修行から帰ってきた要くんは今日あった色んな事を話してくれた、どうやら修行していた時に隊長達が来て流れで一緒に訓練する事になったとか言っていた。
 各々の修行方法を聞いたり、技術向上のアドバイスを貰ったり、そして自分の持つ技術を教えたりと、かなり充実した修行が出来たみたいだ。
 この事から最近では要君は地球防衛軍の隊長の人達とも対等によく会話をしていたりと、彼も以前と比べると随分と大きな存在になってしまったなというのを強く実感した。
 彼女としてそれは喜ぶべきなんだろうけど、やはり中々に複雑な気持ちだった。
 若手隊長の人達とは年齢が近いからか色々話が合うらしく、それでついつい話し込んでしまうこともあるらしい、もう既に彼らとは立派に友達のような関係になっている。
 彼らは要くんに地球防衛軍に来てほしいと強く願っているみたいだけど、流石の要君でもその要望に答えるつもりはないらしい、傭兵になった今でもその考えを曲げる事はないみたいだ。

 数日経ち、今日は久し振りに外界の街にやってきた。
 とは言っても別に決まった用事があるというわけではなく、ずっと田舎にいると都会の空気が恋しくなって、その雰囲気を味わう為に出向いているに過ぎない。
 今日は中心街に来ており、とんでもなく人が多い、それ故に周囲からは色んな話し声が聞こえる。
「ほら、最近話題の傭兵さん、イケメンねぇ」
「確か柊さんでしたっけ」
「彼私のどタイプ、ちょっと見かけたらアプローチしてみようかしら…」
 一人街を散策しているとそんな会話が聞こえる、すっかり彼の名前も有名人だということだ…と喜びたい所だったけど会話の内容が内容なだけに素直に喜ぶ事は出来ない。
 それどころか今はさっきまでなかった強い憤りと嫉妬心を感じてしまう、彼は私のだ…誰にも渡さない、要君は私だけのものなんだ…。
「ッ……」
 ドス黒い何かが心の中で渦巻くような感じがした、拳に思いっきり力が入り、ギリギリと音が鳴るくらい歯を強く噛み締める。
「でも彼って確か彼女かいるんじゃなかったっけ?羨ましいなぁ~」
「………フフッ♪」
 分かればそれでいいんだよ、要君の全ては彼女である私のものなんだ、決して他の女のものなんかではない。
 そうだ…彼の彼女は私だ、誰かが彼を好きになってもそこには必ず私という存在がいる、私がいる限り要君は誰にも靡かないし、彼と付き合おうだなんて夢のまた夢。
 彼のカッコよさも、優しさも、強さも、全部独占したいと思うのは当然だよね、それとも彼女であってもそれは我儘なのかな?
 でもそれは仕方ない事だ、彼が他の女の子と話すのを見る度に心の中でグチャグチャと煮込まれたようなものを感じしまうんだから、たとえそれが七曜の子達でも例外なく。
 とはいえその点で言えば七曜の子達は彼に変な事をする心配はないからいいけどね、パラちゃんやサーヴァ、テラールは私や彼に年齢が近いから少し危なくて警戒してるけど、デフテーやトゥリー、ペンプはまだ幼く恋を知らない年頃…その三人は彼をお兄ちゃんとして接しているので"今のところ"はその心配はない。
 ………まぁ、もしそんなことしたらしたでちょっと"反省"してもらわないといけないけど♪
 要君は勿論そんな事はしないのは分かってるけど、彼はカッコイイから、人垂らしだからすぐに他の女の子を勘違いさせちゃう…。
 そんな勘違いした人達から要君を守れるのはきっと…後にも先にも彼女である私だけ、だよね?

 彼の周りにはとにかく女の子が多い、だからこそ時折考える事がある。
 私の兄パトは女の子からとてもモテる、なんてそんな次元の話じゃないくらい女の子との縁がある、しかも大きな国を一つ持てる程の。
 そしてパトには遠く及ばなくとも要君はここ数年で数多の女の子からの注目の的となっている。
 そんな状態だからこそもし要君がパトみたいになったらと思うと…あぁッ!考えるだけでも頭がイカれてしまいそうだ…。
 生憎要君は男友達が多いタイプだから良かったけど、もしパトのように周りには彼に言い寄ってくる女の子ばかりがいる環境にいるハメになったらきっと、私は耐えられなかっただろう。
 きっと暴走してしまうだろう、よく雪花ちゃんはあんな反吐が出るような環境に馴染めたモノだと感心してしまう程だ、要君がもしあんなふうになったりしたら私は怒りと嫉妬で我を見失いそうになるだろう。
 この事から私はメリアちゃんの"好きな人を皆で共有しよう"なんて考えには一生賛同しないし、理解もできないんだろうね。
 素晴らしいから素敵だから、幸せになれるから、だから皆で共有しようなんて考え、はっきり言って気持ち悪いとしか思えない。
 何より、それじゃあ相手からの愛情がどこかで分散してしまうのなんて目に見えてるはずなのに、どうして受け入れられるのか理解出来ない。
 素晴らしいからこそ、素敵だからこそ一人でその愛を独占したいと思うのはおかしいのだろうか?
 私は彼を独占したい、彼を他の女になんかあげたくない、仲良くなんてしてほしくない。
 彼の愛が私以外の誰かに向けられるなんて、そんなの絶対に認められない…。
 彼の「愛してる」って言葉は唯一、私だけに向けられるべきなんだ、だって…。

「だって要君は私のものなんだよ…そう、私の、私だけの…」

 だからこそ誰にも渡したくない、私だけを見てほしい、いっぱい一緒に寝て、いっぱい一緒にゲームして、いっぱいチューして、いっぱい手を繋ぐの…。
 そして最後にはいっぱいエッチな事をして、赤ちゃんを私達姉妹のように4人くらい作りたいな。
 彼との将来設計は常に頭の中で考えてある、それもこれも全て彼と幸せになる為のものだ、そこに誰も入り込む余地なんてあるわけないんだよ。
 いざこうやって狂ってしまうほどに誰かを愛する事を知ってしまうと、そういう点だけで言えばあのキルケやメリアちゃん、そしてベッフェルさんの気持ちも少しわかるかもしれないと思うようになってきていたかもしれない、最初はあんなにも彼女たちの行動を野蛮だと思っていたのにね。
 まさかそう考えていた自分自身がそうなってしまうとは思いもしなかったよ、しかも同じ血の繋がってる姉妹たちにさえも敵意を向けてしまうくらいに…。
 ……そうだ、姉妹といえばその事で一つ気になった事があるんだけど、最近何やら末っ子の妹である芦花ちゃんがよく私達の住む家に来る事がある。
 最初はなんとも思っていなかったし、同居人のパラちゃんに会いに来たのかな程度で思ってたんだけど、そう何度も高頻度で来られてると気にもなる点はいくつか見つかるものだ。
 それはもしかしたらただの私の勘違いなのかもしれないけど、芦花ちゃんが要君に対して向ける視線がおかしい気がしている件だ。
 あの子はただ彼を見るのではなく、何やら頬を赤く染め、うっとりとしたような表情をしながら彼の横顔を見たりしている、彼が動く度に目線でしっかりと彼の事を追っている事にも気がついた。

 ───もしかして、あの子は彼を狙ってたりしてるのかな…?
 いや…流石に、冗談だよね?才能にも社会的地位にも恵まれてる癖に…その上私から大好きな人さえも奪うというの?
 私とじゃなく芦花ちゃんと幸せになるの?私にじゃなく、芦花ちゃんに笑顔を見せるの?
 ……許せない、そんなの絶対に許せない、許せない…許せない許せない許せない許せない許せない許せない…っ!!
 要君の笑顔は私のものだ、要君との幸せは私だけのものだ!絶対に…絶対に誰にも渡してたまるものか。
 ───でも、まだ何もしないのなら大目に見る、仮にも妹だし、何より私はまだ芦花ちゃんの事は嫌いになりたくないから…。
 けどきっとあんなうっとりと女の顔をしながら考えていたことは、彼と大人な事をしているのを妄想しているからだろう、流石にムカついてきたし、常識が無い。
 姉の彼氏に欲情してるなんて、とんだ酷い妹だ、大方雪花ちゃんと月花お姉ちゃんが同じ相手の所に嫁げたから私達もあの二人のようになんとかなるかもって魂胆なんだろうね。
 でも私は絶対にそんなのは許さない…。
 要君だけは渡さない、絶対に。
 ぜーーーったいに…一人にしないよ♡

 ずーーーーーーっと…一緒だよ♡

「要君♡」

終わり。

愛と嫉妬に溺れる桜巫女
パトパトチャンネルのストーリー本編の二次創作
家族や周りに対して強いコンプレックスを抱いていた桜花が、彼氏である要に強く依存し、彼に近寄る周りの女子達に物凄く嫉妬してかなり拗らせちゃったお話
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22321,914
2024年5月10日 10:09
名無しのナナシ
コメント
みかんぷりんたると
みかんぷりんたると
最&高♡この桜花は子供がたくさん出来て幸せになっても要が死んだら後を追うだろうな…、要も不老不死になるのに同意したら、蓬莱の薬の改良版(自殺で死ぬヤツ)作って貰えれば解決する…のかな?
2024年8月28日

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