ドラゴンボールad astra   作:マジカル☆さくやちゃんスター

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✪ 前話の『超サイヤ人だ孫悟空』の解説の一部に過りがあったので微修正しました。


第二十六話 美しき野望

「お前なんか! 僕がやっつけてやる!!」

 

 フリーザ一味の悪行に我慢出来無くなった悟飯はドドリアを蹴り飛ばし、声の限りに叫んだ。

 大口を叩いたように聞こえるかもしれないが、今の悟飯の戦闘力ならば実現出来なくはないだろう。

 実際ドドリアの戦闘力22000に対し悟飯は18000であり、決して戦えない相手ではない。

 だがフリーザ相手となれば話は変わる。

 たとえ、界王拳を習得して戦闘力を10倍にしようと太刀打ち出来る相手ではない。

 とはいえ、そんな事を激昂した悟飯が考えるはずもなく、だからこそ他の面子の出番となる。

 

 立ち上がろうとしたドドリアを、今度はピッコロが蹴り飛ばした。

 その威力たるや悟飯の比ではない。

 ドドリアは一撃で家屋を突き破り、無様に地面を転がって血反吐をぶち撒ける。

 それを見てフリーザも己が動く必要があると感じたのだろう。

 素早く掌を向け、ピッコロに向かって気弾を発射した。

 しかしその気弾は間に割り込んだリゼットによって弾かれる。

 バーストリミットによる白い輝きを放ちながら舞い降り、宇宙の帝王が放った気弾をいとも呆気なくかき消したのだ。

 

「皆、退きますよ」

 

 リゼットが指示し、ナメック星人の子供を保護した戦士達が一斉にその場を離脱する。

 最後にリゼットが飛翔し、その場にはフリーザ達だけが残される事となった。

 無論それを黙って見逃すフリーザではない。

 

「追うんですよ、ザーボンさん、ドドリアさん!」

「……う、美しい……」

「ザーボンさん!」

「ハッ!?」

 

 ザーボンはヒューマンタイプであり、故にザーボンの美的感覚は地球人のそれと極めて近い。

 そして彼女はヒューマンタイプとしては最上とも呼べる美を持っていた。

 ザーボンはそれに見惚れ、しばし我を失っていたのだ。

 しかしそれは彼にとってこの上ない屈辱だった。

 生まれて初めて、自分以外の誰かの美に心を奪われた。

 心底美しいと感じ、見惚れたのだ。

 

 ザーボンは美しさと醜さを合わせ持つ戦士だ。

 故に醜い者は許せないが、自分よりも美しい者は更に許せない。

 

「ば、馬鹿な……この私が、己以外に見惚れただと……」

「早く行きなさいザーボンさん!」

「こ、心の底から美しいと感じた……私の姿を鏡で見るよりもずっと……。

嘘だ……ありえない。この宇宙に私よりも美しい者が存在するなど……」

「ザ、ザーボンさん!」

「ゆ、許せない……こんな屈辱は今までに受けた事がない……。

どこの誰かは知らんが、このまま終わらせてなるものか。

宇宙で最も美しいのはこのザーボンだ」

「いい加減にしなさいザーボンさん!」

 

 不意に、殺気を感じた。

 ザーボンがようやく我に返って振り返れば、そこにはまさに怒りに震える宇宙の帝王の姿があった。

 そうして彼は気付く。

 どうやら呆気に取られるあまり、フリーザの言葉すら無視してしまっていた己の過ちに。

 まずい、今すぐ行かなければ殺されてしまう。

 

「初めてですよ……この私をここまで無視したお馬鹿さんは」

「い、今すぐ行って参ります!」

 

 ザーボンは慌てて、逃げるようにそこから飛び去った。

 もし後1秒でも飛ぶのが遅れていたならば、きっとザーボンは物言わぬ屍と化していた事だろう。

 しかし、結論から述べるならば幸運は彼の味方だった。

 彼がドドリアに追いついた時、そこにはあの妙な連中や白い女こそいなかったが、代わりにベジータがドドリアと交戦状態に入っていたのだ。

 否、交戦はまだしていない。しかしドドリアは明らかに不意打ちを受けた様子であり交戦は避けられぬ状態にあった。

 

 ドドリアは結局リゼット達に追いつく事すら出来ずに引き離された。

 そこをベジータに狙われていたのだ。

 地球での戦闘を経たベジータの戦闘力は22000。ザーボンやドドリア相手でも不意を打って1対1に持ち込めば勝てる数値だ。

 故に彼等が単独行動するのを待っており、ドドリアが動いた時これを好機と思い行動に移った。

 だがそこに今、ザーボンが到着してしまった。

 この事はベジータにとっては最悪の不運であり、ザーボンにとっては今後の命運すら左右する幸運であった。

 

 余談だがベジータの戦闘力上昇はサイヤ人の特性である瀕死パワーアップが働いた結果であるが、リゼットの介入のせいでダメージが浅く済んでしまい、彼女の知る同時期のベジータよりも若干戦闘力が下がってしまっていた。

 とはいえ、この場でそれを語っても仕方あるまい。

 

「ドドリア!」

「来たかザーボン! 助かったぜ!」

「ちいっ、ザーボンか!」

 

 ザーボンの合流にドドリアがほっとしたような声をあげ、ベジータが忌々しそうに舌打ちをする。

 1対1ならば何とかなる。

 だが二人がかりならば、ベジータは圧倒的に不利だ。

 逃げられないように前後を固めるザーボンとドドリアに、ベジータは何とか突破口を見付けようと話を振る。

 

「へっ、てめえ等相変わらずフリーザの言いなりか。

情けねえ奴等だぜ……ドラゴンボールさえあれば手前等のような雑魚でも天下が獲れるってのによ」

「俺達が……天下を?」

 

 ベジータの揺さぶりに、単純なドドリアはすぐに動揺を見せた。

 ドドリアは元々世俗的な性格で、権力に弱い。

 しかしそこにザーボンが口を挟む。

 

「ドドリア、奴の言葉に耳を貸すな!

さっさと始末するぞ!」

「お、おう!」

「く、くそったれめ……!」

 

 

 

 数分後、ベジータは汚いボロクズとなって地面に転がっていた。

 さしものベジータも二人が相手ではどうしようもない。

 しかし勝ち誇るドドリアとは対照的に、ザーボンの顔は浮かないものであった。

 

「ドラゴンボール……か」

 

 先ほどのベジータの言葉が脳内を駆け巡る。

 別に天下など望んではいない。

 最強になりたいわけでもない。

 しかし、強く惹かれる。どんな願いも叶うというその奇跡の玉に。

 それさえあれば自分は永遠の若さを得る事が出来る。

 永遠の美を我が物に出来るのだ。

 

「永遠の若さ……永遠の美しさ、か」

 

 普段ならばこんなに本気で考えたりはしなかっただろう。

 ドラゴンボールは主が欲しているものであり、つまりそれを欲する事はあの恐ろしいフリーザへの裏切りとなる。

 だがザーボンは今、正常ではなかった。

 リゼットという己以上の美を目の前で見せ付けられた事で矜持に皹が入り、自尊心をこの上なく刺激されてしまった。

 美しくなりたい。美しさを永遠のものとしたい。

 かねてより抱いていた美への欲望。

 それが彼の中で、己でも制御出来ないほどに膨れ上がって行ったのだ。

 

「……ドドリア」

「あん? どうしたザーボン」

 

「――すまないが、ここで死んでくれ」

 

 それは紛れもなく暴走であった。

 一時抱いた美への渇望が取らせた最悪の行動。

 しかし不思議とザーボンの心に迷いはなかった。

 

「な、何を言ってやがるザーボン……てめえまさか裏切る気か!?」

「……いい機会だから言っておこう、ドドリア。

お前の醜い顔を毎日見るのは、私にとってこの上ない苦痛だった。

だがそれも今日で終わる」

 

 言うと同時にザーボンが地を蹴り、未だ困惑から立ち直れていないドドリアへ先制の突きを見舞う。

 固く握った拳がドドリアの顔面を打ち、彼の寸胴の身体が容赦なく弾き飛ばされた。

 そこに、仮にも仲間だったはずだというのに一切の躊躇なく気弾を放った。

 光が爆ぜ、巨大な爆煙が上がる。

 しかしドドリアもこの程度で死ぬほど柔ではない。

 煙の中から舞空術で飛び出し、ザーボンの前に着地する。

 

「ザ、ザーボン……てめえ……っ!」

「ふん、しぶといな。醜い者はその往生際までもが見苦しいか」

 

 ザーボンとドドリアの戦闘力はほぼ互角だ。

 それはつまり、どちらが先に決定打を入れたかがそのまま勝敗を左右するほどに重要となってくる。

 しかしドドリアは既に、悟飯、ピッコロ、ベジータの三人から不意打ちを受けた状態でザーボンが何もせずとも疲弊し切っていた。

 そこに更に攻撃を加えたのだから、今やドドリアは立っている事すらやっとだろう。

 最早その戦力差は歴然と言っていい。

 

「死ね! ドドリア!」

「ふ、ふざけやがって! ぶち殺してやる!」

 

 ザーボンとドドリアの姿が同時に消えた。

 常人の感覚では捉える事も不可能な超高速戦闘へと突入し、音を置き去りにしての戦いを開始したのだ。

 二人の影が幾度も宙を交差し、打撃音が後から遅れて響く。

 そうして二人は少しずつ場所を移動し、幾度も激しく衝突を繰り返しながら遠ざかって行った。

 後に残されたのは、瀕死の重症を負い、捨て置かれたベジータだけだ。

 

「……ち、ちくしょう……。

お、俺は死なん、ぞ……」

 

 サイヤ人という種族はとにかく生命力が強い。

 心臓が停止したと思っても、後になってから勝手に蘇生する事すらある。

 王子であるベジータもその例に漏れず、むしろ彼のしぶとさは同じサイヤ人と比べても際立って高い。

 既に死んでもおかしくない傷を負ってはいたが、彼はそれでも地面を這いずり、必死に動いていた。

 無論、それで状況が改善されるわけはない。

 孤立無援の状態でこのナメック星を訪れたベジータには助けてくれる仲間など皆無であり、傷を癒す手段もない。

 つまりは、もう詰みなのだ。

 

 それでも彼は地面を這うように移動する。

 その先に都合よく誰も使っていないメディカルポッドがあるわけでもないのに、死んでなるものかと這いずる。

 

「……ち、ちく、しょう……」

 

 だがサイヤ人にも限界はある。

 いかに頑強な身体を持とうと、瀕死の傷を負ったならば治療を受けねばいずれ死ぬ。

 これはサイヤ人であろうと避けられぬ生物の大原則だ。

 視界が暗く染まり、指先の感覚が失われていく。

 

 ――こんな所で死ぬのか。

 

 最後に彼が感じたのは無念だったか、怒りだったか。

 どちらにせよ、それが彼が今生で感じる最後の感情となるだろう。

 そしてそれを最期に、ベジータという人間は永遠に失われるのだ。

 

 

「おいおい、こいつはベジータ王子じゃねえか。

何だってこんな所で死にかけてやがる」

 

 その落ちて行く運命を、誰かが掴み取りさえしなければ。

 

 

 

「ふん……やっとくたばったか。

流石にしぶとかったな」

 

 ベジータから見て優に10kmは離れているだろう小島の上。

 そこでザーボンは息を切らしながら、動かなくなったドドリアを見下ろしていた。

 これで少しは動きやすくなるだろう。

 フリーザからドラゴンボールを奪い取るという極めて難度の高い目的を達するのに、ドドリアなどいちいち気にしてはいられない。

 後でどうせ邪魔になるのだから、今始末してしまうのが最善なのだ。

 

「永遠の美しさは私のもの。

この美しい顔と身体を永遠のものとするために……」

 

 ザーボンの心は今、かつてないほどに野心で燃え上がっていた。

 考えもしなかったフリーザの恐怖支配からの脱却。

 しかしドラゴンボールという存在が彼の秘めたる欲望を増幅した。

 永遠の美。永遠の若さ。

 それを現実のものとするために、ザーボンはフリーザを裏切り、ドラゴンボールを我が物とする事をここに決意したのだ。

 

「さて、とりあえずはベジータを倒した事を報告するか。

しばらくは従っているフリをしなくてはな」

 

 ザーボンはニヤリと笑い、かつての同僚には一瞥もくれず飛び立つ。

 しばらくの間は今まで通りフリーザに従おう。

 だがそれでは己の目的には届かない。

 仮に永遠の若さを得ても、フリーザが生きていれば追い詰められて殺されてしまう。

 死んでしまっては、それは永遠とは呼べない。

 

 だから――フリーザを殺す。

 奴の死なくしてこの野心は叶わない。

 フリーザが死に、初めてあの恐怖支配からの脱却が果たせるのだ。

 

 勿論実力で敵う相手ではない。

 不老不死になっても、今の戦力差ではただサンドバッグになるだけだ。

 (その辺ベジータは何も考えていないようだったが……)

 ならば殺せる相手とぶつければいい。

 フリーザすらも殺せる誰かと戦わせ、そしてフリーザを亡き者とする。

 その為の道筋も、既にザーボンには見えていた。

 

「フリーザに対抗出来るのは同じ一族だけ。

ならば奴を……フリーザの兄、クウラをこの惑星へ呼び寄せる以外にない!」

 

 美しさを求める野心はもう止まらない。

 そしてそれが、このナメック星に更なる混迷を招く事になろうと、ザーボンにとってはどうでもいい事だった。

 全ては、永遠の美しさの為に――。




クウラ「来たか……出演オファー!」ガタッ
ナメック星「来ないで(切実)」

・クウラがナメック星の戦闘にエントリーしました。

【各キャラ戦闘力】※今回は敵のみ
―フリーザ一味―

・フリーザ
第一形態:53万
最終形態:1億2000万

・ザーボン:23000~30000

・ドドリア:22000

・(故)キュイ:18000
※画面外で汚い花火になりました


―その他勢力―

ターレス:250万
大猿:2500万
(地球で受けた元気玉による瀕死パワーアップ)

スラッグ:156万
巨大化:450万
(老人のままなので500万より少し低め)

ベジータ:22000
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