ドラゴンボールad astra   作:マジカル☆さくやちゃんスター

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第二十五話 集う者達 

 高い戦闘力と不思議な力を持ちながら、争いを好まない宇宙人、ナメック星人。

 彼等は平和を愛し、ナメック星をかつてのような美しい星に戻す為にアジッサの木を栽培しながら静かに暮らしている。

 しかし今、そんな彼等の平和を脅かす勢力が同時にこの惑星へと襲来しつつあった。

 

 

「ここがナメック星ですね、ザーボンさん、ドドリアさん」

「はっ」

 

 ナメック星にまず到着したのは巨大な宇宙船。

 その中から出てきたのは一人乗り用の、椅子のような乗り物に乗った有角の宇宙人だ。

 両脇には緑色の美丈夫とピンクの醜男を従え、更にその背後には幾人もの兵士が並ぶ。

 その中に一人とて弱兵はいない。

 誰もが、それぞれの出身惑星で最強と呼ばれるエリート揃いで一番弱い者でも戦闘力1000を上回る。

 側近のザーボン、ドドリアともなれば戦闘力は2万を超え、そして中央のフリーザ――宇宙の帝王は53万を記録している。

 一度彼に目を付けられたならば滅亡不可避、とまで言われる宇宙の恐怖。

 それが部下を引き連れ、己の欲望を果たす為にこの平和な惑星へと降り立った。

 

 

 

「ここがナメック星か……ちっ、フリーザの奴も既に来てやがるな」

 

 フリーザ達と反対――南の方角に、また別の宇宙船が着陸した。

 中から出てきたのは奇抜な頭髪をしたヒューマンタイプの男だ。

 浅黒い肌に、サイヤ人の象徴である猿のような尻尾。

 サイヤ人、と呼ばれる戦闘種族の一人――ターレス。

 かの戦闘種族の中でも飛び抜けた戦闘力を誇る男は薄ら笑いを浮かべ、その場から早速移動を開始する。

 まず狙うは、ドラゴンボール。

 何も全部集める必要などない。

 要は一つだけ確保し、フリーザが揃えられないようにすればいい。

 その後で、きっと来るだろうカカロットと合流して、今度こそ息子共々手駒へ加える。

 そうしてからサイヤ人の力でフリーザを始末するのだ。

 

「待っていろフリーザ。最後に笑うのは俺達サイヤ人だ」

 

 ターレスは敗北などまるで考えない不敵な笑みを浮かべ、己の勝利を早くも宣言した。

 

 

 

「フリーザの野郎め……。

ドラゴンボールは絶対に渡さんぞ」

 

 西の方角にまたも宇宙船が降り立つ。

 前述の二つとは異なり、小型の一人乗り用のポッドだ。

 中から出てきたのは特徴的な生え際が輝くサイヤ人の王子、ベジータ。

 フリーザやターレス同様に戦闘服を纏ってはいるが、サイヤ人の象徴である尻尾はどこにも見えない。

 

「ちっ、ザーボンやドドリアも連れてきてやがる。

何とか隙を突いてドラゴンボールを奪わねばな……」

 

 ベジータの抱く野望は一つ、宇宙の支配。

 そして己こそがナンバー1であり、最強である事を証明する事だ。

 その為にもフリーザはいずれ殺さねばならない邪魔な存在であった。

 今も戦闘力では勝てる相手ではない。

 しかし不老不死にさえなれば勝機はある。必ずチャンスが巡ってくる。

 

「奴さえ消えれば俺がナンバー1だ。

全宇宙はサイヤ人の王子であるこのベジータ様が支配する!」

 

 いずれ来るだろう未来に思いを馳せ、ベジータは笑う。

 覚悟しろフリーザ、貴様の時代が終わる時がやってきたのだ。

 そう嘲笑い、そして己の栄光を掴むべく行動を開始した。

 

 

 

「不思議だ……この星は初めて来た気がしない。

儂の中の遠い記憶が呼び覚まされるような気がする」

 

 東の方角にもまた一つ、巨大な宇宙船が着陸していた。

 彼等は様々な惑星へ移動しては、その惑星を改造して自分達の宇宙船へと変えてしまう悪質な侵略者だ。

 元々は数日前、地球を改造しようと地球を目指していたはずだがスラッグは突如として移動惑星(宇宙船)の進路を変更し、この星まで来てしまったのだ。

 何故進路を変えてしまったかはスラッグ自身にも実のところよく分かっていない。あの時はただ、それが正しい事のように思えたのだ。

 部下が言うにはその時のスラッグは黒いオーラに包まれていたらしいが……まあ、どうでもいい事だろう。

 そう思えるほどにはスラッグは今回の進路変更は正解だったと思っていた。

 地球ほどの惑星ではないが、この惑星もなかなか環境が整っており、しかもそれが彼――スラッグにとってこの上なく居心地のいいものであったからだ。

 

「スラッグ様、この惑星を御気に召しましたか?」

「うむ」

 

 配下の魔族の一人に尋ねられ、スラッグは上機嫌に答える。

 ここはいい。ここがいい。

 この場所こそが、己が住むに相応しい惑星だと確信出来る。

 

「早速この惑星の改造に取りかかれ。

儂はここを次の安住の地とする事を決めたぞ」

 

 そこがまさに己の母星である事すら自覚しないままに、超ナメック星人とさえ呼べる天才は侵略を決定する。

 

 かくしてここに4人。

 フリーザ。

 ベジータ。

 ターレス。

 そしてスラッグという悪が集結し、それぞれの野望を果たすべくナメック星を舞台に行動を開始した。

 それはまさに、平和なこの惑星に降り注いだ悪夢そのものであった。

 

 

 リゼットの転移によりナメック星へ到着した悟空達は一斉に、この星を取り巻いている異常に気付いていた。

 妙だ……やたら強い奴の気がゴロゴロしている。

 そのほとんどは強い、とは言っても今の彼等に及ぶものではない。

 しかしごく一部、丁度彼等の四方を囲む形で配置されている4人のうちの3人が別格だ。

 

「と、とんでもねえ気だ……こいつがフリーザってやつか……」

「ターレスの気もありますよお父さん……それにベジータも」

「こ、こっちは俺と同じナメック星人か? しかし何か邪悪なものを感じるぞ」

 

 悟空、悟飯、ピッコロがそれぞれの方向を向き、気の出所を探る。

 そのうちの二つはよく知ったもので、ベジータとターレスのものに違いないだろう。

 一際大きなものはフリーザだろうが、それに匹敵するナメック星人らしき気まで感じられる。

 この惑星はどうやら、彼等が思う以上の激戦区と化しているらしい。

 この事はリゼットにとっても予想外の事であった。

 

「……幸い向こうはこちらにまだ気付いていません。

このまま気を消して、行動しますよ」

 

 悟空達はこの惑星に来る前から既に、リゼットの指示によって気を消している。

 フリーザ達がスカウターを持つ以上、わずかな戦闘力の発露でも場所を気付かれるし、偵察を送られるかもしれない。

 それを避けるためにも、まずは戦闘力を消して影のように動くのが好ましかった。

 不安材料は、悟空だろうか。

 この中では最もこういう行動に向いていないように思える。

 

「……っ。

どうやらフリーザが動いたようです。

皆、そこの洞窟に急いで隠れて下さい」

 

 フリーザと、その配下の気が一斉に行動したのをリゼットは感じた。

 方向からして恐らく、この先にあるナメック星人の気を目指しているのだろう。

 しかし問題は、その途上にいる自分達だ。

 このまま呆けていては当然フリーザ達に見付かり、交戦に入ってしまう。

 まだ、ここでフリーザと正面から敵対するわけにはいかない。

 故にリゼットは、この場は隠れるのが最適と判断した。

 

 彼女の指示に応じ、全員が洞窟へと隠れる。

 悟空は興味本意で顔を出そうとしたが、ナッパに無理矢理引き摺りこまれた。

 そして通過する、侵略者の一団。

 その中のほとんどは気にするようなものではない。

 2年前ならば脅威に感じただろうか、今の彼等にとってはただの雑兵だ。

 しかし中央の3人だけは別格。力を上げた今の彼等であっても恐怖を感じる絶大な気の持ち主であった。

 特にフリーザに至っては、今の悟空やピッコロでさえも警戒する戦闘力だ。

 

「な、なんだあれは……ターレスに並びかねないほどの気を感じたぞ」

「あれがフリーザ……なんて奴だ」

 

 ヤムチャと天津飯が声を震わせ、自分達が戦うべき敵の強さに戦慄する。

 いや、彼等だけではない。

 悟飯やクリリン、餃子、人参化、そして最近気を感じ取れるようになったナッパも等しく震えていた。

 悟空とピッコロは界王拳の出力を限界まで上げれば渡り合えない事はないのでそこまで恐れは感じていないが、やはり脅威には思っていた。

 この中で唯一、『現時点での』フリーザに何の脅威も感じていないのはリゼットだけだろう。

 

「あいつら、一体どこへ向かっていたんでしょう?」

「恐らくナメック星人の所でしょう。この先……大体14kmの位置にナメック星人の気が複数感じられます」

 

 悟飯の疑問に答えながらリゼットは思案する。

 フリーザはまだ第一形態……そして自分ならば恐らく簡単に倒す事が出来る。

 ならばいっそ、今戦いを仕掛けて変身させずに倒すというのはどうだろう。

 仮に変身させてしまったとしても第2、第3形態ならばまだ楽に勝てる。

 しかし、だ。

 何もフリーザが順番通りにしか変身出来ないという保証はない。

 もしかしたら段階を飛ばしていきなり最終形態になる事だって出来るかもしれない。

 もしそれが可能だった場合、死ぬのはこちらだ。

 加えて、あの魔族の男女の存在もある。

 この遠く離れたナメック星まで干渉してくるとは考え難いが、万一は常に想定しなくてはならない。

 

 ……やはり万全を期して、まずは潜在能力の引き上げを優先するべきだ。

 思案の末、リゼットは確実性の高い慎重策を選び取った。

 勝率は高ければ高いほどいい。

 

「か、神様。俺、様子を見に行きたいんですけど……いいでしょうか?」

「ぼ、僕も」

「俺は止めても行くぞ。俺と同じナメック星人を見ておきたい」

 

 クリリン、悟飯、ピッコロが村へ行く事を提案する。

 というかピッコロの中では既に決定事項のようだ。

 リゼットはその提案を聞き、小さく頷く。

 

「そうですね……折角の人数ですし、ここは二つに分けましょうか。

ピッコロ達と一緒にこの先の村を見るチームと、もう一つは他の村に先回りし、ドラゴンボールと村人を保護するチーム、というのはどうでしょう」

「確かに、二手に別れた方が効率はいいですね」

「いざという時の全滅も避けられるしな」

 

 リゼットの出した方針に天津飯とナッパが同意する。

 どうでもいいが、このメンバー、ハゲ比率が少し高すぎやしないだろうか。

 

「私達は10人ですから、5人ずつで分けましょう。

ただ、私と餃子君はテレパシーの為に別チームに振り分けます」

 

 今、ここにいるメンバーは10人。

 悟空、悟飯、ピッコロ、クリリン、天津飯。

 ヤムチャ、餃子、人参化、ナッパ、そしてリゼットだ。

 このうちピッコロ、悟飯、クリリンは偵察チーム行きが決まっているので、残る二人を決めれば編成完了となる。

 

「この先にはフリーザもいますし……悟飯君達には万一を考えて私が同行しましょう」

 

 そしてこの先にフリーザがいる以上、交戦しないにしても最悪の事態を考えればリゼットを入れるしかない。

 つまり、決めるべき面子は一人だけだ。

 

「じゃあ俺が付いて行ってやる。何か異論はあるか?」

 

 そして最後の一人にはナッパが名乗りをあげた。

 彼はフリーザの事を直接知る唯一の人物であり、その内情にも詳しい。

 つまりこの中では最も適した人材であると言える。

 無論、これに異論など上がるはずもなかった。

 

 かくして決まったメンバーは以下の通りだ。

 偵察班――リゼット、ピッコロ、悟飯、クリリン、ナッパ。

 保護班――悟空、天津飯、ヤムチャ、餃子、人参化。

 

「では、行って来ます。

悟空君、ドラゴンボールの確保は任せましたよ」

「ああ、神様も気を付けてくれ」

 

 リゼット達五人は悟空達を残してその場を発ち、気を抑えながら移動する。

 飛行などしてはスカウターで発見されてしまうので、止むを得ないのだ。

 それから進む事数分。飛んで行けばほんの数秒で着いただろうそこに、ようやくリゼット達は到着した。

 クリリン達はすぐに近くの丘の上にうつ伏せになると、気を完全に消して様子を窺う姿勢に入った。

 一方リゼットはクリリン達から距離を置き、フリーザ達からは見えない位置に立って気を消している。

 リゼットには遠視があるので、実のところわざわざ肉眼で確認する必要もなく、ああしてうつ伏せになる理由もなかったのだ。

 

「あの、神様……そこじゃ何も見えないと思うんすけど……」

「大丈夫です。私はここからでも視えますのでお気になさらず」

 

 リゼットに気を遣うようなクリリンだったが、本人が大丈夫だと言っているので仕方なくフリーザ達を観察する作業へ戻る。

 丘の下で行われているフリーザ達の所業はまさに外道そのものだった。

 ナメック星人を素直にさせる為に村人の一人の首を折り、更に続けてもう一人を気弾で殺す。

 村の危機を知り駆け付けたのだろう若者3人はフリーザの部下をほぼ壊滅させる奮闘を見せたものの、桃色の醜男によって皆殺しにされてしまった。

 挙句の果てにドラゴンボールを渡せば何もしないと約束しながら、いざ渡されればあっさりと約束を翻し、殺しにかかる。

 その鬼畜にも劣る所業に沸点の低い悟飯の怒りが頂点に達したのは無理のない事であり、義憤に駆られた少年はピッコロ達が止めるのも聞かずに飛び出し、ドドリアを蹴り飛ばした。

 

 

 ――やっぱ距離を置くべきじゃなかったかもしれません。

 そう呑気な事を考えながら、リゼットも悟飯を回収するべく即座に行動を開始した。




【超サイヤ人だ孫悟空】
『ドラゴンボール』シリーズの劇場公開作第7弾。
悟空達が地球にいて、ピッコロが生存している。
後に『サイヤ人絶滅計画』でターレスと共演するので『この世で一番強いヤツ』、『地球まるごと超決戦』と同じ世界線の可能性が高い。

この映画でナメック星人は口笛が弱点という設定が追加され、それが後にピッコロさんのキャラクター崩壊ソングである『口笛の気持ち』へと繋がった。
ピッコロ「全国1千500万人のピッコロファンのみなさん……たすけて……」

【スラッグ】
悪の心しか持たない超ナメック星人。
地球をクルーザーに改造したいというDB史上最もアホみたいな理由で攻め込んできた。
上司として考えた場合、歴代ボスキャラの中でも比類なき無能オブ無能。
『スラッグ様ももう御歳だ』と労わっただけの幹部を処刑し、地球改造に10日あればと答えた技術者も処刑した。
魔族は光に弱いので地球を分厚い雲で覆い、寒冷化させようとした。
しかしピッコロ大魔王は普通に太陽の下で戦っていたし、ダーブラも平然としていたので魔族の特徴というより、単にこいつ等が極端に太陽嫌いだっただけだと思われる。
(太陽の下では長生き出来ないらしい)
戦闘力はカードダスによると老で156万。後は不明。
最大で大体500万くらいというのがよく見る解釈。

【ゼエウン】
スラッグ軍の幹部。
『スラッグ様も、もう御歳だ』と言っただけで殺されてしまったクッソ哀れな人。
主に恵まれなかった。

【ギョーシュ】
スラッグ軍の技術者。
地球を改造するのに10日あればおkと答えたぐう有能。
しかしスラッグはせっかちだったので処刑されてしまったクッソ哀れな人。
主に恵まれなかった。

【カクージャ】
スラッグ軍の技術者。
ギョーシュの処刑を目の当たりにして3日でおkと答えて生き延びた。
しかし二人でも10日だったのに一人で3日以内に出来るかは疑問であり、恐らく詰んでいたであろうクッソ哀れな人。
主に恵まれなかった。

【ドロダボ】
スラッグ軍の幹部。
中ボスキラーピッコロさんに挑み、命乞いした挙句にあっさりやられたクッソ哀れな人。
見せ場があっただけマシか。

【メダマッチャ】
スラッグ軍の幹部。
コメダマッチャという自分の影をまとわりつかせてエネルギーを吸収するという、薄い本ならば引っ張りダコ間違いなしの有能。
しかし野郎ばかりのドラゴンボールでは宝の持ち腐れだったクッソ哀れな人。

【アンギラ】
スラッグ軍の幹部。
幹部の中では最もイケメンで大物感があったが、なかなか出番が回って来なかった。
いざ出番が来たと思ったら、よりにもよって相手が主人公の悟空だった為にいい所なくあっさりやられてしまったクッソ哀れな人。
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