ドラゴンボールad astra   作:マジカル☆さくやちゃんスター

24 / 176
第二十四話 いざ、ナメック星へ

「え、えーと……ゴホン。

とりあえずナメック星へは私の力で送るとしまして、問題は今すぐに送るわけにはいかない事です」

「な、何でだよ神様! 早く行こうぜ!」

 

 悟飯の正論すぎる突っ込みにここまでの議論が無駄だった事を悟らされて数秒。

 何とか気を取り直したリゼットは平静を装い、今すぐの転移を拒否した。

 無論それに黙っているわけにもいかず、悟空が反発する。

 

「一つ、最大の問題が残っています」

「問題だと?」

「はい……結論から言います。

今の皆の力でナメック星に行っても、死ぬだけです」

 

 リゼットが発した言葉は、要するに『貴方達弱いんです』という事でしかなく、プライドを抉る一言だ。

 しかし反論は出来なかった。

 ベジータに敗れ、ターレスに敗れ、彼等は充分なまでに己の無力さを思い知らされている。

 ただ、悔しそうに拳を握りこむ事しか出来ない。

 

「ですから1ヶ月……皆は可能な限りの修行を行い、最低限の戦力を身に付けて貰います。

私の感知が正しければ、少なくともフリーザやターレスは後1ヶ月はナメック星に到着しません」

 

 原作をあまり鵜呑みにしてその通りに行動するのは危険だが、とりあえずフリーザの到着時期はそう原作と変わらない。

 遠く離れたフリーザの気、その移動速度から見てもナメック星に到着するには大分猶予がある。

 ターレスの方もそれは同じで、とりあえず30日近くの時間がこちらには与えられていた。

 移動時間をヘブンズゲートで0に出来る以上、これを活用しない手はない。

 

「まず悟空君とピッコロ以外は界王星に向かい、そこで修行をして貰います。

少しきついかもしれませんが、何とか1ヶ月で可能な限り強くなって下さい」

 

 そこまで話し、リゼットは意識を研ぎ澄ませて遠く離れた界王星への波長を合わせる。

 そして念話を用い、界王へのコンタクトを試みた。

 

『……と、いう事なのですが、そちらに地球の戦士を送ってもよろしいでしょうか?』

『まあ儂は構わんが、どうする気だ地球の神よ。そいつ等を殺して蛇の道を歩かせる気か?』

『いえ、その必要はありません』

 

 リゼットは虚空に手を掲げ、気を開放する。

 すると上空に白い『穴』が開き、遥か遠方へと通ずるゲートが完成した。

 ガーリックのデッドゾーンをモデルに編み出した『ヘブンズゲート』の初披露だ。

 

「ひ、ひええ……!」

「これがヘブンズゲート……神様、あれを通れば俺達は界王星へ行けるのですね?」

 

 空中に突如出現したゲートにクリリンが怯み、天津飯が戦慄しながらも行く気満々といった声で尋ねる。

 それに対しリゼットは頷き、悟空とピッコロを除く戦士達へと告げた。

 

「あれを通れば、後は自動的に界王星に着きますので、そこで界王様の修行を受けて下さい。

1ヶ月経ったら私が迎えに行きますので、帰りは心配しなくていいですよ」

「ず、ずっるいなー、おめえ達! オラなんて半年もかけて蛇の道を走ったのによ!

帰る時だって必死に走ったのに!

神様、何であの時それやってくれなかったんだよ!?」

「あ、あの時はまだ未完成の技でしたので……それに初対面でいきなりこれをやっても修行をしてもらえるとは思えませんし……こ、今回は面識があったから出来たわけでして……」

 

 リゼットはそう説明しながらも、よく考えたら悟空が帰って来る時は迎えに行ってあげてもよかったな、などと思っていた。

 あの時は既に技も完成していたし、わざわざ帰りまで蛇の道を走らせる必要はなかった。

 

「さあ皆さん、強さを求めるならどうぞお通り下さい。

ただ、悟空君とピッコロはもう基礎が出来上がっていますので、このまま地球に残って次のステップに進んで頂きます」

 

 パン、と手を叩いて話を強引に進める。

 ブルマが「誤魔化したわね……」と言っているが、聞こえないフリをした。

 神様だって間違いくらいするのである。

 

「オラ達は界王様の所にいかねえんか?」

「はい。二人はもう界王拳を覚えていますし、次は界王拳に耐える頑丈な身体作りといきましょう。

とりあえず目標は界王拳10倍を使いこなせるようになる事です。

他の皆さんも、出来れば界王拳を習得してきて下さい」

 

 リゼットは説明しながらも、恐らく無理だろうけど、と内心で付け加える。

 もしこれが可能ならば、天津飯達は本来の流れでも界王拳をとっくに習得していたはずだ。

 しかし結局そんな描写はなかったし、界王様も悟空が現れるまで使い手はいなかったと語っていた気がする。

 自分だって紛い物とは言え、バーストリミットを開発するのには時間がかかった。

 とはいえ、それをわざわざ教える必要はない。

 それにもしかしたら、ピッコロみたいにイレギュラーな習得をしてくれるかもしれないではないか。

 クリリン達がリゼットの言葉を聞き、置いていかれてなるものかと早々にゲートへと飛び込んで行く。

 ついでに悟飯もチチの制止を振り切って飛び込んだ。

 最後に天津飯が飛び込もうとした所でリゼットは彼を呼びとめ、紙を渡す。

 

「神様、これは?」

「界王様に会ったら、ここに書いてある内容を一字一句違えず読みあげて下さい。

これで最初の試験はパス出来ますから」

「は、はあ?」

「多分この中じゃ貴方が一番苦労しそうですからね……タイムロスはなるべく減らしましょう」

 

 よくわかってなさそうな天津飯の背中を押し、ゲートを潜らせる。

 そして悟飯を追ってゲートに飛び込もうとしていたチチを制止し、改めて悟空とピッコロへと向き直った。

 

「さ、天界へ行きますよ。二人共着いて来て下さい」

 

 悟空とピッコロの二人を連れ、天界へと向かう。

 今回の修行で使うのは以前にブルマから購入し、以降使い続けてきた重力室だ。

 とりあえず二人にはここで、100倍の重力を克服してもらおうというのがリゼットの考えだ。

 ついでに二人が強くなってくれれば、同時に自らの修行相手にもなれるだろうという期待もあった。

 

 とにかく、この1ヶ月でギニュー特戦隊くらいは蹴散らせるようになってもらう。

 そうでなければ打倒フリーザなど夢のまた夢だ。

 

 

「ゆで卵を! 茹でた孫!」

 

 一方、界王星では開幕早々天津飯が親父ギャグを飛ばしていた。

 彼は本来こんなキャラではない。

 キャラではない……のだが、神から渡された用紙にそう書かれていたのだから仕方ない。

 きっとこれは合言葉とか、暗号とか、そういう何かだろうと大して疑問も抱かずに親父ギャグを口走る。

 誰でも思い付くような、何の捻りもないギャグ。

 しかしその効果は絶大だ。

 界王は打ちのめされたように地面に倒れ、腹をよじり、爆笑して笑い転げている。

 

「は、鼻糞の秘密をそっと話くそう!」

 

 続けてヤムチャが何に対抗したのか、親父ギャグを飛ばした。

 すると界王は涙すら浮べて、ますます苦しそうに腹を抱えて大笑いした。

 

「アルミ缶の上にあるミカン!」

「隣の塀に囲いが出来たってね。へーかっこいー!」

 

 更にクリリンとナッパのハゲコンビが駄洒落を追い討ちで叩き込んだ。

 そこに容赦なく餃子と兎人参化が追撃を仕掛けた。

 

「新しいのがあったらしい!」

「いいヅラ買ったの言い辛かったの?!」

「テメェ……何故俺がヅラを買った事を知っている……」

「!?」

 

 怒涛の4連発ギャグに界王はもうKO寸前だ。

 無論、下らない駄洒落である。笑うに値しない。

 しかし普段、この刺激のない小さな星で暮らし、僅かな出来事に一喜一憂している界王の笑いの沸点は限りなく低い。

 だからこの程度の次元の低いギャグであろうと、彼のツボを突いてしまう。

 そして何故かナッパが兎人参化に詰め寄っているが、それはどうでもいい事だろう。

 

「草刈ったら臭かった!」

 

 そこに、悟飯が止めを刺した。

 界王は衝撃を受けたようにえび反りになり、地面に倒れる。

 明らかな呼吸困難、笑い過ぎによる酸欠状態に陥っている。

 悶える事数秒……やがて彼は痙攣し、口から泡を吹いて動かなくなった。

 

 

 

「見事なギャグじゃったぞ。あやうく本気で死ぬ所だった」

 

 数分後。

 何とか立ち直った界王の前でクリリン達は正座していた。

 危うく、銀河の神をギャグで殺すという笑い話にもならない大罪を犯してしまうところであった。

 確かに天津飯にギャグを書いた用紙を渡したのはリゼットだが、その後の悪ノリは彼等自身のものである。

 しかし界王は怒るでもなく、むしろ嬉しそうに笑っていた。

 

「うむ、全員文句なしじゃ。弟子にしてやろう」

 

 危うくギャグで死にかけはしたが、界王を笑わせるという弟子入り条件は見事に全員が達成している。

 自分が提示する前に先制でギャグを飛ばすのはどうかと思うが、あれだけ見事に笑わせてもらえたのなら、文句も出ない、と界王は考える。

 

「ではまず最初は、バブルス君とグレゴリー君を見事捕まえてもらおうか」

 

 かくしてクリリン達は無事に界王への弟子入りを果たし、修行を開始した。

 同じ頃には悟空とピッコロもリゼット相手の修行を開始し、その戦力を伸ばしていく事となる。

 

 ――そして、1ヶ月後。

 

 

 地球のカプセルコーポレーションにて、戦士達は1ヶ月ぶりに集結していた。

 クリリン達は界王の修行を乗り越え、悟空とピッコロは重力修行を克服した。

 全員が1ヶ月前よりも実力を遥かに伸ばし、もう恐れるものはないと自信に満ちた顔をしている。

 この1ヶ月間の間、何のトラブルも起こらなかったのはリゼットにとって幸運であった。

 フリーザやベジータ、ターレスの気もまだナメック星へ到着していないし、これといった外敵も地球に現れなかった。

 てっきり、スラッグあたりが来ると思っていたのだが……。

 存在自体はしているのだろう。リゼットは数日前まで、確かに地球に接近しつつあったスラッグらしき気を感知していた。

 しかしどういうわけか、その気は突然進路を変更して別の星へ向かってしまったのだ。

 その行き先は、ナメック星だ。

 ……また何か、厄介な事になりそうな気がする。

 

「さあ、行こうぜ神様」

 

 リゼットの悩みなど知らずに悟空が弾む声を抑えもせずに言う。

 この1ヶ月で伸びた己の実力を試せる相手、それでも尚届かぬ相手。

 その邂逅を心より望み、楽しみにしているのだ。

 

「待って。出発前に貴方達の戦闘力を計らせて頂戴。

サイヤ人達の使っていたスカウターを更に改良した新型よ」

 

 ブルマがそう言い、スカウターを己の目に取り付ける。

 何時の間に回収、改良していたのかは知らないが彼女に関してはもう何でもありだと思うしかない。

 戦闘力を計る機械音が響き、ブルマが一人一人の数値を確認していく。

 

「へえ、皆凄いじゃない!

クリリン君、16400。ヤムチャ、16200

天津飯さん、17500。餃子君、14000

悟飯君、18000。人参化、15800

ナッパ、24000」

 

 まず界王星から帰還したグループにスカウターをセットし、その戦闘力の飛躍的な伸びを褒める。

 未だギニュー特戦隊はおろか、ナッパ以外はドドリアやザーボンにすら及ばない数字だが、これならば潜在能力の解放でどうにかなるだろう。

 とりあえず、リゼットの望むギリギリのラインはクリアといったところか。

 

「ええと、こっちは……げ。

ピ、ピッコロ、75500。

孫君、95000。

……神様……24万」

 

 尚、ブルマが知るはずもない事であるがピッコロは重い服を着ており、実際の戦闘力は94400にも届く。

 リゼットはピッコロよりも更に重い服と気霊錠を付けているので実際の戦闘力は既に90万に達していた。

 しかし驚くべきはリゼット以外の戦士達の伸び代だろう。

 数値にすれば未だリゼットが圧倒的なものの、1ヶ月前までは戦力差はこの比ではなかった。

 そもそもリゼットは実の所2倍程度しか強くなれていないのに対し、ピッコロなどは10倍以上のパワーアップを果たしている。

 他の面子にしても3倍程度の強さにはなっているのだから、笑うしかない。

 恐るべきは原作メンバーか。

 リゼットも一応悟空とピッコロを同時に相手にしてみたり、カリンを重力室に連れ込んでモフってみたり、カリン用の爪とぎを天命石で造ってみたりと色々やっていたのだが、伸び方が違う。

 しかしこれでも、今までを思えばリゼットは飛躍している方なのだ。

 たった一月で戦闘力が倍に伸びるなどという事は、今までのリゼットにはなかった。

 恐らくは前回の戦いで神精樹の気を限界まで取り込んだ事が影響しているに違いあるまい。

 あの経験でリゼットは、己の壁を一つ乗り越えたのだ。

 

 それに、あの戦いで得たものは他にもある。

 神精樹から吸い取った気は全て地球へ還元した。故にあの一件でリゼットの戦闘力が伸びたりとか、そういう事はない。

 しかし何と言うのだろう……自分の中の器が明らかに前より大きくなったような手応えを感じているのだ。

 例えばバーストリミットだ。

 今まではギリギリで20倍が限度だったが、あの一件以降は20倍が苦にならなくなった。

 今ならば30倍……戦闘力が上がれば40倍だっていけるかもしれない。

 神精樹を処理した際、リゼットは疑似的とはいえ一時的に超サイヤ人級の世界へと足を踏み入れていた。

 気は地球へと還したが、それでも強くなった経験を身体が覚えているのだ。

 だからこそ、バーストリミットによる無理な戦闘力上昇すら、今のリゼットにとっては受け入れられるものとなっていた。

 

「どうだ神様、これでもまだ不足かい?」

 

 自信に溢れたヤムチャの言葉にリゼットは首を振る。

 今の彼等は戦い方次第ではドドリアやザーボンとも戦えるレベルだ。

 少なくとも、ギニュー特戦隊到着前ならばそうそう不覚は取らないだろう。

 そしてここに最長老の潜在能力解放を上乗せすれば、悟空とピッコロはきっとターレスにだって勝てるようになるはずだ。

 

 フリーザに関しては、こう言ってはあれだが最初から悟空頼みである。

 そもそも数値がおかしいのだ、あれ。

 数百万単位で拮抗してた所でいきなり億とかふっ飛びすぎていて突っ込む気も起きない。

 リゼット自身も最長老の潜在能力解放次第ではあの域に届くかもしれないが、確実性を求めるなら悟空の超化の方がいい。

 だから、これに関しては最初からヤムチャ達がこの域に届く事を期待していなかった。

 というより、届けというのが無理難題だ。

 

「いいえ、十分です。

皆、よくここまで強くなりました」

 

 ただ一人、餃子だけが不安な戦闘力だが、まあグルドくらいにならば勝てるだろう。

 ともかくこれで全員、とは言わないが大半がリゼットの望む条件をクリアした。

 そして時期的にもフリーザがそろそろナメック星へ到着する頃であり、時間的猶予もない。

 つまり、どのみちこの戦力で突入する他ないのだ。

 念のためにホイポイカプセルにした宇宙船もピッコロに持たせているので、万一の時の退路も確保してある。

 不在中に地球に何も起こらない保証はないが、その時はカリンかMr.ポポが念話で伝えてくれるだろうし、地球との通信機も一応クリリンが持っているので大丈夫だろう。

 

「では、全員集まってください。

今からナメック星への道を拓きます」

 

 最初の転移先はもう決まっている。

 デンデが暮らしていた村。まずはあそこの付近へと飛んでデンデを救助する。

 その後はデンデを連れてヘブンズゲートで最長老の所へ行き、全員の潜在能力を解放してもらおう。

 フリーザ一味とはデンデ救出時以外はしばらく関わらない方向でいいとリゼットは考えている。

 そうすればしばらくはベジータとでも小競り合していてくれるだろう。

 

 さあ、ナメック星でのドラゴンボール争奪戦の始まりだ。




リゼット「(悟空君に持たせると失くしそうなので)宇宙船はピッコロ、通信機はクリリン君が持っていて下さい」
ピッコロ「わかった」

【各キャラ戦闘力】

・リゼット
基本戦闘力:240000
重装備解除:300000
気霊錠解除:900000
バーストリミット(最大30倍):2700万

・孫悟空
基本戦闘力:95000
界王拳(最大10倍):95万5000
※無理な瀕死パワーアップをしなかったので原作で1週間鍛えただけの悟空と大差なし

・ピッコロ
基本戦闘力:75500
重装備解除:94400
界王拳(最大5倍):47万2000

・ナッパ:24000

・孫悟飯:18000

・天津飯:17500

・クリリン:16400

・ヤムチャ:16200

・兎人参化:15800

・餃子:14000

―ナメック星編不参加(万一の際の地球の守りとして待機)―
・Mr.ポポ:16500
・カリン様:16000
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。