「四天王の卓也さんが亡くなった」

相方からの連絡を受けた時、全く意味がわからなかった

四天王の卓也さんと知り合ったのはいつだろう？確かバイト先が同じになった時が最初だったと思う、本人に確認が取れないのがもどかしい

多分6.7年くらい前？コンビ名がまだゆかりてるみだった頃

お互いにTHEイナズマ戦隊というバンドが好きで、そのバンドの事好きな人本当に周りにいなくて、びっくりして凄く会話が弾んだ記憶がある

そこからは、もう飯に誘ってもらったり、音楽の話をしたり、ライブで一緒になったりと同じコントをやるもの同士切磋琢磨してきた

最後に会ったのは先週、U&Cのライブ

「邪魔すぎるよ！！！」とつっこんでしまうくらい舞台の真ん中陣取って平場を暴れていた

まさか存在事なくなるなんて思わなかった

先週まで年に100回くらい会ってた人が急に亡くなった

事務所ライブ中、卓也さんと親交があったメンバーと事務所ライブ途中で抜けて、最後に顔を見にいく事にした

車で向かう中、車内で「信じられないですね」なんて言いながら、雨が降ってて「きっと、これは卓也さんの汗ですね」「涙とかでいいだろ」とかなんとか、しんみりボケながら会場に向かった

入り口に知ってる芸人の顔が沢山、普段泣いてる顔なんて見た事ない人達の泣き顔を見て

「そうか。」と覚悟を決めた

中に入り、挨拶をして列に並ぶ

棺の中に卓也さんがいた

棺の中の卓也さんは

むちゃくちゃにコントのキャラ格好してた

でけえサングラス掛けて、へんなカツラ被せられてて、胸元にマイク付いて

覚悟を決めて行った分、見た瞬間むちゃくちゃ笑ってしまった

同時に芸人の粋を感じて涙が止まらなくなってしまった

俺は最後の最後、卓也さんに笑わせられた

笑い泣きが止まらなかった

「あぁすげえなぁ、笑っちゃった、悲しいなぁ、笑っちゃったよ、あー悲しなぁ、悲しいなぁ、お疲れ様ですよ、あー悔しいなあ、悲しいなぁ」

頭の中ぐちゃぐちゃだった

相方のジェットさんも小学生みたいな衣装を着て、気丈に振る舞っていた

すごい笑顔で卓也さんと写真撮ってた

心霊写真が撮れてて欲しい、願わくば卓也さんではない霊が写ってて欲しい

ご両親もすごく明るく努めていらっしゃった

俺は親父に育てられたので、特にお父さんの立ち振る舞いにたまらない気持ちになってしまった

ずっと笑顔で「顔見てください〜」って、その姿を見て、再度涙が止まらなくなってしまった

志半ばすぎるよ

もっとコントやりたかったよな、誰よりも感情剥き出しにして、ネタに向き合ってた人だから、毎年一つでも上に行こうとしてた人だから、本当に悔しいだろうな

同じ事務所の甘味処さん

たまたま、今日の事務所ライブでやるネタの為に卓也さんにメイド服を借りていた

卓也さん曰く「俺、人にコントの衣装を貸さないポリシーがあるんですけど、甘味処さんなら良いですよ」と貸してくれたそうだ

相方の天野さんも同じような体型をしてるから、楽屋で見た時にものすごく卓也みたいだった

卓也さんは舞台には立てないけど、最後の最後に偶然だが卓也さんのメイド服が舞台に立っていた

しかもそっくりな体型の人が

素敵な偶然、不思議な縁、運命、なんでも良い、ちょっとでも卓也さんが、最後にコントに触れる事ができてたなら、本当に良かったなと思う

自分の好きな人、大切にしてる人、本当に陳腐な言葉だけど、そんな人と一緒に過ごす時間ってのが、どれだけ大事な物なのかって、最後に会った日の楽屋での卓也さんを思い返しながら思った

卓也さんは次の日、地元北海道での葬儀があるので、車に乗って出棺した

走っていく車に向かって「卓ちゃーーーーん！またねーー！」と叫ぶジェットさんに胸が締め付けられた

ジェットさんの事を1番好きなのは卓也さんだった、そしてジェットさんも卓也さんの事を本当に信頼して着いていっていた、そんな剥き出しの愛情にまみれた「またねーー！」という言葉にまた涙が溢れてしまった

ジェットさんに「なんでも言ってくださいね、俺なんでも協力するんで」と伝えたらジェットさんは「彼女が欲しい」と伝えてきた、申し訳ない、俺は戦力にならないです

卓也さん貴方は最後の最後まで芸人でしたよ、笑っちゃったもん、ずるいですよ、本当にお疲れ様でした、僕もいつまで芸人できるかわかりませんが、出来る限り頑張ってみますね。

そんな事を思いながら帰路に着いた

また、一緒のライブ出ましょうね、それじゃ