議席目標6→20の勢いだが…「日本人ファーストは選挙期間中だけ」参政党神谷代表の変節ぶりと支持者の本心
■チラシで「消費税廃止」、テレビでは「減税困難」 公約についても定まらない。例えば消費税に関して、公約では「段階的引き下げ」と書き、チラシやアンケートでは「消費税廃止」。ところが、テレビ(NHKの「ニュースウォッチ9」)では「下げてしまうと元に戻すのが難しい」「消費税なんかは特に死守したいということは理解しています」と言ってしまう。 このように参政党の主張は矛盾だらけだが、とりわけ党首の神谷代表は、次から次へとその場かぎりのアテンションを引くために街頭演説であえて強い言葉を使い、デタラメを言っているのではないか、と思わせるほどだ。 ■アテンションエコノミー政治の真打ちか 2024年、政治の世界において似た手法を使う候補者が目立ち、選挙戦で混乱が見られた。東京都知事選での暇空茜(ひまそらあかね)(水原清晃)氏や元安芸高田市長の石丸伸二氏、また兵庫県知事選でのNHK党の立花孝志氏の手法は、やはり参政党に近いものだった。過激な発言で炎上させ、ネットでPVを稼ぎ、それを収益化しつつ、YouTubeやTikTokで「いいねが多い」「再生回数が多い」といった理由でさらに目を引く。 その暇空氏はその後、誹謗中傷やデマを流したことにより多くの人から訴えられ、これまでのところ、ほとんどのケースで敗訴している。また、それにより「暇空信者」と呼ばれたサポーターの心もかなり離れつつあるようだ。石丸伸二氏は新党「再生の道」を結成したものの、2025年6月の都議選で候補42人が全員落選する結果となり、一時の勢いはない。 一方、NHK党の立花氏は今回の参院選にも候補者を出しているが、彼は早くから参政党に対して警戒心を示していた。おそらく、その場その場のアテンションで注目を集め、台風の目となろうとする参政党の政治姿勢に「同族嫌悪」ないし「お株を奪われる」という危機感が働いたのではないか。 参政党は2020年結成にもかかわらず、今回の参院選ではなんと47都道府県すべてに候補者を擁立するなど、先に挙げた3名とは政治的影響力が異なっている。すべての選挙区で比例の票を集めることもできる。新聞各社の得票予想からは、この選挙期間中にも支持を拡大しているように見え、7月18日、神谷代表は議席獲得数の目標を6席から20席に引き上げた。 街頭演説では人の集まりにバラつきがあるが、党員や支持者だけのクローズドな集会では、拍手やコールアンドレスポンスが繰り返され、異様なほどの熱気が立ちこめている。なぜ、誤りや矛盾が多く、攻撃的姿勢を崩さない参政党がこれほどウケているのだろうか? 例えば、東京地区のさや候補は、一般的な知名度はそれほど高くはない。にもかかわらず、オリンピックメダリストの自民党候補・鈴木大地氏をもおさえて東京第1位と予想する新聞もある。