最先端施設見学に“水素の湯” “水素キッチンカー”も

6月、2日間にわたって浪江町で行われたツアーには、県内外の水素に関心を持つ自治体や企業からおよそ25人が参加しました。水素には、化石燃料をもとに作られるグレー水素、そこから二酸化炭素を回収し貯めることで排出量を大幅に減らしたブルー水素、そして再生可能エネルギーを使って水を電気分解して作られるグリーン水素があります。なかでもグリーン水素は二酸化炭素を出さないことから注目を集めています。

この水素を活用した街づくりを進める浪江町は、2050年に二酸化炭素の排出量実質ゼロを目指しています。

5年前に完成した水素製造施設の「福島水素エネルギー研究フィールド」。こちらで1日に作られる水素で、およそ150世帯の1か月分の電力をまかなうことができます。世界最大級ともいわれる最先端の施設で、参加者は熱心に耳を傾けます。

ツアーの疲れを癒す宿も、水素を活用しています。温浴施設の「いこいの村なみえ」にあるのは「水素の湯」。研究フィールドから運ばれた水素から発電し、浴場のお湯を沸かしています。

さらに、水素はこんなところにも。

ツアー参加者が親睦を深める食事会に登場したのは水素キッチンカー。ガソリンを使わず、水素を燃料にして走る車で、二酸化炭素を出さないのが特徴です。調理をする人にとってもメリットがあるといいます。

シェフ「ガスを使わないので火が出ない。快適です。どうしてもガスだと火を使うので、車内の温度が上がって結構暑い状態になる」

調理をする際にはキッチンカーにある水素をもとに、燃料電池で発電した電気を使うため、ガスや発電機を使う従来の車よりも車内の温度が上がらず、調理する人の体の負担が大幅に軽減。さらに…。

シェフ「発電機があるとなるべく遠くに置くが、全然(騒音を)気にしないで近くでできる」

自然豊かで静寂に包まれた環境の中で、華やかなコース料理とともに、とっておきのひとときを過ごすことができるといいます。

参加した人「静かですよね。発電というと祭りとかのガソリンでウィーンと鳴ったり、ガスの匂いがしたりするイメージだったので、こんなこともできるのかとびっくりした」

参加した人「みなさんがいろんなことにチャレンジしていて、未来志向なのが素敵だと思った。今後どう広がっていくのか」

「クリーンエネルギー」。様々な分野で水素を活用した社会の実現へ、期待が高まります。

ツアーを企画している孫の手トラベルは、今後は大学生を対象にしたツアーを開きたいとしています。