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所定労働時間を7時間に減らして3年が経ちました

こんにちは、nay3です。

万葉では、働きやすさの実現のために様々なことを考え、取り組んできました。今回の記事では、それらの工夫の中でも最も大きなインパクトがあった、所定労働時間の変更についてご紹介したいと思います。

所定労働時間とは

所定労働時間とは、会社が定める、社員が働くことになっている時間のことです。法的な上限である法定労働時間(週40時間・1日8時間)を超えない範囲で、会社が自由に決めることができます。

創業時の所定労働時間は7時間30分だった

万葉は2007年4月の創業時に、柔軟さ・働きやすさを勘案して、以下のように労働時間を定めてスタートしました。

・1日の所定労働時間は7時間30分
・30分のみなし残業時間をつける(1日あたり7時間30分〜8時間働いた場合は同じ給与となる)

当時の所感としては、所定労働時間が8時間という会社も多い中、7時間30分はゆとりのある方ではないかと思い、特に問題を感じてはいませんでした。

変革のきっかけ

しかし、2018年のある日、共同創業者(現・取締役副社長COO)の久保さんが突如、こう言い出したのです。

「共働きで子供のいる家庭を回していくには、7時間30分でも労働時間が長すぎる!!」

「誰もが1日6時間働ければOK、になるのが理想!!」

「でも、万葉は開発会社で、稼働時間が減れば連動して売上が減ってしまう。給与据え置きだとコストは変わらないので、その分利益が減る。いきなり6時間にするのは無理。そこで、現在の7時間30分をまずは7時間にしよう!!

万葉では、売上を確保する役目は、唯一の営業である久保さんが担ってきました。役割上、コスト増や稼働が減ることを誰よりも気にかけるのが久保さんです。また、お客様に対して時間の調整などを一手に担っている関係上、所定労働時間を減らすことで心労が増えるのも久保さんです。その久保さんが、単純計算で売上・利益が6.7%も減るような施策を「やろう」と言うのは、よほどのことです。

久保さんの示したビジョン

久保さんは、前々からどのようなことを考えていたか、社会がどうなってほしいかを詳しく私に聞かせてくれました。その一部をご紹介すると、次のような内容です。

・育児をしながら働くということが大変すぎると感じている
・夫婦の在り方が変わった現状に、制度がついて来られていない
・たとえば、保育園に入れないために会社を辞める人がいるという現状はつらい
・保育園に入れてもフルタイムの仕事との両立は厳しく、体調を崩してのお休みや急なお迎えなどが発生する
・夫婦の片方に協力の姿勢がない場合は更に大変
・お金を払って子供を遅くまで預かってもらうことができるとして、それは解決策なのか? 私は家族全員で夕食の食卓を囲みたい。一緒に食事をとることも子育ての一環だ。私も夫も無理なく18時に帰宅して子供を迎えられるような社会になってほしい

仮に所定労働時間が8時間である場合、9:00 〜 18:00 とか、10:00 〜 19:00 が勤務時間になります。通勤時間を1時間ずつ加えれば、8:00 〜 19:00 とか、9:00 〜 20:00 が拘束時間となります。

これは、たしかに少なくとも小さな子どもを育てながら働く上では、相当に無理がある設定です。子育て家庭のフルタイム共働きは、現状、明らかな "無理ゲー" になっていて、皆、もがき苦しんでいるように思えます。

ちなみに、この時、久保さんは二児の母で上のお子さんが6歳。私は一児の母で、当時子供が5歳。実際に身をもって大変さを体験していました。

「アウトソーシング」だけでは解決できないこともある

「アウトソーシング」で、家事・育児をできるだけ外部の力に頼れば、夫婦がフルタイムで働きやすくはなります。保育園に夜遅くまで預け、シッターさんやヘルパーさんを活用し(※)、何とかやりくりをすることは可能かもしれません。しかし、久保さんのように、家族で夕食を囲みたい、家族と過ごす時間をある程度は持ちたいという願いがあるならば、その願いをアウトソーシングだけで解決することはできないのです。

※万葉は、シッターさんやヘルパーさんのサービスを受けるための補助制度を用意しています。

「時短」だけでも真の解決に足りない

家族とともに過ごす時間を増やしたいならば「時短」で働ければ良いという考え方もあるでしょう。私自身も「当社では自由に時短ができるので、ニーズに応じて適宜時短にしてもらえばいいのでは」というような感覚を持っていたし、今でもその感覚が全くなくなったわけではありません。

私にとって衝撃だったのは、久保さんの「時短では真の解決に至らない」「夫婦両方の労働時間を短くしなければ解決しないんだ」という主張でした。なぜなら、時短では以下のような不満が残る場合があるからです。

・「時短」の人が、本来望んでいた仕事上のキャリアを一部妥協している
・「時短」の人に、本来望んでいたよりも家事・育児の負担が偏る
・「フルタイム」の人は早く帰宅できないため、結局、全員で食卓を囲むことはできない

労働制度が時代の変化に対応できていない

どうして、フルタイム共働きの育児家庭の生活が "無理ゲー" に感じられるのか? それは「現在の労働制度は、もともと、夫婦の片方だけがフルタイムで働くことを前提としてデザインされたものだから」だと考えます。

夫婦の片方だけがフルタイムで働くケースが多かった時代に、それに合う制度がデザインされたことは、自然なことでしょう。しかし、夫婦ともフルタイムで働くことが一般的になった世界では、最適なデザインは違ってくるはずです。

誰もが "フルタイム" で "平等" に会社で働き、家事・育児をこなすためにはどういうデザインが良いのか?と考えれば、久保さんのビジョンに沿ったデザイン変更は、合理的なはずです。(下記はわかりやすいように典型的な例を単純化して示しています。)

■ Before
・夫婦の片方がフルタイムで8時間働く
・もう片方が時短かパートで4時間働く( 8 + 4 = 12 )
・労働時間の少ない方が家事・育児を受け持つ

■ After
・夫婦のどちらもフルタイムで6時間働く( 6 + 6 = 12 )
・夫婦のどちらも家事・育児を平等に分担

このように考えれば、現状が "無理ゲー" な理由も明らかです。社会がフルタイムの概念を変えないまま、夫婦両方が労働する形に移行した結果、家庭単位あたりの家事・育児等に使える時間が、かつての時代よりもずっと少なくなってしまっていると考えられます。

■ 現状(無理ゲー)
・夫婦のどちらもフルタイムで8時間働く( 8 + 8 = 16 )
・どういう分担であれ、家事・育児をこなすことがとにかく大変!

なお、個人によってライフスタイルは異なります。誰もが家事・育児等に十分な時間をかける必要があるわけではないし、共働きをしたいわけでもないと理解しています。ここでは、典型的だと考える例を挙げていますが、ニーズや状況は人それぞれであるということは強調しておきたいと思います。

生産性を高めることも期待できる

「誰もが6時間働けば良い世界」に近づけたいという動機とは別に、万葉が所定労働時間を減らすことにしたのにはもう一つ理由があります。それは、「もともと、所定労働時間が7時間30分だからといって、7時間30分ずっと集中して仕事できているとは限らない。時間を短くしたほうが、集中して良い仕事ができるのではないか?」という期待です。どんな仕事にも言えることだと思いますが、特に、品質の高いソフトウェアを開発するためには集中が大変重要です。しかし、集中をすれば、疲れます。時間を短くして集中して取り組むということは、結果的に生産性を高めてくれると思います。

所定労働時間を7時間に変えた

こうして、久保さんの提案をきっかけに「誰もが働きやすい環境を作る一助となりたい」「生産性向上につなげたい」という気持ちで、万葉は2018年10月1日から、みなし労働時間を1時間に拡大する形で、所定労働時間を7時間に変更しました。

その結果は概ね以下のような感じです。

・基本、働きやすい
・ワークライフバランスを大事にしたいというメッセージを伝えられている
・売上・利益への影響はあったが、3年が経過しても会社は無事存続
・もっと仕事したい人もいる
・副業等がしやすい
・忙しいときは変更前と変わらない(残業する)

総じて、所定労働時間を7時間にしたことは、良かったと思っています。ただ、社会全体も調和のとれた仕組みに変わっていってほしいと切実に思います。

まとめ

以上、今回は「働きやすさ」の実現のために万葉が行ってきた工夫の一例として、所定労働時間の変更についてご紹介しました。

次回は、リモートワークについて書いてみたいと思います。



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