kyiv Independentは17日「ポクロウシクを巡る戦いは最終局面で都市の側面で何が起こっているかは明白だ」「残念ながら撤退は時間の問題だ」「ロシア軍はほとんど抵抗を受けることなく都市を制圧できるだろう」と報じ、ポクロウシクが直面している状況の困難さは想像以上だ。
参考:As Russia closes in on Pokrovsk, battle for key city enters its final act
もしかすると夏の終わりまでにポクロウシクは陥落するかもしれない
ロシア軍が迫るポクロウシク・ディミトロフの後方は直線距離で18kmほど開けているものの、E50の物理的な遮断まで5km、T0515の物理的な遮断まで7kmしかなく、完全にドローンや大砲の射程距離内に収まっており、kyiv Independentは17日「ウクライナの偉大な要塞都市=ポクロウシクは敵の攻撃を防いできたが、ロシア軍が都市の側面で成功を収めたため孤立する危険に晒されている」「ロシア軍がポクロウシクに迫る中、この都市を巡る戦いは最終局面に差し掛かっている」と報じた。
“ポクロウシクにドローンや物資を輸送するピックアップトラックに乗った男達は沈黙している。この都市への移動は常に死と隣り合わせで、上空からの攻撃を抑制する方法は幾つかあるものの、その方法は2025年夏において完璧ではなくなった。夕暮れや夜明けに車で都市へ移動する方法はかつて安全な選択肢だったが、ロシア軍が24時間体制でドローンを飛ばし始めたためそうではなくなった。ドローンを検出するセンサーと電子戦装置は命を守る手段となる可能性があり、ピックアップトラックに同乗する兵士2人はシステムに張り付いたままだ”
“どれだけ広範囲の周波数をカバーしても、ロシア軍のドローンが光ファイバーで作動しているとセンサーと電子戦装置も無効化される。道路を保護する対ドローン用ネットも効果は限定的で、なぜならドローンはネットの隙間からや、自らネットに穴を開けて車輌を攻撃してくるからだ。車が道路を高速で走ることが出来ればドローンの脅威を幾らか軽減できるものの、ポクロウシクに繋がる道路上には焼け焦げた車の残骸で溢れているためスピードを維持することも難しい。そのため自然現象=夕方の雨に期待したが、移動を開始するころには雨脚が弱まって救いにはならかなったものの無事にポクロウシクへ到着することが出来た”

出典:68 окрема єгерська бригада ім. Олекси Довбуша
“到着したポクロウシクで見たものは滑空爆弾で破壊された都市の残骸だ。この全てが数ヶ月間に及ぶ戦闘の証であり、同乗させてくれたピックアップトラックの兵士も建物の破壊痕を見て「あれは新しい着弾跡かもしれない」「前回来た時よりも損傷具合がひどくなっているような気がする」と言う。ロシア軍が昨年秋にポクロウシク郊外へ接近した際、この誇り高き炭鉱都市は敵に破滅をもたらした。都市への正面攻撃は血なまぐさい結果に終わって成果は何も得られなかった。ポクロウシクを両翼から包囲する試み冬の間に行き詰まっていた”
“それでもロシア軍は春先から右翼方向で新たな前進に成功し、7月半ばにはポクロウシク・ディミトロフとドブロピリアを結ぶ補給路遮断が現実的な問題になってきた。トランプ大統領はプーチン大統領への不満を公然と表明したものの停戦に同意するまで50日間の猶予を与えたため、ロシアは9月初旬までの猶予期間を最大限活用して戦果を拡大させたいと考えている。特にドネツク州においてポクロウシクは最初の大戦果になるかもしれない”

出典:Сухопутні війська ЗС України
“ジャーナリストとして今回のポクロウシク訪問は恐らく最後の機会になるだろう。我々は第68独立猟兵旅団のFPVドローン部隊に同行してポクロウシクで24時間を過ごし、彼らから貴重な話を聞くことが出来た。第68旅団は2024年前半にルハンシク州からドネツク州に移動し、彼らほどポクロウシクの防衛ラインを長期間維持してきた部隊は存在しない。このFPVドローン部隊が最も派手に活躍したのは昨年秋にロシア軍がセリダブを正面攻撃した時だ”
“あるドローンオペレーターは「セリダブへの正面攻撃が失敗して以来、ロシア軍は我々が担当する地区に装甲部隊を投入しても破壊されるだけと理解し、もう同じ挑戦を試みることはなくなった。上空を飛ぶドローンの飽和状態が増すにつれて双方が適応し、グレーゾーンを広めにとってドローンの手が届かない位置に留まるようになった。そのため全ての攻撃は徒歩移動によるものだ」と言う。ロシア軍は正面攻撃によるセリダブ制圧に失敗したものの、セリダブに繋がる道路をを遮断し、最終的に本格的な市街戦に発展することなくセリダブは陥落してしまったが、ポクロウシクにも同じ運命が迫っている”

出典:Сухопутні війська ЗС України
“この地域で戦う複数の旅団兵士らは「ロシア軍が防衛ラインの脆弱な部分、特に戦闘能力が低く連携が不十分な旅団が担当する防衛ラインが標的になり、狙われる旅団の共通点は歩兵部隊や強力なドローン部隊を持っていないところだ」と述べ、こういった部隊が守る防衛ラインが押し込まれると、有力部隊が守る防衛ラインが堅固でも側面方向から危険に晒されることが多い。第68旅団のある兵士も「正直なところロシア軍がここまで前進してくるとは思っていなかった」「到着した当初の状況は安定していたものの、両翼の旅団が一時的に崩れて後退しなけばならなかった」と述べている”
“ポクロウシクでの取材を終えて街を離れる時、ロシア軍のドローンと遭遇したものの方向を変えて飛び去ったため、無事にドブロピリアに通じる幹線道路を走り抜けることが出来た。今回はポクロウシクへの移動で幸運に恵まれたが、ロシア軍が近づくにつれてT-0515への脅威が高まるため幸運に頼るのにも限界がある。我々のポクロウシク訪問から2週間後、取材のため同行したFPVドローン部隊が敵のドローン攻撃を受け、車と装備を損傷したものの無傷で脱出することに成功した”

出典:Сухопутні війська ЗС України
“この部隊のドローンオペレーターは「まだポクロウシクは持ちこたえているが、都市の側面で何が起こっているかは明白だ」「敵は側面から接近して主要な移動ルートを遮断しようとしている」「もしロシア軍がもっと前進してくればポクロウシクからの撤退が始まるかもしれない」「残念ながらポクロウシクからの撤退は時間の問題だ」「そうなればロシア軍はほとんど抵抗を受けることなく都市を制圧することができるだろう」と述べた”
ポクロウシクの状況は思っていた以上に悪く、ポクロウシク・ディミトロフとドブロピリアを結ぶT-0515の移動は最低でも2週間以上前から複雑化しており、もしかすると夏の終わりまでにポクロウシクは陥落するかもしれない。
関連記事:危機的なポクロウシク方面の状況、ロシア軍はドブロピリアへの攻撃も強化
関連記事:ロシア軍がスームィとハルキウで前進、ボルチャンスクでヴォヴチャ川を渡河
関連記事:ポクロウシクを巡る戦い、ウクライナ軍は補給の主要ルートを失った可能性
関連記事:ウクライナ軍がスームィで反撃を継続、クピャンスクではロシア軍の嘘報告が登場
関連記事:猛烈な勢いで前進するロシア軍の夏季攻勢、ポクロウシク右翼の防衛ラインを突破
関連記事:ロシア軍が東部戦線の複数方向で前進、ウクライナ軍は毎日拠点を失う状況
関連記事:ロシア軍がウクライナ東部戦線の複数方向、南部戦線のカミアンスケで前進
関連記事:ウクライナ軍がスームィで反撃、シヴェルシクではロシア軍の嘘報告が復活
関連記事:ポクロウシクを巡る戦い、右翼方面におけるウクライナ軍の状況は急速に悪化
関連記事:ロシア軍がポクロウシク方面で前進、シルスキー総司令官はハルキウ方面に対応中
関連記事:クピャンスク方面の戦い、ロシア軍が新たな方向で突破口を開いた可能性
関連記事:ザポリージャ方面の戦い、ロシア軍がカミアンスケ北岸地域への前進に成功
関連記事:ポクロウシク方面のロシア軍は勢いを維持、6月の領土損失は2025年最大を記録
※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України

















ポクロウシク=ディミトフロフの前線部隊は、血汗を流しながら、ここまで長期間よくぞ防衛したと思います。
ポクロウシク=ディミトロフは都市ですから、南部・東部の防衛だけでなく、北部・西部までも防衛となると厳しいなと…
防衛部隊に、大規模な増援・補給が見込めないわけですから、無理に守備させるのではなく早めに後退させて欲しいものですね。
欧州が購入する予定の大量の米国製兵器と弾薬が来ることが確約された今がウクライナ軍にとっての踏ん張りどころではないか。
これ以上ロシア軍に名のしれた都市を明け渡すとウクライナの劣勢を印象付けてしまう。
特にポクロウシクは要塞都市とされ、ロシアの侵略への抵抗の象徴を示すものだったから尚更。
ウクライナは内閣改造でゼレンスキー大統領への権力集中が行われるという話なので、ここは是非大統領にはポクロウシクを訪問し、大統領が激励に訪れた都市は陥落するという負のジンクスをポクロウシクで断ち切ってほしい。
ポクロウシクに強力な守備隊を立て籠もらせて、それを包囲しようとするロシア軍の両翼を強力無比な予備軍で外側から逆包囲すべき。
ウクライナはキエフ以外の防空能力を喪失しています
最前線のウクライナ軍は、ロシアのFPVドローン
滑空爆弾・弾道巡航ミサイルのサンドバッグ状態です
いくら精強な部隊でもどうしようもならないでしょう
立てこもるとはまた死守命令ですか。時間を稼いでその先に
ウクライナに希望があるのでしょうか?
クルスクで方面軍を撃滅した名将ゼレンスキー閣下が常駐すればロシアも攻撃を控えるんじゃないですかね
もし死なせてしまったらロシアにとって大損害ですし
「では、代わってやるからポクロフスクへ来い」って言われますよ?
>欧州が購入する予定の大量の米国製兵器と弾薬が来ることが確約された今がウクライナ軍にとっての踏ん張りどころではないか。
ウクライナ軍は何年も踏ん張ってこの状態なんだが?
その兵器と弾薬が現場にくるのはいつなんですかね?
そしてロシア軍は補給線を監視しているのにどうやって届けるのか?ロシア軍が黙って通してくれるとでも?
>ポクロウシクに強力な守備隊を立て籠もらせて、それを包囲しようとするロシア軍の両翼を強力無比な予備軍で外側から逆包囲すべき。
その強力無比な予備軍は去年、クルスクでみんな溶けちまったよ。
逆包囲? 弾薬も兵器もなく補給線も潰されてるのにどうやってやるんですかね?
ウクライナ軍のオレクサンドル・シルスキー総司令官は6/27に、ロシア軍がポクロウシク方面に約11万人の兵士を集結させているとSNSで投稿しています。
「ポクロウシクに強力な守備隊を立て籠もらせて、それを包囲しようとするロシア軍の両翼を強力無比な予備軍で外側から逆包囲すべき。」と言われても、今のウクライナ軍が欧米からの弾薬がいくら補填されても兵力が少ない以上、ポクロウシクが陥落するのは時間の問題でしょう。
ポクロウシク上空は、ロシアのドローンがさながら
イナゴのように飛び交い、ウクライナ兵を見つけ次第
つっこんでくるようデス
地獄絵図ですね、、、
ロシアのドローン生産、2024年が年産150万機、5月は前年月産平均より60%増加という話しがでてますからね。
前線部隊の彼らは、ここまで長期間奮闘してきたため何とか報われて欲しいものですが、このままギリギリまで粘るのでしょうかね…
悲壮感しかない……
追記:Googleマップを見ていたらドネツク州のイロヴァイスクからアムウローシウカの辺りの森林がロシア軍の物資保管庫になっている様子が確認できます。
撮影は24年5月ごろとアウディイウカが陥落した辺りなので、前線から60キロ程度の森林地帯にロシア軍は物資を貯蔵している可能性があります。
追記の追記:ウクライナ当局の発表によると、北部の訓練所で17日、動員された新兵が教官2名を射殺したとのこと…AFPが報じています
キエフ政権からは死守命令が出て手遅れになってから潰走というよく見たパターンになりそうですね
完全にロシアの勝ちパターンよ
道路の結節点であるポクロフスクが制圧されてロシア軍が北上するとクラマトルスクへの西からの補給路が遮断されてスラビャンスク〜コンスタンチノフカの陣地線の維持が厳しくなるし、場合によっては西進してドニプロペトロフスク州を削りにいくこともあり得る
後方の補給拠点であろうドブロピリアすらFPVドローンや滑空爆弾で狙われているのでは、厳しいでしょうね
前線の兵が遅滞戦闘頑張っても、あちこちに戦線あるので充分な援軍捻出できませんし
よく言われる前線兵にとっての一番の絶望は援軍が来ないことなんですよね。
ある一定の経験をした新兵は、援軍が自分の後を継いでくれることに希望を持ってギリギリまで戦うが、やはり兵士にとっては自分の抵抗が意味がないと感じた時が最後なので。
その点で言うとやはり兵の量は戦争の質で、ロシア軍は数的優位を作り出して戦線を引き延ばしつつ自軍はローテで余剰戦力を組んでくると思うと、ウクライナ軍は祖国防衛というのがあっても士気的優位の維持が難しいでしょう。
つか、ポクロフスクが落ちたらもうウクライナはロシアと講和か、最低でも残りのドネツク州地域から撤退しないとまずいっしょ…。
どうでもいいけど日本のマスコミってウクライナがあまりに振りになると報道すらしなくなるよね。ところどころにポジティブな記事やロシアの非道さを散りばめてあたかも正義のウクライナ軍はなんとか持ち堪えてるってのを演出してるのが露骨すぎる。戦況的に既に手遅れなのに
アメリカとヨーロッパに至っては支援のディールという名の見苦しい責任の押し付け合いおっ始めてますし。負けが込んでいる側ほど正面の敵よりも味方同士の内ゲバが激しくなるのは歴史上あるあるですが。
報道しない自由という奴ですね報道機関は公正中立な情報を報道すべきという前提が出来て居ないですからね、特に戦争政治や人権になってくると露骨な感じはしますよね。
BSフジなんかは今週もポクロウシクの件やってくれてるな。ただ両手を上げてロシア有利を報道するわけにいかないからロシアの軍需産業がもう限界、ロシア経済はインフレで大変、みたいなのをセットで報道して間接的にウクライナを応援する報道になってる。
二週間前というとポクロウシク方面よりもコンスタンチノフカ方面の方が戦況地図上でのロシア軍の前進が活発だったのに夏季攻勢は、ポクロウシクが本命だと断言されていたのが納得いきました。
急速な防衛線の突破がされたように見えても実際は、ミロヴ攻撃による戦略予備出動の強要(特にドラパティの異動)、コンスタンチノフカ方面での絶え間ない前進の試み、ザポリージャ方面での攻撃活発化と同時多発的な攻撃全てがポクロウシクを救う予備軍を出させ切る為の助攻として連動してそうなのに攻勢の用意周到さを感じます。
まさにソ連軍作戦術の精華ですなあ
TACOのおっさんが上手いことゼレンスキーを丸め込めなかったんで一時停止させてた攻勢を再び始動させたにすぎない。ロシア軍としてはTACOのおっさんが右往左往してくれてたのは丁度いい準備期間になった。MAGAからも「約束と違うぞ。バイデンのようにウクライナ支援に深入りするな。」ってブーイングされて対立始まってるらしいな。
ロシア軍による都市包囲はこの戦争で散々見慣れたけど、ドローン、砲弾その他の供給が整うに連れて、補給線遮断の質が段々向上してきているな。
結局装甲戦力からドローンと歩兵に主役が変わっただけでソ連式作戦術は有効なのか、ロシアが時代の変化に対応出来るだけ柔軟だったのか。ウクライナ軍も普通に柔軟でよく戦えてるが、銃後を支えるべき宇政府、西側諸国がいろいろな意味で硬直し過ぎたのが致命的だった。
多分ウクライナ側がドローンすらも切れたら(既に足りてない)、普通に機甲部隊も使い出すよ
ここ抜かれたら後がないぞ。西進されたらパブログラードまでまともな防御拠点は無し。北上されたらスラビャンスク-クラマトルクス-コンスタンチノフカ以下要塞都市防衛ラインの背後にすっぽり回り込まれることになる。
キエフ守備の最後の戦略予備を全軍叩き込んで、ほんとにいざと言う時のための砲弾備蓄も西側兵器も全部吐き出してでも、コンスタンチノフカに続く幹線道路まで押し返さないと死ゾ。なぜなら今こそがいざと言うときだからだ。コンスタンチノフカは陥落しても北側にいくらでも代わりの都市があるが、ポクロウシクは代わりがない。
凄い今更だけど、「スタハノフ炭鉱」ってあのアレクセイ・スタハノフから名付けられた炭鉱?
労働英雄のハズが労働者の敵になってしまったってやつの