無罪が言い渡されたのは前川彰司さん(60)です。
1986年に福井市で中学3年の女子生徒が殺害された事件で、有罪が確定して服役した前川さんは一貫して無実を訴えて裁判のやり直しを求め、去年10月、名古屋高裁金沢支部は再審を認める決定を出しました。
ことし3月に開かれた再審の初公判では、「事件が起きた夜に服に血が付いた前川さんを見た」という知人らの目撃証言の信用性が改めて争われ、検察は「信用性が認められる」と主張していました。
39年前の福井 中学生殺害で無罪判決 服役後の男性の再審で
39年前、福井市で女子中学生が殺害された事件で、有罪が確定して服役した60歳の男性の再審=やり直しの裁判で、名古屋高等裁判所金沢支部は「男性を犯人だと認めることはできない」として無罪を言い渡しました。判決のあと裁判長は「39年もの間、大変ご苦労をおかけし、申し訳なく思っています」と謝罪しました。
記者会見で、前川さんは「やっと無罪を証明でき、今は正直ほっとしている」と心境を語りました。
18日の判決で、名古屋高裁金沢支部の増田啓祐裁判長は、知人らの目撃証言について「捜査に行き詰まった捜査機関が誘導などの不当な働きかけを行い、関係者がそれに迎合した証言をした結果、形成された疑いが払拭(ふっしょく)できず、いずれも信用できない」と指摘しました。
また、目撃証言をした知人が「事件当日に見た」と話していたテレビ番組が、実際には事件当日に放送されていなかったという事実を検察がもとの裁判で明かさなかったことについて「不利益な事実を隠そうとする不公正な意図があったと言われても仕方がない。この誤りを適切に是正していれば、再審請求の前にもとの裁判で無罪判決が確定した可能性も十分に考えられる。検察の訴訟活動に対しては失望を禁じえない」と厳しく批判しました。
そのうえで「前川さんが犯人であることについて、合理的な疑いを超える程度の立証はされておらず、前川さんを犯人だと認めることはできない」として無罪を言い渡しました。
判決を言い渡したあと増田裁判長は前川さんに対し「前川さんには39年もの間、大変ご苦労をおかけし、申し訳なく思っています」と謝罪しました。
その上で「かけがえのない人生を長期間、服役で奪うことになり、取り返しのつかないことをしました。この再審にかかわった裁判官として非常に重く受け止めています」と述べました。
この事件では、もとの裁判で1審が無罪、2審が有罪と判断が変わり、14年前の2011年には再審を認める決定が出されましたが、検察の異議申し立てを受けて取り消されました。
前川さんは司法の判断に翻弄されてきましたが、事件の発生から40年近くがたったこの日、再審で無罪が言い渡されました。
前川さん「無罪を証明でき今は正直ほっとしている」
判決のあと、金沢市内で開かれた記者会見で、前川さんは「事件が起きてから39年たってやっと無罪を証明でき、今は正直ほっとしている。多くの皆さんの力をいただいてここまで来られて、本当に感謝したい」と心境を語りました。
そして、これまでの年月を振り返り「長い間、司法に翻弄され、1回目の再審請求からつらい20年余りを過ごした。どうしてこんなに時間がかかったのかという思いはあるが、『やっていない』という自分の反骨心が実ってよかった」と時折、ことばを詰まらせながら話しました。
そのうえで「無罪という判決でしたが、えん罪があったことを重く受け止めている。今もえん罪で苦しんでいる人がいるので、法改正に向けて頑張っていきたい」と述べ、再審制度の見直しを訴えていく考えを示しました。
裁判長「当時の検察官 事実に反することをぬけぬけと主張」
前川さんの知人が「事件当日に見た」と証言したテレビ番組のシーンが実際には事件当日に放送されていなかったことについて、裁判長は「当時の検察官は、テレビ番組のシーンが事件当日に放送されていなかった事実を把握したとみられるのに、もとの裁判で明らかにしなかった。裁判では事件当日に放送されたという事実に反することを、ぬけぬけと主張し続けている。その誤りを明らかにすることなく、裁判所にも真実とは異なる心証を抱かせたまま有罪判決を出させ、これを確定させるに至っている。再審でもこの点について何ら納得できる主張がされていないこともあわせると、知らなかったと言い逃れができるような話ではない。当時の検察官の訴訟活動は公益を代表する検察官としてあるまじき、不誠実で罪深い、不正行為と言わざるをえず、到底容認することはできない」と指摘しました。
裁判長「再審に至らずとも無罪判決 確定の可能性 十分にある」
増田啓祐裁判長は、およそ3時間かけて判決を読み上げたあと「裁判官から話したいことがあります」と立ち上がろうとした前川さんに声をかけ、座って聞いてもらうよう促しました。
増田裁判長は「再審に至らずとも、無罪判決が確定していた可能性が十分にある。前川さんには39年もの間、大変ご苦労をおかけし、申し訳なく思っています」と謝罪しました。
そして「前川さんのかけがえのない人生を長期間、服役で奪うことになり、取り返しのつかないことをしました。この再審にかかわった裁判官として非常に重く受け止めています」と述べました。また、裁判長は再審制度についても触れ「適正かつ迅速な処理に努めていかなければならない」と述べました。
最後に「これからの前川さんの人生に幸多からんことをお祈りしております。どうかお元気でお過ごしください」とことばをかけました。
前川さんは裁判長のことばを聞き終わったあと、立って一礼し、涙を目に浮かべながら、法廷を後にしました。
名古屋高検「判決内容を精査・協議し 対応を検討」
名古屋高等検察庁の濱克彦次席検事は「判決内容を精査し、上級庁とも協議の上、対応を検討したい」とコメントしています。
福井県警「コメントは差し控えさせていただきます」
判決について福井県警察本部は「今後、検察当局において判決内容を精査し、対応を検討するものと承知しておりますので、コメントは差し控えさせていただきます」としています。
《家族・支援者の反応》
弁護団長「完全勝利 大変うれしい 再審制度の見直しを」
判決のあとに開かれた会見で、前川さんの弁護団長を務める吉村悟弁護士は、「全国から集まった支援者とともに完全勝利を迎えることができて大変うれしい」と喜びをかみしめました。
また、再審制度に証拠開示のルールがない中で、前川さんの無罪を示す証拠を得るため検察に開示を求め続けてきた弁護活動を振り返り「目隠しのまま宝探しをさせられるのに等しい活動を強いられてきた。私にとっては大変厳しい歳月だったが、きょう、ようやく宝物を見つけた」と話しました。
さらに判決で検察の訴訟活動について「失望を禁じ得ない」と批判した点に触れ「検察に失望したということばは重かった」と述べました。そのうえで、再審制度の見直しについて「なすべき証拠開示がなされない場合のペナルティなど、『検察や警察はそこまでやるんだ』ということを踏まえた法改正でなくてはならない」と訴えました。
また、会見に同席した再審制度に詳しい成城大学法学部の指宿信教授は「再審法の改正が議論される中、今回の無罪判決を参考に法改正が行われるとすれば、再審請求の審理が始まる前に、検察が手持ちの証拠を弁護側に開示する手続きを設けなければならないのではないか」と述べました。
父 禮三さんコメント「心の傷が癒やされた思い」
前川彰司さんの父親の禮三さん(92)は、無罪判決を受けて「よかったです。安心しました。心の傷が癒やされた思いです。長い闘いでしたが、続けたかいがありました。弁護団や支援してもらった人たちに感謝の誠をささげたいと思います。本当にありがとうございました」というコメントを出しました。
袴田厳さんの姉 ひで子さん「喜んでいる」
去年、静岡地方裁判所の再審で無罪が確定した袴田厳さん(89)の姉のひで子さん(92)は18日の判決のあと「電車の中で無罪を知りました。無罪になると思っていましたが、言い渡されて良かったです。とても喜んでいます」と話しました。その上で「前川さんも長い間苦労して一生懸命頑張っていました。落ち着いたら電話するなどして喜び合いたいと思います」と話しました。
また「この波に乗って、法改正も実行していただきたい」と述べ、再審制度の見直しに向けた議論が加速することに期待を寄せていました。
えん罪事件の被害者なども傍聴
えん罪事件の被害者や再審を求めている当事者が名古屋高等裁判所金沢支部に駆けつけ、判決の言い渡しを傍聴しました。
1995年に大阪・東住吉区で女の子が死亡した火事で放火や殺人などの罪に問われ、無期懲役の刑で服役したものの、再審で無罪が確定した青木惠子さんは「裁判長が最後に前川さんにことばをかけた時に、本当によかったと、自分のことのように涙が出た」と話しました。
そのうえで「いざ無罪になると肩の力が抜けて目標を失うが、また違う目標を見つけて自分の人生を楽しんでほしい」と、自身の経験も踏まえて話していました。
2003年に滋賀県東近江市の病院で入院患者が死亡したことをめぐり、殺人の罪で服役したあと、再審で無罪になった元看護助手の西山美香さんは「前川さん、無罪判決おめでとうございます。私も無罪判決の時、説諭を言ってくれてうれしかったです。きょうも前川さんに対する説諭が聞けてすごくよかったです」と話していました。
1984年に滋賀県日野町で起きた強盗殺人事件で無期懲役が確定し、服役中に病死した阪原弘さんの裁判のやり直しを求めている長男の弘次さんは「前川さんが無罪を勝ち取ってくれた、その判決がわれわれの力になります。自分たちも40年間闘っている中、次は日野町事件がきっと無罪になるという力になりました」と話していました。
日弁連 会長コメント「検察は真摯(しんし)な反省を」
判決を受けて、日弁連=日本弁護士連合会の渕上玲子会長は「前川さんの無罪を改めて明らかにするものであり、高く評価する。検察官は証拠開示について消極的な姿勢に終始し、事案の解明やえん罪被害の救済に消極的で、公益の代表者としての役割を果たしていないとの非難を免れない。真摯(しんし)な反省を求めるとともに、上告する権利を速やかに放棄し、無罪判決を確定させるよう強く要請する」などとコメントしました。
袴田巌さんの帽子をかぶり裁判所の中へ
前川さんは、再審で無罪が確定した袴田巌さんの姉のひで子さんからプレゼントされた巌さんの帽子をかぶり裁判所の中に入りました。
判決を前に、裁判所の前で全国から集まった支援者と決起集会を行いました。この中で前川さんは「事件発生からなぜこんなにも長い時間がかかったのかという素朴な疑問があるが、ようやくこの日を迎えることができた。いい結果が得られることを望んでいる」と心境を語りました。
その上で、審理の長期化が課題として指摘されている再審制度の見直しについて「制度が変わるのが一番だ。きょう勝利を勝ち取って、はずみをつけたい」と話していました。
【動画:記者解説】再審無罪判決のポイントは
Q.判決のポイントは?
A.この事件は物的証拠が乏しく、これまでの審理では「事件が起きた夜に、服に血が付いた前川さんを見た」などとする目撃証言の信用性が争われてきました。判決の言い渡しはまだ続いていますが、これまでに読み上げられた内容では
▽主要な関係者の1人が自分の刑事事件の量刑が有利になるようにうその証言をし、捜査に行き詰まった捜査機関が、ほかの関係者に対して誘導など不当な働きかけをしていて、関係者の証言はいずれも信用できない。
▽前川さんが犯行推定時刻に犯行現場にいたことや、血が付いていたことなど、有罪の根拠となる主要な事実は認められないと指摘しました。
その上で▽前川さんが犯人であることについて、合理的な疑いを超える程度に立証されているとは認められないとして、無罪を言い渡しました。
法廷で取材している記者からの報告では、前川さんは、判決が言い渡された際、まっすぐ前を向いたまま、表情を変えず、その後も落ち着いた様子で判決を聞いているということです。
Q.事件から40年近くかかって無罪に。なぜここまで時間がかかったのでしょうか?
A.要因の1つは、もとの裁判での検察の対応です。今回、再審が認められた理由となった新証拠の1つが、おととし検察が開示した、警察の捜査報告書です。目撃証言をした知人が「事件当日に見た」と話していたテレビ番組のシーンが、実際には事件当日に放送されていなかったことが明らかになりました。
テレビ番組の捜査報告書は、36年前の1989年に作成されていました。これはもとの裁判の1審が開かれていた時期ですが、検察は、裁判でその存在を明かさず、番組の放送は、事件当日ではなく、1週間後だったのに、「目撃証言は信用できる」という主張を続けていました。再審開始決定では、こうした当時の検察官の対応について「不誠実で罪深い、不正な行為といわざるをえない」と厳しく批判しています。
Q.また、もう1つの要因は、再審制度に証拠開示のルールがないとのことですが?
A.前川さんは服役した後の2004年に再審を申し立てました。弁護団は、裁判に提出されていない証拠の開示を繰り返し求めましたが、この捜査報告書は20年近く、埋もれたままになっていました。
去年、再審で無罪が確定した袴田巌さんのケースでも、最初に再審を申し立てから重要な証拠が開示されるまでにおよそ30年かかり、えん罪を晴らすまでに半世紀余りの歳月を要しました。
ことし4月から法制審議会で再審制度の見直しの議論が始まっていますが、前川さんの無罪判決を受けて、えん罪被害者を早期に救済するための法整備を求める声が、いっそう高まるとみられます。
【詳しくはこちら】えん罪救済阻む“壁” 埋もれた無罪の証拠
事件からこれまでの経緯
1986年3月、福井市豊岡の団地で、卒業式を終えたばかりの中学3年の女子生徒が自宅で刃物で刺されるなどして、殺害されているのが見つかりました。物的な証拠が乏しく捜査が難航する中、事件の1年後に、当時21歳だった前川さんが殺人の疑いで逮捕されました。前川さんは一貫して無実を訴え、裁判では「事件が起きた夜に、服に血が付いた前川さんを見た」などとする目撃証言の信用性が最大の争点になりました。
【1審】
1審の福井地方裁判所は1990年、関係者の証言の内容がたびたび変わっていることなどを理由に「信用できない」として無罪を言い渡しました。
【2審】
しかし、2審の名古屋高裁金沢支部は1995年に「証言は大筋で一致していて信用できる」と判断して無罪を取り消して懲役7年を言い渡し、その後、最高裁判所で有罪が確定しました。
【再審請求】
前川さんは、服役後の2004年に、名古屋高裁金沢支部に再審を求めました。
裁判所は2011年、事件後に前川さんが乗ったとされる車の中から血液が検出されなかったことなどから「証言の信用性には疑問がある」と指摘し、再審を認める決定を出します。
これに対して、検察が異議を申し立て、名古屋高裁の本庁で改めて審理した結果、2013年に「証言は信用できる」と金沢支部とは逆の判断をして、再審を認めた決定を取り消しました。
その後、最高裁判所は前川さんの特別抗告を退け、再審を認めない判断が確定しました。
【2回目の再審請求】
2022年10月、前川さんの弁護団は、名古屋高裁金沢支部に2回目の再審請求を行い、審理では再び、目撃証言の信用性が最大の争点となりました。裁判所との3者協議の中で、弁護団は検察に対し、証拠の一覧表などを開示するよう求めました。
検察は当初、開示を拒否し、裁判所が再検討を促した結果、一覧表の開示には応じなかったものの、当時の捜査報告書など合わせて287点の証拠を新たに開示しました。
その1つが、1989年にもとの裁判の途中で警察が作成した捜査報告書です。有罪の決め手とされた目撃証言をした前川さんの知人が「事件当日に見た」と話していたテレビ番組のシーンについて、テレビ局に照会した結果がまとめられていました。
該当するシーンの放送日は、事件の1週間後で、事件当日には放送されていないことが明らかになったのです。
去年10月、名古屋高裁金沢支部は、この捜査報告書について「証言の信用性評価に重大な疑問を生じさせるもので、確定判決が有罪と認定した根拠を揺るがすものだ」と指摘し、再審を認める決定を出しました。
この決定に対し、検察は異議申し立てをせず、前川さんが最初に再審を求めてから20年を経て、やり直しの裁判が開かれることになりました。
ことし3月、名古屋高裁金沢支部で再審の初公判が開かれ、検察は、改めて有罪を主張しましたが、新たな証拠は提出しませんでした。一日ですべての審理が終わり、7月18日に判決となります。
前川さん「無罪以外の結果はないと強く確信」
前川さんは、再審の判決前に、福井市内の自宅でNHKの取材に応じ「無罪以外の結果はないと強く確信しているので、堂々としていたい」と話しました。
この中で前川さんは「緊張はしていないが、もうすぐだなという実感が少しずつ湧いている」と心境を語りました。そして、事件が発生してから39年がたったことについて、「事件発生当時は20歳だった自分が、もう60歳の還暦を迎えた。人生の大半を棒に振り、つらかった時もあったが、一貫して無罪を主張してきて、自分でもよく頑張ったなと思う」と振り返りました。
再審の初公判で、検察は新たな証拠は提出しなかったものの、改めて有罪を主張しました。
これについて、前川さんは「えん罪なのは明らかなのに、有罪を主張するのは道理に反する」と怒りをあらわにしました。そのうえで「事実と道理に基づいて裁判所が判断すれば、無罪以外の結果はないと強く確信しているので堂々としていたい。今回の判決が、えん罪被害者の希望の光になってほしい」と話しました。
また、審理の長期化が課題として指摘されている再審制度をめぐって、見直しに向けた議論が行われていることについて「無罪判決によって、再審法改正に向けた機運をもう一度高めたい。法改正を訴えるという自分の使命は続くので、歩みを止めるわけにはいかない」と話していました。
無罪言い渡した元裁判官 “重要証拠 早く出ていれば”
1990年に無罪判決を出した1審、福井地方裁判所の元裁判官で、3人のうち最も若手だった林正彦さん(70)が、NHKのインタビューに応じました。
林さんは「証拠が弱くて問題のある事件という印象だった」と当時を振り返ります。裁判の1審では争点となっていた関係者の目撃証言について「信用しがたい」と判断しましたが、続く2審では「信用できる」と判断が変わり、一転して有罪になりました。
去年、前川さんの再審が認められる決め手となったのは、検察が開示した警察の捜査報告書でした。
この報告書の記述から「服に血が付いた前川さんを見た」と証言した知人が、「事件当日に見た」と話していたテレビ番組のシーンが、実際には、事件の1週間後に放送されていたことが明らかになりました。この捜査報告書は、1審の途中の1989年に作成されていましたが、検察は、裁判でその存在を明かさず、番組のシーンが事件当日に放送されたとして、「証言は信用できる」という主張を続けていました。
林さんは、当時の検察官の対応について「日付が異なることを把握しながら、裁判でうその主張をしたことになる。都合の悪いものを隠して有罪獲得を目指す行為は、かなりいびつだ。裁判の前提である真実をゆがめることがあってはならない」と厳しく批判しました。
そして、重要な証拠が長年開示されず、埋もれたままになっていたことについては「本来なら通常の三審制の中で出るべき証拠であり、有罪とした2審の結論が変わった可能性がある。もっと早く出てきていれば、早期に救済できた」と述べました。
そのうえで、林さんは前川さんに対し「殺人を犯したという、らく印を押され、人生を大きく狂わされたと思う。日本の司法制度の問題の現れといえるが、これだけ時間がかかったことを関わった1人として申し訳なく思う」と話しました。
再審の手続きをめぐっては、審理に長い時間がかかり、えん罪被害者の救済を妨げているとして見直しを求める声があがり、現在、法制審議会の部会で議論が進められています。
これについて、林さんは「裁判は誤る可能性があることを念頭に置くべきだと思う。もし間違っていれば早期の救済がはかられるよう、証拠開示のルールの整備が必要だ」と述べました。
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