#58「松本隆×スージー鈴木①」
#58「松本隆×スージ鈴木①」
今回のゲストはスージー鈴木さん。スージー鈴木さんは、番組やコラムなどで、松本さんにまつわる特集を数多く手掛けられていて、2021年にリリースされた、松本さんの作詞活動50周年トリビュートアルバム『風街に連れてって!』の特典本「100%松本 隆」では、マキタスポーツさんとスージー鈴木さんが、松本さんが手掛けた女性アイドルの魅力を徹底解析されています。
●「どんどん時代を遡っていって、松本文学の研究に入っていったんです」
鈴木「(松本作品との出会いは)小学校3年の12月で『木綿のハンカチーフ』なんですね。聴いたという意味ではそれが初めてなんですけど、小学校6年生で原田真二の『タイム・トラベル』、上京して86年に中古レコード屋さんで、はっぴいえんどの『ゆでめん』を買って、そこからハマりましたね」
松本「どこから遡った?」
鈴木「86年に大学1年生、高田馬場でゆでめんを買って、ああ、これは大変だ。すぐに確かエイプリル・フールの再発も出ましたし、キャラメル・ママだ、太田裕美だ、お金ないのに優先して中古レコード屋さんで松本隆を買っていって」
松本「ありがとうございます(笑)だいたい99%そうですからね、太田裕美から遡るか、原田真二から遡るか」
鈴木「はっぴいえんどのゆでめん聴いて、非常に文学的な歌詞を読んで、そういえば『タイム・トラベル』に蕃紅花(サフラン)色ってあったなと。そこから不思議な日本語を研究していくんですけど、86年に上京して青春が80年代なんですよ。80年代後半っていうのは、日本語がぞんざいっていいましょうかね、Jポップの歌詞が適当に描かれている字余りが多い、研究するとかっていう感じのものじゃなくなっていったんで、逆にどんどん時代を遡っていって、松本文学の研究に入っていったんです」
●「厳密でいうと11月の雨の日なんです」
そんなスージ鈴木さんに事前にメモをいただきました。
『12月の雨の日」は一体何年の何月何日?』
『松田聖子の曲名にはなぜ「●●の▲▲」というパターンが多いのか』
『原田真二が吉田拓郎からプールに突き落とされたのを松本隆が撮影した話』
『なぜ薬指の長い手が好きなのか。人差し指ではダメなのか』
松本「『12月の雨の日』の日付の話はよく覚えていて、スージーさんとぼくの出会いだよね。なんかねスージーさんが夜中に(Twitterに)書いてたんだよね、12月に雨が降った日はこの日だって。近いんだけど、違ってたから、ちょっと違うって思わずTwitter(現X)で反論しちゃったの。それからの付き合い」
鈴木「ちょうど10年前でございます。東京の天気を検索でいるデータベースがWEB上にありまして、1970年に出たはっぴいえんどのアルバムに『12月の雨の日』という曲が入っている。ということは1969年の12月である。雨が降ったのはいつだろう、と調べたらなんと1969年の12月には、26日の1日しか降ってないんですよ。僕はネット上に大々的に、12月の雨の日は12月26日だと。そしたら御大が違うと。実は11月の30日だったんですよね。てっぺん超えて0時を超えて、12月1日だったと」
松本「当然ぼく忘れてるから、自分でも調べたの。26日じゃないんだったら何日なんだろうって。明けて12月1日だったの」
鈴木「厳密でいうと11月の雨の日なんです」
松本「笑」
はっぴいえんど「12月の雨の日」をオンエア♪
●「はっぴいえんどはうまいバンドだな、と思わせるのはこのセッションですね」
スージー鈴木さんの選曲は、はっぴいえんどの「はいからはくち」
鈴木「はっぴいえんどの一番最後のライブ、文京公会堂の1973年のはっぴいえんどの解散ライブの音源で『はいからはくち』という曲を演奏してるんですけど、聞きたかったのは演奏がすごいアドリブっぽい、というか、セッションっぽいっていうか」
松本「文京で最後のライブやるって、集まって練習するじゃないですか。1日か2日。その時に大瀧さんがアレンジ変えたいって。そういうことするんですよ、あの人」
鈴木「演奏がすごくアドリブっぽくて、歌始まるところも探り探りやってて、はっぴいえんどはうまいバンドだな、と思わせるのはこのセッションですね」
はっぴいえんど「はいからはくち」をオンエア♪
鈴木「この『はいからはくち』と大瀧詠一の『びんぼう』って歌があるんですけど。はっぴいえんど、とはうまいバンドであると。バックと大瀧詠一がなんかこう探り合ってる(笑)」
松本「ドラムとベースは完璧だからね(笑)」
鈴木「素晴らしいですよ」
松本「ずっとやりたかったけどね、ぼくはね、はっぴいえんど」
鈴木「いろんな本にも解散の逸話がありまして、(松本さんが)怒って、ソファー蹴っ飛ばしたっていう」
松本「URCの会議室だからさ、でっかいすごい重たいソファーなの。昔風の。あんなもん蹴っ飛ばしても動かないから」
鈴木「蹴っ飛ばしたのは事実なんですね?」
松本「まぁ蹴ったかもしれないね(笑)」
鈴木「日本中のはっぴいえんどのファンのために探偵として来ました」
来週もスージー鈴木さんにお越しいただきます。
『風街ラヂオ』2025年5月11日(日)夜11:00~11:30オンエア
テーマ:「松本隆×スージー鈴木①」
パーソナリティー:松本隆
アシスタント:竹内香苗
松本隆 風街ラヂオへのメッセージ、リクエスト、質問は、こちらまで。
日曜夜11時に、ラジオの中の風街で、会いましょう。