スージー鈴木の『Now And Then』第13回
本記事に政治の話はございません
「世良公則が参院選、大阪選挙区から無所属で立候補」という報道に驚いてから日が経って、気が付けば、投票日は目前だ。
そんな中「世良公則とはいったい誰?」という人は少ないだろうが、「世良公則って、どんな音楽やってたの?」という人は、いるかもしれない。
多くの人の記憶に新しい、世良公則の音楽活動といえば「桑田佳祐 feat. 佐野元春, 世良公則, Char, 野口五郎」名義の『時代遅れのRock'n'Roll Band』(22年)だろう。同年のNHK紅白歌合戦でも大きな話題を呼んだことも記憶に新しい、桑田佳祐を中心とした同級生(1955年度生)プロジェクトによる1曲だ。
ただ世良公則の音楽活動は、もちろんこれだけではない。それどころか、かつて桑田佳祐を圧倒する人気を誇っていて、さらには、桑田の音楽活動に大きな示唆を与えた音楽家だったのだ。
というわけで今回は、そのあたりを深堀りしてみたい。
なお、我が故郷・大阪府民の方に先にお伝えしておきたいのは、記事中には政治の話は一切なし、政治家ではなく音楽家・世良公則の話しかせえへんちゅうことやで。
ここで突然ですが「ロック御三家」ってご存じですか?
今となっては、1978年はサザンオールスターズデビューの年として記憶される。その衝撃的な登場もあって、「サザン以前/以後」という歴史観=「サザン史観」が広がっている(そんな史観の拡大に、私自身も貢献してしまっているふしもあるが)。
しかし1978年の日本のロック界を真の意味で席巻したのは、デビューから間もないサザンオールスターズ……では決してなく、『時間よ止まれ』と自著『成りあがり』の大ヒットでいわゆる「長者番付」の歌手部門1位となった矢沢永吉に加えて、「ロック御三家」なのだ。
「ロック御三家」とは、デビュー順に、Char、原田真二、世良公則&ツイストのことを指す。ソロとバンドが混在する、今から考えれば、何とも無理やりな組み合わせだな。