Photo by gettyimages

大衆が飲み込みやすかった「演歌ロック」

そんな中、満を持して、世良公則&ツイストがデビューする。ポピュラーソングコンテスト(ポプコン)本選会でグランプリ、そして世界歌謡祭でもグランプリという、当時のヤマハのエリートコースを経て、77年の11月『あんたのバラード』でデビュー。

初めて彼らを見たときのインパクトは忘れられない。まるで空手の型のようなアクションをして、ロックと演歌のミックスしたような「演歌ロック」をシャウトする世良公則は、一気に脚光を浴びる。Charと原田真二のどこか甘いルックスに対して、男っぽくワイルドな世良公則の見てくれは、時代的に、より受け入れられやすいものだった。

『あんたのバラード』以降、彼らはスピードを落とすどころか、ぐんぐん勢いを増していく。シングル2枚目はウエストコースト調の『宿無し』、3枚目はハードロック調の『銃爪』、そして4枚目で演歌ロック路線に戻った『性』(ここから「ツイスト」名義に)。

さらに79年に入っても、資生堂のタイアップが付いた、ウエストコースト調の『燃えろいい女』と、人気は高値安定。男っぽい見てくれに加えて、世良公則の演歌ロックは、洋楽的に垢抜けたCharと原田真二に比べて、当時の大衆には飲み込みやすかったということだろう。

Photo by gettyimages
-AD-

この時期のツイストの勢いを示すエピソードが「TBS『ザ・ベストテン』初の10週連続1位」だ。10週連続の6週目となる1978年10月12日のランキングは、こんな感じ。

1位.世良公則&ツイスト『銃爪』  
2位.堀内孝雄『君のひとみは10000ボルト』  
3位.山口百恵『絶体絶命』  
4位.サザンオールスターズ『勝手にシンドバッド』  
5位.西城秀樹『ブルースカイブルー』

1位『銃爪』と4位に『勝手にシンドバッド』と並んでいる。この1位と4位の差が、当時のツイストとサザンの格の違いと言ってよい。

ただし、さすがのツイストも、勢いは永遠ではなかった。『燃えろいい女』の次のシングル『SOPPO』(79年)から、シングルの売上は落ち込み、1981年末、早くも解散することとなる。

ただ、この『SOPPO』は、ツイストのシングルの中で、私がいちばん好きな曲だ。というか、いちばん驚いた曲だった。

途中加入のギタリスト、松浦善博による実に色っぽいスライドギター(上動画「1:37」からのギターソロ)は、私が生まれて初めて見たスライドギターだったのだから。

関連タグ

おすすめ記事

※当サイトで提供している情報は、投資その他の行動を勧誘する目的で運営しているものではありません。銘柄の選択、売買価格等、各種投資に関する最終決定は、ご自身の責任と判断でなさるようにお願いいたします。弊社は、当サイトの情報をもとにユーザーが行った投資行動の結果に関して、一切の責任を持ちません。