怪文書ブログについて。

前段

先日、『日本推理作家協会の会員名簿が参政党に渡るに至った事情について』なるはてなブログが投稿され、2日足らずで削除された。
内容は推理作家協会の名簿流出騒動の原因が『ある理事』にあるとし、その責任を追及するものだ。
その『ある理事』というのが、ほかならぬ僕のようである。

どうも僕のようだ。

……いや、間違いなく僕だ!!!!

となったのは、何度か記事を読み返してからだった。
あまりに事実誤認が多く、一読した段階では糾弾されているのが自分という確信が持てなかったのだ。
この「若手部会」というのは石川智健さんが設立したR45クラブのことだよな? 石川さんを攻撃してる? いやでも理事って書いてあるし、石川さんは理事ではないし……という感じだ。
このブログについては多くの作家さんが根拠のない出鱈目だらけの怪文書だと声を上げてくださり記事自体も削除されたことから、騒動は鎮静化しつつある。
だがそのおかげで、推協でなにやら揉めているらしい、という不穏な余韻だけを引きずる結果になった。火のないところに煙は立たないものだから、火種ぐらいはあったんじゃないかと勘ぐる人もいるだろう。

いや、ないよ。
あるとしたら、この怪文書ブログの執筆者の精神状態ぐらいだ。
しかもこの執筆者、事情通を気取っているけど理事会のシステムやら空気感やらぜんぜんわかってないから、理事会とはほとんどかかわりのない人だよ。

というわけで今回は、件のブログがいかに出鱈目だらけなのか検証していこうと思う。

削除されて読めなかったという方もいるかと思うので、まずはブログ全文をお読みください。
厳密には著作権法違反だと思うけど、ぜひぜひ訴えてきてください。
直接ご挨拶できたら幸甚です。

例の怪文書ブログ全文


■日本推理作家協会の会員名簿が参政党に渡るに至った事情について

日本推理作家協会の会員名簿が参政党のDM配りに利用されて、日本中の推理作家の家にアジビラみたいなハガキが届いてちょいとした騒ぎになっている。
当該の参政党員はれっきとした日本推理作家協会の会員だった。推理小説家ではなく、それどころか作家ですらないにもかかわらず、だ。
なんでそんなのが協会に潜り込んでいたのか……という話の、前日譚を知っている範囲でちょこっと。
日本の推理小説界はけっこう格差・断絶があって、「権威があるとされる新人賞(例えば江戸川乱歩賞とか鮎川哲也賞とか……)から出てきた人」「信頼に足るとされるいくつかの版元から継続的に新刊を出せている人」とそうでない人で、批評筋の、版元の、読者からの見方・信頼度が歴然と異なる。なんとなく「保守本流の人」か「そうでない外様の人」という分けられ方になり、「外様の人」だと見なされると年末の各ランキング誌で上位に行くのが難しくなったり、文学賞にも名前が挙がりにくくなったりする現状がある(そうしたものの投票や選考に関わる人たちはまず「保守本流の人」から見ていくので)。
勿論、それはいわゆる「業界内の評価」「オタクからの評価」だったりするので、実はトータルの売上は「保守本流の人」より「外様の人」の方が多かったりする。
だから時に、「俺の方が売れてるのに業界の連中は評価してくれない!」とコンプレックスに感じて病んでしまう「外様の人」が居る。
そういう人たちは、たとえば本屋大賞周りの書店員さんと仲良くしてみたり、推理小説界からは距離があるインフルエンサーの人に接近するなど、「俺の方が人気あるもん!」を強化する方向に走ったり、あるいは本人の得意分野でもないのに業界内ウケのために無理して「保守本流」っぽい作風に挑戦して玉砕したりと迷走してしまって気の毒なのだが、今回はそんな「外様の人」のひとりの話。
その人は今、推理作家協会の理事を務めてらして、その人を中心になんとなく「外様の人」の若手中堅のクラスタがあったり、協会内に年次で区切った「若手部会」をつくって自分がそのリーダーになろうと動いたりと(このあたりは人づてに聞いた話なので間違ってたらごめんね)、非常に精力的に活動されていた。……というか、どうやらその方は保守本流vs外様のヒエラルキーを、自身が代表理事にまで上り詰めることでぶっ壊してやりたいという野心をお持ちらしい。
推理作家協会の理事は会員による互選で、もちろん求心力のある人気者、しっかりした肩書のあるベテラン・実力者が選ばれる。それから、あまりいないけど「やりたい!」と手を挙げて積極的に票を取りまとめた人。
だからなんとなく派閥を分けるとすれば「保守本流の偉い人たち=複数の文学賞・新人賞で選考委員を務めるなど影響力があり尊敬されている新本格第一世代やそのフォロワー世代の人」や、「推理作家協会が主催する江戸川乱歩賞出身の、いわば『生え抜き』の人気者・実力者の人たち」が優勢というか、多数を占めることになるので、「外様の人」から理事になっても結局は少数派になってしまう。
だから――なのかは知らないが、その理事の方と周辺の数人の「外様の人」たちが音頭を取って、推理作家でない人の新規入会をどんどん増やすようになった。
日本推理作家協会への入会は、一人の理事ともう一人の会員、計2名からの推薦が要件となっている。その先に理事会での承認という行程があるが、ここで弾かれることはほぼほぼない。
本来なら20人とかしかいない、しかも大物ばかりの理事から推薦を取り付けるのが関門になるのだが、理事の側から「入りたいって言ってくれてるならどんどん新しい人を入れていこうよ!」と旗振りしているならハードルはぐっと下がるのは言うまでもない。
くだんの理事氏とその周辺の人たちはここ数年、異業種交流会などを通じて知り合ったジャンル外の人(たとえばそのジャンルの作家団体が確立していないファンタジー系の人とか、推理小説界隈の人と仕事したいと思ってくれている映像系やイベント系の人とか)などに声がけして、次々に推理作家協会員に推薦し入会させてきた。
これ自体は決して悪いことではないし、正規の手続きを踏んでいるのだから非難されることではない。
協会に入っておけば、文芸美術健康保険の加入資格が得られたり、業界内のパーティ・イベントに出やすくなったりなど、フリーランスでお仕事をしている人にとっては有利なことも少なくないので、入会したいのにツテがなくて困っていた若手作家さんなど、助かった人も多いはずだ。
ただ、そうやってジャンル外の人をどんどん入会させようとする彼らの動きを「推理小説界にしがらみのない、自分たちの意向通りに動いてくれそうな人をたくさん入会させて子飼いにし、自分たちの発言力を高めようとしているのでは」と邪推する人もいて……正直、筆者もそうなんじゃないかと思っている。アレですね、ハンター協会におけるパリストンの立ち回りですわ。
試しに推理作家協会のホームページに飛んで、ここ一年ほどの新規会員の「入会の挨拶」を見ていってほしい。
http://www.mystery.or.jp/search/article/?cid=9
メインの肩書が「推理作家」でない人の殆どが、特定の理事・会員の推薦で入会していることに気づくだろう。それも、けっこうな数の人が。
そう、その「同一推薦者による大量の新規入会者」のひとりが今回の参政党員氏なのだ。
http://www.mystery.or.jp/magazine/article/839
これだけの人数の、言い方は悪いが「推理作家の団体に入会させるべき、推理小説賞の受賞などの客観的な実績があるわけでもない人」をどんどん推薦していった会員、そしてそれをどんどん承認していった理事会は、果たして公正で十分な審査を果たしたのかという責任追及の声は上がるべきだと思う。
そもそも今のご時世に「入会さえすれば、東野圭吾の住所も京極夏彦の住所も書いてある個人情報の塊の冊子が毎年貰える」という、あまりにガバガバな運用を考え直す時期が来ているはずだ。
いやー、まいったね。
Permalink | 記事への反応(17) | 20:26

寺西一浩氏について

まずは寺西一浩氏についてだが、「作家ですらない」というのは誤りだ。
現在刊行されている著作はほとんどがHP出版という、おそらくご自身で設立された版元から出ており、それだけなら推協入会の条件の一つである「エンタメ商業出版物」といえるか微妙なラインではあるものの、過去には『女優』という作品が講談社から、『新宿ミッドナイトベイビー』という作品がゴマブックスから刊行されている。自費出版ラインでもなさそうだ。
出版の経緯は知る由もないが、ネットに掲載された書誌情報を確認する限りでは、商業出版物のあるれっきとした作家といえる。
たしかにより詳細に調査していれば、入会前に寺西氏にまつわるさまざまな噂をキャッチできただろうが、入会の経緯自体になんら問題はなかった。
「よくよく調べたら過去にいろいろやらかしてる人じゃん。やべーの入れちゃったなー。推薦人ってことになってるんだから変なことしないでくれよー」という僕の感想は、また別の話である。
ちなみに寺西氏が入会したのは2022年のことであり、当時は参政党とのかかわりはなかったはずだ。

今回の問題は『協会員の作家が、おそらくは会員向けに配布される手帳に記載された名簿を選挙活動に利用した』という一点に尽きる。
選挙活動への名簿利用については個人情報保護法の例外となっていて違法性はないらしいので、性善説に基づいて運用されていた団体の暗黙の了解が破られたということだ。法の問題ではなく、信頼や信義の問題。
これについては反省すべき点や改善の余地はあると思う。
入会申込にたいしいちいち猜疑心たっぷりに接するのは気持ちの良いものではないが、システムを悪用する人が出てくる可能性は考慮しなければならない。

入会後に寺西氏にまつわるさまざまな噂を知り、ハラハラしながら氏の動向を見守るウォッチャーと化してきた僕は、今回の騒動関係なく彼を支持しない。この人を担ぎ上げるぐらいだから、この党の候補者みんな同じような感じなんだろう。
ただそれとは別に「アジビラ」という表現は悪意に満ちている。
名簿に住所を掲載していない僕のところには届いていないけど、ほかの作家さんがSNSにアップした写真を見る限り、あれは普通の広報ハガキでしょう。アジビラではない。なにをアジっているというのか。そもそも言葉の意味がわかって使っているのか。
ともかく、僕を貶めたいがために寺西氏のことまで必要以上に貶めている。
その点については寺西氏に同情する。
ぜったいに投票はしないし、当選してはいけない人だと思うけど。

理事会について

推理作家協会の理事は会員による互選で、もちろん求心力のある人気者、しっかりした肩書のあるベテラン・実力者が選ばれる。それから、あまりいないけど「やりたい!」と手を挙げて積極的に票を取りまとめた人。

推理作家協会の理事が会員による互選というのは間違っていない。
そしてどうやら僕は「やりたい!」と手を挙げて積極的に票を取りまとめた人らしい。

……そんな人、いるの??

理事選が近いから僕に投票して!って、作家仲間に声をかけまくるのだろうか?
公になったらめちゃくちゃ恥ずかしいな。
というか執筆者は推理作家協会の理事という肩書きを、あまりに過大に評価している。

理事には選挙で選ばれる人のほか、理事からの推薦で選ばれる推薦理事がいる。なにかしらの特技やら人脈やら、あるいは行動力やらがあって理事会にいてくれたら助かるという人が推薦されることが多いのだが、そもそも断られる場合も少なくなく、推薦理事の枠を埋めるのですら大変な現状がある。理事会は最近新体制になったばかりだが、今回の新体制でも推薦理事の枠を埋めるのにはけっこう時間がかかった。
理事をやりたい人、そんなにいないんだよ。

僕が理事会入りしたきっかけは、この推薦理事だ。
京極夏彦さんが代表理事に就任する際、貫井徳郎さんの推薦で理事になった。
もともと『本にかかわる人の交流会』という集まりを定期的に開催していたので、そのノウハウを推協の懇親会で活かしてほしいという話だった。
とはいえ、懇親会は頻繁に開催されるものではない。
理事会に参加しても発言できず置き物のようになっているのが気まずくて、なにか仕事がしたいと貫井さんに願い出た。
その結果任されたのが、協会に伝手のない作家さんへの入会窓口だった。
会員を増やすのは僕の独断専行ではなく、推協の方針なのだ。

推協の公式アカウントでは、入会希望の作家さんは佐藤青南にDMしてくださいという定期ポストが流れる(Xの仕様変更で相互でない相手にはDMが遅れなくなったため、いまはメールフォームが貼りつけてあるが、あのメールも僕のところに届くようになっている)。
入会の問い合わせが来たらまずその作家さんの名前を検索し、商業出版物があるか調べる。
実際には自費出版なのに版元に騙されて商業出版と誤解している作家さんがいたり、商業出版には違いないけどエンタメではない実用書や学術書を出されていたり、最近だと電子のみの商業出版などもあるので、けっこうややこしい。寺西氏などはわかりやすく条件を満たしているほうだ。
どうしても困ったときには貫井さんにおうかがいを立て、資格を満たしていると判断したら推薦人を手配する。
そして入会希望者から届いた入会申込書に自分ともう一人の推薦人の名前を添え、事務局に提出する流れだ。

たまにどうしてもお断りしないといけない場合があって、怒りや不満をぶつけられることはあるものの、それほど大きな手間でもないし、役割を与えられた嬉しさもあったのでとくに不満もなく続けていた。

ところがその結果、思いがけない副産物が生まれた。
理事選で当選するようになってしまったのだ。
考えてみれば当たり前だ。
会員は理事選に投票しろと言われても、数百名の会員から誰に投票していいかわからない。
投票用紙にはけっこうな数の名前を記入する枠がある。
最初は好きな作家さんの名前を書くけど、次第に枠を埋めるのに時間がかかってくる。
そんなとき、入会時に推薦理事になった僕の名前が浮かぶのは自然な流れだろう。

というわけで僕は、二度目の任期から普通に選挙で選ばれるようになってしまった。
しまった。
居心地が悪いわけではないけどガラではないと感じていたし、推薦理事の任期を終えたら理事会から離れようと思っていたのに、やめられなくなった。
もっとも、京極さんの後は貫井さんが代表理事になったので、当選しなくても推薦され続けたかもしれないが。

それが実際である。

ジャンル外の人をどんどん入会させようとする彼らの動きを「推理小説界にしがらみのない、自分たちの意向通りに動いてくれそうな人をたくさん入会させて子飼いにし、自分たちの発言力を高めようとしているのでは」と邪推する人もいて……正直、筆者もそうなんじゃないかと思っている。

……マジで頭悪い。
フィクション脳というか陰謀脳というか、病的というか。
僕自身が積極的に会員の勧誘をしているわけではないし、そもそも新入会員を増やしたところで理事会での発言力が強くなるわけじゃない。
普通に考えろよ。
派閥を作って子飼いの作家を増やしたところで、そいつらが理事会に同席するわけでもないんだから。
執筆者は『白い巨塔』とか映画『教皇選挙』のような世界を想像しているのかもしれない。

しかし冷静に考えてみてほしい。
『白い巨塔』で医師たちが教授を目指すのはわかる。
『教皇選挙』で世界中から集った候補者たちが教皇を目指すのもわかる。
でも小説家が目指すのは、推理作家協会の代表理事の座か!?
直木賞とか本屋大賞とか、ミステリランキングとかでしょう。
そっちで相手にされないから推理作家協会の代表理事を目指すなんてナンセンスもいいところだ。
なにしろ、

代表理事については選挙ではなく、代表理事による後任の指名制になっているのだから。

そこが『白い巨塔』や『教皇選挙』とは決定的に違う(そもそも代表理事を目指している作家などいないという前提は置いておいて)。
いくら会員を増やして派閥を作ったところで、それが発言力につながったところで(実際はそんなこともないけど)、次期代表理事の座に近づくことなどありえないのだ。
現状の制度で次期代表理事の座を狙うとすれば、派閥を作るより貫井代表理事に取り入るほうが正しいことになる。
とはいえいくら親しくしても、貫井現代表が後任に僕を指名することはありえない。
推協は基本的には穏健な親睦団体に過ぎないが、なにかトラブルが起こったとき(たとえば出版社による作家への権利侵害など)、代表理事が先頭に立って相手と交渉することになる。
そのためにはそれなりに睨みを利かせられる名前が必要だ。かりに立ち回りの上手さだけで代表理事になったところで、作家として実績のない人間に代表理事の職責は担えない。執筆者は代表理事がえらそうにふんぞり返って部下を顎でこき使っているとでも思っているのだろうか?
一度推協の事務局に来てみたらいい。
マンションの狭い一室に数人の職員だけという、名前の響きと会の規模から想像できないほどの小所帯だから。必然的に代表理事が自分で動かざるをえず、負担も大きくなるわけだ。

ここまで読んでもらえば、当該怪文書ブログがいかに出鱈目なのかおわかりいただけたはずだ。詐欺師は嘘の中に巧みに事実を混ぜるというが、『参院選に立候補した推協会員が名簿を選挙活動に利用した』という以外の事実がほぼない。
ほとんど妄想で組み立てられている。

プロファイリング

日本の推理小説界はけっこう格差・断絶があって、「権威があるとされる新人賞(例えば江戸川乱歩賞とか鮎川哲也賞とか……)から出てきた人」「信頼に足るとされるいくつかの版元から継続的に新刊を出せている人」とそうでない人で、批評筋の、版元の、読者からの見方・信頼度が歴然と異なる。なんとなく「保守本流の人」か「そうでない外様の人」という分けられ方になり、「外様の人」だと見なされると年末の各ランキング誌で上位に行くのが難しくなったり、文学賞にも名前が挙がりにくくなったりする現状がある(そうしたものの投票や選考に関わる人たちはまず「保守本流の人」から見ていくので)。

訳知り顔で講釈を垂れるような寒い文章に共感性羞恥を禁じえないが、断絶などない。売上に差があるのは当然のことだが、「保守本流」だとか「外様」だとかいうくだらない考え方をする人は僕の周囲にはいない。
とはいえこういった捉え方をするのは、作家特有の視点だとも思える。
しかも闇堕ちしまくった作家の。
こういう認知の歪ませ方をすることで、自らの思うようにいかないキャリアを肯定しているのだ。
一種の防衛反応だ。
自分は「権威のある新人賞」からデビューしていないから賞にノミネートされない。
「外様」だから売れない。
上手くいかない。
たぶん違うよ。
つまんないからだよ。

入会さえすれば、東野圭吾の住所も京極夏彦の住所も書いてある個人情報の塊の冊子が毎年貰える

最新版の手帳を確認したところ、東野さんと京極さんの住所は掲載されていた。出鱈目に有名作家の名前を書いたわけではなく、おそらく執筆者も手帳を持っている。
ということは、残念ながら推協会員の可能性が高い。
しかし理事会への理解度や解像度の低さから理事ではないし(当たり前)、理事と近い関係にある作家でもない。僕もそうだけど、友人の作家には理事会の様子を話したりするから。
ちなみに一足遅かったが、個人情報保護法の観点から来年度からの手帳の配布はなくなるようだ。本当にあと一歩遅かった。

本来なら20人とかしかいない、しかも大物ばかりの理事から推薦を取り付けるのが関門になるのだが、理事の側から「入りたいって言ってくれてるならどんどん新しい人を入れていこうよ!」と旗振りしているならハードルはぐっと下がるのは言うまでもない。

ここも気になる箇所だ。
大物から推薦を取り付けるのを「関門」と表現している。僕以外の理事の推薦を受けて入会された作家さんなら、推薦を受けることのハードルがそんなに高くないのはご存じのはずだ。
よく知らない人だけど知り合いの作家さん経由で頼まれたから推薦する、というケースは少なくないし(というかほとんどそう)、入会を希望するからって厳しく品定めすることはない。
キャリアの長い、実績のすごい作家さんにたいして「勝手に恐縮する」ことは僕だってあるが、恐縮されたほうは細かいことを気にしていない場合が多い。中にはフィクションに登場するいわゆる大御所作家的なえらそうな人もいるのだろうが、そういう人は理事会に入らない。理事になってもちやほやされるわけではなく、むしろいろいろ面倒事が増えるだけだから。

今回みたいにな!

ともあれ理事の作家さんなら、知り合い経由で推薦を頼まれて断ることなんてないはずだ。すごく恐縮していたけど意外なほどあっさり推薦してもらえて拍子抜けした、という作家さんもきっと多いだろう。
入会に際しての推薦は「関門」でも「ハードル」でもない。
しかしそう書いているということは、「大物」から推薦を取り付けるのは「ハードル」が高いという誤解が続いているということで、つまりもし執筆者が協会員であるならば、「大物」からの推薦を受けずに入会したことになる。

あれ、それって……???

ご健筆をお祈りします。

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