リアルでトラブルがあって遅れました、スンマソン!
そしてそのトラブルとは別で、来週末までは事情があってネット回線が使えないから、投稿ができなさそう。
かなしいしい。大変申し訳ない。
20XX/XX/11
ロンドン攻略に赴く前に、一つ、銀の弾丸について整理しておこうと思う。
オレはリツカと出会ってからカルデアに来るまでのおよそ5年以上、自分の能力について考え続けてきた。自分のチカラを把握していないのは不自然な話ではある。だが事実オレは銀弾のすべてを理解しているわけではないから。
よくある転生ものみたく、神様が説明してくれるだとか、ステータスオープンと発声すれば自分の詳細が見れるだとか、そういうことがあればよかったのだが。そんな親切は与えられなかった。いや、正確に言えば簡易的な──それこそ“チュートリアル”と表現するのが適切なくらいの、ささやかな説明はあったかもしれない。
オレがこの能力を自覚したのは、たしか6歳の時だった。学校帰りにみんなで集まって駄菓子屋に寄ったのだが、オレはちょうど金を家に忘れてきていた。周りがガムだのチョコだのを楽しそうに選んでいく中、自分だけが何も買えないというのはとても惨めな気持ちだったのを覚えている。
転生したんだから精神年齢は大人のはずだろうって話なのだけど。なんであの時あんなにも駄菓子に惹かれたのだか。
ともかくとして目の前にある“うまい棒”がどーしても欲しくなってしまったオレは、金がないのにそのうまい棒を棚から取り上げた。そして「この菓子が買えるお金があったらなあ」なんて思っていたんだ。
そうしたら、急に右手が光りだして。もうびっくり仰天だ。突然の眩しさに反射で目を閉じたら、バアンと何かが弾けたような音が鳴って、次に目を開けた時には、右手に100円玉があった。そして、自分には“銀の弾丸”と呼ばれる力があるのだと唐突に自覚した。
残りの弾数、そしてそれまでに使ってしまった弾数もその時に頭に浮かんできた。オレはその駄菓子事件の時までに2発の弾丸を使用していた。何に使ったのかは分からないが、使用したのは自意識が確立する前──3歳以前の話だろうとは思った。今世のオレの記憶はそこからスタートしていたからだ。
ともかく、この時のオレはこの銀弾が何でも叶えてくれるチカラだと思っていた。例を挙げれば“魔法のランプ”のような回数付きの願望器だと。
なんにせよ、その時のオレはこの力を駄菓子なんかに使ったことを後悔したし、次はどんなことに使ってやろうかと興奮してもいた。
でも、その時のオレは比較的人生が上手くいっていた。前世と違う才能にあふれた自分を磨き上げるのが楽しくて仕方がなかったし、多くの人の期待に応えられる自分に酔いしれていた時期だった。つまり叶えたい願いというものが見当たらなかったのだ。
だからまあ、回数制限つきというのも相まって、オレはこのチカラを使うタイミングを中々につかめず、数年もの間半ば死蔵状態に置くことになった。
ともかくだ。弾丸についての
自分に宿るチカラが“銀の弾丸”を模していて、その数は全弾で13発である。それだけが、オレの脳に囁かれた銀弾の情報だ。
だからこそ、オレは研究してきた。これまでに自分が使用してきた銀の弾丸、その時の状況から、このチカラがどのようなものであるのかを。
そうしていくつかの仮説を立てた。これが正解かどうかはわからないが、きっと当たらずとも遠からずという程度ではあると思う。
そして特に、これからロンドンでソロモン──ゲーティアを倒すにあたって、大事なのは3つだ。
一つ、銀の弾丸は“解決したい問題を思い描かねばならないこと”
当然だが、銀弾は何か打破したい困難や、解消したい課題があってこそ使用できる。自分の中で何を成したいのかを思い描き、それを形作る──銃で例えるならば、“装填”の段階だ。撃ちたいならまずは弾を込めるところから、ってことだろう。
この装填の作業には少し時間がかかる。コンマ数秒ってところだろうか。人間相手ならほとんど隙にはならないが、英霊やビースト相手となると、致命的だ。
つまり、真正面から相対しているような状況はあまり好ましくない。できれば奇襲という形で使うのを意識したい。
そして、この銀弾、装填できる願いには限りがある。オレが母を蘇生しようとしてできなかったように。時間を戻そうとして失敗したように。
あまりに世界の法則を覆すような願いは拒否されるのかと最初は考えたが、それなら俺自身が蘇生できているのはどうなのという話だ。
それに、オレがあの夜──家族が死んだあのとき──
このように、銀弾の制限の基準はよくわかっていない。ただ、銀の弾丸はこと“何かを殺したい”という願いに対しては今までに答えなかったことがない。
オケアノスで会敵した魔神柱相手に装填できるかどうかだけ試したが、無事に装填は行われた。きっとゲーティアにも通じるはずだ。
二つ、銀の弾丸は“使う対象が目の前にいなければならないこと”
これに関してはほぼ確定と言っていいくらいの仮説だ。銀の弾丸は“シロガネハズムの視界にいる対象”にしか命中しない。これは映像越しなどではダメで、きちんと生身で相対しなければならない。つまり“照準”が必要だ。
この特徴のために、オレは特異点攻略に参加しているといってもいい。でなければ、リツカと出会った瞬間にゲーティアに向けて速攻撃っている。
幸い、“照準”が完了しさえすれば、あとは勝手に銀弾は対象に当たる。普通の銃のように
第四特異点──ロンドンではゲーティアが姿を現す、はずだ。だからチャンスなんだ。時間神殿に行かずにゲーティアを殺せる、ショートカットができる絶好の機会。ただ一つ問題があるとすれば、ゲーティアがロンドンに来るというのはシナリオ上での話であって、この世界ではそうとは限らないということ。
だからこれは賭けだ。オレは奴が来るほうに賭ける。ここでもシナリオを妄信するのかという話だが、来なかったら来なかったで撃たないだけだ。そして次のチャンスを待つ。
そうなったときにペンドラゴンが殺さずに許してくれるかは分からないが。どのみちロンドンまでで解決できなかったら、カルデアの皆にもすべてを明かして沙汰を待つつもりだった。
どういう扱いを受けても文句はない。ここで成し遂げられなかったなら、それはオレが無能だっただけの話だろう。
──失敗した時のことはまたあとで考える。次。
三つ、銀の弾丸は“オレの命のストックを兼ねること”
これは最も気を付けなければならない問題だ。オレは死亡すると、自動的に銀弾を一発消費し生き返る。つまりあとのこり5発しか弾丸がないという現状、ゲーティアにたどり着くまでに5回殺されるようなことがあれば、終わりだ。
“空弾倉”──そうなったとき、オレは無力な一般人だ。もう、何も成すことはできない。
明日には、ロンドンの攻略が始まる。
覚悟を決めろ。なすべきことを成せ。あのペンドラゴンが共に世界を救おうと言ってくれたんだ。それに答えろ。
救えないはずの人を救え。シナリオよりも速く世界を救え。それがきっとあの日の夜の贖罪になる。
それができてこそ、
──それができなきゃ、何のために生きている?
◇
◆
ロンドンは一寸先も見通せないほどの濃霧に包まれていた。わかっていたことだが、やはり戦いにくい環境だ。ハズムとはぐれてしまわないように、私はいつもよりも数メートルほど彼に近づいた。
呼吸する。霧の湿った感覚が鼻を抜けて、ピリッとした有毒の気配を感じる。これもわかっていたことだった。私のようなサーヴァントにとってならなんてことはないが、ハズムにとってはきつい代物だ。
「──ハズム、マスクを」
「もう着けてる。やっぱり毒はあったか」
彼はこの特異点に向けてダヴィンチに色々なものを頼んでいた。毒の霧を浄化するマスク、霧を見通すためのゴーグル、そして剣。
彼の腰の鞘がかちりと音を鳴らした。羽のように軽く、しかしとても鋭く硬い、ダヴィンチお手製の両刃剣。宝具というほどではないが、礼装としてはまずまずの火力をもった特別な剣だ。サーヴァントにもかすり傷くらいは付けられるかもしれない。
とにかく、この特異点に向けて私たちは準備は万端で臨んだ。それはマスクのようにアイテムをそろえるという点でも、剣や魔術の訓練をするという点でもだ。できうる限りの努力をした。
しかし、それでは足りないほどに、特異点攻略というのは理不尽なものだったらしかった。
「──ハズム」
「なんだ、ペンドラゴン」
「リツカたちの気配がない」
「──っ!?」
ハズムがあたりをきょろきょろと見まわす。リツカ!と大声で呼ぶも、霧の向こうにむなしく響くだけ。まったく返事はなかった。
「所長! ロマン! ダヴィンチ先生!」
ハズムは手首の通信機に向かって声を張り上げる。それでも、返事はなかった。
私たちはこの特異点で孤立した。それはもう疑いようもなかった。最悪のスタートだった。
「リツカたちとははぐれた。通信は上手くつながらない。どうしますか、ハズム」
「──とにかく、合流を目指す。ジキルの拠点とか、アンデルセンのいる本屋でもいい。とにかくリツカたちがいそうな場所に向かおう」
「わかりました」
濃霧をかき分けるようにして進む。静まり返った街には、不気味な雰囲気が漂っている。市民の気配を感じ取ることすらできない。この街には、あといくつの生命が残っているだろうか。
──思えば、ずっとそうだ。
全ての特異点は、ここと同じように、無辜の民の犠牲によって成り立っている。
ここで終わらせるのだ。このような残酷な真似は。ここで。
しばらく通りを進んでいく。ひんやりとした空気の中に、ガス灯の明かりが滲んでいる。往来には人っ子一人見当たらず、あるものといえば転がっていく塵屑だけ。
遠くのほう、濃霧を隔てた向こう側から何やら音が聞こえてきた。キィンと、金属同士がぶつかるような、高い音だ。
「──これは、剣戟の音か?」
「ええ」
ハズムの問いに首肯して返した。この音は剣士が何かと戦っている音に他ならない。いこう、とハズムが少しばかりの不安をにじませながら言った。
「ロンドンで“剣”ってことはだ。もしかして──」
「ええ……懐かしい、音ですね」
私は刀剣の類にことさら詳しいというわけではない。剣戟の音を聞いただけで担い手を判断することなどそうはできない。
だが、この音は、嫌というほど耳にしてきたものの一つだった。
「──クラレントの音」
私は円卓の首領、騎士王アルトリア・ペンドラゴンだ。幾千の時が経とうとも、共に戦場を駆けた円卓の騎士の戦いの音だけは、聞き間違いようがなかった。
ましてや、自分のどでっぱらを貫いてくれたバカ息子であれば、なおさらのことだった。
◆
◆
自分の指先すら見渡せない霧。その只中に俺は立っていた。
隣には誰もいない。マシュも、エミヤも、アルトリアも、ハズムも。ここはどこだ。もう特異点にいるのだろうか──ぞわりと、背中に恐怖が這い寄ってくる。
抗いようのない孤独感が動機を激しくする。先を見渡せないという事実が焦りを色濃くする。
今すぐに霧をかき分け、喚き散らしながら逃げ出してしまいたい気持ちをぐっと押し殺す。みっともなく仲間たちの名前を叫びたい気持ちにふたをする。
「落ち着け、落ち着け」
深呼吸。鼻の内側に冷たく湿った感覚が流れ込んできた。そのちょっとした刺激が、気分を落ち着けるのを手助けしてくれた。
努めて心を凪いだ状態に保つ。もう一度だけ深呼吸をして、手首の通信機を起動させた。
“NO SIGNAL”と表示されている。どうやらカルデアとの通信は断ち切られているようだった。
ならば一人で進むしかあるまい、と思う。
特異点攻略を全くの1人で行うことになるなどこれまでにはなかった。けれどやらなければならない。
人類最後のマスター、その片割れとして。どんな状況でも立ち止まってはならない。
それが藤丸立香のすべきことだった。
どこに進めばよいのかもわからないので、とりあえず自分から見て右手の方向に進むことにした。
どれだけ脚を前に出そうと進んでいる気がしない。もはや無限のループの中にとらわれている心地すらしてきた。
人っこ一人見当たらないロンドンの街並み。メインストリート両側の建物は扉はもちろんカーテンすら閉め切られている。静寂があたりを支配している。
「っ?」
するとかすかに、音が聞こえた気がした。かちゃり、と何かの金属が鳴ったような。
その音はおよそ身近な部類に入るものではなかったが、俺にとっては聞き覚えのある音だった。
「──銃の
親友──ハズムが魔術を使うときと同じような、銃を装填する音だ。いや、
「いるのか、ハズム!」
もしかしたら近くにいるのかもしれない。一刻も早く合流したいという思いで、彼の名前を叫んだ。
「うわ!?」
すると突然、霧がまるでモーセの海割かのように真っ二つにされていく。付随して生まれた突風に反射で身構えて目を閉じてしまう。
そうしている間にもどんどん風は激しくなって、とうとう目を開けられるような状態ではなくなってしまった。かちゃり、かちゃり、と装填音が近づいてくるのだけがわかる。
「リツカ──」
ハズムの声だ。俺は安心して息をついた。彼と合流できて何よりだ。
少しずつ突風はやんできているようだった。先ほどまで砂埃に攻撃されていた目を回復させようと、俺は腕で両目をこすりながら彼に話しかけた。
「ハズム、合流できてよかった」
「リツカ──ご、めん」
「いや、ハズムが謝ることじゃないだろ。はぐれたのは別に誰のせいでもない」
「ご、めん」
ハズムが何度も謝ってくる。はぐれたことをそうも気にしているのだろうか。
彼は自罰的な思考をしがちな人だった。何かの失敗に対して責任を感じるのは悪いこととは言えない。しかし、自分に落ち度がないことすら深刻に受け止めてしまうのは、直してほしいところだった。
彼がこうした状態になっているときはナツキが「きにしちゃだめだよ!」と努めて明るく彼を励ましていた。今は彼女がいないからそういった光景は無いが、だからこそ俺はその役割を俺なりにこなさねばならないだろうと思う。
彼に不安を与えないように努めて笑顔を作って、俺は顔を上げ、眼を開いた。
「気にしちゃだめだって! ハズムは悪く、な、い──」
そこにいたのは、普段のシロガネハズムではなかった。
艶やかな濡れ羽色をしていたはずの彼の髪は、銀のくすんだような色に変色している。そして、その不気味な髪に覆われた頭部からは、幾本もの筒状の物体──銃身のような──が飛び出している。
胸元は真っ赤な血の色に染まり、彼の首に下がっていたはずのロザリオはどこかへと消えていた。その代わりと言わんばかりに、彼の首から胸にかけてはいくつもの弾痕が浮き出ている。
いつも特異点攻略用に用意していた装備は、服や探検バックをはじめとしてそのほとんどが原型をとどめておらず、唯一、鞘が脱落した抜身の剣だけが腰に携えられている。
他にもあげていけばきりがないくらいに、今の彼は異様だった。俺はもはやその顔と声だけを頼りにして彼を“シロガネハズムである”と認識しているにすぎず、今の彼が人間であるとは断言できなかった。
まるで──人形のようだ。と心に浮かぶ声。それは先ほどまでに上げたどの特徴も差し置いて、彼の眼を見て浮かんだものだった。
雄大な海、果てしない空のような、見るものを引き込む
しかし、今の彼はその色に変化はなくとも、そこから生気という生気が抜け落ちてしまっているように見える。
「ごめんな、リツカ」
彼はなおも謝罪を続けていた。彼に表情は無かったが、虚ろな目から流れ落ちる涙を見るだけで、彼の内にあるとても大きな感情──おそらく“悔恨”や“懺悔”といった──がひしひしと伝わってきた。
「オレがいた、ばっかりに。オレがこの世界に存在したばっかりに」
「なにを言ってるんだ、ハズム!」
彼はこちらの声に耳を傾けてはいなかった。聞こえていないのか、聞こえないふりをしているのか。どちらにしても、このままでは何か手遅れになってしまうような予感がした。
そして、その予感はきっと間違いではない。
何かをしなければならない──そういった思いに突き動かされて、がむしゃらに彼に手を伸ばす。
しかし、伸ばした手のひらはあと薄皮一枚といったところで弾かれた。もう一度手を伸ばせば届くかのように予感させる現象だったが、きっと何度やっても無駄な気がした。
今の彼と俺の間には、きっと近そうでそのじつ無限にも等しいような隔絶がある。漫画の中のキャラクターが読者に触ることができないのは当たり前、といったような、摂理として覆しようもない次元の違い。
それがどうにも悔しくてたまらなかった。
「マスター」
俺はずっと、シロガネハズムという少年に助けられてきた。
「マスター」
だから恩返しをしたいと、ずっと思っていた。
「マスター」
彼が苦しみながら生きていること。自分なんて世界には必要ないと思っていること。それを吹き飛ばしてあげたくて、それはナツキも同じで。
「マスター」
だから、約束した。だから、彼が幸せになれるようにしようと誓い合った。
「マスター」
でも、もう手遅れなのだろうか。なぜこんなことになってしまうのだろうか。──彼はお人好しで、誰より優しい、幸せになるべき人のはずなのに。
「マスター!」
聞き覚えのある誰かの声が脳裏に響く。
ああ、これはマシュの声だ。
まるで曇り空が晴れ渡るかのように思考がクリアになって、現状を分析する。
そして気づく。これは、
「──なるほど」
ああくそ、なんてことだ。どこのだれだ、こんな趣味の悪いことを。
「悪夢だったってことか」
目の前のシロガネハズム。痛ましい姿の彼を見る。これもただの幻想だったのだろう。
これは悪夢だ。現実ではない。目を覚ませばきっと、横にはマシュがいて、エミヤがいて、アルトリアがいて──いつも通りのハズムがいてくれる。
きっと、そのはずだ。
「──ハズム」
でも、なんだろうか。これは
痛ましく、見るのが苦痛でしかない、悪夢そのものであったとしても。それだけで片付けてはならないのではないかと。
眼を覚ます。夢は消えていく。
霧は晴れ、建物は消失し、目の前のシロガネハズムも、例外なく光に解けていく。
そうして、藤丸立香は第四特異点ロンドン──その熱烈な歓迎。許しがたい悪夢からの脱出に成功した。
◆
瞼を開ければ、今までに見ていた夢とあらかた変わらない光景が目の前に広がっていた。
先の見通せない濃霧、ひっそりとした街なみ。唯一違うのは、こちらを見下ろす女の子──マシュの姿があるということだけ。
「マスター! お目覚めですか!」
「うん、マシュが声をかけてくれたおかげでね」
「いえ……とても魘されていました。悪夢を、見ていらしたんですか?」
「うん、しかもとびきりの奴だよ。思い出したくもないくらいの」
そんな掛け合いをしながら、立ち上がる。悪夢で疲労したからかふらついてしまったが、ありがたいことにマシュが支えてくれた。
「──あ、れ?」
そうしているときに、ふと気づく。周りに、マシュ以外の姿がない。
「っ! マシュ!」
「は、はい!」
「ほかの皆は、どこに!?」
彼女の肩を強く握ってまくしたてる。本来彼女のような少女に行うべき行為ではないが、この時ばかりは焦ってそんなことを気にする余裕などなかった。
「──まず、エミヤさんはレイシフトを拒まれて、カルデアにいるままです。原因はわかっていません」
彼女は深刻な表情で話し始める。
「アルトリアさん、ハズムさんは、レイシフトこそできたようですが、通信が途切れ所在地も不明です」
「──!」
「そして、これらのことを私に伝えたのち、カルデアとの通信が途絶。何度か再接続を試みましたが、今に至るまで成功していません」
「つまり、」
夢の中と同じような、冷たい恐怖が背中を登ってくる。考えたくもなかった事実が、心を削り取る。
「つまり、俺たちは──」
「はい、その通りです、マスター」
「私たちは、孤立しました。このロンドンの街、第四特異点の真っ只中で」
マシュのがそんな言葉を不安げに告げる。
嫌な予感がしていた。とてつもなく嫌な予感。もうすぐ取り返しのつかないことが起こってしまいそうな、そんな予感が。
俺たちはなにか、途方もない悪意をもった何者かによって、嬲られているのではないだろうか。
俺たちは罠に誘い込まれたのではないか。もうここは、敵の手のひらの上なのかもしれない。
「──ハズム」
あの悪夢が脳裏をよぎる。酷い夢だった。目を背けたくなるくらいに痛ましく、そのくせ妙な
なんの根拠もありはしないが──あの夢は悪夢というだけではなく。きっと。
【銀弾に込めることのできる願い】
およそヒトの思いつく限り全て、弾として込められる。
もちろん、蘇生もタイムトラベルも本来はできるはず。でも本人はできないと思っている。(というかやってみたらできなかった)
しかし、シロガネハズムは“世界を滅ぼしたい”という願いを装填できたのだから、抑止力の介入などで制限がかかっているということはない。
じゃあなぜ、実現できる願いと実現できない願いがある?
制限などないに等しいチカラに制限をかけているのはいったい誰? 何者なのだろうか。
※注 ちなみに“本来はどんな願いでも装填できる”っていったけど、それは“無事に願いが叶う”こととイコールではない。
最後まで読んでくれてありがとナス!
なんか今回の話の出来はあんまりよくない気がするよね。
だからさぁ、クオリティアップのために必要なものがあると思うんですよね。
感想とか、評価とか、お気に入りとかさぁ!
置いてけ! 感想おいてけ! 評価おいてけ! お気に入りしていけ!
おれはおれのためにいつまでも求めていくし、乞食いていくからな!
じゃあ次回。3月の2週目くらいからまた投稿する……はず?