みんなの応援のおかげです! ありがとナス!
嬉しかったから新話投稿するね。まあサブタイトルは
一応説明しとくと、時間軸はオルレアン出撃前です。
オルレアン待機勢はそのまま待機オナシャス!
「いいかい、ハズムくん」とレオナルドは人差し指を立てて、言い聞かせるように話し始めた。
「君のことをわたしは
「はい、ダヴィンチ先生」
「大変良い返事だ。その調子で聞く様に」
レオナルドは気分よさげに眼鏡を持ち上げた。教師の役割に徹している間は、レオナルドが彼に対して感じる嫌悪感は薄れるらしかった。こうして笑顔を見せることも、たまにはあった。そのたびに、ハズム君が嬉しいような安心したような顔を見せるところが、ボクが彼に対して感じる唯一の
真剣にレオナルドの講義を聴く彼を横目に、ボクは彼のカルテに目を通した。それが、カルデア医療部門トップのボクの役割だからだ。タブレットのホログラムに映し出される彼の詳細なデータは、レオナルドの言ったように、彼の魔術的な才能の大きな偏りを示していた。ボクはデータを彼にも見せながら、レオナルドの言葉を補足した。
「君には一通り検査を受けてもらったけれど、君の起源──『突破・解決』だったかな──は、非常に概念として強力なものだというのがわかった。それがゆえに君の体がほかの概念を有する魔術に馴染まなくなっているくらいにはね」
「つまり?」
「『突破』の性質を持つ──例えば貫通系の魔術、破壊系の魔術だったり。『解決』に由来する──こっちはあまり思い浮かばないけれど、解析の魔術とかかな。ともかくそれらに対して、君はほかのどんな魔術師よりも、より早く、より強くなれるだろうさ。無論、私の教育があればこそだけど」
ただ、とレオナルドは立てていた指を彼の眼前に突き付けた。これだけは聞き逃すな、という圧を感じた。
「そのほかの魔術に関しては、君はミジンコ以下だ。リツカ君の方が万倍早く習熟するだろうさ。君の起源は君自身の限界や制限の突破にも影響している──高い身体能力とか、レイシフト適性とかからも、それは明らかなわけだけど──いくら君に限界がなくてもね、進む速度が亀以下じゃあ、生涯努力したって並の存在になれるかどうかだ」
ウサギのように走れる方法がわかっているのに、わざわざ亀より遅く走る道を選ぶかい?とレオナルドは締めくくった。彼は首を横に振った。それは確かに、意味がないことだ。努力しないウサギと努力する亀なら亀が速いが──どちらも努力するなら、断然ウサギが速いだろう。
「だから私の授業では、君には主にさっき上げたような魔術の習得を目指してもらう。そしてその結果を鑑みて、君に与える礼装の調整も行う予定だ。リツカ君の服に組み込まれた『応急手当』の魔術なんかは、君の服に組み込んでも宝の持ち腐れだからね」
というわけで、ダヴィンチちゃん謹製、試作品第一号だ。と言いながら、彼女は得意げに服を取りだした。見た目はリツカ君に支給されたものとあまり変わらない。物珍しいのか彼がまじまじと見ていると、さっさと着替えてとレオナルドがせかしている。袖を通してみる姿に違和感はない。サイズはぴったりだったようだ。
「礼装、については理解しているね?」
「オレの魔術の発動をサポートしてくれる、ということくらいは」
「おおよそその通り。だが私謹製の礼装はもっと高性能だ。なんせ魔力を通し、使いたい術を意識しただけで術を構成してくれる。さあ、実験だ。昨日練習した通りに、魔力を込めてみたまえ」
言われたとおりに彼は魔力を込める。特に文言は発さなかった。魔術の方向性が固まればそういうものを決めたほうがいいのだろうけれど。その方向性を決める実験をこれからやるのだから、まあそれは追々でいいだろう。
「……うん、魔力に問題は無し。やはり、ついこの間まで一般人だったにしては君の魔力は多いね。もう少し礼装の魔術の出力は上げても──っとと、本題からそれた。今は試作品一号の試運転と、君の訓練だ。では先ずは貫通術式から──」
◆
「意外な結果になったね。『貫通』『破壊』『解析』、その他おおよそ起源に関わりの深い魔術については予想通りの高い適性だ。だけど『遠距離攻撃』──いや、『射撃』かな? ともあれ、それにも適性があるとは」
レオナルドがホログラムに映し出されたデータを眺めながら告げる。彼女の言う通り、彼は遠距離攻撃系の魔術、特に弾状のものを飛ばして攻撃する『射撃』の魔術に適性があった。それこそ貫通や破壊といった魔術と同じくらいには。
「どうしてだろうか」とレオナルドは頭を悩ませている。ボクも正直不思議には思っている。彼ほど起源の特性が濃く現出している人間が、ほかの魔術特性に適性を持つ余地があるというのはあまりない。
「なにか心当たりはあるかい?」と聞いてはみたが、「オレにはさっぱり」と返ってきた。「だろうね」と返す。彼はカルデアに来てから初めて魔術の世界に触れたのだから、心当たりがなくて当然だろう。
「まあともかく、使えるのであればそれは僥倖。今回のデータをもとに礼装を調整しておこう。また明日、今度は試作2号を用意して君を待っているよ」
「はい。今日はありがとうございました」
「ノープロブレム! 君の努力、目標に向かって進もうとする姿勢は大変に好ましい。もっとも、頑張りすぎには注意だ。もし倒れてしまうことがあれば、リツカ君たちも心配するだろう」
そう彼をねぎらって、レオナルドはシミュレータルームを後にした。
さて、ボクも今回の実験結果を整理して、彼のカルテの更新やらなんやらを進めなければならない。「ボクは医務室に戻るよ」とハズム君に告げると、「オレは少し残ります」と返事があった。今日の魔術訓練について記録を残すらしい。彼がいつも持ち歩いている手帳(おそらく日記だと思う)とペンを握っていた。
「じゃあ、また明日ね。体調やメンタルに不調が出たら、いつでも医務室に来るように」
「はい。わかりました。頼りにしています」
そう言って、彼は手帳に目を落とした。そんな彼を背に、ボクはシミュレータルームを後にした。
医務室に向かいながら、彼のことを考える。「頼りにしています」とは言われたが、彼が医務室に訪れたことは一度もない。リツカ君の方はよく訪れてくれるから話をする機会も多いのだが、彼と会って言葉を交わすのはレオナルドの講義のときぐらいだ。
だからなに、というわけではない。彼の健康状態はほとんど正常と言っていいし、メンタルも
ただ──彼は何か悩みを隠しているように思える。特に根拠のある推測ではないが、勘というものは馬鹿にはならない。とはいえ、こういうのは本人が話したがらないのに無理やり聞き出したところで逆効果だ。そのためには彼に信頼されるように努力するしかないだろう。
医務室に到着した。デスクチェアーに腰かけて、ぐっと一つ伸びをする。
「さて、もうひと頑張り」
そう呟いてカルテを開いた。彼らのような子供たちに人理修復なんていう重荷を背負わせたんだ。ボクはボクにできる最大限を持って、彼らのことをサポートし、守らなければならない。それが、ボクのやるべきことだ。
◆
◇
20XX/XX/08
今日もダヴィンチちゃんたちと魔術訓練をした。昨日までの魔力を通す訓練とは打って変わって、FGOで見たことのある礼装(たしか魔術礼装・カルデア? 白黒のカルデアの制服みたいなやつ)を着せられて、実際に魔術を使ってみる訓練だった。
オレの起源は『突破・解決』らしい。魔術を教わったのはこれが初めてだから、とうぜん起源を知ったのも初めてだったけれど、まあ予想外ではない。銀弾なんて能力を持っている以上、それに関係する類の起源になるのはおかしいことじゃないと思うし。『銀弾』で一度生き返ったせいで、起源に影響が出ているという可能性もあるが。
これは例の
銀弾の使用先を考えているときにこのことを思い出して、オレはこの性質を最大限に利用しようと考えついた。
オレは少なくとも、
だからDr.ロマンに射撃の適性について心当たりを聞かれたときは、少しだけ焦ってしまった。「オレにはさっぱり」なんて言ったけど、内心バクバクだ。様子を見る限り怪しんではいなかったのが幸い。あの時はロザリオを握る手が汗まみれだった。この後磨いておかないと。
まあ、ともかく。この先の訓練は今日判明した適性に沿ったものになっていくだろう。サーヴァントに一矢報いるほどとは言わないが、できるだけサーヴァントの負担にならずに、自分の身は自分で守れるくらいの魔術師にはなりた
◇
◆
「──ごめ~ん、ハズム君!」
「──!?」
シミュレータルームの扉を開けると、デスクに座っている彼の肩がびくりと震える。驚かせてしまったようだ。彼の顔には、珍しく驚きの感情が見えた。
「どうしました?」と言う彼には若干の焦りと──怯えのようなものが感じられる。焦りの方は知らないけれど、怯えについてはいつものことだった。うまく取り繕ってはいるけれど、まあ私には見抜けるくらいのもの。
私が彼のことを怪しい存在としてみていること、そんな負の感情に怯えているのかもしれない。もしそうなら申し訳ないとは思う。
私をはじめとして、サーヴァントはみんな彼に得体の知れないものを感じている。それは本能的な直感に訴えかけてくるものであるから、直感に対して正直な(直感を信じる、ということを重んじる)者──アルトリア・ペンドラゴンやエミヤは、なかなか彼に対する態度を取り繕うことが難しい。
私は彼らに比べれば表に出していないほうだと思うけれど、正直、魔術の修行を通して彼と接しその人間性に触れていなければ、きっと彼らと同じようなものだっただろう。実際今でも、ふと油断した時に彼への嫌悪が漏れることはあるのだから。
彼は好ましい人間だ。努力することを知っており、リツカ君やマシュ、みなのことを心配し、想っている。だからこそ私は彼に接するときにできるだけ負の感情を表に出さないようにしているし、彼の特訓についても力を入れているのだ。
とはいえ、私は彼のことを全面的に肯定しているわけではない。それはロマニがすでにやってくれているし、彼にも怪しい部分がないわけではないからだ。
あの管制室爆破事件の時についてなんて、その最たる例だろう。彼は追い出されたリツカ君と違って
──おっと、そんなことを考えるために戻ってきたのではなかった。
「言い忘れていたことがあった。明日までに、魔術を発動するとき用の
伝えるべきことを伝える。「はあ」と気のぬけた返事が返ってきた。む、結構重要なことなんだけどなあ。彼のことだから言われたらしっかりやってくるはずだけど、一応釘は刺しておこう。
「あ、ちなみに明日までに考えてこなかったら、君の礼装はスケスケ・ピチピチのボディースーツ型にするからね!」
「え゛……ちゃんと考えてきます」
「ならばよろしい。じゃあ、こんどこそさよならだ。また明日。チャオ~」なんておどけたように言って、シミュレータルームを後にする。
……彼の怯えた眼は、今日も最後まで変わらなかった。
彼は良い人間だ。それと同時に怪しい人間だ。間違いなく善性の塊であるリツカ君とは違って、彼の存在は異様に過ぎる。
私は探偵ではないけれど、万能の天才として彼を見極めなければならない。それが、私の役割だ。
──けれどいつかは、彼が心から笑ってくれる日が来てほしいとも思う。彼が私を見るたびに首のロザリオを握りしめる痛ましい様子は、あまり見たくなかった。
『ハズムの癖』
決意・闘争・打開の感情を強く持った時、彼の右手は銃を形作る。
懊悩・恐怖・不安の感情を強く持った時、彼の手はロザリオにのびる。
当然、『癖』なので本人は無意識だが、長い付き合いのリツカや、彼のことを(いろんな意味で)よく見ているダヴィンチあたりは、この癖の表す感情になんとなく気づいている。
つまり彼にとって、銃とは自分を前進させるための道を切り拓く力であり、ロザリオは自分を後退させないための過去の罪の象徴だということだ。
彼の脳裏には、きっとあの血生臭い夜が浮かび続けている。
感想ありすぎて返す気力がない! すまん! 全部読んでるから許して……
感想よんでみんな気になってそうだったことに少し触れるね
・『主人公2部のこと知らなくね』問題
まあ、この作品は取りあえずシナリオ一部の内容で完結する予定なので。主人公も一部のことしか知りません。というか、公式の2部が完結してないのに、書くなんてことはオレにはできん!
・『日記形式のフォント見にくい……見やすい?』問題
これは演出の一環なので変えるつもりは今んとこないです。あまりにも読みにくいって声が多ければ検討するね。でもせっかくある機能だから使いたいよね。
・『なんで銀弾を人理焼却の時に使わんのや、この主人公』問題
まあこの先の更新を気長に待ってクレメンス。追々説明するけんな、追々。
こんな感じかな。とりあえず読んでくれて感謝感激です! まさか投稿数2話でランキング載るとは思わんかったです。
感想やらお気に入りやらばっちり待機してます。感想は返信なくても読んでるから許してね! あとガチ褒めは作者がガチ調子に乗るし、ガチ貶しは作者がガチへこみするから、プラスでもマイナスでもちょうどいいくらいの感じでくれるとありがたいやで。