教員による児童生徒へのわいせつ、SNSやスマホの普及が一因に…識者「環境の整備必要」
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小学校教諭が児童の下着を盗撮し、画像などをSNSのグループチャットで共有したとされる事件は、学校現場での性暴力防止の難しさを浮き彫りにした。教員による児童生徒へのわいせつ事案は相次いでおり、識者は「SNSやスマートフォンの普及が、子どもに対する性暴力増加の要因の一つになっている」と指摘する。 【図】一目でわかる…子どもへの性暴力で処分された教員、こんなにいる
文部科学省の調査では、2023年度に児童生徒らへの性暴力で処分された公立学校の教員は157人に上る。コロナ禍の20~21年度には90人台だったが、22年度から増加している。
性暴力の場面は「授業中・保育中」の1割未満に対し、「勤務時間外」が5割超、「放課後」が2割弱だった。1対1で会いやすく、周囲の目が届かない環境が温床となっている。文科省は、教員と児童生徒のSNSでの私的なやりとりの禁止や、密室状態での指導を避けるよう求めている。
千葉市教育委員会は「校内死角改善確認シート」をつくり、各市立学校は校内を巡回して点検している。空き教室などの死角は周囲に気づかれにくく、悪用されるケースがあるからだ。
17日夕には市立本町小で見回りが行われた。同校は事件を受け、教員に対し私有スマホの教室への持ち込みや私物カメラの利用の禁止を徹底するよう求めた。
岩田亮教頭(47)は「学校と子ども、保護者の信頼関係は不祥事で一瞬にして崩れ去る。事案が起きないよう意識を高めていきたい」と話した。
埼玉県内の小中学校などでも今月、校内の緊急点検が行われた。
NPO法人「日本こどもの安全教育総合研究所」の宮田美恵子理事長は「学校内で教員は支配的な立場にあり、児童生徒は教員の言葉に従いやすい。定期的な点検や防犯カメラの設置など、性暴力を起こさせない環境の整備が必要だ。SNSを使い、保護者の知らないところで教員と子どもが直接連絡を取らないようにする対策も欠かせない」と指摘する。