5月19日、警視庁野方署は京都大学大学院に在籍する中国人留学生の男を建造物侵入容疑で現行犯逮捕した。報道によると、容疑者は中国人留学生2人から報酬を受け取り、昨年も替え玉受験を行っていた。男はマスクの中に小型マイクを隠しており、それを使って別の受験生に解答を教えるなど、組織的カンニングの疑いがある。

調べに対し、容疑者は「都内の駅で中国人から（別の学生名義の）学生証を渡された。お金を稼ぎたかった」と話している。裕福になった中国人留学生だが、容疑者はなぜ、このような犯罪に手を染めてしまったのか。

ココがポイント

エキスパートの補足・見解

報道によれば、法人から「別の名前で受験を繰り返している人がいる」との相談を受け、警察署が警戒していたところ、発覚したという。マスクに隠した小型マイクを使って、替え玉受験をするだけでなく、他の受験者にも解答を教えようとしていた。当日、同じ会場にいた受験者の3割が急きょ欠席したことから、その人たちが同じ中国人だった可能性がある。

日本学生支援機構の調査によると、中国から日本への留学生は約12万3500人（24年5月現在）と過去最多に上っており、全留学生の36.7％を占めるほど多い。米中対立の余波や、中国の厳しい「高考」（中国の大学統一入試）を避けること、保護者が経済的に豊かになったことなどが影響しているとみられる。

かつてのような苦学生は減り、インフルエンサーや中国人相手のビジネスなどを行うリッチな留学生が増えている印象があるが、容疑者は「金が欲しかった」と供述している。中国人は日本でも中国のSNSであるウィーチャットや小紅書などを使って、中国人同士で情報交換をしている。容疑者も、もしかしたら、そうした気軽なSNSを使うことによって犯罪意識が薄くなり、不正に手を染めてしまったのかもしれない。