中学受験本番まで半年、ここまで放置してきたら集団塾も家庭教師も無駄です

桜井信一の攻める中学受験

模擬試験の算数の答案用紙
模擬試験の算数の答案用紙

SNSをみていてもどうやら6年生が動き出したようです。今まで個別指導塾で進めてきた子が夏期講習を機に集団塾に入ったり、その逆だったり、とにかく今のままではいけないと判断したようです。

その考え自体は良いことと思うのですが、さてその作戦、うまくいくでしょうか。あと半年ほどしかないのです。その半年ですべてが決する。その大事な半年の判断が「どこかに預けること」になってはいけないと私は思うのです。

特に理科や社会が苦手な子。これはもう苦手というよりも暗記を怠った積み重ねなんですね。それをこの時期の途中入塾で解決できるはずがない。演習プリントは空白だらけになり、答えを赤ペンで書くだけの勉強になるでしょう。

家庭教師もいけない。べったり一緒に過ごせる親がいないと消化できない量を残しているはずなのです。しかし、親子で勉強するとバトルになる。仕方なく、親の目の前から離して勉強しているだろうという体制をとることにする。でも費用をかけた分だけ成績が上がることを願っている。そんなうまい話はないと思うのです。

6年生のこの時期まで放置してしまったら、最後くらいは親が面倒をみてあげてほしい。そんなまとまった時間がとれないなら、4年生で入塾させたときから、最終目標を射程圏内における位置をキープできる程度に見てやらないといけない。どちらも無理なら、今のままで合格できる学校の中から、子どもにあった学校を一緒に選んでやらなければいけない。そう思います。

「勉強」って何なのか――。この当たり前をもう一度考えたいと思うのです。塾に通って授業を聞くことではないはず。自分で鉛筆を握ってガリガリ書くこと。自分の力でページをめくること。わからないところを自分で探し、自分で考えてみて、悩んでみること。消しゴムで消しては書き直し、消しカスだらけになること。ときには蛍光ペンで塗って覚えること。

何だか計算がはやくなってきた気がする。何だか記述がすんなり書き始めることができるようになった気がする。理科も社会も、以前よりは覚えてきて、出されたプリントの中にも答えられる問題が出てきた。そして、50分間集中して勉強することに慣れてきた。

ダラダラしていた日より捗るんだなあという感触。一息入れながら3時間ほど勉強することもできる。あと何日か、ちょっと厳しいけれど、まるっきりだめというわけでもないような気がする。そう考えると、少し前の自分は、あんな成績であんな状況で、〇〇中学校に行きたい、受かりたいとよくも言ってたんだなあと思えるようになってきた。ここで受験生の顔つきになってくるのです。

受け身から攻める姿勢へ。本来勉強は誰かに代わってもらえないのだから、自分が鉛筆を走らせないといけないのです。1番から3番まで解いてきなさいと言われて解くのは6年生の夏まで。ここからは、4番を解こう、いや、6番ももう一度解いておこうかな、このように自分で不安な部分を感じること。

すると、自分の能力も見えてくるはず。「あー、もう少し早くやっていたら良かったなあ」と思ったなら、その子は中学に入って伸びるでしょう。中学受験するすべての6年生に何とか伝えたい。もう受験することは決めたのだろうから、あと半年くらいは本当の勉強をしてほしい。これで精一杯というのをみせてほしい。私も経験しましたが、結構清々しい気分になるものです。

筆者紹介

桜井信一(さくらい・しんいち) 昭和43年生まれ。中卒の両親のもとで育ち、自らも中卒になる。進学塾では娘の下剋上は難しいと判断、一念発起して小5の勉強からやり直し、娘のために「親塾」を決意。最難関中学を二人三脚で目指した結果、自身も劇的に算数や国語ができるようになる。現在は中学受験ブログ「父娘の記念受験」を主宰、有料オンライン講義「下剋上受験塾」を配信中。著書に、テレビドラマ化されたベストセラー『下剋上受験』をはじめ、『桜井さん、うちの子受かりますか』、馬淵教室と共著の『下剋上算数』『下剋上算数難関編』などがある。

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