セブン&アイ・ホールディングスは去年、カナダのコンビニ大手のアリマンタシォン・クシュタールから7兆円規模の買収提案を受け、両社は互いの財務情報などを共有する秘密保持契約を結んで協議を進めていました。
こうした中、クシュタール社は16日、セブン&アイの取締役会に宛てた書簡を公表し、「建設的な協議が欠如している」などとして、買収提案を撤回する方針を決めたことを明らかにしました。
書簡では会社の資産を査定する手続きで十分な情報提供が得られず、意図的に混乱や遅延をもたらすような動きをしていたなどと批判しています。
セブン&アイ買収提案を撤回 カナダのコンビニ大手
セブン&アイ・ホールディングスに対し、7兆円規模の買収提案をしていたカナダのコンビニ大手が16日、「建設的な協議が欠如している」などとして、提案を撤回すると発表しました。セブン&アイは不本意だとしながらも想定されたことだとして、今後、単独で企業価値を向上させる取り組みを続けていく方針を明らかにしました。
これに対してセブン&アイは「決定については不本意ではあり、クシュタール社が発表した数多くの誤った記述について賛同しかねるものの、想定され得たものとして受け止めている」というコメントを発表しました。
買収提案を受けたあと、セブン&アイはコンビニ以外の事業を分離するなどグループ経営の改革に乗り出していますが、今回の撤回方針を受けて、今後、単独で企業価値を向上させる取り組みを続けていく方針を明らかにしました。
クシュタール社による買収提案が撤回されたことを受けて、セブン&アイの株価は17日午前の取り引きで一時、9%余りと大幅に下落しました。
「協議の中身や深さで溝埋まらず」
クシュタール社が買収提案を撤回した理由について
流通業界に詳しいUBS証券の風早隆弘シニアアナリストは「クシュタールはセブン&アイのコンビニ事業に魅力を感じていて、買収のためのいろんな可能性を真剣に探っていたことが書簡から読み取れる。セブン側としっかりした協議ができなかったことをポイントにしていて、協議の中身や深さで、両社の溝が埋まらなかったと理解している」と分析しました。
一方で、「書簡では今回はこの提案を取り下げると言っていて、将来にわたって何もしないということを言ったわけではない。状況によっては、魅力的な事業として引き続き買収に向かう可能性は十分に考えられる」としています。
今後、セブン&アイに求められること
「クシュタールから買収提案があるかどうかにかかわらず、自社で企業価値をしっかり上げていくことは極めて重要だ。それに向けて新しい経営陣が全力で取り組まないといけない」と話していました。
買収提案と両社の協議は
セブン&アイ・ホールディングスに対し、カナダのコンビニ大手、アリマンタシォン・クシュタールによる買収提案が明らかになったのは去年8月です。
390億ドル、現在の為替レートで5兆7000億円余りでグループ全体を買収するという提案で、セブン&アイは、社外取締役のみで構成する特別委員会を設置し検討した結果、「当社の価値を著しく過小評価している」などとして、提案を受け入れない姿勢を示しました。
これに対し、クシュタール社は買収金額を2割ほど引き上げて7兆円規模とする新たな提案を行います。
一方、セブン&アイの創業家側は、事実上の対抗策として会社の株式を買い取って非上場化しようと、大手商社の伊藤忠商事やタイの財閥大手チャロン・ポカパングループに出資の打診を行いますが、非上場化に必要な多額の資金のメドがつかず、計画は白紙となりました。
その後、両社は、ことし5月にお互いの財務情報などを共有するための秘密保持契約を締結した上で、日本の独占禁止法にあたるアメリカの競争法上の課題の解決に向け、アメリカ国内の店舗売却などの協議を進めていました。
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