全線不通のJR美祢線、鉄道復旧を断念し事実上の廃線へ…利用促進協議会がBRTなどへ転換する方針決定
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2023年夏の大雨の影響で全線不通となっている山口県のJR美祢線について、JR西日本や県、沿線自治体などでつくる利用促進協議会(会長=篠田洋司・美祢市長)は16日、臨時総会を開き、鉄道での復旧を断念し、バス高速輸送システム(BRT)などへ転換する方針を決めた。事実上、廃線の方向性でまとまった形となり、今後、国や県などでつくる法定協議会で正式に決定する。 【写真】台が流されたままのJR美祢線の線路(2024年6月、山口県美祢市で)
運休が続く美祢線(厚狭駅―長門市駅、全長46キロ)は同社による代行バスの運行が続く。利用促進協議会は昨夏、内部に「復旧検討部会」を設置。同社は、鉄道で復旧する場合、最短でも10年程度かかることや同社単独での運行は難しいとの考えを示してきた。
一方、BRTの場合は3、4年で復旧が可能とし、一部区間で専用道を設けることで鉄道と同等の速達性や定時性を確保できると説明。便数は1・5倍に増やせる上、運賃も鉄道と同水準を目指すとし、今年5月の定期総会で「BRTが望ましい」との見解を述べていた。
この日は、沿線自治体の首長や同社の飯田稔督・広島支社長のほか、商工会議所や観光協会などの代表者らが出席。「復旧までに10年かかるのは現実的ではない」など、BRTを軸とする鉄道以外での復旧を支持する声が多く上がった。
終了後、篠田市長は鉄道での復旧断念は苦渋の決断だったとした上で、「一日でも早い復旧に向けて前に進めていきたい」と述べた。
沿線に住む住民(68)は「鉄道があったから駅に人が集まりにぎわいができていたので残念。地域の発展や利便性の維持向上につながる形にしてもらいたい」と話した。
飯田支社長は「廃止が決まったわけではない」とした上で、「刷新感があり、未来に資するものを地域と議論して作り上げていきたい」と語った。
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