「社会が壊れている」認識が急激上昇のワケ
日本もこの上昇傾向を示す国の区分に入るが、その中でも動きが特異である。
2016年の段階では、日本の社会崩壊度の認識は31%と実は世界最低であり、世界の中でも日本人は自国が健全な社会を有していることに自信をもっていた。しかし、その後、この値は上昇を続け、2025年には53%と過半数を超えるに至っている。上昇の勢いでは他国にひけをとらない。
それでも調査国平均の56%は下回っている。
一方、南アフリカや米国ではもともと値が高く、ほぼ横ばいで推移している。
また、ブラジル、スペイン、韓国、イタリアといった諸国では、IMF危機や欧州債務危機による経済低迷で社会が瓦解した時期を引きずって、当初、値が非常に高かった。その後、改革が進むなどして経済も持ち直し、回復の過程にあったが、コロナ禍とその後のインフレで再度、値が上昇していると見られる。
なぜ、世界の主要国で、こんなにも社会が壊れていると感じる人が多いのか、その中で、なぜ、日本人は遅れて世界と共通した認識を持つに至ったのか? これについて一言で説明するのはなかなか難しい。
世界的な以下のような情勢変化が多面的に作用して、各国で社会崩壊の認識に至っていると考えられる。
・移民や外国人の増加で社会の軋轢が拡大
・貧富・世代差・性的多様性で国民の一体感が減退
・既存メディアの凋落やSNSの普及で政治が混乱、社会が分断
これまで経験したことのないようなネットやAIなどの激しい技術変化、新型コロナのような世界的な感染症、さらに地球温暖化にともなう気候変動に対して、とてもじゃないが社会は対応できないというパニックに近い感覚も社会崩壊感を促していよう。
その中で、日本が欧米に遅れてそう感じるようになったのは「なぜ」なのだろうか?
経済や政治は二流国であっても社会は健全さを保っているという思い込みに近い国民の自信のようなものがつい最近まで根強かった。しかし、世界的な思潮の影響はいずれ日本人にも波及する。それが今なのだろう。
コロナ後に世界的に深刻となったインフレが日本の場合、世界から遅れて、今、社会を直撃しているという状況の違いも日本が遅れて社会が壊れていると感じるようになった要因のひとつであろう。

