若者層や無党派層の票が参政、国民、れいわへ

一方、立憲民主党も同様の傾向が目立っている。立憲民主党と国民民主党は両方ともかつての民主党から生まれた政党であるが、国民民主党は年齢層が若いほど支持率が高く、立憲民主党とは正反対の性格を有している。生まれた時期は同時期でも、支持層の違いからは、立憲民主党は既成政党、国民民主党は新興政党と位置づけられよう。

年齢があがるほど支持率が上がる政党を既存政党、それ以外を新興政党と位置づけると、新興政党も実は2分される。

すなわち、一方で、若年層ほど支持率が高いのが国民民主党、参政党、れいわ新選組。ただし、れいわ新選組の18~39歳層の支持率は参院選2~3週前には各年齢層のうちで最多だったが、直前1週目には落ち込んだ。参政党に若年層からの支持が食われた格好である。

他方で、若者というより中年以上の支持が特徴であるのが日本維新の会、日本保守党の区分である。

選挙で投票する人
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既存政党にも左右両派の政党があるように新興政党にも左右両派の政党が属している。れいわ新選組は左派系であるが、今回注目の的となっている「日本人ファースト」をうたう参政党は日本保守党とともに、むしろ、保守的な政見をもっている。

就職氷河期に安定雇用を逃した困窮層や財務省デモ参加者などでは、消費税廃止という共通の公約に賛同し、左右に関係なく投票先は、れいわ、参政党2択になる傾向があるとの取材報道もある。こうした層では消費税廃止をトーンダウンさせた国民民主の影は薄くなっているという(東京新聞2025年7月13日)。

新興政党の中には、党首に注目が集まったり、党首の発言がセンセーショナルだったりするポピュリスト的な性格の政党が目立つ。世界的な潮流ともなっているポピュリズム政治がわが国にも波及するかについては最後にふれよう。

さらに、今回の参院選の候補者の発言などで「日本が壊れている」というフレーズが目立っている点を指摘しておこう。

参政党のメインのキャッチフレーズとして「日本人ファースト」が知られているが、ポスターには、同時に「これ以上、日本を壊すな!」という文言も記されている。

また、日本保守党から立候補を表明した弁護士の北村晴男氏(69)は、立候補の理由については「一言だけ申し上げると、このままでは日本が壊れてしまうというふうに思ったこと、これが最大の理由です」とした。

比例代表に社民党から立候補しているラサール石井氏(69)が「社民党がなくなれば、日本の社会の底が抜けてしまう」と危機感を訴えているのも同趣旨だと考えられる。