竹中平蔵「給料を上げるのは間違った政策だ」石破茂も結局はポピュリスト「利権団体を守る自民党」と参政党への危惧
「減税か給付か」議論はなぜナンセンスか
しかし、そういう話はなかなか盛り上がらない。メディアは政策論争をしているようで、政策論争を実はしていないのです。 本当にほとんどの政党は政策の中身がありません。ウィッシュリストばかりで、「こうやって変えていく」というような実現可能性や具体的な手段についての議論が完全に欠如しています。 そして今、世間では物価高が問題だと言っているのに、メディアにおける議論設定は「減税か給付か」になっています。これは根本的に間違っています。やり方によっては減税も給付も、両方とも需要を刺激し物価高を促進するのです。 貧しい人を助けるというのは正当化されると思います。しかし、全員に2万円配るとか、全員に消費税を0にするとか、そんなのはありえません。それらは需要を増やす、需要刺激だからです。コストが上がっているところに需要刺激をかけるのだから、物価が上がってしまいます。 NHKの討論番組でも、2人のエコノミストが「減税か給付か」を議論していましたが、政策というのはまずは目的があってそれを達成するための手段です。手段だけを議論しても、まともな議論にはなりません。
なぜ今給料を上げることは間違っているのか
まず国民は、現在の物価上昇の構造を正確に理解する必要があります。1年前は輸入物価が10%ぐらい上がっていました。しかし最新の物価動向では、輸入物価は10%下がっている。それなのに国内物価は上がっています。 なぜか。生産性が上がっていないのにも関わらず、企業は政府の要請に応じる形で、給与を上げているからです。最初は戦争が作り出した物価高でしたが、今は「給料上げる」という間違った政策が生み出している物価高なのです。 経済学の基本中の基本ですが、生産性が上がって、それで賃金が上がるのが正しい順序です。生産性と賃金というのは市場で決まります。生産性が上がってそれで賃金が上がるわけです。 ところが生産性が低いのに給料を上げると、単に物価が上がるだけで賃上げによる好循環は生じません。 この政策を続けた結果、実質賃金は約半年、ずっと下がっています。国民はますます貧しくなっている。このまま突き進めば、国力が衰退していきます。 なぜこのような当たり前のことが議論されないのか。当たり前のことを議論する土壌が、政治と社会の中になくなったからです。